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ベンチャーキャピタル(VC)の種類と特徴を解説!国内の大手VCも紹介

ベンチャーキャピタル(VC)とは、成長の可能性を持つベンチャー企業に対し、高いリターンを狙った投資を行う企業のことです。

国内外には多くのVCが存在し、それぞれが異なる投資領域や運営方針を持っています。

ベンチャー企業の経営陣にとって、適切なVCを見つけて資金を調達することは重要な課題です。

誤ったVCの選択は、重大な損失を招くこともあります。

この記事では、国内大手のベンチャーキャピタルを中心に、それぞれの特徴について解説します。

ベンチャーキャピタル(VC)とは

ベンチャーキャピタル(Venture Capital、略称VC)とは、新興企業や成長企業に投資する投資会社やファンドのことを指します。

一般的に、投資家はベンチャー企業の株式を取得し、企業が成長することによってキャピタルゲイン(利益)を得ています。

投資家はこのキャピタルゲインの利益を受け取ることで、収益を上げるという仕組みです。

言い換えると、ベンチャーキャピタルとは投資家の資金を運用する組織として機能しており、その運用によって管理報酬を得ている会社です。

ベンチャーキャピタル(VC)の種類

ベンチャーキャピタルは、投資先や経営手法に応じて多様な種類に分かれます。

ここでは以下7種類のベンチャーキャピタルについて、各タイプの特徴を紹介します。

  1. 金融機関系
  2. 地域系
  3. 独立系
  4. 事業会社系
  5. 政府系
  6. 大学系
  7. 海外系

各種類に分類されるベンチャーキャピタルが、どのような領域をメインに取り扱っているのか、本章でチェックしましょう。

1.金融機関系

金融機関系ベンチャーキャピタルは、銀行や証券会社、保険会社、ノンバンクを母体としたベンチャーキャピタルです。

背景として資金力を有し、多岐にわたる投資実績を持ちます。

ベンチャーやスタートアップ企業に限らず、ITやバイオ、ライフサイエンスなど、今後成長していく分野に焦点を当てて投資していることも特徴です。

業種や企業のフェーズに関わらず、幅広い投資実績を持っています。

2.地域系

地域系ベンチャーキャピタルは、特定の都道府県や市町村の企業に出資するベンチャーキャピタルです。

他のベンチャーキャピタルとは異なり、技術力が高い地方の中小企業などに出資するのが特徴です。

地域に焦点を当てたベンチャーキャピタルの例として、北海道ベンチャーキャピタルや、新潟ベンチャーキャピタルが挙げられます。

3.独立系

独立系ベンチャーキャピタルは、特定の親会社が存在しない形式のベンチャーキャピタルです。

JAFCOや日本アジア投資などの独立系ベンチャーキャピタルは、特定の企業グループに所属していないため、出資時に業界内のあらゆる制約や影響を気にせずに済みます。

4.事業会社系

事業会社系ベンチャーキャピタルは、大手企業が主体となって運営するベンチャーキャピタルです。

英語での名称が「Corporate Venture Capital」であることから、略称「CVC」と呼ばれることもあります。

企業がベンチャーキャピタルを運営する理由には、自社の視点や専門知識に欠ける部分を補い、自社の成長に活かしたいという意図もあるでしょう。

たとえば、NTTドコモが運営するNTTドコモ・ベンチャーズや、GREEが関連するSTRIVEなどがあります。

5.政府系

政府系ベンチャーキャピタルは、国や地方公共団体などが出資する資金をもとに、投資活動を行うベンチャーキャピタルです。

主な目的は収益の確保ではなく、国内産業の技術の確保・維持に置かれており、そのための投資をメインに行っています。

政府系ベンチャーキャピタルの例としては、DBJキャピタルや地域経済の再生を目指して設立された、地域経済活性化支援機構(REVIC)などが挙げられます。

6.大学系

大学系ベンチャーキャピタルは、大学が直接出資するベンチャーキャピタルです。

大学における基礎研究の成果やOBを含む人的な資源を活用して、イノベーションや産業創出を促進するベンチャーキャピタルを含むケースもあります。

2022年4月以降、京都大学や東北大学など9校の指定国立大学でも、直接投資が可能になりました。

7.海外系

海外系ベンチャーキャピタルは、名前のとおり、海外の企業が運営するベンチャーキャピタルです。

国内と比較して投資額が大きく、合理的な経営を優先する傾向にあります。

たとえば、GoogleやYahoo!に投資してきたSequoia Capital、Amazonやコンパックに投資した、Kleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)などが一例です。

