SHAPE Partners ×元福岡ソフトバンクホークス監督 工藤公康様 ×フォルトナ スペシャルインタビュー

-SHAPE Partners × Fortna Special Interview-

株式会社SHAPE Partners(以下、SHAPE Partners)は、「一人ひとりの生活を“笑顔・感動・熱狂”で彩り続ける」というビジョンを掲げ、「想いを持った仲間と“人間らしさ”を共創する」ことをミッションに、エンタメ/スポーツ業界を中心に新たな価値創造を目指すベンチャーファームです。

スポーツビジネスの変革にも注力する同社は、2024年5月、フォルトナ支援のもと、元ソフトバンクホークス監督の工藤 公康様を顧問として迎えました。

今回、SHAPE Partners代表取締役CEOの藤熊 浩平様、Managing Director COOの駒宮 健大様、そして顧問の工藤 公康様に、SHAPE Partners設立・参画の経緯や今後の展望についてお話しいただきました。

インタビュアーはフォルトナ岡部が務めます。

藤熊 浩平様 プロフィール
代表取締役CEO。
複数の外資系戦略コンサルティングファーム等を経て、2022年にSHAPE Partnersを創業。大学時代は野球部に在籍し、4年時には4番打者として、東京六大学野球リーグ年間5勝に貢献。
共著書に『コンサルが読んでる本 100+α』

駒宮 健大様 プロフィール
Managing Director COO。
外資系戦略コンサルティングファームを経て、2023年にSHAPE Partnersに参画。大学時代は野球部に在籍し、4年時には学生コーチを務め、チーム全体の戦術、采配をリード。卒部後は出身高校の野球部のコーチ/助監督を務める。

工藤 公康様 プロフィール
顧問。
元プロ野球選手、監督。2024年5月より株式会社SHAPE Partners顧問に就任。豊富な経験と実績を生かし、スポーツ界の発展に貢献。
2020年監督在任中ながら筑波大学大学院人間総合科学研究科体育学専攻を修了。体育学修士取得。2022年4月より同大学院博士課程に進学、スポーツ医学博士取得に向け研究や検診活動を行っている。

SHAPE Partners設立の背景と想い -売上至上主義からの脱却、メンバーファーストの価値観-

[岡部]
本日はよろしくお願いします。まずは、SHAPE Partners設立の経緯や、目指している方向性についてお話しいただけますか?

[藤熊様]
私は長年コンサルティング業界に身を置いてきましたが、多くのファームが売上至上主義に陥っていることに、いつしか疑問を抱くようになっていました。
本来は、作りたい世界や提供したい価値が先にあって、その理想を追求するためには規模(売上)も必要、というのが正しい順序のはずですが、目先の売上のための仕事を優先する「手段の目的化」のような場面をよく目にしました。
そのような状況をアンチテーゼとしながら、SHAPE Partnersを創業する際、最初に決めたコンセプトが「メンバーファースト」です。一人ひとりの想いを尊重し、その想いに共感する仲間が集うことで、クライアントや社会に新たな価値を提供できるのではないかと、このファームを立ち上げました。それが社名の由来でもあります。

[岡部]
私もコンサルタント時代に多くの企業を支援するなかで、自社の売上を優先するファームもあると感じていました。貴社のように、クライアントや社会に本当の価値を提供することに焦点を当てるファームは素晴らしいと思います。

[藤熊様]
ありがとうございます。新参者として、既存のコンサルティングファームと同じことをやるのでは意味がないと考えています。「コンサル」というビジネスモデルが確立された今、改めて原点に立ち返り、「想い」を基軸にビジネスを成立させられるのかが、私たちのチャレンジです。

[工藤様]
素晴らしい理念ですね。私も現役時代、そして監督時代を通じて、選手一人ひとりの情熱や個性を尊重することの重要性を痛感してきました。選手が自分のやりたいことを追求し、それがチームの勝利につながる。そんな理想的な環境を作るために、指導者として常に心がけてきました。

選手ファーストという考え方は誤解されやすいですが、単に選手の希望を叶えることではありません。選手が目指す未来を共有し、その実現に向けたサポートをすることが重要です。選手の成長を促し、チーム全体の底上げを図ることが、真の選手ファーストだと考えています。
そのためには、理想を掲げるだけでなく、現実的な視点も欠かせません。小さな成功体験を積み重ねることで、選手は自信を深め、さらなる成長へとつながります。また、選手自身が自分の成長がチームの勝利に直結することを理解し、主体的に取り組むことが重要です。

