KPMGコンサルティング(Strategy & Transformation)×フォルトナ スペシャルインタビュー

公開日:2024.12.13 最終更新日:2024.12.16


世界有数のプロフェッショナルネットワークであるKPMG。その日本におけるメンバーファームとして、ビジネストランスフォーメーション、テクノロジートランスフォーメーション、リスク&コンプライアンスを手掛けているのがKPMGコンサルティング(以下、KC)です。
なかでもStrategy & Transformation(以下、ST)チームは、KCにおける戦略コンサルティングチームとして、全社/事業戦略の策定から事業開発や実行支援、経営の根幹にかかわる業務の抜本的見直しなど、企業にとってクリティカルな命題の解決を支援しています。

今回は、執行役員 パートナーの坂本 正明様と、同じく執行役員 パートナーの井城 裕治様にインタビューしました。

インタビュアーはフォルトナ佐津川が務めます。

坂本 正明様 プロフィール
執行役員 パートナー。
複数の戦略/人材コンサルティングファームに30年以上在籍し、新規事業立上げや事業売却といった事業ポートフォリオ戦略、コーポレートガバナンス、経営人材に関わるコンサルティングに従事。近年は経営人材評価や社長・経営幹部へのエグゼクティブコーチングを通じ、企業のタレントマネジメント実務を支援。これまで担当した業界は製造業、建設業、IT・インターネットサービス、金融・プライベートエクイティ、小売業など。米国・韓国・メキシコでの勤務経験、および多くのクロスボーダー案件でプロジェクト統括経験を有する。

井城 裕治様 プロフィール
執行役員 パートナー
IT系企業と外資系総合コンサルティングファームを経てKPMGへ参画。コンサルタント歴は18年。現在はKPMGコンサルティングのStrategy & Transformationチームのパートナーとして新規事業の立ち上げ支援や事業戦略立案支援などに従事。

社内文化を大切に、KPMG10周年へ

[佐津川]
本日はよろしくお願いいたします。井城様には3年前にもご登壇いただいて、再びお話を伺えることを非常に嬉しく思っています!
では、まずお2人のご経歴を紹介していただけますか?

[坂本様]
30年以上前の話になってしまいましたが、大学卒業後にそのまま外資系戦略コンサルティングファームに入社しました。当時はバブルの末期で、多くの人が日本の有名企業に就職するなか、あえて外資系コンサルティングファームを選んだのは、少し変わったキャリア選択だったと思います。その後、戦略コンサルティングの仕事と人材系の仕事(特にエグゼクティブサーチを中心に経営者人材のコンサルティング)に携わり、各分野で約15年間働いてきました。直近3年間は日系のコンサルティングファームでコーポレートガバナンスの業務に従事したのですが、コーポレートガバナンスは、経営の意思決定の仕組みとそれを支える人材に関する業務であり、「戦略×人材」という私のキャリアに通じる領域でした。
KCには昨年、知人からの声かけをきっかけに、仲間に加わることになりました。KC入社後は新しい環境のなかでキャッチアップしなければならないことが多く、日々課題に直面している感覚もあります。しかし、KCには「仲間として受け入れる」という文化が根付いており、お互いをリスペクトする姿勢をもっているので、威圧的な雰囲気はほとんどありません。そんな環境のおかげで、新しく入った、しかも年配の私も温かく迎え入れていただいています。
実際、やることは山積みで、このSTチームもトランスフォーメーションの真っ只中にあります。変革のなかで、変わりゆく環境を楽しみながら取り組んでいるのが、今の状況です。

[井城様]
私は大学卒業後、IT系の事業会社に5年間勤務しました。その後、別の外資系総合コンサルティングファームに7年半勤め、10年前にKPMGコンサルティングに入社しました。今年の7月にはKCの10周年アニバーサリーがあり、大きなイベントも開催されたのですが、私も会社が設立されて3か月後の2014年11月に入社したので、会社と同じく10周年を迎えることができました。佐津川さんとお話しさせていただいた3年前と比べ、質を重点的に追求し、社内文化にも重きを置いたKCらしい成長を遂げたなと感じます。

S&OからSTへ。全体最適を追求するオーケストレーターとしての役割

[佐津川]
以前インタビューさせていただいたときはStrategy & Operations(以下、S&O)という組織でしたが、新たにStrategy&Transformationチームが立ち上がった経緯について教えていただけますか?

