チームビルディングとは目標を達成するため、強い組織を作る手法です。
メンバーが協力し合い、パフォーマンスを最大限に発揮して効果を生み出します。
本記事ではチームビルディングの意義を解説し、DX推進での活用やチームビルディングの段階的な5つのプロセスを解説します。
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チームビルディングとは?
チームビルディングとは、メンバーが協力し合いながら各自の能力を最大限に発揮し、目標を達成するための手法です。
個人の能力では限界があることも、チームビルディングで団結することで、大きな効果を生み出せます。
チームビルディングの「チーム」とは、共通の目標を達成するために集まった集団のことです。
チームと似た言葉に「グループ」がありますが、グループとは、単に複数の人が集まっている状態を指します。
チームとの違いは、共通の目標・目的がないという点です。
チームビルディングはチームワークとも異なります。
チームビルディングはメンバーが協力し合い、目標達成を目指す取り組みです。
メンバーは戦略的な視点を持ち、一貫性を持って自分の役割を行います。
これに対しチームワークは、メンバー同士が弱点を補いながら目標を達成することです。
効率的に共同作業を行う点に重点があり、メンバーの成長という視点はありません。
チームビルディングはメンバーそれぞれの強みや能力を活かし、成長させることも目的としている点が異なります。
チームビルディングの目的
チームビルディングには、次世代リーダーの育成や適材適所の人材配置など、さまざまな目的があります。
ここでは、チームビルディングを行う主な目的をみていきましょう。
次世代のリーダーを育成する
チームビルディングは新入社員や若手社員、中堅社員、管理職とあらゆる社員を対象にすることが可能です。
各メンバーが目標や方向性を共有することでコミュニケーションが活性化し、各自が主体的に仕事に取り組めるようになります。
まだお互いをよく知らずコミュニケーションが不足している新入社員や若手社員は、チームビルディングにより関係性を深め、会社に対する帰属意識を強めます。
メンバーが共通の目標を持ち、ビジョンを実現することの重要性を理解し、次世代リーダーとしての資質が養われるでしょう。
現場のリーダー的な役割を求められる中堅社員は、チームビルディングにより指導力を強化できます。
チームビルディングにより普段の業務とは異なるメンバーと課題解決を行いながら、チームマネジメントを体験できるでしょう。
適切な人材配置を行う
チームを形成するためには、異なる能力や個性を持つメンバーをどのようなポジションに配置するのかが重要です。
適切な人材配置ができない場合、メンバーの能力が最大限に発揮できません。
チームビルディングではメンバー同士の活発なコミュニケーションを通してお互いの理解が深まります。
メンバーのスキルや経験、価値観などを把握することで、適材適所の人材配置や役割分担が可能になります。
能力だけでなく考え方・価値観も考慮した人材配置が実現することで、チームのパフォーマンスはさらに向上するでしょう。
マインドセットを形成する
チームビルディングにより、目標達成に向けてマインドセットが形成されます。
マインドセットとは物事の見方や考え方のことで、経験や教育、先入観から作られる思考パターンです。
働きながら無意識にマインドセットは形成されますが、チームビルディングを行うことでそれらのマインドセットがいったんリセットされます。
チームビルディングの目的は、これまでのマインドセットに代わり、新たに組織の目標・ビジョンを達成のために必要な「このチームで目標を達成したい」というマインドセットを形成することです。
チームのビジョンを共有する
チームビルディングは新規プロジェクトの開始など新しいことを始める際に導入されることも多く、ビジョンを共有することでチームの一体感を高めるという目的があります。
ビジョンの共有により各自が目標の達成を自分のことと自覚し、役割を果たす心構えができます。
メンバーは主体的に取り組み、「次に何をすべきか」を考えながら行動することが期待できるでしょう。
DX化の推進に不可欠なチームビルディング
チームビルディングはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも欠かせません。
DXはチームで推進するのが一般的で、チームビルディングの構築が必要です。
ここでは、DXの推進におけるチームメンバーの役割や求められるスキル、AIを活用したチームビルディングのアプローチを紹介します。
チームメンバーの役割
