リーガルテック(LegalTech)の市場は上昇傾向にあり、転職により高い将来性が期待できます。
弁護士など法律知識のある人材は大いに需要があるでしょう。
本記事では、リーガルテックのサービス内容や転職に求められるスキルなどを紹介します。
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リーガルテック(LegalTech)とは
リーガルテック(LegalTech)とは、法律(Legal)とテクノロジー(Tech)を組み合わせた造語です。
法律上の問題を解決するためにITやAIの最新技術を使い、裁判や事務手続きを効率的に行うことです。
訴訟を数多く抱えるアメリカで発展した分野で、日本でも参入する企業が増えています。
ここでは、リーガルテックの現状について紹介しましょう。
アメリカで発展
リーガルテックの概念が生まれたのは、2000年代はじめのアメリカです。
オンライン上で法律サービスを提供するベンチャー企業が生まれ、急成長を遂げたことが背景にあります。
通常は弁護士が行う作業を効率化・自動化する技術が注目され、広がりを見せました。
アメリカでは特に、ディスカバリー(証拠開示)の手続きで一般化しています。
ディスカバリーとは、相手側に不利な情報も含めたあらゆる証拠の開示を求めることができる制度で、企業相手の訴訟の場合は数多くの証拠を精査しなければなりません。
リーガルテックの最新テクノロジーにより、これらの手間を大幅に省けるようになったのです。
リーガルテックの市場規模
日本は少子高齢化による人材不足が深刻で、生産性を高めるためにIT技術の活用が積極的に推進されています。
その一環として、リーガルテックにも注目が集まっているのが現状です。
法務の効率化が推奨され、2018年には前年比115.2%になるなど国内市場の規模は増加の一途を辿っています。
同じペースで成長を続ければ、2018年に228億円だった市場規模が、2023年には353億円まで拡大することが予想されています。
参考:矢野経済研究所「リーガルテック市場に関する調査」
主なリーガルテックのサービス
リーガルテックは目的に応じ、いくつものサービスが展開されています。
契約書の作成、契約の締結など事務上のサービスからデータベース化、集団訴訟を管理するプラットフォームまで、種類はさまざまです。
各サービスの特徴を知ることで、日本で展開されているリーガルテックの現状が把握できます。
ここでは、主に6つのサービスを見ていきましょう。
契約書の作成・管理
契約書の作成や管理が効率的に行えるサービスです。
支持される手順に従って入力すれば、契約書が作成できます。
従来のオフィスソフトでは手間がかかるインデントや番号の修正なども簡単にでき、これまで時間をとられていた作業が効率化されるのがメリットです。
交わした契約書はデータベースに取り入れて管理し、いつでも効率的に検索できます。
過去文書を抽出し、簡単に文章を引用できるのも便利です。
電子契約の締結
従来は書面で締結されていた契約を、クラウド上で行えるサービスです。
契約当事者がアップロードした契約書を各自が確認し、電子署名を行って契約します。
書面で契約書を作成して郵送するなどの手間がなく、印刷代や郵送料などのコストもかかりません。
契約書の確認から締結まで時間を短縮できるのもメリットで、多くの契約で利用されています。
契約書レビュー
契約書の内容をレビューするサービスです。
契約書のチェックは慎重に行わなければならず、ミスがあれば大きなトラブルにも発展しかねません。
確認作業は法務担当者の大きな負担となりますが、契約レビューサービスでは弁護士の行動を学習したAIが条文を自動的に確認し、文章の抜けや漏れも確認するためリスクを減らします。
ミスを的確に指摘するだけでなく修正例も提示するため、効率的な作業が可能です。
これまでレビューに費やしてきた時間を削減するだけでなく、修正業務の品質も向上します。
データベース
システム上にアップロードした契約書を自動でデータベースにするサービスです。
契約書を取り込むことだけで内容の文字起こしを行い、タイトルや締結日、当事者名などの情報を自動で抽出します。
いつでも簡単に検索ができる契約書台帳が作られ、検索条件を絞り込むことで簡単な検索が可能です。
リモートワークなど、どこにいてもスムーズな契約書のチェックができるようになります。
集団訴訟プラットフォーム
集団訴訟を行う際、インターネット上で被害者を集め、適切な弁護士とマッチングするサービスです。
マッチングのあとはプロジェクトが作られ、訴訟準備などプロジェクトの進捗情報が管理されます。
