社会貢献によるイメージアップや人材育成を目的として、地方創生に関わるベンチャー企業が増えています。
本記事では、ベンチャー企業が地方創生に取り組む理由や関係する事業・企業事例などを解説します。
地方創生に関わるベンチャー企業の動向を理解して、将来のキャリアの参考にしてください。
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地方創生とは
地方創生とは、首都圏への過度な人口集中を抑制して、地方において住みよい地域を作る施策です。
地方創生により、少子高齢化への対策にもなります。
地方創生に取り組むベンチャー企業が増えており、地域の活性化につながる事業が行われています。
また、SDGs(持続可能な社会を実現するための17のゴール)にも関連があり、ゴール11の「住み続けられるまちづくりを」の実現につながるでしょう。
このようにベンチャー企業は、地方創生に取り組むことでSDGsにも貢献できます。
ベンチャー企業が地方創生に取り組む理由
昨今、地方創生に取り組むベンチャー企業が増えています。
地方創生による社会貢献や人材育成でイメージアップが期待できるためです。
また、首都圏を拠点としてのみ活動していた企業は、地方進出するとさらなる事業拡大につながるでしょう。
ベンチャー企業と地方ともにメリットがあります。
本項では、ベンチャー企業が地方創生に取り組む理由を詳しく解説します。
イメージアップのため
ベンチャー企業が地方創生に取り組むと、社会貢献によるイメージアップが期待できます。
ビジネスとして地方の活性化を支援することで、消費者からのイメージを良くできるためです。
たとえば、地域観光の活性化や人材不足の解消を推進する事業を行うと、地方の発展に貢献しているベンチャー企業として見なされます。
これにより、消費者からの評価が上がり商品やサービスの購買につながるでしょう。
さらに、投資家からのイメージが良くなることで、出資してもらえるメリットもあります。
人材育成のため
人材育成につながることも、ベンチャー企業が地方創生に取り組む理由です。
都市部から地方の人材に知識が伝えられ、人材の成長が期待できます。
とくに、地方人材がIT知識を身につけられると、人材が育ち企業の成長にも貢献できます。
地方人材のスキルアップに貢献できつつ、企業の成長にもつながるでしょう。
拠点の拡大のため
ベンチャー企業が地方創生に取り組むと、拠点拡大につながります。
とくに首都圏にのみ会社がある企業は、活動拠点が都心部に限られ、災害が起きた際に機能が失われてしまいます。
しかし、地方に支社を設立すると、災害時に本社の機能が失われても、地方拠点で事業の対応が可能です。
そのほかにも、都市部にはない地方の強みを活かしたビジネスを作ったり地域住民とのコラボをしたりすることで、新サービスを開発できる可能性があります。
地方の良さを活かせるのも地方創生のメリットです。
たとえば、沖縄県うるま市では、IT関連企業の誘致を積極的に行い、拠点拡大する企業が増えました。
自治体においても企業誘致を積極的に行っているため、拠点拡大のチャンスがあります。
参考:株式会社イマクリエ
地方創生に関係する事業
ベンチャー企業の地方創生の取り組み方として、さまざまな事業があります。
たとえば、観光事業では、旅行者と観光地をつなぐサービスが展開されています。
また、雇用を促進するためにインターネット上で地方人材の雇用を生む事業もあるでしょう。
空き家問題を解決するための不動産事業も積極的に展開されています。
本項では、地方創生に関係する事業を4つ解説します。
観光
地方創生に欠かせない事業が観光分野です。
日本国内や海外から観光客を呼び寄せることで、地方の活性化を期待できます。
実際に、ベンチャー企業の「アソビュー株式会社」では、遊びに行きたい場所を選択すると、旅行先のレジャーや体験スポットを提案してくれるアプリを運営しています。
自分や家族がしたい体験を簡単に見つけられるでしょう。
地方にとっては、観光地を見つけてもらえるため、集客に役立ちます。
ほかにも、田んぼアートといった海外からの観光客を狙ったサービスも展開されています。
地方でのイベント開催により、首都圏や海外からの注目を集められるでしょう。
まちづくり
地方創生に関係する事業として、財政面やインバウンド需要をサポートする事業が展開されています。
