画像生成AIは、指示に従って簡単に画像を生成できるツールです。テキストを入力するだけで簡単に使用でき、デザイナー業務やエンタメ領域など、幅広い分野で活用されています。今回は、注目を集める画像生成AIの仕組みや具体的なサービス、今後の展望などを解説します。
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画像生成AIとは
画像生成AIとは、テキストで指示を出すことで、指示に沿った画像やイラストを自動で生成してくれるシステムのことです。たとえば「公園にいる犬」と入力すると、学習内容から、AIが公園にいる犬についての画像を生成してくれます。
画像生成AIは、生成AI（ジェネレーティブAI）のひとつです。主な生成AIとしては、ChatGPTをはじめとするテキスト生成AIや、動画生成AI、音声生成AIなどがあります。AI技術を用いて、簡単にクリエイティブな成果物を生成してくれるのが特徴です。
ここでは、画像生成AIの仕組みや、注目されている背景について見ていきましょう。
画像生成AIの仕組み
画像生成AIの仕組みを簡単に説明すると、AIが大量のデータを学習し、学習内容に沿って新たな画像を生成する、というイメージです。
AIにテキストと答えとなる画像のペアを与え、特徴や法則などを学習させます。学習を繰り返すことで、AIにテキストを与えると、法則に従って画像が出力される、という仕組みです。
ほかにも、正解ラベルのないデータを与え、AIが自動的に特徴を見つけるようにする、教師なし学習という方法が使われることもあります。
いずれにせよ、大量のデータからAIが特徴や法則を学習することで、画像を自動生成できるようになる、というわけです。
画像生成AIが注目されている背景
画像生成AIが注目されるようになったきっかけは、イギリスStability AIの画像生成AI「Stable Diffusion」です。一般向けに公開したことで、無料で多くのユーザーが利用できるようになりました。生成した画像が商用利用できることも、世界中の企業が画像生成AIに注目した理由のひとつです。
画像生成AIを使ううえで、プログラミング言語は必要ありません。テキストを入力するだけで、わずか数秒～数十秒程度で画像やイラストが生成されます。
さまざまな業界において、デザイン業務を効率化したり、新たなアイデアを創出したりする存在として、期待されている技術です。
画像生成AIのおすすめサービス5選と使い方
ビジネスのトレンドを押さえるために、画像生成AIについての理解は必須です。画像生成AIにはさまざまなサービスが登場しています。まずは実際に使ってみることが大切です。
ここでは、以下の5つのサービスについて、特徴や使い方を説明します。無料で気軽に使えるものもあるため、ぜひ試してみてください。
- Bing Image Creator
- Adobe Firefly
- Stable Studio
- Visual ChatGPT
- AIピカソ
1.BingImageCreator
Bing Image Creatorは、Microsoft社が提供する画像生成AIツールです。
キーワードを入力すると、関連する画像を4枚生成できます。OpenAIの「DALL・Eモデル」を採用しており、まったく新しい画像を生成できるのも魅力です。
Microsoftアカウントを持っている方なら、誰でも無料で利用できます。
2.Adobe Firefly
Adobe Fireflyは、Adobeが提供するAI画像生成ツールです。
テキストやコードから画像を生成したり、画像を編集できたりします。
Adobe Stockの画像やオープンライセンスの画像、著作権の期限が切れているコンテンツなどをAIに学習させているのがポイントです。「出力された画像が既存の作品に酷似していた」などの著作権関連のトラブルを避けられるため、クリエイターも安心して利用できます。
3.Stable Studio
Stable Studioは、画像生成AI「Stable Diffusion」を開発したStability AIが提供するツールです。もともと有料であった「DreamStudio」をオープンソース化したもので、無料で利用できます。
テキストから画像を生成できるほか、画像の続きを描いてくれる「Outpainting」機能もあります。
4.Visual ChatGPT
Visual ChatGPT は、「ChatGPT」と「Visual Foundation Models」を組み合わせた画像生成AIツールです。
会話形式で画像を生成でき、テキストを入力すると、チャット画面上に生成した画像が表示されます。ほかにも、画像中の指定した物体を消去したり、色を変更できたりします。
チャットのように利用できるため、直感的に操作でき、使い勝手がよいのが特長です。
5.AIピカソ