少額の訴訟などを一人で行うには弁護士費用が負担になり、なかなか訴訟に踏み切れない場合もあるでしょう。
そのような場合でも、組織化して容易に訴訟ができるようにする仕組みです。
弁護士検索
専門分野の弁護士を検索してマッチングするサービスです。
弁護士により得意分野はさまざまで、解決したい案件に適した弁護士を一人で探すのは容易なことではありません。
しかし、弁護士検索では地域や相談したい内容などの条件を設定するだけで、目的に合う弁護士を探せます。
さらに、各弁護士のプロフィールや法律相談への回答状況を確認でき、一括見積もりで料金の比較も可能です。
サービス上での相談も無料で利用できるほか、相談への回答で高い評価を得ている弁護士もチェックできます。
リーガルテックへの転職で求められるスキル
リーガルテックの分野は今後も市場が拡大する傾向にあり、転職のメリットも大きいといえるでしょう。
ただし、リーガルテックに転職するには求められるスキルがあります。法律の知識や法務の経験、ITに関するスキルなどが必要とされるでしょう。
ここでは、リーガルテックの転職で求められる知識やスキル、能力について紹介します。
法律の知識
リーガルテックサービスを提供するうえで、最低限の法律知識は必要です。
弁護士の資格があれば理想的ですが、資格がない場合でも、即戦力が期待される転職の場合は法務の経験が求められます。
企業の法務部や法律事務所などで働いていた経験が必要となる場合が多いでしょう。
経験はないが、法学部やロースクールの出身でリーガルテックに転職したいという方は、転職エージェントなどに相談してみるのがおすすめです。
ITに関する知識・スキル
ITやAIに関する知識やスキルも不可欠です。
システムを開発できる能力があれば、優遇されるでしょう。
また、個人情報や機密性の高いデータを取り扱うため、高い情報セキュリティの技術も必要とされます。
最先端技術に興味があり、積極的に関わりたいという姿勢も求められるでしょう。
IT技術は常に進化しているため、新しい知識や技術に敏感であることも大切です。
柔軟に思考する能力
リーガルテックは最先端の技術を扱うため、新しいことにも柔軟に対応できる能力が必要です。
今後さらに技術は進化し、ニーズに合わせた技術が取り入れられていくでしょう。
これらに対応していくには、ただ法律を当てはめる思考でなく、正解のないところでビジネスを最適に行う方法を考える能力も求められます。
また、AIでは代替できない能力も必要です。
コミュニケーションスキルや解決策を見つけ出して提案力する能力、交渉力などが求められるでしょう。
代表的なリーガルテックのサービス
リーガルテックサービスに参入するベンチャーは多く、一線で活躍している企業も増えています。
ここではその一部をご紹介します。
LegalForce
2017年に立ち上げたリーガルテックのベンチャーである株式会社LegalForceの提供するサービスです。
AIによる契約書レビュー支援のソフトを提供しており、1,000を超える企業の法務部や法律事務所で導入されています。
最新技術と法務の知識を組み合わせ、契約リスクを可視化してコントロール可能な状態へと導くソフトです。
同社は法律事務所から独立した弁護士2名により創業され、各分野のトップクラスの人材を集めながら、リーガルテック業界を牽引する企業として活躍しています。
MatoMa
MatoMaは2018年に開始されたリーガルテックサービスです。
集団訴訟プラットフォームを運営しており、医療被害や投資詐欺被害、返金問題などの集団訴訟をまとめています。
訴訟は情報商材案件や投資案件が多くを占めており、元警察関係者の顧問による指導を受け、被害回復に向けた警視庁や消費者庁など各省庁への働きかけも行われているのが特徴です。
テクノロジーと法律の力でアンフェアな取引をなくし、公平な社会の実現を目指しています。
リーガルテックの分野は成長が期待できる
リーガルテックは最新技術を使って法務を効率化するサービスです。
契約文書の作成や締結、データベース管理など幅広いサービスを提供し、法務に関わる業務の手間やコストを大幅に削減しています。
市場規模は右肩上がりに増加しており、今後も成長が期待できる業界です。法律の分野で先端技術の仕事に携わりたい方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。
ただ、転職のメリットが大きいリーガルテックですが、求められるスキルがあります。新しい技術への柔軟な対応力も必要です。
リーガルテックへの転職にご関心のある方は、ぜひフォルトナベンチャーズにご相談ください。