「企業を芯から元気にする」を理念に掲げ、様々な事業テーマにおいて経営支援サービスを行うリヴァンプ。
今回は、同社の経営支援チーム内で、CIO/CDOチームを率いる執行役員の柴山治様にお話を伺いました。
同チームの具体的な仕事内容から、柴山様のこれまでのキャリア、そして同社の魅力を紐解きながら、「何故リヴァンプがCXO人材を輩出できるのか?」という秘密に迫ったインタビューです。
※実は、柴山様を同社へ転職支援したのは、今回インタビューを行った弊社ディレクター春日でした。今では採用企業とエージェントという関係でタッグを組む二人が織りなす会話からは、お互いへの信頼感がよく伝わってきます。そのような側面にも注目してぜひご覧ください。
■柴山治様 プロフィール
株式会社リヴァンプ 執行役員 経営支援チーム CIO/CDOユニット管掌
国内SIerを経て、ベイカレント・コンサルティングにてスマートシティ構築や、日本の生保業界初となるPCI-DSS認証取得プロジェクト等に従事した後、メットライフにて新規部門の立ち上げを牽引。その後渡米し、MBAを取得。帰国後、リヴァンプへ参画。現在は経営支援チームにおいて、CIO/CDOユニットを管掌している。
ワシントン大学Global Executive MBA修士課程(Master of Business Administration)修了。
CIO/CDOチームの仕事とは?
[春日]
本日は宜しくお願いします!まずは、柴山さんチームの特徴からお伺いできればと思います。
[柴山様]
宜しくお願いします。私が所属する経営支援チームには、4つの領域があります。
戦略領域、マーケティング領域、ファイナンス領域、デジタル・IT領域ですね。
その中でも、私のチームはデジタル・ITの領域を管轄しています。
デジタル・IT領域として、ITガバナンス強化、ITを駆使した業務効率化、経営コックピットの高度化、デジタルマーケティングを通じた新たな顧客価値の提供、先端テクノロジーを駆使した価値共創を行っています。
経営支援チームのお客様構成は、60%がPEファンド、40%がオーナー企業となっていますが、入社後の私が担当しているお客様はほぼPEファンドで占められています。
そのため、私のチームの具体的な仕事としては、ファンド投資の一連の流れにおいて、ITDD(ITデューデリジェンス)、Day1に向けた計画策定、DX/IT戦略・ロードマップ策定、そしてスタンドアローン化およびバリューアップに向けた実行支援という流れが多いです。
比較的大規模なファンド案件を事例に、ご説明したいと思います。
ファンドの投資においては、大きく分けて3つのフェーズがあります。
まずは投資先を決める前のフェーズ。次に、投資決定後、Day1を迎えるまでのフェーズ。そして、Day1を迎えてからスタンドアローンするまでのフェーズ。
最初のフェーズでは、バリュエーションに必要な情報をまず見立てていきます。一般的にはITDDですね。
PEファンドがバリュエーション結果を元に投資決定をしたら、Day1に向けたプランを策定していきます。そこでの我々の役割は、投資先企業がDay1を迎える際に事業を止めることなく、如何にスムースに事業運営を継続できるかです。
その後IT/DX戦略を策定したうえで、ロードマップを描き、Day1を迎えた後は実行支援をしていく流れです。
過去、弊社の強みとして認識されていたのは、Day1以降の伴走型の経営実行支援でしたが、私の入社以降は、投資決定前やDay1前から案件に携われるよう、体制を変えていきました。時代の流れもありDay1前からITDDを求められるようになったとも言えますが、私自身、当社のバリューアップに一定の貢献ができたと考えています。
[春日]
案件の規模や業界はどのようなものなのでしょうか?また、先方からの期待はどういうものなのでしょうか?
[柴山様]
今担当している案件の売上規模は、50億~1500億円程度と幅は広いです。業界としても、ヘルスケア、精密機器メーカー、製薬、飲料など、リヴァンプが得意とする小売・流通に限らず、バラエティに富んでいます。
また、我々がPEファンドから期待されていることは、フェーズごとに変わってきます。
まず投資決定前は、DDの精度が重要になってきます。
投資決定後は、投資先企業がDay1以降、スムースに事業運営ができるかどうかを期待されます。
PEファンドは、サイニング時点でTSA(Transition Service Agreement)を売却先と結び、売却後も対象事業が滞りなく運営できるよう、我々のようなアドバイザーに求めますし、最終的には完全に独立できる体制を構築していくことが期待されます。
CIOやCDOとして企業を支援していく以上、その責任範囲は広いです。
ITやデジタルの世界は個別に完結したものではなくバリューチェーン上の全てのプロセスに関わりますし、M&Aのプロセスの中でITは全てとつながっています。
そのため、広い視野を持ち、ビジネスの全体像を理解していないと、その責任を負えません。
経営支援は、格闘技で言うとMMA(Mixed Martial Arts、総合格闘技)。そこで働く人は、経営におけるMMAファイター(総合格闘家)みたいなもの。そういう意味では、リヴァンプは経営におけるMMAファイター養成所といったところでしょうか(笑)。
“MMAファイター”としてのキャリア
[春日]
そういう意味では、柴山さんは総合格闘技的にあらゆるジャンルの経験を積まれてきていますよね。少し、ご経歴をさかのぼってご紹介できればと思います。
[柴山様]
はい。私は大学卒業後、プログラマーを経て、システムエンジニアとして約30案件程度のシステム開発・導入プロジェクトを経験していました。
そんな中、いくつかの企業からお声がけ頂く機会がありました。
その中で特に印象に残った方と実際にお会いし、「ここの会社面白そうだな」と思い、入社したのが、ベイカレント・コンサルティングだったんです。