AIピカソは、テキストやラフ画などから、自動で画像を生成してくれるアプリです。好みの色彩やスタイルを指定することで、オリジナルのアート作品が簡単に生成されます。
写真の一部を塗りつぶして指示を与えると、AIがその場所を加工してくれる機能もあり、生成できる画像のバリエーションが豊富なのも魅力です。たとえば、一般的な街中の写真を、恐竜が歩いているかのような写真に変化させられます。
そのほか、アプリで顔写真を10～20枚読み込むと、AIアバターを自動で作成してくれる機能もあります。
画像生成AIを活用するメリット3つ
画像生成AIを活用するメリットは、以下のとおりです。
- 作業を省力化・効率化できる
- 革新的なアイデアを生み出せる
- ITに詳しくない方でも気軽に使いこなせる
画像生成AIによって、これまで時間がかかっていた作業を効率化できたり、斬新なアイデアを生み出せたりします。
さらに、テキストを打ち込むだけで利用でき、ITやプログラミングの知識がなくても使いこなせる点は、画像生成AIならではのメリットです。
ここでは、画像生成AIを活用する3つのメリットを解説します。
1.作業を省力化・効率化できる
画像生成AIを活用することで、画像を作成する作業を大幅に省力化・効率化できるのがメリットです。
画像生成AIなら、新たな画像をほんの数秒〜数分で生成できます。そのため、イラストやデザインに関する作業時間を短縮でき、効率化が可能です。
人間が作業すると、その日のコンディションやモチベーションによって、作業効率が変わってしまうでしょう。
一方、画像生成AIなら、安定的に素早く画像を生成できます。
2.革新的なアイデアを生み出せる
画像生成AIなら、常識や先入観にとらわれない、革新的な画像を生成できるのもポイントです。
存在しないシチュエーションを指示しても、指示に合った画像を生成してくれます。ユニークで創造性の高いアイデアを生み出せるのは、画像生成AIならではのメリットです。
また、ひとつの指示に対して、複数のコンテンツを同時に生み出せるものもあります。複数のアイデアの中から優れた画像を選べ、納得のいくものを使用できます。
3.ITに詳しくない方でも気軽に使いこなせる
画像生成AIは、誰でも気軽に使いこなせる操作性の高さが魅力です。
AIというと、高度なIT技術や知識がないと使いこなせないイメージがあるでしょう。
しかし、画像生成AIなら、画像のイメージを指示するだけで使用できます。特に、チャット形式で指示できるものなら、LINEを使用する感覚で気軽に使えるでしょう。
このように、ITに詳しくない方でも簡単にコンテンツを制作できます。
画像生成AIの活用場面4選
画像生成AIは、さまざまな分野で幅広く利用されている技術です。
画風を指示できたり、自動で色を塗ってくれたりするツールもあり、デザイン業務をはじめ幅広い業務に活用されています。
ここでは、画像生成AIの代表的な4つの活用場面を見ていきましょう。
- Webサイト制作
- ゲーム・漫画の制作
- CM制作
- インテリアデザイン
1.Webサイト制作
画像生成AIは、Webレイアウトの作成やバナーの作成、ロゴデザイン、記事内に挿入する画像の作成など、Webサイト制作で活用できます。
現在では、アイデア作成や簡単な素材の作成など、デザイナーの補助的な役割として利用されることが多いです。しかし、今後生成AIの精度がますます高まれば、デザインをゼロから作り出すことも期待できます。
2.ゲーム・漫画の制作
画像生成AIは、ゲームや漫画の制作でも活用されており、エンタメ分野の業務効率化が可能です。
ゲームでは、背景やアイテム、オブジェ、テクスチャの作成などに使われています。
しかし、キャラクターの顔や体の動きなど、細かい表現が問われる部分の制作は苦手です。そのため、生成AIに背景やオブジェクトの生成を任せ、浮いた時間を使って、デザイナーがキャラクターの制作に注力できるようにする、という使い方が多いです。
漫画では、ラフ画を作る際の補助や着色などに活用されています。
近年では、写真やラフ画をもとに、自動でイラストを生成してくれるツールも登場しています。今後、ますます漫画制作が効率化することが期待できるでしょう。
3.CM制作
CM制作では、CGの代わりに画像生成AIが使用されています。
実際、コカ・コーラ社のCMでは、「Stable Diffusion」が使われました。美術館を舞台に、さまざまな名画の中にコカ・コーラが登場する、というCMです。
また、AIをCM制作のブレストに利用しているケースもあります。
大日本除虫菊の殺虫剤「キンチョール」のCM制作では、画像アイデアのブレストに、AIが使われました。これまでの路線とは大きく異なる、真新しい世界観を実現しています。
※コカ・コーラはコカ・コーラ社の登録商標です。
4.インテリアデザイン
画像生成AIは、インテリアデザイン業界でも注目されています。