具体的には、ふるさと納税型クラウドファンディングです。
インターネット上で事業資金を集めやすいため、地方にいながらも資金調達ができます。
数百万円、数千万円単位で集められるため、地方を活性化したい際に役立てられるでしょう。
そのほかにも、海外の観光客の誘致を目的として、24時間365日利用できる「多言語AIコンシェルジュ」を開発している企業もあります。
これにより、日本語を話せない外国人観光客の集客につながります。
雇用・人材育成
地方では、雇用が少なく人材育成に悩んでいる企業が多いため、クラウドソーシングといったサービスが提供されています。
インターネット上で事業者と個人をつなぐサービスが構築されており、地方に住みながらも首都圏の企業から案件を受注できるのが特徴です。
場所を問わない働き方を提供して、地方創生に貢献しています。
短期的な解決策ではありませんが、長期的にみて雇用創出や人材育成につながるアプローチです。
不動産
地方創生には、不動産事業も展開されています。
具体的には、空き家問題を解決するビジネスです。
地方にある空き家をリノベーションして、中古住宅として売り出したり貸し出したりするサービスが話題となっています。
このような中古住宅のリノベーションにより、空き家が減少し、犯罪防止につながります。
また、放置されていた家を売却できるため、家主の金銭的な問題も解決できるでしょう。
地方創生に関わるメリットとデメリット
地方創生には、地方の発展に貢献できたり、補助金がもらえたりなどのメリットがあります。
一方で、年収が下がる可能性や地方進出の事業中止などのデメリットも存在します。
メリットとデメリットを比較しながら、地方創生事業に関わる判断をするとよいでしょう。
本項では、地方創生に関わるメリットとデメリットを解説します。
地方創生に関わるメリット
地方創生には、以下のメリットがあります。
- やりがいを感じられる
- 国や自治体から補助金をもらえる
地方創生として、自身が貢献したい地域で経済の活性化のために取り組みをすると、仕事へのやりがいを感じる機会に恵まれます。
さらに、自身の活動で地域の魅力を高められるでしょう。
国や自治体からの補助金をもらえる点もメリットです。
都道府県が地域の課題解決に貢献する人を対象に、事業費の助成を行っています。
起業支援金は最大200万円、移住支援金は最大100万円もらえるため、金銭的な不安がある方でも挑戦しやすい環境が整っています。
参考:内閣府総合サイト「地方創生サイト ふるさと求人・移住支援金・起業支援金」
地方創生に関わるデメリット
地方創生に関わる際には、以下のようなデメリットがあります。
- 年収が下がる可能性がある
- 地方創生の事業が中止になる場合がある
首都圏から地方に移住すると、年収が下がる傾向にあります。
都道府県別の賃金をみると、全国平均の約30万7,000円よりも高かったのは、東京都のほか、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県のみでした。
そのため、地方に移住すると首都圏よりも年収が下がる場合があります。
しかし、スキルがあれば地方に移住しても高年収を獲得できます。
ベンチャー企業に入社して、地方創生に携わる際には、求められるスキルと年収を確認しておきましょう。
また、ベンチャー企業で地方創生の事業がうまくいかなかった際は、中止になる場合もあります。事業が中止になった場合の解決策も考えながら、地方創生に挑戦してみましょう。
求められるスキル
ベンチャー企業において地方創生を成功させるには、多種多様なスキルが必要です。
とくに、経済を発展させて雇用を生み出すために、基礎的なITスキルが求められます。
あらかじめITスキルを身につけて地方創生に携わりましょう。
加えて、地域の方の悩みを引き出し、うまく連携をとるためのコミュニケーションスキルも重要です。
本項では、ベンチャー企業が地方創生をする際に求められるスキルを解説します。
ITスキル
地方創生を行う際には、基礎的なITスキルが必要です。
地方ではITが積極的に導入されていない場面も多く、浸透させるために、自身のITスキルを磨いておきましょう。
とくにICTは、地方創生において需要が高い傾向にあります。
ICTを活用すると、今までアナログ作業だった物流業界や医療業界などの業務効率化につながります。
