転職コラム

モビリティサービス「MaaS(マース)」とは?メリットやサービス事例、日本で発展が遅い理由などを紹介

MaaSは最適なルート検索から交通手段の予約、決済までワンストップで対応できる次世代型モビリティサービスです。

ユーザーの利便性向上、高齢者の交通手段の確保、地域経済の発展、排気ガスの減少などさまざまな方面に好影響を生じさせます。

今回はMaaSの特徴やメリット、事例、日本で発展しない理由を紹介します。

MaaS(マース)とは?

Mobility as a Service(モビリティ アズ ア サービス)の略語で、ユーザーの利便性を向上させた次世代型の交通サービスです。

複数の公共交通機関や移動サービスとテクノロジーを組み合わせ、目的地までの最適化したルートを提供します。

東京から博多までを例に挙げると、移動には羽田空港までの電車の乗車券のほか、空港やネットで搭乗券の購入が必要です。

購入手続きの場所が分かれるため手間がかかるところ、MaaSなら一つのアプリの操作だけで完結します。

新幹線やタクシーなど異なる種類の交通手段でも一括で予約・支払いできるため、ユーザーの負担を大きく軽減します。

MaaSは欧州で先行してスタートしました。

なかでも、国を挙げて公共交通機関の利用が推奨されるフィンランドで誕生しています。

MaaSのメリットとは?

MaaSはユーザーの負担軽減にとどまらず、環境問題の改善や交通弱者および利便性の低い地域の移動手段の確立など、さまざまな利点を有します。

MaaSのメリットは次の5つに分けることが可能です。

・排気ガス排出量の減少につながる

・高齢者や地方における移動手段の確立

・利用者の利便性が向上する

・渋滞の緩和が期待できる

・物流や運送の分野にも効率化をもたらす

排気ガス排出量の減少が期待できる

自家用車の稼働を減らして公共交通機関に切り替える動きが活発化することで、排気ガスの減少が期待できます。

乗り合いタクシーやカーシェアリングの利用も相まって、車を手放す人が増えるかもしれません。

これは脱炭素社会の実現に向け、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいる日本にとって喜ばしい状況です。