7年間の監督経験を通じて、私は「選手が成長しなければ、チームも成長しない」という当たり前の事実を改めて実感しました。勝利至上主義に陥ることなく、選手一人ひとりの成長を促すことが、最終的にはチームの勝利、そしてファンの喜びにつながると信じています。

[岡部]
SHAPE Partnersの掲げるメンバーファーストの理念に通ずるものがありますね。

[工藤様]
ええ。選手が人気を集めれば、自然とファンが増え、グッズも売れる。そして、選手が活躍すればチームが勝つ。このサイクルがしっかりと回ることで、チームはさらに強くなります。しかし、昔の考え方では、勝つために選手の欠点ばかりを指摘し、修正しようとする傾向がありました。選手たちは、本当は前向きに成長したいのに、どうしても後ろ向きな気持ちになってしまう。そして、「このままでいいのか」と悩むことも多かったです。

[駒宮様]
ホークスでは、単に「勝つ」だけでなく、「勝ち続ける」ことが求められるように感じます。そのためには、選手のモチベーションを高めることと、組織全体の力を引き出すリーダーシップが重要なのではないでしょうか?

[工藤様]
意外かもしれませんが、私たちは「連覇するぞ」とは言わないんです。選手たちが自分のやりたいことを考え、それがチームにどうプラスになるかを自ら考えるのが大切です。誰かが引っ張るのではなく、選手が迷っているときには、役割を示して集中させるようにしています。
例えば、先行きに不安を感じている選手には、その選手に合った具体的な役割を提案し、その役割に集中させることで、パフォーマンスを引き出すようにしています。

[岡部]
次に駒宮さんにお伺いします。駒宮さんは、どのような経緯でSHAPE Partnersに参画されたのでしょうか?

[駒宮様]
大学時代に所属していた硬式野球部の先輩にあたるのが藤熊さんです。私たちは8年ほど学年の差があり、直接チームでプレーすることはありませんでしたが、就職活動中のOB訪問で藤熊さんを紹介していただき、コンサルタントというキャリアに興味をもつきっかけとなりました。
その後、新卒で外資系戦略コンサルティングファームに入社し、偶然にも同じ会社に藤熊さんがほぼ同時期に転職してきたことで、再会することになりました。同じプロジェクトを担当することはありませんでしたが、情報交換は続けていました。

そのようななかで、藤熊さんが独立してSHAPE Partnersを立ち上げようとしている話や、プロ野球チームの案件に関わっていること知り、また従来のコンサルティングビジネスに拘ることなくスポーツ界を盛り上げたいという想いを伺いました。私は学生の頃から「いつか日本の野球界の発展に貢献できる仕事をしたい」と思っておりまして、「メンバーファースト」という理念を掲げる藤熊さんの元であれば、夢の実現に近づいていけるのではと思い、SHAPE Partnersへの参画を決めました。
また、ゼロから新しい会社を、仲間を集めながら作り上げていくというプロセスに主体的に関わっていけることにも、非常に魅力を感じました。

[岡部]
実際に入社してみて、SHAPE Partnersのどのような点に魅力を感じていますか?

[駒宮様]
メンバーそれぞれが、自分の価値観ややりたいことを自由に追求できる環境です。売り上げよりも、メンバーの興味や関心を大切にし、すぐにビジネスにつながらなくても、自由に挑戦できる環境があります。
私自身、この自由な環境のおかげで、共感できる仲間と出会い、思いがけない形で仕事や人とのつながりが広がっています。野球に関する仕事も、まだまだ微力ではありますが多方面でさまざまな機会をいただくことができています。
このように自由な挑戦を応援してくれる社風が、SHAPE Partnersの最大の魅力だと感じています。

[工藤様]
駒宮さんの話を聞いて、改めてフィーリングや感覚的な部分が大事だと感じました。人にはそれぞれ、求めるものややりたいことがあると思います。私自身、監督を退任してから多くの方々と出会うようになり、さまざまな話を聞くことができました。そのなかで、「もし良かったら一緒に何かやろう」と声をかけてくれる方も増えました。視野が広がることで、新たな楽しみやアイデアがみえてきます。

ときには意見が合わなかったり、すれ違ったりすることもありますが、それでも共通の目的をもつことが原点として重要だと感じています。年齢に関係なく、同じ目標に向かって進める人との出会いは、とても価値のあることだと思います。

多岐にわたる支援領域 -スポーツ、エンタメ、BtoC生活関連事業etc-

[岡部]
SHAPE Partnersの事業内容についてお聞かせください。
具体的には、どのような業界に対してコンサルティングを行っているのか、またどのような案件を手がけているのか、詳しく教えていただけますか?

