転職コラム

バーティカルSaaSとは?ホリゾンタルSaaSとの違いや実例を紹介

バーティカルSaaSとは、特定の業界に特化したSaaS(Software as a Service、クラウド上で利用できるソフトウェア)です。

たとえば、介護業界やホテル業界などの特定の業界のみでの利用を想定しています。

本記事では、バーティカルSaaSの特徴や実例、ホリゾンタルSaaSとの違いについて解説します。

また、バーティカルSaaSを生み出す企業で働くことが向いている人の特徴も紹介するので、ぜひ転職活動にお役立てください。

そもそもSaaSとは?

SaaS(Software as a Service)とは、クラウド上で利用できるソフトウェアのことです。

登録後に既定の料金を支払ってIDとパスワードを受け取り、ログインして利用します。

従来のソフトウェアはライセンス販売されていたため、パソコンにインストールして利用する必要がありました。

また、アップデートは手動で、ユーザー自身が操作しなくてはいけません。

一方、SaaSならログインすればどこでも利用できるため、特定のパソコン以外でもサービスを使えます。

契約内容によっては複数のユーザーが同時に利用したり、自宅やコワーキングスペースのパソコンからアクセスしたりすることも可能です。

アップデートはベンダー側が実施するため、ユーザー自身が操作しなくても常に適切な状態で利用できるのも特徴です。

SaaSは、利用する業界によって次の2つに大別できます。

  1. バーティカルSaaS
  2. ホリゾンタルSaaS

それぞれの特徴や違いを説明します。

1.バーティカルSaaS

バーティカル(vertical)SaaSとは、特定の業界でのみの利用を想定して開発されたSaaSです。

たとえば、ホテル業界向けに開発されたバーティカルSaaSなら、ホテル業界特有の業務や課題などに対応するように工夫されています。

特定の業界について深く掘り下げたサービスのため、バーティカル(垂直方向)と呼ばれています。

2.ホリゾンタルSaaS

ホリゾンタル(horizontal)SaaSとは、業界を問わず利用することを想定して開発されたSaaSです。

たとえば、チャットサービスや会計ソフトなど、どの業界でも必要と思われる機能を搭載しています。

幅広い利用が想定されているサービスのため、ホリゾンタル(水平方向)と呼ばれています。

バーティカルSaaSの特徴

バーティカルSaaSには、次の4つの特徴があります。

  1. 特定の業界に特化している
  2. 競合企業が少ない
  3. ユーザーとの関係が長期化しやすい
  4. 市場が小さく知名度向上が難しい

それぞれの特徴について解説します。

1.特定の業界に特化している

バーティカルSaaSは、特定の業界に特化して開発されたソフトウェアです。

業界固有の課題や状況に対応するように開発されているため、ほかの業界では利用しにくいこともあります。

たとえば、介護業界に向けて開発されたバーティカルSaaSでは、要介護度を反映した介護保険料の算定、24時間対応の施設における人員配置などに利用できることがあります。

ほかの業界で利用してもあまりメリットはありませんが、介護業界の事業所なら、「保険料算出を自動化できた」「シフト管理が楽になった」などのメリットを得られるでしょう。

2.競合企業が少ない

どの業界でも利用できるように想定されたホリゾンタルSaaSとは異なり、バーティカルSaaSは利用可能な業界を絞り込んでいるため、競合企業が少ない傾向にあります。

たとえば、一般的な機能を備えた会計ソフトを開発・販売している企業は多いですが、運送業界専用の会計ソフトや小売店専用の会計ソフトを開発・販売している企業は多いとはいえないでしょう。

競合企業が少ない分、市場で独占的なシェアを占めやすいのもバーティカルSaaSの特徴です。

3.ユーザーとの関係が長期化しやすい

競合企業が少ないという状況は、ユーザーから見れば「選択肢が少ない」ことを意味します。

そのため、ほかのSaaSに乗り換える可能性が低く、ユーザーと長期的な関係を築きやすくなるでしょう。

安定した利益を得やすいともいえますが、ほかのSaaSからの乗り換えも少ないため、事業規模を拡大しにくい点には注意が必要です。

業界内でまだSaaSを利用していない企業をターゲットとしたり、ほかのSaaSにはない機能や利便性を開発したりすることで、業界内でのシェアを高めていくことが求められます。

