ESG投資とは、環境(Environment)と社会(Social)、ガバナンス(Governance)に注目した投資のことです。
環境問題や社会問題に取り組んでいるか調べつつ、利益も目指して投資先を決定します。ESG投資のメリットや問題点、注目される理由を説明します。
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ESG投資とは?意味を簡単に説明
ESG投資とは、環境(Environment)と社会(Social)、ガバナンス(Governance)に注目した投資のことです。
投資先が環境問題や社会問題にどのように取り組んでいるか、また、どのようなガバナンスに基づいて企業活動を行っているかに注目し、利益を目指して投資を行います。
つまり、社会貢献もしつつ、利益活動もするのがESG投資です。
一般的な投資では、企業の財務情報から投資判断を行います。しかし、ESG投資では企業の財務情報だけでなく、社会貢献性やガバナンスといった非財務情報にも注目して投資判断を行います。
ESG投資と寄付との違い
社会貢献性のある行為といえば、まずは「寄付」が思い浮かびます。
しかし、寄付は利益を目的とした行為ではありません。ESG投資は社会貢献することだけでなく、利益も目的として実施する行為です。
ただし、寄付は利益を目的とはしませんが、利益につながることがあります。
例えば、特定の団体に寄付をすることで、社会的に評価を受けるという金銭以外の利益を得られることもあります。
また、社会問題や環境問題に取り組んでいる団体に寄付をすることで、寄付をした側もクリーンかつ社会貢献度が高いイメージになることもあるかもしれません。
金銭的にも利益を得ることがあります。例えば、ふるさと納税のように返礼品が定められているケースであれば、寄付をすることで金銭的・物質的なメリットを得られます。
ESG投資と責任投資原則
ESG投資は責任投資原則に基づいた投資とされています。
なお、責任投資原則とは国連が2006年に提唱した原則で、投資家が投資判断をする際にESGの視点も考慮すべきという考え方に基づいています。
責任投資原則への賛同者は増えており、2020年3月末時点では3,000を超える機関が署名をしました。
これらの機関の総資産運用残高は100兆ドルを超えています。
このことからも、今後はESG投資への注目がますます高まると考えられます。社会貢献をするためだけでなく、資産を社会変動から守るためにも、ESG投資に注目できるでしょう。
今、ESG投資が注目される理由
近年、ESG投資への注目が高まっています。注目される理由としては、次の3つが挙げられます。
- 環境問題・社会問題に対する投資家の意識が向上しているから
- 長期的な存続を期待できる企業だから
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も注目しているから
それぞれの理由について見ていきましょう。
環境問題・社会問題に対する投資家の意識が向上しているから
社会全体において、環境問題や社会問題に対しての意識が高まっています。
例えば、しばしば耳にするSDGsのように、環境問題や社会問題を自分の問題として取り組もうとする流れが生まれています。
投資の世界でも同様です。環境問題や社会問題に対して意識が高い投資家が増えています。
利回りや財務情報だけで投資先を選ぶのではなく、環境問題や社会問題にどのように取り組んでいるか、どのようなガバナンスを持っているかなどにも注目して選ぶようになってきました。
環境問題や社会問題に取り組む企業に投資するESG投資が注目を集めるのも、自然の流れといえるでしょう。
長期的な存続を期待できる企業だから
個人や企業だけでなく、国も環境問題や社会問題に取り組んでいます。
例えば、パリ協定では気温上昇を抑えるために、温室効果ガスの排出量を減らすことが定められました。日本でもパリ協定で定めた目標を実現するために、排ガス規制などさまざまな規制が実施されています。
このような流れから、今後さらに環境破壊につながる行為に対しての国家的な規制が強まると考えられます。
しかし、ESGを意識した企業なら規制を受けにくく、長期的な存続も期待しやすいでしょう。
つまり、ESG投資に取り組むことで、長期的に安定した利益活動を実現しやすくなるのです。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も注目しているから
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とは、年金積立金の管理・運用を行う機関です。収益を国庫に納付し、年金財政の安定に貢献することを目的としています。
GPIFでは資産や地域、時間を分散して投資するだけでなく、長期投資を前提として安定性と効率性、収益性を実現することも目指しています。また、近年、ESG投資を推進することを明言してきました。