自動車は輸送量あたりの二酸化炭素排出量が大きい交通手段であり、はるかに車体が大きな飛行機の水準を超えています。

環境に与える影響は計り知れず、MaaSの推進は脱炭素化への貢献度が高い活動といえます。

高齢者や地方などの移動手段の解決

MaaSは交通手段がない高齢者の外出を促進し、ひいては健康増進や孤独死の防止に寄与します。

高齢になると免許を返納する方も多く、結果的に家に引きこもりがちになるケースも多いでしょう。

こうなると外出が減り、健康への影響や最悪の場合孤独死の可能性が生じます。

自家用車なしでは日常生活が難しい地方都市でもMaaSの意義は大きく、地域経済の活性化に貢献することが可能です。

生活の利便性が向上する

ルート検索から交通機関の予約、支払いまでアプリで一括操作できるため、煩雑な手続きから解放されることもメリットです。

初めて訪れる場所でも、出発地と目的地を設定するだけで最適化されたルート情報が表示されます。

MaaSは宿泊施設や医療機関などの利用にもサービス拡大が見込まれており、今後の展開にも期待されます。

予約・決済の著しい利便性をもたらすMaaSの推進は、交通手段のDX(デジタルトランスフォーメーション)化とも呼ばれます。

渋滞の減少につながる

MaaS発祥の地であるフィンランドのMaaS「Whim(ウィム)」は、公共交通機関の定額乗り放題サービスの提供を実現しました。

その結果、自動車の走行が減り、渋滞の緩和に効果を示しています。

公共交通機関の積極的な利用により、街中を走る自動車の数が減少し、渋滞の緩和につながるでしょう。

日本では都市部での渋滞が特に問題視され、駐停車車両による排気ガス問題や駐車場不足など、車が多いことによる課題は少なくありません。

物流・運送が飛躍的に効率化

交通渋滞が緩和することで貨物トラックのスムーズな運行につながり、物流サービスが効率化します。

また、物流・運送のフローを効率化するMaaSも登場しています。

空港のカウンターに預けた荷物を宿泊先のホテルまで届けるサービスや、アプリで注文した飲食物の宅配サービスなどが代表例です。

今後は荷物の配送を希望する荷主に対して、最適な配送ルートや手段を提示する配送マッチングサービスの普及が期待されています。

MaaSサービスの事例

世界で利用されているMaaSサービスの概要や簡単な特徴を紹介します。

・フィンランドで誕生した世界初のMaaSサービス「Whim」

・さまざまな交通サービスと接続可能なシンガポール発の「Zipster」

・交通手段だけでなくホテルも一括予約できるイギリス発の「Mobilleo」

・日本発!国内での知名度も高いタクシー配車アプリ「Go」

世界初のMaaSサービス「Whim」

フィンランドで開発された世界初のMaaSサービスWhimは、首都ヘルシンキにおける交通利便性の向上をもたらしたサービスです。

電車や市内バス、タクシー、レンタカーなどあらゆる移動手段の中から目的地までのルート検索や予約を可能にしました。

次のように3つの料金プランを展開し、利用頻度や費用に応じて適切なものを選べます。

・Whim To Go:乗車時に都度料金を支払う必要がある。月額料金は無料

・Whim Urban:月額料金を支払う。公共交通機関の利用は追加料金一切なし

・Whim Unlimited:月額料金あり。タクシー含むすべての交通手段の追加料金無料

上位プランほどおトク度が増し、自家用車以外の移動手段の活用を促進します。

利用手順もシンプルでアプリに不慣れな高齢者でも手軽に利用可能です。

実際に公共交通機関の利用率アップという効果を示しました。

自転車や交通サービスまで検索できる「Zipster」

シンガポール発のZipsterはシェアサイクルを含む複数の交通手段から最適なルートを検索し、必要な費用まで算出できる便利なサービスです。

オンライン上で配車予約ができる各種ライドヘイリングアプリと連動し、場所に捉われず快適な移動を実現します。