さらに海外系と金融系、両者の特性を併せ持つ「海外金融機関系ベンチャーキャピタル」など、複合的な特徴を持つベンチャーキャピタルも存在します。

国内の大手【金融機関系】ベンチャーキャピタル3選

金融機関系ベンチャーキャピタルとは、証券会社や銀行が主体となっているベンチャーキャピタルを指します。

主要な金融機関が支援しているため、投資の規模や金額が通常よりも大きくなるでしょう。

ここでは、代表的な金融機関系ベンチャーキャピタルとして「SMBCベンチャーキャピタル」「みずほキャピタル」「SBIインベストメント」の3社を紹介します。

1.SMBCベンチャーキャピタル

SMBCベンチャーキャピタルは、2010年以降に累計900社以上に650億円以上を投資してきました。

この投資のうち、IPO実績は118社で、スタートアップやアーリーステージへの投資が全体の76%を占めています。

そのため、若い企業への投資が同社の特徴といえるでしょう。

20年以上にわたりベンチャー投資を続ける国内VCのベテランとして、長期的な視点での投資を行っています。

監査法人や証券会社、他の投資家など、ベンチャー企業を支援する多様な企業とのつながりがあり、これらのネットワークを活かした支援を提供する会社です。

2.みずほキャピタル

みずほキャピタルは、みずほフィナンシャルグループが母体となっているベンチャーキャピタルです。

890社のIPO実績を持ち、近年では、BCC株式会社(2021年7月6日)や株式会社Waqoo(2021年6月29日)などが上場しました。

同社の特徴は、ライフサイエンスや成長支援、グロース、FinTech、事業承継など、ファンドごとに投資対象を特定している点です。

3.SBIインベストメント

SBIインベストメントは、成長分野に焦点を当てた投資を行うSBIグループのベンチャーキャピタルです。

成長分野とは、AIやIT、ブロックチェーン、バイオ、ライフサイエンス、環境エネルギーなどを指します。

これまでに累計1,184社に投資し、そのうち202社がエグジットを果たしています。

(2023年6月30日時点)

国内の大手【地域系】ベンチャーキャピタル3選

地域系ベンチャーキャピタルとは、その名のとおり、特定の地域の企業に対して投資を行うベンチャーキャピタルです。

地域内の企業に焦点を当てることによって、他のベンチャーキャピタルとは異なるアプローチを取っています。

本章では地域系ベンチャーキャピタルの代表として「北海道ベンチャーキャピタル」「新潟ベンチャーキャピタル」「DOGAN β(ドーガン・ベータ)」について紹介します。

1.北海道ベンチャーキャピタル 

北海道発のベンチャーキャピタルである北海道ベンチャーキャピタル(HVC)は、6つのファンドを運営する企業です。

これまでに17社のIPOを実現しており、その中にはファイバーゲート(2018年3月23日上場)、エコモット(2017年6月21日上場)などが含まれます。

同社は、とくに業種を限定せずに広範囲に投資していますが、道銀アグリビジネス投資事業有限責任組合においては、農林漁業に関連する企業に対してのみ投資しているという特徴があります。

2.新潟ベンチャーキャピタル

新潟ベンチャーキャピタルは、日本のシリコンバレー「新潟」を形成するという独自の目標を持つベンチャーキャピタルです。

基本的に新潟県内の企業に重点を置いていますが、note株式会社などの広く知られた企業にも投資をしています。

投資家へのリターンを重視することはもちろん、新潟県の資金が主要な原資となる予定のため、新潟産業の活性化や雇用の増加、地域のイメージ向上に貢献することを使命として事業を展開しています。

3.DOGAN β(ドーガン・ベータ)

