エンジェル投資家になるには、ある程度の資金を用意しなければなりません。
多額の資金を投資してリターンを得ますが、近年では少額でもエンジェル投資できる方法が人気を集めています。
本記事では、エンジェル投資のメリットや、エンジェル投資家になるにはどうしたらよいかについて紹介します。
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エンジェル投資家とは？
エンジェル投資家とは、創業間もない企業などに投資をする個人投資家です。
出資した企業が上場、もしくはM&A（事業の合併や買収）した際にリターンを得ることを目的としています。
立ち上げたばかりの企業は実績がないため、金融機関からの融資は難しいのが実情です。
そのような会社に投資するのがエンジェル投資家で、「資金に困っている会社を天使のように救う」という意味からエンジェル投資家と呼ばれています。
ここでは、エンジェル投資家が投資をする目的や、一般的投資との違いについて紹介しましょう。
エンジェル投資をする目的
エンジェル投資家がエンジェル投資を行うのは、企業が上場した際に得られる株式の売買差益を得るためです。
企業に出資をして株式を譲り受けたあと、企業が上場して株価が上がったときに売却することで大きな利益を得ることを目的としています。
ただし、純粋に企業のビジネスに共感し「支援したい」という気持ちから投資をするエンジェル投資家も少なくありません。
一般的な投資との違い
エンジェル投資家の投資は、一般的な株式投資とは目的が異なります。
多くの一般的な投資家は、企業が業績を伸ばして収益を上げることを期待し、利益からの配当を得ることを目的としています。
しかし、エンジェル投資家はこのような継続的な利益は求めていません。
企業が上場する、もしくは事業を売却するといった時点で利益を確定させることを目指しています。
上場を目指す企業に出資
売却差益を目的としている以上、エンジェル投資家は上場を目指す企業に投資します。
上場を目的としない企業に投資しても、株価上昇による利益の獲得は期待できないからです。
しかし、投資の際、売却差益以外に利益の還元方法を設定することもできます。
毎月の売上から何パーセントかを支払う、定期的に固定額を支払うなどの取り決めをして、上場とは関係なしに出資をしてもらうことも可能です。
エンジェル投資することのメリット
エンジェル投資家が多額の出資をする理由は、いくつものメリットがあるからです。
上場による大きなリターンが期待できることが最も大きな利点ですが、それ以外にも、税制上の優遇を受けられる、ビジネスの人脈が広がるなどのメリットがあります。
ここでは、エンジェル投資することの3つのメリットについて紹介しましょう。
大きなリターンを期待できる
エンジェル投資には投資した資金を回収できる保障がなく、回収できる融資と比べてリスクはあります。
しかし、大きなリターンが期待できるのがメリットです。
株式投資によるリターンには上限がなく、特に新興企業が成功を収めて上場すれば、より大きなリターンが得られるでしょう。
上場やM&Aなどにより、株式の価値は出資額の数倍から数百倍にまで値上がりする可能性もあります。
エンジェル税制が適用される場合がある
新しい企業への投資を促進するため、中小企業庁では税制上の優遇措置を行う制度を設けています。
優遇措置は投資額から2,000円を差し引いた額をその年の所得額から控除できるといった内容で、投資した時点と株式を売却した時点のそれぞれで受けることができる制度です。
エンジェル税制は企業側と投資家側のどちらにも満たさなければならない要件があり、すべてのエンジェル投資が優遇措置を受けられるわけではありません。
投資やビジネスの人脈が広がる
エンジェル投資は支援される企業にとって、エンジェル投資家を通した人脈が広がるというメリットがあります。
これはエンジェル投資家にとっても同じです。多くの起業家を支援することで、投資やビジネスの人脈を広げることができます。
また、エンジェル投資家は自身の経験を活かしてアドバイスやノウハウを企業に与え、支援する新興企業が成長していく姿を見届けるという楽しみもあります。
エンジェル投資を行う4つの方法
従来、エンジェル投資家になる人は起業家の経験がある場合が多く、限られた一部の方しかなれないという印象もありました。
かつてエンジェル投資家に支援を受けて自社を成長させたという経験をもとに、新たな起業家を支援するという構図です。
しかし、今日多くの新興企業が設立されるなかで資金不足に悩む起業家も多く、エンジェル投資家から援助を受けられる企業は限られています。
そのため、より手軽にエンジェル投資ができるよう、少額からエンジェル投資ができる方法が求められている状況です。
ここでは、エンジェル投資を行う4つの方法について紹介しましょう。
1.ベンチャーキャピタルを通じて投資する