公共交通機関の利用時にはZipsterカードと紐づけることで、決済状況やアプリの利用履歴をいつでも確認できるのも強みです。

Zipsterは日本とも関わりがあり、小田急電鉄とデータ連携の合意がなされています。

今後の国内展開への期待も持てるでしょう。

ホテルやタクシーなどを一括で予約できる「Mobilleo」

イギリス北部で誕生したMobilleoは、旅行プロバイダの情報も取得してホテルや空港ラウンジを含め、検索から支払いまでをワンストップで行えるサービスです。

ユーザーに利便性や安全性を限界まで高めた上質なエクスペリエンスをもたらします。

旅程をアプリ内に保管するという使い方もあり、幹事の業務を強力にバックアップできることも魅力です。

ミドルオフィス機能を使えば一つのアプリで複数人の配車や予定管理が可能なため、社員旅行にも重宝されています。

タクシー配車アプリ「GO」

Goは日本のMobility Technologiesが提供するタクシー配車アプリです。

電話で配車依頼する手間をかけずに、アプリで指定場所に駆け付けてもらえます。

目的地設定や支払いもアプリ内で完結するため、やり取りを減らせることも利点です。

GOはエリアが広く、47都道府県を網羅とまではいかないものの、首都圏から北海道、九州まで対応しています。

サービス開始からわずか2年余りで1,000万ダウンロードを達成と、大ヒットを記録しました。

コロナ禍で外出機会が減り、タクシー業界の売上が下落したにもかかわらず、Goの配車数はうなぎ上り。

交通のDX化にいち早く成功した事例といえるでしょう。

MaaSの発展段階は4つ

MaaSは各移動サービスとの連携性や統合の深さによって、5段階にレベル分けされています。

具体的には、統合なし(レベル0)→情報の統合(レベル1)→予約・決済の統合(レベル2)→サービス提供の統合(レベル3)→政策の統合(レベル5)の5段階です。

上記の基準はスウェーデンのチャルマース工科大学の研究者が発表し、日本でも国土交通省が判断に使用しています。

我が国のMaaSレベルは0~1にとどまるといわれており、まだまだ発展途上です。

とはいえ議論は盛り上がりを見せているため、今後の飛躍的進化が期待されます。

1.目的地までのルート情報が統合されている

レベル0は各交通手段がまったく統合されておらず、バラバラの状態です。

MaaSが登場する前段階であり、現在の交通システムのほとんどが該当します。

レベル1では、飛行機やタクシーなど各種交通手段にかかるさまざまな情報が統合されます。

・各サービスの料金

・所要時間

・時刻表

・輸送エリア

・距離

・目的地までの最適ルート

具体的なサービスを挙げると、ジョルダンやNAVITIMEのような経路探索・乗換案内アプリが代表格です。

ジョルダンで出発地と目的地を入力することで、最適なルートや時間といった必要な情報がユーザーに対して提供されます。

複数の交通手段をまたいだ移動ルートが表示されるのは、アプリ内で情報の統合が機能しているためです。

2.サービス内で予約や決済ができる

レベル2は情報の検索にとどまらず、発券・予約・決済までワンストップでできる状態です。

ユーザーは複数の移動手段を組み合わせて表示されるルートから最適なプランを見つけ、そのまま予約や決済の手続きに入ります。

情報のデジタル化やキャッシュレス決済を導入する企業は少なくありません。

MaaSの進化が加速していけば、アプリのみで予約・決済が可能な場面も増えるでしょう。

現状では決済機能を内包したアプリの登場にはいたっておらず、各交通事業者の決済画面に飛んで、手続きを複数回行わなければいけません。

一方でJR東海・JR西日本は、2023年夏に、新幹線・沿線ホテル・旅先の交通手段・観光プランなどをシームレスに予約・決済できるサービス「EX-MaaS(仮)」をリリース予定です。

