2020年に比べ、コロナ禍でも中途採用を積極的に行うコンサルティングファームが増えてきました。
特にコンサルファーム経験者の採用が中心ではあるものの、コンサル未経験者の積極採用を再開するファームも増えてきています。
コンサルタントには高い経験・スキルが求められる上、入社後のミスマッチも防ぐ必要があるため、選考のハードルはとても高いものと言えます。
特に未経験者のコンサル転職では、より効果的なアピールが求められ、中でも転職理由(志望動機)が重要になります。
本コラムでは、特にコンサル未経験者の方に向けて、面接官に「刺さる」転職理由の作成の流れやポイントなどを詳しく解説します。
実際にコンサルファームへの転職を成功された方の志望動機サンプルもご覧いただけます。
コラムを読み終えたときには、どんなポイントに注意をして志望動機を作成すればよいか、イメージが湧くはずです。
※コンサルファームへの転職に向けた対策全般は下記ページにてご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
コンサル転職を成功させるには転職理由が重要
コンサル未経験者の転職において、転職理由(志望動機)でうまくアピールできず、「お見送り」となるケースが多く見受けられます。
潜在能力は申し分ないものの、コンサルの業務内容への理解が足りないため、転職理由が漠然としたものになっているケースが多いです。
特に、コンサルティングファームには事業会社のように特定の商品・サービスが存在しないことも関連し、何をアピールしたらよいかが分からなくなってしまっていることがよくあります。
また、他のコンサルティングファームではなく、なぜその企業を選んだのかが明確ではないケースも多いです。
上記のような問題を解消し、うまくアピールできる転職理由の作成方法について解説します。
コンサルファームにおける転職理由の作成方法
未経験からのコンサル転職においては、以下の5ステップを踏んだ転職理由を作成がお薦めです。
採用側にとって、「ぜひ採用したい」と思われるような、魅力的な転職理由を作ることができるでしょう。
ステップ1.キャリアの棚卸を行い自分の強みを洗い出す
転職理由の作成に当たっては、まずは自分の強みや得意なことを洗い出しましょう。
こうお伝えすると、「自分にはアピールできる強みがありません…」と仰る方がいます。
しかし、強みや得意なことは、相対的なもので、周囲の環境に左右されるものです。
自分では強みと感じていないことでも、ある集団の中で他の人が出来ないことがあれば、強みとして認知されます。
例えば、皆が日常的に英語を使っている外資系企業で仕事をしている人からすれば、その環境で英語は武器になりません。
しかし、英語の得意な人が少ない日系企業においては、その英語力は明らかに武器となります。
そのため、転職を希望する環境ではどんな人たちがいるのか、という分析を行うとともに、自分ができると思うことは取り敢えずすべて列挙してみましょう。
自分ではそうでもないと思っていても、転職先の環境によってはアピールできる場合もあるので、思いつく限り列挙することが大切です。
※注意ポイント※
先ほどの英語力に関連して、注意したいポイントがあります。コンサルへの転職で英語力を強みに挙げる場合、転職を希望するファームで英語を使いこなせる人が少ないのであれば強みになりますが、皆が皆日常的に英語を使っているようなファームでは、英語力はアピールポイントではなく必要条件になってしまいます。
そのため、転職先の環境を分析することも、自らの強みを把握する際には必要になるのです。
また、強みやアピールポイントは、大きく「定量面」と「定性面」の2つに分けられます。
例えば「営業で成果を挙げた」や「会計の専門的資格を有している」など、明確に数値化出来たり、論拠が示せるものは定量面での強みです。
「向上心がある」や「誰とでもうまくコミュニケーションが取れる」は人間的な強みであり、ソフトスキル的な定性面での強みです。
強みを棚卸しする際は、このいずれの側面からも深堀ってみると良いでしょう。
ステップ2.採用側の視点に立って、転職で成し遂げたいことを整理する
「年収を上げたい」「自分の市場価値を上げたい」「成長したい」など、コンサルファームへの転職における志望動機はさまざまなものがあるでしょう。