ベイカレントでは最初、IT系のプロジェクトにアサインされていたのですが、1年しないうちに戦略系の案件に携わらせて頂くチャンスをいただきました。
私のビジネスキャリアの変曲点となったのは、人々の生活を一変させたスマートフォンに係るプロジェクトに参画できたことです。
その際、取引先企業の社長と、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズといった世界の大物が、10年後の未来について話し合うため会議を重ね、その中で世界のスマートフォン市場の基礎を築いていきました。
最終的に、その取引先企業はどの事業者よりも早くスマートフォンを日本市場に導入し、その後の当該企業の躍進に繋がったのです。
その一連のきっかけとなるフェーズに立ち会えたことが、ベイカレントで一番印象に残っているエピソードです。
[春日]
なかなか経験できないことですね。
[柴山様]
面白かったのですが、同時に「コンサルファームでできることって、このレベルまでなんだな」と強く思ってしまったんです。
結局、世界の大物たちが社会をつくり、物事の方向性は事業会社の中の一握りの人間たちが決めているのであって、自分ができることの限界も痛感しました。
自分自身、他のファームの戦略コンサルタントと対等に渡り合うために、相当な努力と時間の必要性を感じ、日々努力を重ねてはいましたが、「自分がパフォーマンスを最大限に発揮できる場所はここではないのでは」と感じ始めていました。
その結果、小さな世界であっても、自分自身で何かを決め、変えていきたいのであれば、事業会社に行った方がいいだろうという考えに至ったのです。
一方、私がその時に経験していたのは、ほぼITだけ。もっとコンサルファームの中でも学べることがあるだろうという想いもあり、ITに強みを持つ業務コンサルの方にまず軸足を移しました。
[春日]
ITコンサルから戦略コンサルに行って、そこから業務コンサルへ。珍しいパターンな気がします。
[柴山様]
落ち武者みたいなものです。ただ、業務コンサルをやってしばらく経ったのですが、先ほどお伝えした想いがずっと拭えなかったんですよね。
[春日]
「自分で物事を決めていきたい」という想いですよね。
[柴山様]
そうです。そんな時、とある事業会社から「うちで新しい部門を一緒に立ち上げないか?」というお話を頂きました。
仮にその後コンサルに戻ったとしても、事業会社での経験は必ず活きると思ったので、転職を決意しました。それが、メットライフです。
[春日]
実際に入ってみてどうだったんですか?
[柴山様]
当時面接の中で、部署を立ち上げてから、3年以内に日本一の部署にしますっていうコミットをしてしまったんです。
実際に入社後立ち上げを主導し、周りの皆さんの尽力もあり、早くも1年目でトップティアになることができ、さらに2年連続でそれを維持することができました。
なので、「事業会社でやることも、もうないのかな」と思ってしまったんですよね(笑)。
[春日]
すごいスピード感ですね(笑)。
[柴山様]
そこで改めて自分と向き合ってみたときに、「海外で仕事をしたい」という想いがずっと自分の中にあり、後悔したくなかったので、海外に行くことを決意しました。38歳のときです。
そして行くのであれば、自身のキャリアと関連性の強い仕事が多いシアトルにしようと。ご存じの方も多いと思いますが、シアトルは、MicrosoftやAmazonの本社があり、テックの街です。
でも、アメリカに行ったらすぐに仕事が決まるなんていう甘い世界じゃないんです。
実際行ってみてよく分かったことですが、現地の有名大学を出ているかどうかで、アメリカ人の対応も全然違うんですよ。
要するに、有名大学在校生/卒業生なのか、博士号/修士号/学士号なのかで就労ビザの発給に係る承認スピードがまったく異なります。
現地で働いている方からも「有名大学は出ていた方が良いですよ。仕事の選択肢が増えるし、信用を買えるよ。」と言われました。
ワシントン大学はGAFA+Mに多くの人材を輩出しているということもあり、同大学院のエグゼクティブ向けMBAスクールに通うことにしました。
[春日]
厳しい世界なんですね…。
[柴山様]
そうなんですよ。実は渡米前、起業するかどうか真剣に悩みました。
色々考え抜いて辿り着いた一つの結論としては、ネットワーク無しに起業しても絶対うまくいかないということ。
また米国の大学出身者たちから、米国の大学では学校のことは当然として、プラスアルファ課外活動で何をしているかで評価されるというアドバイスも聞いていました。
人的ネットワークの不足が起業を断念した理由として大きかったため、学校の勉強とは別に、産官学のネットワーキンググループを運営することに決めました。
そのネットワーキンググループの当初の目的は、シアトル在住・在勤の日本人たちやその周りの人たちを繋げて、自身の将来にも有益なコミュニティにすることでした。
[春日]
そうだったんですね。
[柴山様]
ですがネットワーキンググループ1回目のオープニングトークの準備をしているうちに、目的が変わったんです。
というのも、GDPを見れば明らかですが、GDPがずっと上がり続けているアメリカや中国などと比べて、日本は活気もなくなってるし、凝り固まっているなと。
アメリカから日本を見たときに、そしてアメリカで様々な人たちと関わる中で、日本を放っておいたら衰退する一方だなと強く思ったんです。
なので、ネットワーキンググループのテーマを「日本をどう元気にするか?」に変え、そのために日本人同士の手をとりあって、日本を盛り上げましょうと積極的にはたらきかけるようにしました。
アメリカでも働く機会をいただき、働き始めたのですが結局、「日本を元気にしたい」という思いが強く、帰国する決断をしました。
そこから「多くの企業を元気にできるような仕事に携わりたい」という結論に達し、ターンアラウンド支援をしている企業を中心に仕事を探すようになりました。
春日さんと出会ったのは、まさにそんなときでしたね。