4.市場が小さく知名度向上が難しい

特定の業界を想定して開発するため、元々の市場は大きいとはいえません。

そのため、業界内シェアが高い場合でも、日本全体・世界全体から見ると知名度は低いでしょう。

一方、業界を問わず利用することを想定して開発されたホリゾンタルSaaSは、ターゲットとしている市場が大きいため、知名度を高めやすい傾向にあります。

市場内シェアが低くてもユーザー数は多い可能性もあり、企業名やサービス名を知っている人も多いと想定されます。

バーティカルSaaSの実例8選

バーティカルSaaSの実例を紹介します。

いずれも特定の業界に特化したソフトウェアで、業界特有の課題や状況に対応し、業務効率化やトラブルの軽減を実現します。

1.配車頭(ファンファーレ株式会社)

配車頭(はいしゃがしら)は、廃棄物回収の配車計画を自動作成するSaaSです。

廃棄物回収業界では、人員不足や配車業務の属人化、労働負荷の大きさが業界共通の課題となっています。

これらの課題を解決するには、効率的な配車計画を短時間で作成し、乗務員や作業員と共有することが必要です。

配車頭ではAIを用いて配車計画を自動立案するため、乗務員を増やさずともより多くの配車が可能になります。

また、配車計画の作成にかかる時間と労力を削減し、回収に関わるすべてのスタッフにかかる労働負荷の軽減も実現します。

配車頭

2.LOGILESS(株式会社ロジレス)

LOGILESS(ロジレス)は、ECサイト運営をサポートするバーティカルSaaSです。

店舗で商品を販売する場合とは異なり、ECサイトでは販売する場所(オンライン)と商品がある場所(倉庫)が異なるため、注文を受けても在庫がないといった状況が生じることがあります。

LOGILESSでは受注管理システムと倉庫管理システムを一つにつなぎ、受注から在庫確認、出荷までの作業の自動化を実現しました。

また、EC事業者と倉庫事業者が異なる場合でも、同じシステムを利用することで在庫や出荷の確認漏れを回避し、ミスがなくスピーディな出荷を可能にしています。

LOGILESS

3.HANZO(株式会社Goals)

HANZOは、飲食業向けの自動発注・原価計算・売上予測に用いるSaaSです。

飲食店舗では、常に仕入れ量の調整に悩まされてきました。

材料不足でお客さまに食事を提供できない状況になると、顧客離れや満足度の低下を招きますが、材料を過剰に仕入れるとフードロスが起こるだけでなく、仕入れにかかるコストに無駄が生じてしまいます。

AIによる高精度需要予測システムのHANZO(HANZO 自動発注)では、曜日や天候、季節のトレンドなども加味した適正な発注管理を実現します。

スタッフが予測・発注する負担を軽減するだけでなく、発注の際に生じる人為的ミスや品切れ、フードロスの回避が可能です。

HANZOでは、その他にも「HANZO 発注AIアシスト」や「HANZO 人件費」を提供しています。

いずれも飲食店舗固有の課題に特化したソフトウェアで、業務効率化やコスト削減を実現します。

HANZO

4.Skillnote(株式会社Skillnote) 

Skillnote(スキルノート)は、主に製造業向けに開発されたSaaSです。

製造業では、従業員のスキルに応じた配置が必要です。

しかし、従業員のスキルは常に変化するため、すべてを的確に把握して適材適所に配置することは容易ではありません。

Skillnoteでは組織や従業員が有するスキルデータを一元化かつ可視化し、事業課題の解決だけでなく、従業員の個人成長を支援します。

また、製造業だけでなく、スキル管理が必要な業界ならどこでも利用でき、現場の運用に合わせてサービス設計できるのもSkillnoteの特徴です。

Skillnote

5.クラウド型宿泊管理システム(株式会社SQUEEZE)

