コラム

ベンチャー/スタートアップのストックオプションとは?魅力や注意点も解説

ベンチャー企業の中には入社時の条件としてストックオプションの設定がある企業もあります。このような企業に就職・転職することにはどのようなメリットがあるのか、また、何に注意をできるのかについて見ていきましょう。

ストックオプションとは

ストックオプションとは、会社の従業員や役員が自社の株式を特定の条件下で購入できる権利のことです。ベンチャー企業の中にはストックオプションを設定し、従業員や役員へのインセンティブ代わりに提供しているケースがあります。

元々はアメリカで利用されることがある制度でしたが、日本でもベンチャー企業を中心に徐々に広まってきました。主な特徴としては、次の3つを挙げられます。

  • 指定期間内なら定額で株式を購入できる
  • いつでも自由に売却できる
  • 権利を行使しないのも自由

指定期間内なら定額で株式を購入できる

ストックオプションには、利用可能な期間と価格が定められており、期間内であればいつでも株式を定額で購入できます。例えば、1株を3,000円で購入できる権利を与えられたとしましょう。

期間内であれば株価に関係なく1株を3,000円で購入できるため、株価が上昇すれば、その分だけ割安な価格で株式の取得が可能です。

いつでも自由に売却できる

ストックオプションは自社の株式を特定の条件下で購入できる権利です。

そのため、売却に関しては何の規定もありません。株式が十分に高くなったと判断したときに全部売却して利益を確定することもでき、反対に、株価が暴落するときには早めに手放して損失を抑えることもできるでしょう。

もちろん、売却せずにいつまでも保有し、子や孫に財産として遺すことも可能です。

権利を行使しないのも自由

ストックオプションは自社の株式を「購入できる」権利です。

購入したくないと考えている従業員や役員は、購入しないという選択もあるでしょう。

例えば1株を1,500円で購入できる権利であったとしても、実際の株価が1株800円のときにはストックオプションを行使するよりも普通に株式市場で購入するほうが割安です。

ベンチャーのストックオプションの条件と特徴

ベンチャー企業の中には、入社時の条件としてストックオプションを提供されることがあります。まだ創立して日が浅く、給料が低い企業も多いため、ストックオプションがあることで将来の利益を楽しみにして働くことができるでしょう。

ベンチャー企業のストックオプションには、次の2つの特徴があります。

  • 無償と有償がある
  • 社員数が少ないと獲得できる株数は増える

無償と有償がある

ストックオプションは予め定められた価格で株式を購入できる権利ですが、ベンチャー企業の場合は未上場のことも多いため、価格が無料に設定されていることもあります。

この場合は上場して価格がつくだけでも利益を得られることになり、従業員側の受けるメリットもより大きなものとなるでしょう。また、有償であっても価格が低く設定されている場合は、お得に自社株を購入することが可能です。

社員数が少ないと獲得できる株数は増える

ストックオプションは、購入できる株数に限度が定められています。

限度を定めない場合は、社員が購入を希望する株数が発行株式数を超えてしまったり、株価が高騰したときに社内で株式の争奪戦になったりすることが想定されるでしょう。

また、社員数が少ないと一人あたりの獲得可能株数は増え、反対に社員数が多いときは株数は減るので注意が必要です。

ベンチャーのストックオプションの条件と特徴

ベンチャー企業に転職を希望する人の中には、ストックオプションがあるかどうかで企業を判断する人もいます。実際に、ストックオプションは転職の決定要因になるほどの魅力を持つ制度です。主な3つの魅力について見ていきましょう。

  • 企業の成長により利益を得られる
  • 仕事を頑張る励みになる
  • まとまった資産形成ができることもある

企業の成長により利益を得られる

ストックオプションがあれば、株価に関係なく定額で自社株を購入することが可能です。つまり、安価に株式を入手しておくことで、株価が上昇すればするほど利益を得られるようになります。

社員・役員として自社の成長は当然嬉しいことですが、ストックオプションがあることで自分自身の財産が増えるという嬉しさも味わるというメリットがあるのです。企業成長の喜びをダイレクトに感じたい人も、ストックオプションのある企業への就職や転職を検討することができるでしょう。

仕事を頑張る励みになる

会社が成長すればするほど、企業価値は高まり、株価も上昇します。

つまり、社員一人ひとりの頑張りが、自社株の価値、ひいては各社員が保有する株式の価値を左右するのです。

仕事を頑張っても必ずしも給料が増えるわけではありませんが、株価が上がれば保有株式の価格は上がるため、事実上のインセンティブとなるでしょう。

まとまった資産形成ができることもある

株価が大きく上昇した場合は、まとまった資産を形成することもできます。例えば2018年に東証マザーズに上場したメルカリは、会社設立からわずか5年で上場した急成長企業です。