このように、ITスキルを積極的に身につけて地方創生に役立てることが望ましいでしょう。
コミュニケーションスキル
ベンチャー企業で地方創生を行う際には、地域の住民や企業と密に連携するため、コミュニケーションスキルが求められます。
地域の人が抱えている課題やニーズを深く理解して、事業展開に役立てるため必要です。
たとえば、地方別に抱えている悩みが違うかもしれません。
「若い人がいない」「ITシステムが都心よりも導入されていない」といったことです。
このような課題を解決するためにも、悩みをヒアリングして、提案につなげるコミュニケーションスキルを磨いておきましょう。
マネジメントスキル
ベンチャー企業において、地方創生を行う際には、以下のようなマネジメントスキルが重要です。
- 地域マネジメントスキル
- 経営マネジメントスキル
地域マネジメントスキルでは、外部の環境と地域経済を見極めて、最適な戦略を策定する能力が必要です。
たとえば、人材不足に悩んでいることが課題と仮定すると、「全国の人材と地方の事業者をつなぐマッチングサービス」といった形で雇用を創出する例が挙げられます。
経営マネジメントスキルにおいては、課題を把握して事業戦略を策定・実行するスキルが求められます。
その過程で、資金の準備をする能力も重要です。
具体的には、投資家やクラウドファンディングから資金調達を行い、事業遂行する能力が求められます。
地方創生に取り組むベンチャー企業の例
地方創生には、さまざまなベンチャー企業が進出しています。
例を挙げると、株式会社タイミーは、地方での仕事や生活を体験したい方と人手不足に悩む事業者をつなげるマッチングサービスを提供しています。
ITを活用したビジネスによる人材不足の解消が目的です。
このようにベンチャー企業では、自社の強みを活かしながら地方創生に取り組んでいる企業が多い傾向です。
本項では、地方創生に取り組むベンチャー企業を3社紹介します。
株式会社タイミー
株式会社タイミーは「タイミートラベル」というサービスで、地方での仕事や生活を体験したい人と人手が欲しい事業者のマッチングを行っています。
働き手は地方での仕事をしながら滞在費をまかなえ、事業者は人手不足を解決できる双方にとってメリットのあるサービスです。
具体例を挙げると、首都圏から1週間ホテルに滞在しながら水産業者で働いた方がいます。
観光を楽しみながら仕事に取り組める魅力があるため、地方に訪れてみたい人材に興味をもたれ、働き手を集めやすいのがメリットです。
少しでも労働力が欲しい事業者に役立つサービスです。
株式会社Schoo
株式会社Schooは、地方において教育サービスを提供しています。
目的は、遠隔教育によって未来の地域を作ることです。
たとえば、同社では鹿児島県にある奄美大島内の5市町村において、包括的パートナーシップ協定を締結しました。これにより、住民がSchooのサービスを利用できるようになっています。
地方にいながらも都市部の教育サービスを受けられ、高い教育レベルを実現できます。
参考:株式会社Schoo「地方創生・スマートシティ推進事業」
株式会社kikitori
株式会社kikitoriは、農家を支援するデジタルプラットフォームサービス「nimaruJA」を提供しています。
nimaruJAは、LINE WORKSとの連携を行い、出荷場に行かなくてもいち早く情報を得られるのが特徴です。
荷先の市場や運送業者へ出荷する際にデータ連携を行い、農業における販売現場業務でのスムーズなやりとりを可能にしています。
その結果、ペーパーレスを実現できています。
農業において非効率な作業を改善でき、地方における農業従事者の負担を減らせるでしょう。
業務の効率化も、ベンチャー企業が行える地方創生事業です。
地方創生に取り組むベンチャー企業に要注目
ベンチャー企業は、イメージアップや人材育成を目的として、地方創生を積極的に行っています。
ベンチャー企業が行える地方創生は、観光やまちづくりなど多種多様です。
教育の推進や人材育成のサポートを行えるため、地方に貢献できるでしょう。
ベンチャー企業において、地方創生を行う際には、ITスキルやマネジメントスキルが求められます。
地方創生に興味のある方は、今のうちにスキルを身につけておきましょう。
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