「転職において何を勝ち取りたいのか?」を明確にすることは大切ですが、面接において自分の本心をそのまま伝えるのは得策ではありません。
大切なのは、採用する側の目線に立って自分の想いを表現することです。
コンサルファーム側が選考時に注目するのは、あなたを採用すると自社にどのような利益をもたらしてくれるのかという点になります。
特にコンサルタントは、クライアントに対して価値提供をする仕事。
ステップ1で棚卸しをしたあなたの職務経験やスキルを活かし、クライアントに対してどのような価値を提供できるのか、もしくはこれから提供できるようになるつもりなのかを具体的に説明する必要があります。
例えば、英語力はあるのだが、現職では活かす機会があまりなく、英語力を活用してビジネスを行いたいと考えているとします。
この場合、面接で「英語を活用してグローバルな人材になりたい」と伝えるだけでは志望動機として十分ではありません。
「グローバル化は日本企業が直面している喫緊の課題。私の英語力を活かし、日本企業のグローバル進出の手助けを行いたい」と伝える必要があるでしょう。
このように、自分が出来ることと、クライアントに提供できる価値を紐づけて理由を形成することがポイントです。
ステップ3.企業研究ではユニットまで踏み込む
コンサルティングファームでは、「製造業」や「金融業」のように特定の業界や、「M&A」や「組織人事」のように特定のソリューションごとに、ユニットが構成されている場合があります。
デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティングなどのいわゆるBIG4をはじめとする大手総合系コンサルファームでは、このようなマトリクス型の組織構成となっていることが多いです。
そして一つひとつのユニットは、それぞれカルチャーや仕事内容などが大きく異なります。
このため、企業研究では会社レベルでとどまらず、ユニットまで踏み込んだリサーチが必要です。
ホームページ等を閲覧し、ユニットの概要を把握するほか、実際に働いている方やユニットの事情に詳しいエージェントなどから実情を掴めるとベストでしょう。
ちなみに大手コンサルティングファームのホームページでは、「提供サービス」として「リスクアドバイザリー」や「フィナンシャルアドバイザリー」などの記載があります。
これらの提供サービスが一つのユニットやチームを形成しているという見方もできますので、ホームページを見る際の参考にしていただければ幸いです。
ステップ4.今後の目標と達成プランを明確にする
コンサル未経験者を採用するということは、ファーム側からするとそれなりの採用・育成コストがかかることを意味します。
そのため、「この人は短期的に離職しそうだな」と思われると、お見送りになってしまうケースがほとんどです。
コンサル未経験で合格される方は、自身のキャリアプランとファームへの転職理由が合致しています。
例えば、「コンサルファームでスキルを身に着けたら、起業したいと思っている」と伝えたとしましょう。
この場合、「うちには腰掛け程度で来るつもりなのか」と思われる可能性があります。
※最近ではこのようなことを伝えても問題ない(むしろ歓迎する)ファームもありますが、いずれにせよコンサルタントとして活躍していきたいことを第一に伝えることが大切です。
そのため、「自分自身が最も叶えたいことは日本経済の復活に貢献すること。起業なども選択肢としてはあるかもしれないが、大手企業の業績向上がインパクトが大きく、その支援ができる御社で長く活躍していきたい」などと、大きな目標と、目先のキャリアを紐づけて伝えると効果的です。
また、コンサルタントはクライアントワークであるため、クライアントへの価値提供が好きである、やっていきたい、と伝えることも大切です。
そのうえでキャリアプランと一貫していると判断されれば、短期離職の心配は軽減されるでしょう。
ちなみに、アナリストやコンサルタントクラスで入社する場合、上位職であるマネージャーやパートナーの仕事を紐づけてキャリアプランを話すのも有効な策です。
「マネージャーとして○○のようなプロジェクトをリードしたい」や「パートナーとして○○業界のクライアント開拓や、チームの立ち上げを行いたい」といったものになるでしょう。