上場日の終値で計算すると、35人もの人が6億円以上もの資産を獲得したことになります。そのうち14名は従業員だったことから、ストックオプションを通して多くの従業員が億万長者になったといえるでしょう。

ベンチャーのストックオプションの条件と特徴

企業成長がダイレクトに自己資産の増加につながるストックオプションは、働く意欲の増加にもつながる制度です。しかし、良い点ばかりというわけではありません。

ストックオプションを得られたとしても利益につながらないケースや、多額の税金が生じるケースもあります。特に次の5点に注意をして、ストックオプションを活用するようにしましょう。

1.利益を得られるとは限らない

ストックオプションで設定された価格よりも株価が上昇すれば利益を得られますが、ストックオプションで設定された価格が実際の株価よりも低くなるケースもあるため、必ずしも利益を得られるとは限りません。

低い給料や手当の代わりにストックオプションが設定されている場合には、損をしたような気持ちになることでしょう。

また、ストックオプションで設定された価格が高く、いつまで経っても権利行使のチャンスが訪れないという可能性もあります。

就職・転職するときには、ストックオプションの条件だけでなく、企業の成長可能性についても厳しくチェックするようにしましょう。

2.権利行使に条件があるケースも多い

ストックオプションには利用期間と価格以外にも、さまざまな条件が定められていることがあります。

例えば上場するまでは株式を購入できない、また、会社の利益が一定以上になるまでは購入できないなどの条件が定められている場合には、何年待ってもストックオプションの行使ができないという状況になりかねません。

入社前にストックオプションの権利行使の条件についても確認しておきましょう。

3.無償で得る場合に課税されることがある

無償で得られるストックオプションの場合、ほとんどのケースにおいて給料の一部としてみなされることになります。そのため、受け取る際に金額によって合計最大約55%の所得税等を支払わなくてはいけません。

無償のストックオプションの権利を行使する際も、有償のストックオプションと同様、株式という換金性はあるものの現金ではないものを受け取ることになります。しかし、発生した所得税等は現金で納めなくてはいけません。手持ちの現金が少ない場合には、ストックオプションの行使が難しくなることもあるでしょう。

なお、有償のストックオプションの権利を行使する場合は、金額の多少に関わらず現金という対価を支払うため、株式が給料の一部とみなされることにはなりません。そのため、どんなに多額を支払った場合、あるいは少額のみを支払う場合であっても、所得税等の納税の義務は免れます。

無償でストックオプションを得られる場合は、所得税等が派生しない「税制適格」のストックオプションなのか確認しておくようにしましょう。税制適格かどうか分からない場合は、例え1円でも良いので有償のほうが節税できるケースが多いです。

4.売却時にはかならず税金が発生する

有償であれ無償であれ、ストックオプションを行使して獲得した株式を売却するときには、約20%の税金が発生します。

無償で株式を受け取る場合とは異なり、現金による利益があるため税金が支払えないということにはなりませんが、せっかくの利益のうち約1/5が差し引かれることで、損をしたような気分になるかもしれません。

5.入社時期が遅いと利用できない可能性もある

ストックオプションの条件は入社時期によって異なることがあります。最初に入社した人は安価で大量に購入できたり、遅くに入社した人は少し割高な価格が適用されたり、購入可能な株数が低く抑えられていたりすることもあるでしょう。

また、入社時期によっては、ストックオプションの制度が適用されないということもあります。ストックオプションがないと、企業が成長して上場したり株価が急騰したとしても、個人的な資産の増加は見込めません。とはいえ給料やボーナスなどが増える可能性はあるので、企業成長を目指して意欲的に働くことは大切です。

6.CXOクラスでも数%程度

ストックオプションをどれだけもらえるのかは企業の成長フェーズや従業員数、経営方針などによって異なりますが、多くの場合CXOクラスでも付与率は1%~5%程度です。

また、入社時の付与よりも、入社後に一定のパフォーマンスを出し、経営陣の信頼を得てから付与されるケースも多く、実態としてストックオプションを得るハードルはそれなりに高いと言えるでしょう。

スタートアップに入るのだからストックオプションをもらって当たり前、というような考え方は避けた方が良いと言えます。

ストックオプションの条件を確認しておきましょう

ストックオプションによって多額の利益を得られることもありますが、購入時の条件が厳しく、なかなか権利を行使できないことや、思ったほど企業が成長せず利益に結びつかないこともあります。

ストックオプションのあるベンチャー企業に転職・就職する際には、ストックオプションの権利行使の条件や制限を確認しておくようにしましょう。

フォルトナベンチャーズでは、ストックオプションの付与される非公開求人も多数保有しております。

ストックオプションに関するアドバイスをお求めの方や、ストックオプションのある求人をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。

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