有望なベンチャー企業に特化して投資したい場合、投資会社であるベンチャーキャピタルを通じて投資するという方法があります。
ベンチャーキャピタルが提供するベンチャーファンドに出資して、間接的な投資を行うというものです。
投資先の資産やリスクの分析はベンチャーキャピタルが行うため、初めての場合でも比較的リスクを抑えてエンジェル投資できる方法といえるでしょう。
2.マッチングサービスを利用する
エンジェル投資家と起業家を結びつけるマッチングサービスを利用するという方法もあります。
登録することで、豊富な企業の中から投資先を選べるサービスです。
企業から提示された事業計画を確認でき、起業家と直接会って交渉することもできます。
投資額や資金の還元方法について話し合い、最適な方法を設定することが可能です。
マッチングサービスでの投資額は、最低でも100万円程度からが目安となっています。
3.証券会社を通じて投資する
ベンチャーファンドは一部の証券会社でも取り扱っています。
ベンチャー企業への投資による成果を、投資信託のプランにより投資家に分配する仕組みです。
少ない資金で未上場企業への投資を行えるのがメリットで、株式投資と同じような感覚でエンジェル投資ができます。
未公開株投資の専門家が投資方針に沿って運用を行い、投資信託の特徴である分散投資でリスクを抑えた投資が行われるのが特徴です。
4.クラウドファンディングを利用する
株式投資型クラウドファンディングを利用する方法もあります。
クラウドファンディングとはインターネットを通して自分の活動を発信し、共感した人から資金を集める方法です。
「購入型」や「寄付型」といった種類があり、出資者にはサービスや商品が還元されます。
エンジェル投資ができる株式投資型クラウドファンディングもこの一種で、出資の見返りに企業の株式が提供されます。
クラウドファンディングを通して複数人とともに投資するという形態です。
投資できる額は1社に対して1年間に50万円以下となり、10万円程度と少額から投資できます。
株式投資型クラウドファンディングの事例
株式投資型クラウドファンディングは少額から手軽にエンジェル投資ができるということで注目を集めており、いくつものサービスが展開されています。
そのなかでも注目度が高いのは、次の4つです。
- FUNDINNO（ファンディーノ）
- CAMPFIRE Angels
- ユニコーン
- イークラウド
ここでは、それぞれの特徴について紹介します。
FUNDINNO
FUNDINNOは、2017年にサービスを開始した日本初の株式投資型クラウドファンディングです。
2021年8月現在での累計成約件数は188件で、累計成約額は62億円を超えています。
投資は10万円程度から可能で、紹介するのは、厳正な審査を通過した将来性あるベンチャー企業ばかりです。
投資先の企業が上場を果たしたときは大きなリターンが期待でき、ビジネスの進捗情報をIRとして定期的に受け取れるため、成長を楽しむこともできます。
CAMPFIRE Angels
2020年にリリースされたサービスで、1口10万円程度から投資できます。
投資先は、さまざまな観点からファイナンスのプロが厳正に審査して選んだ企業ばかりです。
株主として企業と交流しながら、成長を応援することができます。
企業の情報は、上場企業が増資時に開示する有価証券届出書に準じた書式の書面が用意されており、豊富な情報量から投資先を選択できるのが魅力です。
イークラウド
2020年に開始したサービスです。
メンバーはベンチャーキャピタルでの投資経験者などで構成され、プロの目で投資先企業を厳選しています。
投資家の登録はスマホで完結し、登録後すぐに投資も可能です。
大和証券グループと連携して事業運営しているため、投資が初めてでも安心して利用できます。
IR情報を定期的に配信するため、上場など利益が確定するまでの期間は企業の成長が楽しめるのがメリットです。
支援者への感謝として商品やサービスの割引など株主優待を実施する企業もあります。
ユニコーン
2019年に開始したサービスです。
投資銀行や証券会社出身者が多く在籍し、財務状況や今後の事業計画などの事前審査を行い、投資先企業を厳選しています。
IoTやAIなど、最先端技術によって社会課題を解決するベンチャー企業の発掘に尽力しているのが特徴です。
投資先企業からは定期的に株主優待を受け取れるなど、リターンだけではないメリットが得られます。
エンジェル投資家になる方法は複数ある
エンジェル投資家は創業間もない企業に投資をして、上場後のリターンを得ることを目的としています。
従来は数百万〜数千万の投資が一般的でしたが、近年では株式投資型クラウドファンディングの登場で、少額での投資もできるようになってきました。
まだ新しいサービスですが、多数の有望企業が登録して多くの資金を集めています。
初めての方でも、手軽に始められるエンジェル投資といえるでしょう。
