コラム

Web3.0とは次世代のインターネット。メリットや事例をわかりやすく紹介

Web3.0とはブロックチェーン技術を用いた次世代のインターネットです。

個人情報の保護やセキュリティの向上を図るなどのメリットがあります。

本記事ではWeb3.0とは何かを説明するとともに、メリットや事例、Web3.0を扱う最新ベンチャーを紹介します。

Web3.0とは?

Web3.0とは、次世代のインターネットとして注目されている新しい技術です。

権力分散型のブロックチェーン技術を活用しており、サーバーを経由せずにデータを自分で管理できるという特徴があります。

ここではWeb3.0の内容について紹介し、Web1.0、Web2.0との違いや最新の動向について見ていきましょう。

次世代インターネット

Web3.0は2014年に提唱されたもので、次世代インターネットと呼ばれています。

近年、利用されているインターネット環境は、主にGoogle・Amazon・Facebook・Apple・Microsoftという大企業に独占されてきました。

インターネット上に流通する個人情報は、特定の権力によってコントロールされている状況です。(中央集権型)

これに対し、Web3.0はブロックチェーンという技術を使い、巨大企業による独占から脱却を図る仕組みです。

ブロックチェーン技術を用いる仕組み

Web3.0はブロックチェーンという技術を用いる仕組みです。

ブロックチェーンとは、取引履歴を分散管理するために開発された技術であり、インターネット上でやり取りされる取引記録がネットワークにつながる参加者に分散して保有されています。

従来の仕組みではデータをひとつの場所にまとめて管理しますが、ブロックチェーンはデータを複数の場所に分けて管理する分散型の仕組みなのです。

Web1.0、Web2.0との違い

Web3.0について知るためには、それ以前のWeb1.0、Web2.0の歴史を確認しておく必要があります。

Web1.0はインターネットが普及し始めた1990年から2004年ごろまでの時代に使われたWebのことです。

1990年にはインターネットの重要な仕組みであるWorld Wide Webが考案され、Google検索が誕生しました。

1995年にはWindows95が発売されています。

当時のコンテンツはほとんどが読み取り専用で、個人がコンテンツを作ることはありませんでした。

そのため、一方向の情報伝達の時代ともいわれています。

インターネットの接続は現在のような常時接続ではなく、ダイアルアップ回線により必要なときだけインターネットに接続するという方式でした。

Web2.0は、2004年以降に私たちが利用しているインターネットです。

光ファイバーやADSLにより、高速インターネットが実現しました。

SNSが普及してインターネットは閲覧するものから参加するものへと変わり、双方向にやり取りが可能になったのです。

Web2.0では幅広いサービスが利用できるようになる一方、サービスは特定の企業が提供する中央集権型で、それらの企業に個人情報が管理されています。

よって、特定企業がサイバー攻撃を受ければ、個人情報が漏洩するというリスクを抱えている点が特徴です。

Web3.0ではブロックチェーン技術を用いたデータの分散管理により、Web2.0の抱えるプライバシーやセキュリティの問題を解決できるとされています。

最新の動向

近年、Web3.0の技術を使用したサービスとして、分散型金融のDeFi(Decentralized Finance)やインターネット上の仮想現実世界であるメタバースなどが登場し、注目を集めています。

また、現在インターネットで一般的に利用されている「HTTP」に代替する分散型ネットワークや、クラウド型アプリケーションに代わる分散型アプリケーションの開発も進められています。

Web3.0の技術を開発するベンチャーも増えてきました。

ただし、インターネット上の中央管理者を完全に排除して自己管理を行うWeb3.0が一般に普及するには、まだだいぶ時間がかかるとされているのが実情です。

Web3.0が注目される背景

Web3.0が注目を浴びているのは、Web2.0の時代に表面化したリスクや問題点が背景にあります。

中央集権型により特定企業に個人情報が集中することで起こる問題などです。

Web3.0により、これらのリスクや問題が解決できるとされています。

また、近年の著しい技術の進化もWeb3.0が注目される大きな理由です。

Web3.0が注目される背景について、見てみましょう。

プライバシーの問題

Web3.0が注目されているのは、個人情報の漏洩などプライバシーの問題が表面化しているためです。

Web2.0は特定の企業がサービスの提供を独占しており、無料サービスを利用するために氏名や住所、メールアドレスなどの個人情報を入力するシステムが普及しています。

近年はこれら収集した個人情報の漏洩事故や不正な情報収集が問題となり、ネットユーザーは個人情報の登録を控える傾向が出てきている状況です。

Web3.0では個人情報を入力して作るアカウントの作成が不要であり、これらの問題を解消できると期待されています。

技術の進化

Web3.0が注目され、実際に応用されるようになったのは技術の進化が大きな理由です。

Web3.0を実現するのはブロックチェーン技術であり、暗号技術により取引履歴を1本のチェーンのようにつなげ、正確な取引履歴を維持するというものです。

ブロックチェーンはデータの破壊や改ざんが非常に困難であり、障害によってシステムがダウンする可能性が低いという特徴があります。

ブロックチェーンにより保存された取引記録は、特定の企業が管理する権利集中型システムと異なり、複数のシステムがそれぞれ情報を保有する「分散型台帳」という仕組みで管理されています。

