管理職には女性も男性も関係ありません。
ふさわしいスキルや実力を持っていれば管理職に就くことは可能です。
しかし、日本では女性管理職が少なく、女性の昇進や昇格が難しい企業もあります。
本記事では、女性管理職に必要なスキルや女性管理職を目指すメリット、向いている人について解説します。
また、女性が管理職として採用されやすい企業の特徴も紹介するので、ぜひ転職活動に活かしてください。
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女性管理職は多い?日本の現状
令和4年度(2022年度)の雇用均等基本調査によれば、企業規模10人以上の事業所での係長相当職以上における女性の割合は14.7%でした。
そもそも正社員・正職員全体のうち女性は26.9%しか占めていないこともありますが、その割合から見ても女性管理職は少ないといえます。
役職別に見ると、係長相当職では18.7%、課長相当職では11.6%、部長相当職では8.0%のみ女性でした。
職位が上がれば上がるほど女性の割合が減っていることから、女性の昇進・昇格が容易でないことがわかります。
内閣府のデータによれば、日本企業の女性役員の割合は2021年時点で12.7%です。
同様に2021年時点で、アメリカの女性役員の割合は29.7%、イギリスは37.8%、フランスは45.3%であることからも、世界的に見ても日本は女性管理職が少ない国といえるでしょう。
参考:内閣府男女共同参画局|諸外国における企業役員の女性登用について
女性管理職を増やす政府の取り組み
女性管理職が少ないという現状を、日本政府も問題視しています。
2003年には「2020年までに指導的地位の女性割合30%」を目指すという目標を掲げ、女性活躍推進法の施行を含め、女性の職業生活の改善を実現する取り組みを実施してきました。
しかし、この目標は実現できず、「2020年代に指導的地位を占める女性割合が30%程度」を目指す目標に変更されています。
管理職に就きたい女性は少ない?
女性管理職が少ない原因としては、企業側が女性管理職の登用に消極的であること以外にも、女性自身が管理職を希望しないことも挙げられます。
従業員数800人以上の大企業に勤務する大卒以上の男女社員を対象とした国立女性教育会館の調査によれば、「管理職を目指したい」と考えている人は全体の35.0%でした。
「どちらかというと目指したい」人と合わせると、67.2%もの人が管理職を目指していることがわかります。
女性だけに限ると、「管理職を目指したい」と回答したのは15.2%のみでした。
一方、男性で「管理職を目指したい」と解答した人は46.6%に上ります。
「どちらかというと目指したい」人と合わせると、実に80.3%もの男性が管理職を希望していると報告されました。
この調査から、管理職に就きたい女性が多くはないと結論付けられます。
しかし、女性は昇進・昇格に興味がない人が多いというよりは、仕事以外に家事や育児などを抱えているため、昇進を目指せない可能性が想定されます。
実際に、「管理職を目指したくない」と回答した女性の69.3%が、目指したくない理由として「仕事と家庭の両立が難しくなるから」を選択していました。
このことからも、家庭の役割において性別による負担の差が存在することがうかがえます。
参考:独立行政法人 国立女性教育会館|令和元年度 男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査研究(第五回調査)報告書
女性管理職に必要なスキル
女性に限ったことではありませんが、管理職を目指すなら次のスキルを備えていることが求められます。
- 論理的思考力
- コミュニケーションスキル
- 多角的な視野
- 計画立案・推進能力
- 思考の柔軟性
それぞれのスキルがなぜ管理職に必要なのか、また、スキルをどのように習得できるのかについて見ていきましょう。
論理的思考力
管理職には、相手の気持ちを理解しつつも、論理的な筋道を立てて課題を捉え、適切な指示を出すことが要求されます。
感情に流されるのではなく、冷静で客観的に分析する論理的思考力が求められます。
論理的思考力は、日々のトレーニングによって向上させることが可能です。
事実と感情を分けて考えるように意識して過ごすことで、論理的に考えられるようになるでしょう。
また、次の方法も合わせて実施することで、論理的思考力が身に付きやすくなります。
- 趣味の時間を取り、ストレスを解消する
- 物事を疑う習慣を付ける
- 判断と結果予測をセットで行う
趣味の時間を取ることで、適度にストレスを解消するようにしましょう。
ストレスを溜めないようにすれば、思考することに集中でき、論理的に物事を考えやすくなります。
また、物事を鵜呑みにすると思考力は育ちません。
常に疑う習慣を付けることで、状況分析や課題抽出の能力を高められます。