国民の大切な年金を守るという目的を持つGPIFが、ESG投資を推進していることからも、環境問題や社会問題、企業の不祥事などに左右されない投資が長期的なリスクの調整につながると考えられます。
また、長期的にリスクの調整を継続することで、安定したリターンも生み出すと予想されるでしょう。
ESG投資の5つの種類
ESG投資には次の5つの種類があります。
- ポジティブスクリーニング
- ネガティブスクリーニング
- サステナビリティ投資
- インパクトコミュニティ投資
- 企業エンゲージメント
それぞれの種類について説明します。
ポジティブスクリーニング
ポジティブスクリーニングとは、ESG企業に投資することを指します。
環境問題と社会問題に取り組み、なおかつ高い規律性を有するガバナンスを掲げた企業を投資先に選び、社会貢献と利益の両立を目指します。
ネガティブスクリーニング
ネガティブスクリーニングとは、環境や社会に悪影響のある企業を排除して投資する方法です。
例えば、タバコやギャンブルにつながる企業、二酸化炭素を排出する化石燃料を取り扱う企業などを投資先として選ばないことで、社会貢献性を目指します。
サステナビリティ投資
サステナビリティ投資とは、サステナビリティ(持続可能性)に注目して投資する方法です。
例えば、開発途上国に経済的な支援をする企業ではなく、開発途上国にインフラ設備を敷設する企業など、持続可能な発展や貢献をもたらす企業を投資先に選びます。
国連が提唱したSDGsにも強い関連性があるため、注目度の高い投資です。
インパクトコミュニティ投資
インパクトコミュニティ投資とは、経済利益と社会貢献の両立をめざす投資のことです。
環境問題や社会問題に対する取り組みが社会に好影響をもたらした企業に注目し、社会貢献性と利益活動の両立を目指します。
なお、社会にもたらす環境的・社会的影響に注目した投資が「インパクト投資」です。
次の記事で詳しく説明しています。ぜひご覧ください。
「インパクト投資とは」を貼り付け
企業エンゲージメント
企業エンゲージメントとは、投資後に物いう投資家として社会問題・環境問題に取り組む企業に育てていくことです。
企業が取り組む事業が社会貢献性の強いものであれば、ESG企業として育成しやすいと考えられます。
ESG投資を行うメリット
ESG投資には、次のメリットがあります。
- 投資を通して社会貢献ができる
- 市場拡大が期待できる
- 長期的なリターンも期待できる
それぞれのメリットについて説明します。
投資を通して社会貢献ができる
ESG投資は利益を得るための活動ですが、環境問題や社会問題に取り組む企業を投資先とするため、社会貢献にもつながります。
投資にリターン以上を期待するときも、ESG投資を検討できます。
市場拡大が期待できる
近年、環境問題や社会問題に対する人々の意識が高まってきました。
そのような土壌から、ESG企業への注目は高まっています。今後もESG企業は成長が期待できると考えられます。
長期的なリターンも期待できる
環境保護を目的とした法規制が増えています。
環境問題に配慮した企業は規制を受けにくく、利益も縮小しにくいと考えられます。
ESG投資の注意点
ESG投資には注意点もあります。特に次の3つのポイントには注意が必要です。
- 短期的なリターンは期待しにくい
- 情報が十分に開示されていないことがある
- グリーンウォッシュ企業もある
それぞれの注意点について説明します。
短期的なリターンは期待しにくい
ESG企業は、利益第一の企業ではありません。
利益創出に即効性のあるビジネスモデルではなく、多少時間はかかっても環境問題・社会問題の解決を目標とした方法で事業を進めていきます。そのため、短期的にはリターンを得られるとは考えにくいでしょう。
情報が十分に開示されていないことがある
財務状況とは異なり、企業には社会問題・環境問題の取り組みについての開示義務は課せられていません。
そのため、ESGに関する情報が少なく、投資判断しにくいこともあります。
グリーンウォッシュ企業もある
グリーンウォッシュ企業とは、社会問題・環境問題に取り組んでいるように見せかけている企業のことです。
ESG企業として挙げられている企業には、グリーンウォッシュ企業も混ざっている可能性があるため注意しましょう。
ESGを意識した企業に注目しよう
ESG企業に注目することで、社会貢献性の高い投資先を見つけられます。
また、ESG企業は投資価値が高いだけでなく、環境面・社会面から法規制を受けにくく、将来性も高いと考えられます。
ベンチャー企業への転職をお考えの方は、環境問題や社会問題に取り組む企業かどうかにも注目してみましょう。
優れたガバナンスを有する企業なら、働きやすさも期待できます。
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