株式会社SQUEEZEでは、宿泊施設の運営業務をクラウド上で一元管理できるシステムを提供しています。

外部システムとの連携が可能で、施設ごとの課題に注目したカスタマイズにも対応しています。

また、在宅ワーカーによるコンシェルジュサービスの提供により、ホテルスタッフの省人化も実現しました。

SQUEEZE|ホテル運営ソリューション事業

6.hacomono(株式会社hacomono)

hacomono(ハコモノ)は、スポーツクラブやパーソナルジムなどのウェルネス業界向けに開発されたSaaSです。

会員管理や予約、決済など、運営基幹業務を一元化します。

スタッフの事務作業の効率化を図るだけでなく、利用状況や会員情報のデータから、経営戦略の立案までをサポートします。

より成長する企業へとブラッシュアップするためにも、有用なSaaSです。

hacomono

7.カイポケ(株式会社エス・エム・エス)

カイポケは、介護業界向けに開発されたSaaSです。

通所介護ソフトや訪問介護ソフトなどの種類があり、業種に特化した機能を利用できます。

時間のかかる国保連への請求や介護記録の作成も、カイポケで自動化が可能です。

介護業界・看護業界の業務負担を軽減し、人材不足による過重労働を回避します。

カイポケ

8.ロジポケ(X Mile株式会社)

ロジポケは、物流業界に特化したSaaSです。

売上管理や台帳管理などの日々の管理業務を効率化し、現場の業務負担軽減を実現します。

また、人為的なミスも軽減するため、取引先とのトラブルや見直しにかかる時間・手間を回避できるのも特徴です。

他にも、物流業界の教育管理に特化したSaaSや労務管理に特化したSaaSもあります。

ロジポケ

バーティカルSaaS企業が向いている人

バーティカルSaaSを開発・提供する企業には、次のいずれかに該当する人が向いています。

  • 特定の業界についての造詣が深い人
  • 課題提起・解決が得意な人
  • 目標達成のために努力を続けられる人

それぞれの特徴を有する人がバーティカルSaaS企業に向いている理由について説明します。

特定の業界についての造詣が深い人

バーティカルSaaSは、業界固有の課題や業務内容を正確に反映していることが必要です。

そのため、求められる人は、実際に特定の業界で働いたことがあるなど、造詣が深い人です。

また、SaaSは主に管理業務に使われる傾向があるため、現場で働いたことがあるだけでなく、労務管理や売上管理などの管理業務に携わった経験があるとより良いでしょう。

課題提起・解決が得意な人

バーティカルSaaSは、業務課題を解決するために用いられるツールです。

日常生活の中でも、課題を見つけて課題解決につながる提案ができる人なら、バーティカルSaaSの開発に有用なアイデアを多く出せると考えられます。

なお、課題提起・解決のスキルは、普段の生活でも養うことが可能です。

物事に対して疑問を持ち、解決につながるアイデアを考える習慣を身につけましょう。

目標達成のために努力を続けられる人

バーティカルSaaSでは、顧客獲得と確保のために、常に機能や仕様をアップデートしていくことが求められます。

同様に、バーティカルSaaS関連で働く人も、目標達成のために努力を続けていくことが求められます。

将来性の高いベンチャーへの転職を検討してみよう

世界的なDXの流れにより、企業規模を問わず、インターネットで利用できるさまざまなサービスを導入することがスタンダードになってきました。

業界に特化したツールを提供するバーティカルSaaSへのニーズもさらに高まり、より個別化したサービスが求められるようになるでしょう。

将来性の高いバーティカルSaaS関連企業への転職を目指すなら、ベンチャー専門の転職コンサルタントに相談するのも一つの方法です。

フォルトナベンチャーズでは、経験豊富なコンサルタントがハイクラスのベンチャー転職をサポートしております。

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