何かを疑問に感じたときは、そのまま放置するのではなく、手帳などにリストアップしてみてはいかがでしょうか。
空いている時間にリストを眺め、論理的に思考を深めて、疑問解決につなげます。
何かを判断するときは、その判断が将来的にどのような結果になるのか予想してみるのもおすすめです。
判断と結果予測を繰り返すことで、自分の判断がどのような結果をもたらすのかをスムーズに見通せるようになり、論理的な判断・思考力を養えます。
コミュニケーションスキル
管理職は部下とこまめにコミュニケーションを取り、やる気を引き出し、優れた結果を出せるように導かなくてはいけません。
また、部下の相談に乗り、適切にアドバイスをするのも管理職の役割です。
管理職を目指すなら、積極的に周囲の人々とコミュニケーションを取るスキルを身に付けましょう。
コミュニケーションスキルは、次の方法で養えます。
- 短時間で伝える練習をする
- 結論から話す
- 聞き上手になる
忙しい相手に対して確実に伝えたいことを伝えるために、短時間で話すことを心がけましょう。
たとえば、エレベーターで乗り合ったときに話が完結する程度に、長くても1分以内に要点を伝え、相手の関心を引き出すように意識してください。
相手の関心を引き付けるためには、結論から話すことも大切です。
結論を述べてから理由を付け加えることで、知ってもらいたいことを確実に伝えられるようになります。
また、聞き上手になることも重要なポイントです。
コミュニケーションは話すだけでは成り立ちません。
相手の反応を引き出し、心を通わせるためにも、相手が話しやすい環境を作ることが必要です。
たとえば、声のトーンや話す速さを相手に合わせたり、相手の話した内容を適度に繰り返したりすることでも、相手は話しやすく感じるかもしれません。
また、適切なタイミングで相手の話を整理してまとめたり、言い換えたりすることで、お互いの理解を深められます。
多角的な視野
課題を一面的に捉えると、誤認が生じやすくなるだけでなく、間違った方向に部下を誘導してしまうことにもなりかねません。
また、自分の考え方に凝り固まってしまうと、部下の意見や価値観を理解できないばかりか、協力的な関係を構築できずに仕事上のパフォーマンスレベルを下げてしまう恐れもあります。
多角的な視野を持ち、物事を多面的に捉える能力が管理職には求められます。
多角的な視野を養う方法としては、以下の点が挙げられます。
- 幅広い領域に関心を持つ
- 異なる価値観・年代の人と関わる
- 考え方の癖がないか常にセルフチェックする
視野を広げるためには、幅広い領域についての理解が必要です。
普段からさまざまな領域に関心を持ち、興味を持って情報を収集するように意識しましょう。
また、異なる価値観・年代の人と関わることも大切です。
自分と異なるバックグラウンドを持つ人々と積極的に交流し意見や経験を共有することで、新たな視点を得ることができます。
自分の思考に独自の傾向がないかを常にセルフチェックするのも大切なポイントです。
柔軟でオープンなマインドを維持することで、新しいアイデアに対する受容力が向上します。
考え方の癖は正しい判断を阻害することがあります。
常に自分自身の考え方を疑い、癖のない状態を維持するように努めましょう。
計画立案・推進能力
部下が業務にまい進できるように、適切な計画を立案して推進していくことが管理職には求められます。
次の順に思考を深め、具体的かつ実行可能な計画を立てましょう。
- 課題を洗い出す
- 具体的な目標を設定する
- 目標達成のためのプロセスを書き出す
計画を推進するためには、部下のモチベーションを維持することが欠かせません。
次のポイントを実施し、部下が積極性を持って業務に携われるようにしましょう。
- 進捗状況を全員で共有する
- 計画に遅れが見られるときは、適時スケジュールを見直す
- 目標達成が難しいときは、適時目標値を見直す
- 部下一人ひとりをサポートする
計画をやみくもに進めていくだけでは、部下は付いてきません。
すべての部下が能動性を持って計画に関われるように目を配り、こまめにサポートをすることが管理職に求められています。
思考の柔軟性
部下全員にとって働きやすい環境を作るためにも、管理職は柔軟な思考を持たなくてはいけません。
自分の考え方に凝り固まってしまうと、部下一人ひとりの働きやすさを理解できないだけでなく、企業に改善を働きかけることも難しくなってしまいます。
次のポイントに留意し、柔軟な思考を養いましょう。
- 先入観を排除する
- 相手の意見に対して心を開く
- 好奇心を持つ
先入観があると、思考が凝り固まってしまいます。
事前情報があるときも「この情報が正しい」と決めつけてしまうのではなく、その場で得た情報や自分自身の感覚で判断するようにしてください。