[井城様]
以前より、総合コンサルティングファームであるKCとして、ストラテジー分野をどう強化していくかという議論がありました。その結果、「ストラテジー分野を会社の成長エンジン」の1つとして位置づけられ、非常に重要であるとの結論に至りました。
しっかりとこの分野で勝ち抜き、成長していくためには、質と規模を備えた競争力を兼ね備えることが必要です。そのためには、人材市場で一定の競争力をもつ組織体制を整えることが「十分条件」ではなく「必要条件」として求められました。この目的を達成するために、新たな職種を設け、新組織「Strategy&Transformation」を立ち上げるに至り、いまはその1歩を歩み始めたという状況となります。

[佐津川]
S&OからSTになり、具体的にはどのような点が変化したか教えてください。

[坂本様]
これまでは、サービスラインの1つとして「戦略の立案」と「企業変革の伴走」を専門領域としてきました。この2つをアセットとして、クライアントに価値を提供してきたわけです。
今回は、組織としてサービスラインから切り離す形にしています。これは、私たちの役割が単に戦略と変革の提供者であるだけでなく、クライアントである「経営者のパートナー・壁打ち役」を担うためです。
経営者にはサステナビリティ、リスク、テクノロジー、オペレーションなど多面的な悩みがあり、戦略だけで解決できるものではありません。総合コンサルティングファームの強みは、こうしたさまざまな分野の専門家が集まっていることです。その強みを生かして、戦略と変革の提供だけでなく、ファーム全体としての価値をクライアントに提供し、一緒に議論を深める役割を目指しています。
また、KC内においては、総合コンサルティングファームとしての価値をオーケストレーション(多様な個別サービス間の有機的結合により、顧客満足度の向上に結びつく全体的ビジネスプロセスの遂行完成度を高めること)する役割を担おうとしています。いわゆるT型組織(チームメンバーが専門的な深いスキルをもちつつも、他の分野の知識や経験も備えて協働できる柔軟性をもつ組織形態)で、他のチームと連携しながら全体をまとめあげる「オーケストレーター」を目指しています。

[井城様]
なので、個別の戦略案件だけを追いかけるだけでなく、戦い方やビジネスの進め方もそれに合わせて工夫しており、サービス提供の方法や位置づけもそうした考えを反映しています。戦略コンサルティングファームを専門とするファームのカバレッジは広いかもしれませんが、当社は総合コンサルティングファームとして各分野のエキスパートが揃っているため、より深い価値提供が可能ですし、組織内のセクショナリズムもなくスムーズに連携できています。これにより、オーケストレートされた価値をクライアントに届けられる点で競争力があると感じています。

[佐津川]
確かに、コンサルティング業界全体をみても、戦略コンサルティングの立ち位置が大きく変化しているように感じます。

[坂本様]
コンサルティング業は、今や誰もが手がけるものになってきています。その結果、コンサルタントはクライアントからのニーズに対して部分的なサポートをすることが多くなりました。しかし、企業の特定の部門への対応を続けていると、全社最適の視点を見失うことがあるのも事実です。これは、現在の日本のコンサルティング業界で起こっている現象だと思います。
売上を純粋に伸ばすだけなら、目の前の部分的なニーズに対応するだけでビジネスは拡大しますが、それだけで私たちが本当にやりたいことが実現できるでしょうか?戦略というものは、部分戦略も重要ですが、全体の戦略が部分戦略を規定するものです。私たちは会社全体にとって最適な形で経営者と向き合いたいという強い思いをもっています。そのために、現在のSTという組織のもとで、一人ひとりのコンサルタントがこうした全体最適に貢献することを目指して取り組んでいこうとしています。

[佐津川]
STになり、プロジェクトの組成方法は変わったのでしょうか?