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を用いて、業務の効率化や新たなビジネスモデルの創出、レガシーシステム(過去の技術で構築されているシステム)からの脱却などを実現させることです。
IT技術の進化は著しく、国の主導のもとに企業のDX化が求められています。
DXを成功させるにはただ新しい技術を導入するだけでなく、組織全体が変化に対応できる柔軟性や変革を生み出す能力を持たなければなりません。
そのために欠かせないのが、チームビルディングです。
DX推進のチームメンバーには、主に以下のような人材が求められます。
- DXの実現を主導するリーダー
- 企画・立案を担う人材
- デジタル技術やデータ解析のスキルを持つ人材
- システムのデザインを担当する人材
- デジタルシステムの実装やインフラ構築等を担うエンジニア
リーダーはチームのプロデューサーであり、ビジョンの実現に必要な施策を考え、プロジェクトを牽引します。
企画を立案する人材とともにチームの中心となって活動します。
技術を担当する他のメンバーは、各自の専門領域でDXを推進するという構造です。
DX組織全体の変革が伴うため、チームだけでなく全社員の理解と協力体制が欠かせません。
求められるスキル
DX推進チームは個々の役割が決まっていますが、全体の動きにも関心をもつことや、共通のスキルが求められます。
- 問題を迅速に解決できる能力
- 問題を俯瞰(ふかん)して本質を見極める能力
- マネジメント能力
- コミュニケーション力
- 常に未来のビジョンを描いて進む能力
DXに必要とされるのが、将来のために何をすべきかを考えて全体を俯瞰し、複雑な事柄の本質を見極める能力です。
プロジェクトをマネジメントし、成果を出すために品質・コスト・納期を把握・管理する能力も欠かせません。
経営層を納得させる提案力やコミュニケーション能力も求められます。
また、DX化では未来のビジョンを明確に描いて進む能力も必要です。
DX推進でチームメンバーに求められるスキルは目指すDX化の内容によって異なりますが、その前提として、これらのスキルが必要になるでしょう。
AIを活用したチームビルディング
チームビルディングにはさまざまな手法がありますが、近年ではAIを活用したアプローチも行われています。
AIを活用したアプローチの一例をみてみましょう。
- チームメンバーの性格や価値観をAIが分析し、最適なチーム編成や役割分担を提案する
- チームメンバーの感情をAIが観察し、メンタルヘルスのサポートをする
- チームメンバーの行動や発言をAIがチェックし、コミュニケーションの質・量などを測定してフィードバックするサービス
AIを活用することで、チームメンバーの客観的な評価が得られ、状況や変化に素早く対応できるのがメリットです。
感情も考慮しながら推進することで、DXの実現が可能になるでしょう。
チームビルディングのメリット
チームビルディングの実施により、コミュニケーションの活性化やモチベーションアップなど、多くのメリットを得られます。
ここでは、チームビルディングで得られる代表的なメリットを解説します。
コミュニケーションが活発になる
同じ目標を共有するチームメンバーは共通の話題があり、コミュニケーションがとりやすくなります。
普段の職場では発言しにくい場面があっても、目的を共有するチーム内であれば、自分の考え・意見を発言しやすいでしょう。
チームでの取り組みはメンバー同士の信頼と協力が不可欠です。
コミュニケーションの活性化により信頼関係が構築され、目標の達成を推進するでしょう。
コミュニケーションが増えると情報共有も円滑に進み、報告不足や連絡ミスによるトラブルを減らせます。
チーム内での問題解決がスムーズになることもメリットといえるでしょう。
モチベーションが高まる
チームビルディングにより、メンバーのモチベーションが高まるのもメリットです。
目標に向かって協力し合うことでチームに一体感が生まれ、一人では成し遂げられなかったことでもチームでなら達成できるでしょう。
達成感は、さらに仕事へのモチベーションを高めます。
モチベーションが高まることでパフォーマンスが向上し、目標達成も早まるでしょう。
さらに大きな目標にチャレンジしようという行動にもつながります。
生産性が向上する
チーム内のコミュニケーションが円滑になると情報共有がしやすくなり、業務がスムーズに進みます。
その結果、生産性が向上するのはメリットです。
また、チームビルディングによりさまざまな年代・立場の人と交流することで、個人の成長が促進されます。
成長によりメンバーがスキルやパフォーマンスを高めることも、組織の生産性向上につながるでしょう。
新しいアイデアが生まれる
チームビルディングによりコミュニケーションが活性化すると、自由な意見交換や前向きな議論が行われることで、新しいアイデアが生まれやすくなります。