[藤熊様]
私たちは「一人ひとりの生活を“笑顔・感動・熱狂”で彩り続ける」というビジョンを掲げていて、そのため自ずとBtoCの生活関連事業を展開するクライアントが支援の中心となっています。最近、弊社メンバーの家庭に立て続けにお子さんが産まれたのですが、男の子向けにも女の子向けにも、クライアントの商品だけで素晴らしい出産祝いをアレンジできたのは、私たちらしいエピソードかなと思います。

なかでも、スポーツを含めたエンターテイメント業界には力を入れていて、売上の半分以上を占めています。スポーツに関しては、私も含めた初期メンバーの「想い」が強いので、売上は現状2割程度ですが、実際の時間投下でいうと5割、マインドシェアでいうと8割くらいは費やしているかもしれません(笑)。

[岡部]
具体的にどのような案件を手がけているのか、いくつか例を挙げていただけますか?

[藤熊様]
前職のコンサルティングファームでも手がけていたような、新規事業開発や業務変革などの一般的な支援メニューに加えて、エンタメ/スポーツの領域においては、業界固有の本丸テーマにも取り組んでいます。具体的には、エンタメ企業のクリエイティブ面での戦略や、プロスポーツチームの競技面での戦略などです。

また、案件のスタイルとして、短期集中型のパッケージプロジェクトではなく、長期伴走型の柔軟な支援体制をとっているため、クライアントと深い信頼関係を築きながら、継続的に取り組んでいく案件が多くなっています。

[岡部]
スポーツ関連の案件は売上の2割程度とのことですが、現状の案件の内容や、今後強化したい分野についてお聞かせください。

[藤熊様]
現状、既存のプロスポーツチームの支援と、新たにスポーツ業界に参入したいと考えている企業の支援とで半々くらいでしょうか。
日本のスポーツ産業は、海外と比較すると、規模の観点でも収益性の観点でも、大きく水をあけられている状況です。しかし、別の見方をすると、まだまだ伸びしろがあるわけで、日本のスポーツ業界の発展と自分たちの成長が、歯車のようにがっちりかみ合う状態を目指したいと考えています。

[駒宮様]
最近では、スポーツベッティングやスタジアム・アリーナビジネスなど、将来的に成長が期待される分野に乗り出そうとしている企業が多く、新規事業としてスポーツ業界に参入するケースが増えています。そのような企業のスポーツ事業参入やクラブチーム買収に対する支援が、私たちの事業のなかで多くなっています。

[岡部]
興味深い取り組みとして、アジア甲子園やアフリカ甲子園なども行っていますよね。それらの活動について、具体的な取り組みや、その背景にある思いについてお聞かせください。

[駒宮様]
アジア甲子園は、私の大学野球部時代に同じリーグだった先輩の柴田章吾氏が発起人となり、「日本の甲子園ブランドをアジアに輸出する」ことをミッションに、甲子園の感動をアジアで再現することでアジアの野球振興、日本野球の市場拡大につなげるという非常に野心的な取り組みです。
柴田氏は、大学卒業後プロ野球選手となり、その後セカンドキャリアとしてコンサルティングファームに入社したのち、そこでの経験を生かして現在は起業家として活動されております。とても華々しいキャリアを歩まれている方ですが、その原体験となっているのが、難病を患いながらも自らの努力で勝ち取った高校3年生夏の甲子園出場にあります。この甲子園への挑戦を通じて得た感動をアジアに広げたいという想いから、本取り組みを立ち上げ、主導されています。

私もその思いに共感し、現在では会社として、事業戦略やスポンサー開拓などでサポートをさせていただいています。毎週のように議論を重ねながら進めていますが、日本の野球市場の拡大やアジアに感動を伝える活動は、非常にユニークで意義深いと感じています。

アフリカ甲子園についても、弊社メンバーがSHAPE Partner参画前からアフリカ甲子園を主催している方のサポートをしており、弊社参画後も事業戦略の支援を行っています。

[岡部]
ビジネスの視点と社会的な価値の両方にアプローチしていることが非常に興味深いです。特に、お金だけでなく、社会に対する貢献を大切にしている点が印象的です。

次ページ:工藤公康様の参画 -共感した理念、スポーツ界への熱い想い-

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