そのため、一部のシステムが停止・故障した場合も、システム全体の運行に大きな影響を与えません。

また、ブロックチェーンの技術は、もともと仮想通貨のビットコインを支える技術として開発されたものです。

Web3.0のサービスで利用する買い物は、基本的に仮想通貨を使用します。

そのため、仮想通貨の取引自体が増えてきていることもWeb3.0が注目されている理由といえるでしょう。

今後、仮想通貨が普及し、消費者にとって身近な存在になることがWeb3.0を広めるポイントといえます。

Web3.0の実現で得られる4つのメリット

今後、インターネット上でWeb3.0が普及し主流となれば、従来の権力集中型から分散型へと変わります。

これにより、以下のようなメリットが期待できるでしょう。

  • サーバーの安定
  • セキュリティの強化
  • 個人情報の管理
  • 国境を越えたサービスの利用

Web3.0は単一のサーバーを経由しないため、サーバーにアクセスが集中してダウンするという不都合はありません。

個人情報漏洩の心配がなくなり、セキュリティの強化にもつながります。

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

1.サーバーが安定する

Web3.0は、サーバーを経由せずにデータを管理できる仕組みです。

特定のサーバーにネットワークが依存しないため、サーバーにアクセスが集中してシステムダウンしたり、不具合による機能障害を起こしたりするリスクを回避できます。

また、サーバーが攻撃されて情報が流出するなどのトラブルも防ぎ、サーバーの安定を図れるのがメリットです。

2.セキュリティを強化できる

Web3.0はセキュリティを強化できるというメリットもあります。

Web3.0を実現するブロックチェーン技術は、取引記録を暗号化して複数のユーザーの承認を経る分散型の仕組みです。

Web2.0の中央集権型で単一のサーバーは攻撃が容易ですが、ブロックチェーン技術による分散型は複数の端末を攻撃しなければならず、簡単ではありません。

3.個人情報や閲覧履歴を管理できる

現在のWeb2.0のもとでは、サービスを無料で利用できる代わりにユーザーは個人情報や閲覧履歴、行動履歴を提供しています。

個人情報の保護は企業に一任されており、システムの脆弱性があれば流出のリスクがあります。

しかし、Web3.0では自ら個人情報などのデータを管理できるため、漏洩などのリスクにさらされることはありません。

4.国境を超えたサービスの利用ができる

Web3.0では国境がなくなり、OSの制約もなくなります。

Web2.0では同じサービスでも国や地域によって分散化されていますが、Web3.0では国や企業の管理下に置かれることなくどこの国からでも自由にアクセスできるようになります。

また、WindowsかMac、あるいはiOSかAndroidなどの制約もなくなり、どのデバイスやOSでも利用できるようになるとされています。

Web3.0の事例

Web3.0を使った事例はブラウザやECサイト、ゲームなどさまざまな分野に及びます。

複製のできないデジタルデータを作るNFTや、中央管理者を介さずに金融資産を管理できるDeFi、Web3.0に対応した次世代型ブラウザのBraveなどが挙げられます。

インターネット上に作られた仮想空間・メタバースは、Web3.0の代表的な技術といえるでしょう。

Web3.0の事例について、紹介します。

NFT

NFTは「Non Fungible Token」の略で、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。