[井城様]
S&O時代も私たちは主にインダストリーチームがリードを獲得してきた戦略プロジェクトの支援を行ってきました。これは今後も継続していきます。
これに加えて、STでは「経営者のパートナー・壁打ち役」として、経営トップの課題に直接向き合うポジションを市場で確立し、トップダウンでプロジェクトを生み出していくことにも取り組んでいきます。

[坂本様]
後者について具体的に言うと、私はコーポレートガバナンスを専門としているので、この分野に問題意識をもつ経営者の方々とディスカッションする機会が多くあります。そのなかで、「攻めのガバナンスだけでなく守りの部分にも改善を加えたい」という声がよく出てきます。もちろん、自分だけですべての専門知識をカバーするのは難しいですが、KCにはこの分野を専門的に追求しているプロフェッショナルがいます。そのプロフェッショナルと私が一緒にクライアントの課題について議論し、それが具体的なプロジェクトに結びつくこともあります。短期的にはSTという組織の稼働に直結しないかもしれませんが、こうしたコラボレーションを積極的に進めていこうと現在取り組んでいるところです。

[佐津川]
拡大を目的にするのではなく、「クライアントファースト」を第一に考えている貴社の姿勢が現れていますね。

[坂本様]
そうですね。社内ではこの数年、私たちの進む方向性についてさまざまな議論が行われています。そこで強調されているのは、短期的な成長や売上の増加ではなく、私たちもクライアントも同じ生態系の一部を構成するものとしてとらえ、長期的な視点でお互いに成長・繁栄していけるような価値提供をする役割を担うことです。
私たちは「共存共栄」や「持続可能なビジネス生態系の維持」を目指しており、そのために自分たちの存在意義を意識しながらクライアントに向き合っています。
これができるのは、当社で働くメンバーが非常に真面目に仕事に取り組んでいるからです。また、売上が全てという価値観から少し距離を置く企業文化や、社員の多様性が今の議論を可能にしているのだと思います。こうした雰囲気は最近入社した私にとっては非常に驚きでした。

[佐津川]
貴社を担当させていただいて4年目になりますが、KCにはクライアントの課題解決や、業界全体の成長・発展に貢献したいという思いをもった方々が入社していると感じます。その人たちにより、さらにその文化が育まれているのだとお話を聞いて納得しました。

[坂本様]
どのコンサルティングファームもやっていることは変わらないと思われるかもしれませんが、私たちは「それをやる環境が違う」と考えています。その結果、他ファームから転職してくる人も多いです。
皆さん、単に前職と同じ業務をするために来ているわけでなく、KCの価値観に共鳴し、ここで働くことに存在意義や楽しさをみつけてくれているのだと思います。私自身も、さまざまな組織に所属した経験がありますが、KCにいる人たちのキャラクターは本当にユニークだと感じています。

[佐津川]
昨年他社からご入社された坂本様だからこそ感じる、KPMGの具体的な雰囲気について教えていただけますか?

[坂本様]
KPMGのコーポレートカラーは青で、「青い会社」というイメージがあります(笑)。実際、どこか真面目で「青臭さ」があり、原理原則に忠実であるという印象です。
また、目の前の利益の最大化に対して少し違和感をもっている人が多いのも特徴です。どちらかといえば、個々が自分の職業人、プロフェッショナルとしての使命に忠実であり続けようとする姿勢が強い。その点が、KPMGの文化の最大の特徴ではないかと感じています。

[佐津川]
コーポレートカラーである「青」が社員のみなさまにも浸透しているのですね。
プロジェクトを通じて「STらしい」と思うことはありますか?