個人ではなかなか思い付かないアイデアも、さまざまな価値観や考え方に触れることで生まれる可能性があるでしょう。
お互いに協力し合うことで、個人の能力をはるかに超える相乗効果を発揮し、チームや組織にイノベーションが生まれることも期待できます。
チームビルディングの5つのプロセス
チームビルディングは短期間で形成できるものではなく、いくつかの段階を経る必要があります。
チームを次の段階に移行するためにはどのようなチームビルディングが求められるのかを示した考え方が、「タックマンモデル」です。
タックマンモデルとは、心理学者のブルース・W・タックマンによって提唱されたチームビルディングに関する考え方で、チームが形成されてから起こる変化を5つの段階に分けています。
ここでは、タックマンモデルの5つのプロセスを紹介します。
形成期
形成期は、チームが結成されて間もない時期を指します。
チームを立ち上げたばかりで、メンバーはまだお互いについてよく知らない状態です。
チームが目指す目標やメンバーの役割も定まっておらず、不安と緊張があります。
形成期では積極的にコミュニケーションを取り、メンバー間の信頼関係を構築することに注力するとよいでしょう。
チームリーダーはメンバー同士が相互理解できるよう、交流を促す必要があります。
コミュニケーション活性化の手段として、ゲームや交流会の開催なども効果的です。
混乱期
混乱期は、チームメンバーがお互いについて理解を深め、緊張がほぐれて意見が活発になる時期です。
仕事の進め方や個々の役割に対して、意見を主張するようになります。
さまざまな考え方により意見の食い違いや衝突も生まれるでしょう。
意見や考え方の違いに意識が向きやすく、チームの目標達成が疎かになりやすい時期でもあります。
チーム内に階層や競争が発生する場合もあるでしょう。
人間関係のストレスを感じるメンバーが出てくる場合もあります。
混乱期のチームづくりでは、コミュニケーションの質に注意しなければなりません。
単純にコミュニケーションの回数を増やせばよいわけではなく、考え方の違いや各自の不満について話し合い、対話を深める必要があります。
統一期
統一期は混乱期を乗り越え、メンバー間の理解が深まる時期です。
安定したチームになり、目指すビジョンや意見が統一されていきます。
メンバーはお互いの考え方の違いや多様な価値観を受け入れ、人間関係が良好になっていくでしょう。
メンバーは自分の役割を認識し、対立関係はなくなります。
チームをより良くしていくためのコミュニケーションが生まれ、信頼関係が構築されます。
議論の場も活性になり、有益な議論が交わされるでしょう。
統一期では、お互いが協力し合えるように業務内容の開示や、悩みを共有して解決のための議論をするなど、より深いコミュニケーションが求められます。
チームの力が強くなる時期でもあり、リーダーは間違った方向に進まないように努める必要もあるでしょう。
次の段階に進むためには、チームで共通の目標を探し、各メンバーが能力を発揮できる新た役割を見出すことも必要です。
機能期
機能期はチームが成熟し、成果が出てくる時期です。
メンバーが自信と責任感を持つようになり、自立していきます。
リーダーの細かい指示がなくても、自ら行動できるようになるでしょう。
リーダーに求められるのは、メンバーが自ら目標を定め、能力を発揮できるようにするための環境づくりです。
機能期の状態を維持するため、メンバー間のコミュニケーションを促とことも大切です。
また、メンバーがチームに貢献しようと努力しすぎないようケアをしたり、リフレッシュのためのサポートをしたりする役割も求められます。
散会期
散会期は、目的達成などでチームが解散する時期です。
各メンバーはチーム内で成長してスキルを高め、新たな目標へと動き出していきます。
チームビルディングが成功したかどうかは、この時期のメンバーがどのような状態にあるかで判断できます。
達成感や満足感があり、解散を惜しむ声やメンバー同士で称賛しあう姿が見られるようであれば、チームビルディングは成功したといえるでしょう。
チームビルディングは目標達成のための効果的な手法
チームビルディングはメンバーが協力し合いながら目標を達成する、強い組織を作るための手法です。
次世代のリーダー育成や適切な人材配置、マインドセットの形成などを目的に行われます。
チームビルディングの実施によりメンバーのモチベーションが高まり、生産性が向上するなどのメリットがあります。
チームビルディングはDX推進にも役立ち、各メンバーが役割を担いながら効率的にDXを実現できるでしょう。
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