MaaSアプリのレベル2に関わる今後の動きには、交通事業者間における連携の強化・決済事業者の参入が予想されます。

3.単体のサービスとしての料金体系で提供されている

レベル3はエリア内のすべての交通機関が一つのサービスとして統合された状態です。

たとえばサブスクリプションの仕組みを採用し、月額の定額料金を支払うことで、地域内のあらゆる交通手段で乗り放題ができるようになります。

飛行機やタクシーの料金は乖離するため、一部除外した定額サービスや複数のプランの提示など、実際の運用方法は考えなくてはいけません。

レベル3では地域内のあらゆる移動手段がアプリを通じて一元化されます。

前述したフィンランドのWhim(ウィム)は、この段階です。

タクシーや電車、カーシェアリング、レンタサイクルのようなすべての移動サービスを包括し、アプリで目的地を設定するだけで最適な交通手段や料金を提示してくれます。

4.国の政策と統合されている

レベル4は公的機関や事業者団体が政策や都市計画レベルで、交通の在り方について議論を交わす段階です。

乗り継ぎに必要なターミナルを配置して利便性を高めたり、まちづくりとの連動で商業地帯や住宅地の形成を目指したりする状態が挙げられます。

インフラの整備や法改正を絡めた議論が求められ、レベル4達成には国家規模の取り組みが必要です。

将来的にはグローバルにわたった業務提携の必要性が生じる可能性もあります。

レベルが上がるにつれ、渋滞の緩和や地域経済の発展のようなMaaSがもたらすメリットの実現可能性が高まります。

日本でMaaSの発展が遅い理由

北欧ではMaaSがスムーズに進展していった一方、日本では思うように発展が進みません。

日本の交通DX化が遅れているのは、次のような事情があるためです。

・民間企業の主導では限界がある

・交通に関する法律規制が多い

・データオープン化への障壁が高い

・地域格差が大きい

具体的にどのような課題が存在するか解説します。

民間企業の主導では限界がある

日本の交通機関は民間企業が多く、運賃の統合や定額制の導入が難しいことが理由の一つです。

また、レベル3で必要なサブスクリプションのような仕組みを導入するに当たり、国の認可が求められます。

日本では事業者の判断で運賃を自由に決定できません。

また実証実験の段階でも特区の設定や行政に対する申請が必要なため、手続きの負担からMaaSが発展しにくい状況です。

そびえ立つ高いハードルを乗り越えるには、民間企業の先導だけでなく国や自治体によるサポートが必要です。

営利の追及が至上命令の民間企業では、時には不採算事業を削る判断も取らなければいけません。

MaaSにかかる事業に対して国や自治体から補助金が受けられれば、展開しやすくなるでしょう。

MaaSは観光や商業と組み合わせることで、新たなビジネスが進めやすいという利点も有します。

公的機関と民間企業が密に連携を取るほか、主体(民間企業、国、自治体など)によって業務の管轄を決める上下分離の推進も効果的です。

たとえば上に当たる事業者が運行業務を司り、車両や設備の所有・管理は下の地方自治体が担う方式が考えられます。

交通に関する法律規制が多い

MaaSの実現には従来の交通網を超えたフレキシブルで斬新な体制の構築が求められます。

日本の交通は法律による規制が多く、新たな仕組みを導入したくても禁止行為に該当してしまうのが現状です。

代表的な規制が、道路運送法第78条に抵触する白タク行為です。他人を自家用車に乗せて有償で運搬することは違法行為に該当します。

米国で行われているような自分の車で乗客を運ぶライドシェアは国内では認められません。

バスの運行ルートにも厄介な規制があり、日本では事前に申請したルートでないと走行不可です。

利用者の数や時間帯で道順を変えることによる業務効率化を推進できない点も厳しいところです。

多数の乗客の命を預かることから厳格な規制は致し方ないものの、MaaSの推進を考慮した法改正や新法案の施行などの対策を講じる必要があるでしょう。

データオープン化への障壁が高い

MaaSでは時刻表やリアルタイムの運行状況などの運行データを外部に開示し、事業者間で連携を取ることが不可欠です。

しかし、日本企業はデータのオープン化に積極的ではない傾向にあります。

これは業種に関わらずDX化が進まない要因の一部です。

とはいえ今後影響力を有する事業者がデータの開示を決断すれば、乗り遅れるリスクから参入者が増え、一気にオープン化が進む可能性もあります。

実現に向けては開示するデータの規格の統一や、個人情報の漏洩を防ぐ対策も講じなくてはいけません。

地域格差が大きい

日本の交通事情は地域差が大きいため、各地域で迅速にMaaSサービスを構築するのが難しいという事情があります。

地方では医療や物流も含め、公共交通機関の提供を一体的に進められるかがポイントです。

地域ごとに異なる状況へ対処するためには、個別具体的な問題に寄り添い方向性を示せるコーディネーターの採用が有効です。

官民の協働や住民の協力も欠かせません。多くの関係者の意見を集約し、最適なプランを示せる心強い存在が求められます。

公共交通機関の縮小が進む山間部や中小都市におけるMaaSの導入は急務です。交通状況が異なる都市部のシステムをそのまま流用しても効果は期待できません。

地方では交通網の脆弱性以外にも、人手不足や行政コストの節約などの事情も考慮する必要があります。

将来的に有望視されるMaaS市場

国内におけるMaaSはまだ黎明期ですが、今後は市場が拡大する可能性が高い分野です。

グローバル規模で成長を遂げており、日本で普及が進めば、著しい成長率を期待できます。

将来的に有望なMaaS市場で事業やサービスの新規開発に携わりたいと考える方もいるでしょう。

日本を代表するスタートアップや経営層とのコネクションが豊富なフォルトナベンチャーズでは、皆さまの希望を叶える企業を紹介できます。

急成長が期待できるビジネスに取り組みたい、困難な状況に身を置いて成長したいなど高い意識を持つ方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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