DOGAN βは九州地域において、成長性・社会的貢献性・収益性のすべての面で、価値あるベンチャー投資を目指す会社です。

投資の文脈では、ベータ(β値)は、投資におけるリターンの不確実性(リスク)を示します。

一方、ソフトウェア開発の分野で使われる用語「β版」は、開発中サービスという意味合いです。

未熟な状態には無限の可能性があり、リスクを取ることで成長が促されます。

そのような考えから、九州特有の言葉である「どげんですか?どがんですか?」と「ベータ」を組み合わせて、社名が決定されました。

国内の大手【独立系】ベンチャーキャピタル3選

独立系ベンチャーキャピタルとは、特定の親会社に依存せず、独自の資本で運営されているベンチャーキャピタルのことを指します。

それぞれが独自の特徴を持ち、日本でもその投資成果が注目されるベンチャーキャピタルです。

ここでは代表的な会社として「JAFCO(ジャフコ)」「日本アジア投資(JAIC)」「グロービス・キャピタル・パートナーズ」の3社を紹介します。

1.JAFCO(ジャフコ)

JAFCO(ジャフコ)は、かつて野村グループ系列のベンチャーキャピタルでした。

しかし、2017年に完全な独立を公式に宣言しました。

そのため、現在は独立系のベンチャーキャピタルとして扱われています。

JAFCOは、国内で最大規模のベンチャーキャピタルであり、累計で4,179社に投資。

また、そのうち1,030社が上場しており、2019年にはChatworkがIPOを果たしています。

アメリカやアジアを中心に、国内だけでなく海外展開も積極的に行っているベンチャーキャピタルです。

2.日本アジア投資(JAIC)

日本アジア投資は、一般的にJAIC(Japan Asia Investment Company)として知られ、ジャフコと並ぶ独立系ベンチャーキャピタル企業です。

1981年に設立され、40年以上の歴史を持ち、中国向けの投資ファンドも運営しています。

同社は、中国だけでなく、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムなど、アジア各国に広範なネットワークを持つことも特徴です。

3.グロービス・キャピタル・パートナーズ

グロービス・キャピタル・パートナーズは、1996年に日本で最初に本格的なハンズオン型VCとして創設されました。

ハンズオン型とは、投資実行後に経営陣を派遣し、経営の意思決定にも関与しつつ投資先の価値向上を支援するスタイルを指します。

これまでに、IPO36社、M&A18社を含む合計54社の成功したエグジット実績がある企業です。

投資先数は多くはありませんが、その中にはランサーズ、メドレー、メルカリ、ユーザベース、アカツキなど、名だたる企業への投資実績があります。

国内の大手【事業会社系】ベンチャーキャピタル3選

事業会社系ベンチャーキャピタルは、主に大手企業が管理する投資ファンドです。

これらの企業は、自社の発展を促進し、自社ビジネスとの相乗効果を追求し、また新たな技術を導入することを目的として投資を行う傾向があります。

本章では「電通イノベーションパートナーズ」「NTTドコモ・ベンチャーズ」「STRIVE(ストライブ)」の3社を紹介します。

1.電通イノベーションパートナーズ

電通イノベーションパートナーズは、電通の完全子会社で、100億円規模のファンドを運営するベンチャーキャピタルです。

同社は、Kaizen PlatformやSTORES、Viibar、Kyash、お金のデザインなど、数多くのテクノロジー系有名スタートアップに投資しています。

2.NTTドコモ・ベンチャーズ

NTTグループは、これまでその技術力と社会への貢献力によって、世界の様相を変えてきました。

一方でスタートアップは、自由な発想力と技術・実行力によって、変革の原動力となり続けています。

NTTドコモ・ベンチャーズの役割は、スタートアップの発想と行動力を、NTTグループの社会貢献力と結びつけることです。

スタートアップとNTTグループの双方の力と理念を調和させることで、それぞれの理念に寄り添いつつ、未来への推進力を生み出しています。

主な投資先は、株式会社Mint Town、パラレル株式会社、AI model株式会社です。

3.STRIVE(ストライブ)