[坂本様]
クライアントの課題解決を支援していくにはST単独では難しいため、コンセプトの立案時からどのような体制で進めるべきかといった議論をよく行っています。
そのなかで、従来の業界の切り口では対応しきれない新たな課題に対し、STがプロジェクトをリードするケースも増えてきていると感じています。
例えば、多くの企業で新規事業を立ち上げようとする試みは行われているものの、実現は必ずしも簡単ではありません。そこで、なぜうまくいかなかったのか、どうすれば成功するプロセスを「仕組み化」できるのかといったテーマにも取り組んでいます。
その際、私たちのポリシーとして、クライアント自ら課題解決を行えるようになることをサポートする姿勢を大切にしています。別の言葉で表現すると、「ずっと私たちを使ってください」というスタンスではなく、クライアントからの要望に真摯に向き合う姿勢がSTの特徴だと考えています。

[佐津川]
具体的にどのようなテーマのプロジェクトに取り組まれているか教えてください。

[井城様]
現在、各企業が取り組んでいるのは、各業界の環境変化を踏まえて成長戦略や新規事業を立案することです。これは大きなテーマであり、私たちにとっても軸足となるドメインです。
もう1つの領域として、MaaSやスマートシティなど、民間企業と自治体、技術ベンダーが協力してエコシステムを形成するプロジェクトもあります。こうしたエコシステム構築や事業化の伴走を行うプロジェクトが増えており、これら2つが現在の大きな足元の取り組みです。
さらに、経営トップ層の悩みに対応する支援も進んでいます。例えば、次世代の経営層をどう育成するか、コーポレートマネジメント層のサクセッション(後継者育成計画)や、最近の投資家の動きを含む業界全体でのMBO(Management Buyout:マネジメント・バイアウト)の動きに伴う資本政策など、単なる事業戦略だけではなく経営に直結するテーマの支援も増えつつあります。これが、私たちが目指す支援範囲の拡大を示す内容だと考えています。

[佐津川]
グローバルプロジェクトに携わることはありますか?

[井城様]
最近の事例だと、日本発の新規技術を活用した海外事業展開の戦略プロジェクトが挙げられます。いわゆるアウトバウンド系のプロジェクトという事になりますが、それだけに限らず、最近STに外国籍のパートナーが2名加わったことで、インバウンドとアウトバウンドの両方で事業が加速していくと考えています。
S&O時代からクロスボーダーやグローバルプロジェクトの比率を増やしていきたいと考えていましたが、こうした潮流は私たちのサービスポートフォリオの進化として象徴的な出来事だと感じています。

[佐津川]
クロスボーダーの話もありましたが、KC内での他のユニットなどとのコラボレーションはいかがでしょうか?例えば、イノベーションの切り口ではBI(ビジネスイノベーション)ユニットと協業したりするのでしょうか?

[井城様]
はい。まさに今、私のもとで動いている宇宙分野のプロジェクトがそうです。STが案件全体をリードしながら、BIやセクターのエキスパートが入り、デリバリー体制を築いて動いている状況です。

[佐津川]
KPMGジャパンのメンバーとして、あずさ監査法人やKPMG税理士法人、KPMG FASなどとのコラボレーションについてもお聞かせください。

[坂本様]
クライアントからみるとすべて「KPMG」として捉えられているように、あずさ監査法人やKPMG FASとコラボレーションすることが基本方針です。一方で、これまでの成り立ちの違いから、お互いをよく知らない部分もあります。そこで、今後は情報共有を進めることを課題として取組んでいきたいと考えています。
実際の例として、先日、KPMG FASのパートナーとともにある企業を訪問しました。その企業に対する提供価値は互いの強みによって異なっていて、KPMG FASは事業の切り出しなどを担当し、私たちは現在サイバーセキュリティや内部統制の強化について担当しています。
KPMGジャパンにはさまざまな領域の専門家が揃っており、こうした複合的な価値提供が可能です。特にKPMG FASとKCが協力する機会を今後増やすことがKPMGジャパンの全体方針として打ち出されており、私はKC側の窓口となって進めています。例えば、KPMG FASが行うM&Aや事業のカーブアウトの後に、数年単位で必要とされる価値創出などの伴走支援で私たちSTが主導的な役割を果たします。
この一貫したKPMGジャパンとしての支援によって、クライアントの満足度が向上すると考えています。今、KPMG FASとKCの連携強化を改めて推進しており、KPMGジャパンとしてシームレスな価値提供を目指す動きが加速しています。

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