また、異なる意見を持つ相手に対して、心を開くことも大切です。
自分の意見との違いばかりに意識が向くと、物事を自分基準でしか判断できなくなってしまいます。
一旦、自分の意見を忘れ、何もない状態で相手の意見を聞くようにしましょう。
好奇心を持つと、楽しみながら多様な価値観を受け入れやすくなります。
今まで接点がなかった分野に取り組むときは、「どのような仕組みになっているのだろう」「何がわかるのだろう」と、わくわくした気持ちで向き合うようにしてみてはいかがでしょうか。
女性管理職を目指すメリット
女性が管理職を目指すことで、次のメリットを得られます。
- キャリアの幅が広がる
- ワークライフバランスを取りやすくなる
- 年収アップにつながる
それぞれのメリットについて解説します。
キャリアの幅が広がる
管理職に就くことで、業務を俯瞰的に把握できるようになります。
異なるポジションからの視点を養えるようになり、異動や昇格にも備えられるようになるでしょう。
また、管理職としてマネジメントスキルを評価されると、転職時に有利になります。
新たな分野や企業にチャレンジしてキャリアの幅を広げたい人は、管理職を目指してスキルアップに励んでみてはいかがでしょうか。
ワークライフバランスを取りやすくなる
管理職になると、仕事量やスケジュールに対する裁量が増え、ワークライフバランスを取りやすくなります。
出産や育児、家事の時間を調整しやすくなり、自分らしい働き方を実現できるようになるでしょう。
管理職が率先してプライベートの時間を重視することで、部下も必要に応じて休暇や休業を取得しやすくなり、働きやすい職場環境になります。
ワークライフバランスを取るためにも、業務に集中するようになり、効率化や生産性向上も実現できる点もメリットです。
年収アップにつながる
管理職になることで、年収アップを期待できます。
責任は増えますが収入も増えることで、仕事に対してもやりがいを感じやすくなるでしょう。
また、管理職を視野に入れることで、転職先の選択肢も広がります。
勤務先で昇進しても期待するほど年収が上がらない場合は、高年収が見込める職場へと転職してみてはいかがでしょうか。
女性管理職に向いている人とは?
次の特質を持っている人は、管理職に向いています。
- チームプレーが得意な人
- 相手の立場に立った判断ができる人
- 感情をマネジメントできる人
それぞれの特質について見ていきましょう。
チームプレーが得意な人
管理職は常に自分個人の仕事だけでなく、部下の仕事にも目を配り、チームとして業務を遂行することを意識しなくてはいけません。
チームプレーが得意な人なら、独善的に仕事を進めず、チームとしてのパフォーマンスを高めていけるでしょう。
また、管理職がすべてを背負いすぎないことも大切です。
責任を負うことは大切ですが、部下の能力に応じた仕事を適切に任せることで、部下を育成していきましょう。
相手の立場に立った判断ができる人
管理職は、部下に適切なサポートを与える必要があります。
部下の状況を的確に把握するためにも、部下一人ひとりの立場に立って考えることが求められます。
管理職としての仕事に追われ、時間面だけでなく気持ちの上で余裕がなくなってしまうと、部下の立場に立った判断ができません。
スケジュールを管理し、時間的・精神的に余裕を持って業務にあたるように心がけましょう。
感情をマネジメントできる人
感情のまま動くと、論理的かつ客観的な判断ができなくなってしまいます。
感情をマネジメントすることも、管理職には求められます。
管理職は部下だけでなく、他部署や上司、取引先などと関わる機会も多いです。
常に感情をコントロールし、冷静に判断するようにしましょう。
女性管理職を目指しやすい企業とは?
女性が管理職を目指すなら、企業選びも大切です。
女性管理職を目指しやすい企業の特徴としては、次のものが挙げられます。
- 女性管理職の登用実績が多い
- 家事・育児を両立しやすい制度がある
- スキルや資格を評価する制度がある
それぞれの特徴を解説します。
女性管理職の登用実績が多い
女性管理職の登用実績が豊富な企業なら、女性であることが昇進・昇格の妨げになりにくいと考えられます。
転職先を選ぶときは、女性管理職の割合もチェックしてみましょう。
家事・育児を両立しやすい制度がある
企業によっては、家事・育児と仕事の両立ができる制度を設けていることがあります。
たとえば、時短勤務やテレワーク対応、長期育休制度などがないか確認してみましょう。
スキルや資格を評価する制度がある
出産や育児などで一時的に職場を離れる場合、そのまま仕事を継続する人と比べると勤続年数が減ってしまいます。
スキルや資格を評価する制度のある企業なら、勤続年数の短さが昇進時のハンデになりにくくなるでしょう。
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