仮想通貨は代替性トークン(FT)と呼ばれており、NFTは替えが効かない、唯一無二のトークンということです。

トークンとはブロックチェーン技術を使用して発行した「暗号資産」の総称であり、NFTも仮想通貨もブロックチェーンを利用して発行するため、トークンと呼ばれます。

これまでは、​​デジタルアートやゲーム内のアイテム、音楽などデジタルの資産は所有者を明確にするのが困難で、複製や改ざんなどのリスクがありました。

しかし、デジタルデータをNFTに紐付けすると、唯一無二のデジタルデータであることを証明できます。

DeFi

DeFiは「Decentralized Finance」の略で、日本語では「分散型金融」と呼ばれます。

ブロックチェーン上で自動的に動くプログラムにより、中央管理者を介さずに金融資産を管理できるアプリケーションです。

日本で海外の金融商品に投資する際は、その国の金融機関で口座を開設しなければなりません。

日本円をその国の通貨に替えて商品を購入するという手間があります。

しかし、DeFiのウォレットはスマホ1つでいつでも開設でき、世界中どこにいてもリアルタイムの入出金が可能です。

また、当事者同士で直接取引ができるため、不要な手数料がかかりません。

Brave

BraveはWeb3.0に対応した次世代型のブラウザです。

Google Chromeに代わるブラウザとして開発され、無料でインストールできます。

これまでのブラウザでは当然のように行われているデータの収集が一切なく、すべてのウェブサイトで広告をブロックする機能が標準で設定されているのが特徴です。

cookieの蓄積や広告表示を防げるため、従来のブラウザよりも2〜8倍高速にページを読み込みます。

広告の表示、非表示はユーザーが自由に設定でき、広告表示をオンにした場合は閲覧した広告数に応じて仮想通貨が手に入るというメリットもあります。

また、マルウェアやトラッカーをブロックする機能が搭載されるなど個人情報を守ることを第一に設計されており、セキュリティ面でも万全です。

メタバース

メタバース(Metaverse)とはインターネット上に構築された仮想空間のことです。

「高次元の」という意味のMetaと 「銀河系」のuniverseを合わせ、高次の別世界という意味があります。

ゲームや映画内の環境でも使われている技術です。

仮想空間に自分のアバターを作り、実際に行動させることもできます。

ビジネスシーンではバーチャル店舗やバーチャルオフィスなどに活用できます。

バーチャル店舗はアバターが接客することで人件費や管理費などのコストを抑えられ、営業時間の制約がないため顧客獲得の機会が増えるなどがメリットです。

また、テレワークの普及に関連してメタバースによるバーチャルオフィスも活用されています。

バーチャルオフィスではアバターを介した歓談ができ、オンライン会議だけでは難しい自由なコミュニケーションが可能です。

近年はメタバースを導入する企業も増えており、リアルな仮想空間で就活相談ができるサービスも提供されています。

Web3.0を扱う最新スタートアップ

Web3.0を活用したサービスの開発や運用を行うスタートアップも増えています。

2022年には日本人起業家7名がシンガポールでWeb3.0起業家向けのアクセラレーター事業を立ちあげるなど、Web3.0を運用するベンチャーの起業を支援する動きが加速しています。

Web3.0を扱う最新のベンチャーをいくつか見てみましょう。

【株式会社Gaudiy】

ブロックチェーンやNFTを含む最先端テクノロジーを活用し、独自のファンコミュニティサービスを展開するベンチャー企業です。

ファン体験構築プラットフォーム「FPaaS」を運営し、これまで分断されていたファン体験を統合して、これまでにないファン体験の構築を創出しています。

【株式会社フィナンシェ】

ブロックチェーン技術を活用した、NFT事業やトークン型のクラウドファンディング「FiNANCiE(フィナンシェ)」を運営するベンチャー企業です。

「FiNANCiE(フィナンシェ)」は、スポーツチームやクリエイターがトークンを発行・販売することで資金を獲得するクラウドファンディングサービスです。

これまでのクラウドファンディングとは異なり、継続的な活動とコミュニティを有するという特徴があります。

【株式会社Minto】

Web3とクリエイター/コンテンツの事業を行うベンチャーです。

2018年にリリースしたブロックチェーンゲーム「CryptoCrystal」のNFTは、市場流通額が約5億円を超えました。

2021年には「The Sandbox」と日本初提携も実現しました。

メタバースでMinto Landをオープンしており、土地とNFTキャラクターは4分で完売しています。

Web3.0の注意点

Web3.0は次世代のインターネットとして注目を浴びていますが、広く普及するためにはまだ時間が必要です。

安全に利用できるためのルールや法律の整備を待たなければなりません。

また、Web3.0ではデータの所有権を各ユーザーが自己管理するため、ハッキングなどのトラブルはすべて自己責任です。

Web3.0における注意点について、見ていきましょう。

普及に時間を要する

Web3.0は提唱されてから日が浅く、ルールや監視体制の構築に伴う法律の整備にはまだ時間がかかります。

トラブルに対応する法整備も必要になるでしょう。

利用のハードルが高いことも課題です。

Web3.0のサービス利用は基本的に仮想通貨を用いて行われますが、仮想通貨を購入するプロセスは簡単ではありません。

今後は、一般的に参入のしやすい仕組みづくりも求められます。

トラブルは自分で解決する

Web3.0ではデータ管理が自己責任となるため、トラブルは自分で解決しなければなりません。

従来のサービスでは個人情報を開示する代わりに企業が対応してくれていたことも、Web3.0ではすべて自分で対処することになります。

例えば、IDとパスワードを忘れた場合、運営側に問い合わせれば再登録や再発行をしてもらえます。

しかし、Web3.0では暗号資産を管理するパスワードを忘れた場合は対処できず、取り出せなくなるのです。

データ流出などのトラブルが発生しても、個人で対応しなければなりません。

セキュリティの高いデータ管理の方法やトラブルの対処法を把握しておくことが必要です。

Web3.0はインターネットの新しいあり方

Web3.0はWeb2.0の問題点を解決でき、インターネットの新しいあり方として注目されています。

セキュリティを強化できる、個人情報や閲覧履歴を管理できるといったメリットがあり、サーバーが安定するのも利点です。

一般に広く普及するにはまだ時間がかかりますが、すでにWeb3.0を導入したサービスを展開して活躍するベンチャーは少なくありません。

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