サービスの中には、部屋の写真をアップするだけで、AIがインテリアコーディネートのアイデアを提案してくれるものがあります。画像の奥行きを推測できるモデルを利用することで、リアルなデザインを生成することも可能です。
画像生成AIによって短時間でさまざまなアイデアを出せれば、デザイナーと顧客のコミュニケーションが効率化し、より理想的なインテリアデザインを実現できるでしょう。
画像生成AIの懸念点・注意点3つ
画像生成AIにはメリットもある一方、以下のような懸念点や注意点も存在します。
- 知的財産権を侵害してしまうリスクがある
- 誤った情報を拡散してしまう恐れがある
- クリエイターの仕事を奪う可能性がある
特に、知的財産権を侵害したり、誤情報を拡散したりする恐れがある点には注意しましょう。適切に利用できなければ、トラブルにつながってしまうでしょう。
ここでは、画像生成AIを使用するうえで理解しておきたい、懸念点や注意点を解説します。
1.知的財産権を侵害してしまうリスクがある
AIで生成された画像をそのまま利用すると、知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。
画像生成AIは、既存のデータを学習して、それをもとに新たな画像を生成する仕組みです。そのため、生成された画像が、すでに世の中にアップされている画像と酷似している可能性もゼロではありません。
知らぬ間に知的財産権を侵害してしまうリスクがある点には、注意が必要です。
また、生成された画像の著作権が誰に帰属するかについて、ツールの規約を確認しなければなりません。「犬」「青空」などのシンプルな指示の場合、別のユーザーに対しても同じ画像が生成される可能性があります。
どちらが早くツールを利用したかの証拠がなければ、著作権がどちらに帰属するかを決めるのは難しいです。そもそも、画像生成AIツールを提供している会社に著作権が帰属する、という考え方もあります。
知的財産権に関するトラブルに巻き込まれないよう、規約をよくチェックしましょう。
2.誤った情報を拡散してしまう恐れがある
生成されたデータが正確であるとは限りません。データの正確性を確認せずにそのまま公開すると、誤った情報を拡散してしまう恐れがあります。
画像生成AIに限らず、生成AIを使用する際は、情報が正確かを必ず確かめましょう。
また、限りなくリアルな画像を生成できる画像生成AIならではの問題として、偽画像やディープフェイクが容易に作成できてしまう点が挙げられます。
たとえば、有名人が倫理的に問題のある行動をしているかのような画像を生成し、それがインターネット上で拡散されれば、大きな問題につながってしまうでしょう。
画像生成AIの利用が拡大することで、.誤った情報が拡散されやすくなる点には対応が必要です。
3.クリエイターの仕事を奪う可能性がある
画像生成AIを使えば、誰でも簡単にイラストや画像を作成でき、クリエイターの仕事を奪ってしまう恐れがあります。
コンテンツ制作のハードルが下がることで、クリエイターが増加し、競争が激化するでしょう。その結果、クリエイターの収入が下がったり、雇用を揺るがしたりするリスクがあります。
現時点では、クリエイターが制作するクオリティに匹敵するほどのコンテンツを、AIが生成できるわけではありません。しかし、将来的にクリエイターの仕事を奪う可能性があるのは懸念点です。
画像生成AIの今後の展望
画像生成AIをはじめとする生成AIは、今後市場規模が拡大していくことが見込まれます。
画像生成AIは、デザイン、ゲーム開発、広告など、さまざまな分野での活用が期待される、注目の技術です。
現時点では、生成された画像に多少不自然な点があったり、品質が安定していなかったりなどの課題があります。しかし、技術は日々進化しており、人間が作った画像やイラストと見分けがつかないほど精度が上がれば、ビジネス活用はますます拡大するでしょう。
一方で、偽情報の拡散や知的財産権の侵害などの問題をはらんでいる点は看過できません。多くの方が安心して画像生成AIを利用できるよう、法制度の整備やルールづくりが求められます。
画像生成AIの今後の動向に注目しよう
画像生成AIは、テキストで指示を出すことで、指示どおりに画像を生成してくれるツールです。指示を出して数秒～数十秒で画像を生成できるため、デザイン業務をはじめ、さまざまな業務を効率化できます。常識にとらわれない革新的な画像を生成できるのも、AIならではの魅力です。
今後、生成される画像のクオリティが向上すれば、さらに多くの場面で活用されるでしょう。
一方で、知的財産権の侵害や誤情報の拡散、クリエイターの雇用の問題など、対応すべき課題は山積みです。
画像生成AIの強みと注意点を理解し、適切に利用することが求められます。
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