STRIVE(ストライブ)は、GREEの系列にある投資ファンドです。

GREEはゲーム事業で得た資金をベンチャー投資に充てており、現在においてこの投資事業は、同社事業の主要な柱として発展しています。

日本や東南アジア、そしてインドにも積極的に投資を行っており、日本企業ではこれまでに25社の成功したエグジット実績があります。

国内の大手【政府系】ベンチャーキャピタル3選

政府系ベンチャーキャピタルは、国や地方公共団体が出資する資金を利用して、主に国内の技術革新や産業育成を促進するための投資活動を行うベンチャーキャピタルです。

その特徴として、産業政策に沿った投資が多く、投資先の選定は民間のベンチャーキャピタルと比べて支援的な側面が強調されます。

そのため投資対象としては、IT系のベンチャー企業やスタートアップ企業などが重視される傾向があります。

しかし、投資の観点はやや異なります。

1.DBJキャピタル

DBJキャピタルは、日本政策投資銀行が100%出資するベンチャーキャピタルです。

1996年に設立され、これまでに120億円以上の投資を実施しています。

主にシード段階やアーリー期への投資を重視していますが、ミドルやレイター期への追加投資にも積極的に取り組んでいる企業です。

さらに、日本政策投資銀行グループの広範なネットワークを活用し、日々新たな投資機会を探索しています。

2.産業革新機構(INCJ)

INCJは、2018年に株式会社産業革新機構から新設分割されたベンチャーキャピタルです。

日本の産業構造転換期における、中長期のリスクマネーの不足に対処することを目的としています。

この点で、民間ファンドでは提供されないリスクテイク機能を持っている点がポイントです。

これまでに144社に投資し、そのうち117社のエグジットを実現しています。

3.株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)

A-FIVEは、2013年に農林漁業者の6次産業化を推進する唯一の官民ファンドとしてスタートしました。

全国のサブファンドを通じた間接投資や、同機構からの直接投資などの手法を活用して事業を展開しています。

農林漁業者の6次産業化だけでなく、農業資材や流通分野での事業再編、農業機械分野への進出、そして食品流通の効率化や最適化にも投資してきました。

これらの取り組みを通じて、農林漁業を成長産業化することを目指しています。

国内の大手【大学系】ベンチャーキャピタル3選

大学系ベンチャーキャピタルは、大学が直接運営する投資機関であり、主に大学や関連研究機関から生まれる技術やビジネスの発展を支援することを目指しています。

とくに、大学の研究成果を事業化するためのベンチャー企業やスタートアップ企業に対して、積極的に資金提供や支援を行うことが特徴です。

本章では、代表的な3社をピックアップして紹介します。

1.東京大学エッジキャピタル (UTEC)

2004年に設立された東京大学エッジキャピタル(UTEC)は、東京大学が認可する「技術移転関連事業者」として、優れた知的財産と人材を有するベンチャー企業に対して投資を行うベンチャーキャピタルです。

これまでに900億円以上の投資を行い、5本のファンドを運営しています。

110社以上に投資し、そのうち13社がIPOを果たし、12社がM&Aを経験し、合計25社がエグジットを達成。

大学や研究機関との緊密な関係を築き、高い技術力を持つ企業への投資に注力することで、イノベーションを牽引する存在となっています。

2.慶應イノベーション・イニシアティブ

慶應イノベーション・イニシアティブは、研究室で生まれた技術や発明が、社会に変革をもたらすビジネス・グロースを実現するため、支援事業を展開しています。

シード期から上場後の経営までの経験と多彩なバックグラウンドを持つメンバーにより、事業ごとに独自のアプローチで、長期的な成功を目指している企業です。

同社では、自らの力で事業を成長させ続けられることを目標にサポートをしています。

3.大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)は、2014年に設立された国立大学法人大阪大学が100%出資するベンチャーキャピタルです。

現在、2本のファンドを運用し、これまでに累計231.6億円を投資しています。

主な資金提供先は、大阪大学の研究成果をもとにしたスタートアップやアーリーステージの企業です。

OUVCは大阪大学との緊密な関係を持ち、ロボット工学や人工知能、再生医療、省エネルギー技術など、幅広い先端技術分野に投資を行っています。

ベンチャーキャピタルの種類と大手を把握しよう

ベンチャーキャピタルは、金融機関系や独立系、政府系、大学系、地域系、事業会社系など複数の種類に分かれます。

各ベンチャーキャピタルには異なる特性があり、資金調達の際にどの投資家から支援を受けるかによって、IPOの成功確率にも大きな影響がおよびます。

ベンチャーキャピタルの特性は、大手企業の特徴から把握するとよいでしょう。

なおフォルトナベンチャーズでは、大手企業を含むハイクラス転職をサポートしております。

ベンチャーキャピタルへの転職を検討している方は、ぜひお問い合わせください。

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