マネージャーやパートナーの仕事を理解しているという点で業界研究が出来ていると判断されますし、ファーム内で中長期的に活躍したいと思っているということのアピールにもなるでしょう。
ステップ5.正しく伝える練習をする
せっかく良い志望動機が練られても、それを面接で適切に伝えられなければ意味がありません。
特にコンサルタントの仕事では、クライアントに論理的な説明を行う必要があることから、面接においてもそのようなスキルがあるかを見られます。
面接で志望理由を伝えるのは、一種のプレゼンテーションのようなものだと言えるでしょう。
仕事でプレゼンの機会がある際、全く練習しないという方はいないでしょう。
面接においても、やはり練習が大切なのです。
また、自分では「問題ない」と思っていても、実は上手くいっていないというケースは良くあります。
お薦めなのは、自分が話している姿を「録画してみる」ことです。
とある20代のコンサル未経験の男性が、自主応募でコンサルファームの選考を進めていたものの、「面接に落ち続けているんです…」とご相談にいらっしゃいました。
実際に模擬面接という形で、ご自身の志望動機を話してもらったのですが、声が小さく、志望理由も不明確。
「論より証拠」ということで、自分で話している様子を録画し、見てもらいました。
すると、「え、自分ってこんなにボソッと喋っていたんですか!?」と驚かれたようです。
ご本人によれば、自分は理路整然と、はっきり話しているつもりだったそうでしたが、面接での緊張もあり、自分のイメージと実際の姿には大きなギャップがあったようです。
このように、自分を客観的にみる機会を設けることで、自分でも気が付いていなかった話し方のクセに気が付くことができます。
この方は無事軌道修正ができ、希望のコンサルファームに合格をされました。
適切に志望動機を伝えるための練習と、それを客観的に把握するための録画はぜひ試してみてください。
コンサルファームに合格する転職理由作成のポイント
コンサルファームの選考に通過する確率を高めるには、ポイントを押さえて転職理由を作成する必要があります。
コンサルの転職理由作成のポイントは以下の3つとなります。
対職種・対業界視点での転職理由も考えておく
転職理由はその企業を選んだ理由だけでなく、「なぜ戦略コンサルタントの仕事に就こうと考えたのか?」「IT業界やサービス業界など多数の業界がある中で、なぜコンサル業界なのか?」等、対職種・対業界の理由も必要です。
他の業界や職種では実現できる内容ではなく、○○コンサルタントだからこそ、あるいはコンサル業界だからこそ転職したいのだ、と断言できる明確な志望動機を考えましょう。
自分自身の経験をベースに構築する
転職理由は、自らの経験をベースに構築することを心がけることが大切です。
一般論的な内容や、流行に乗っていると思われるような転職理由では、共感や納得を得られず、面接官の印象に残りません。
例えば、「現代は企業の抱える課題が多様化し、コンサルの求められる役割が大きくなっているから」といった社会情勢やトレンドから作成する転職理由は、実際にそうであったとしても、“あなたが転職する理由”としては納得できるものではありません。
これまでの実体験をもとに、なぜコンサルを志望するのか?という志望動機を構成することが、面接官の興味を引く第一歩となります。
他人から見たら同じような経験でも、あなたならではの経験は必ずあります。そうしたオリジナリティを転職理由に組み込むことが、面接官から興味を持ってもらえるきっかけになるでしょう。
文章は具体的かつ簡潔明瞭を心がける
紙に書く場合でも口頭で話す場合でも、文章はわかりやすく、あまり長すぎることがないよう配慮が必要です。
一文が長くなればなるほど、面接官にとっては理解しづらくなります。
また、簡単な表現で十分伝えられるものを、わざわざ難しい言い回しにかえることも、よくありません。
面接官にとって理解しやすいほど、あなたへの印象は良くなる可能性が高いのです。
認知容易性と言って、人間は理解しやすいものほど正しいと考えたり、好意的に捉えたりする傾向があるからです。
そのため、一文一文は簡潔に、分かりやすく伝えることが大切です。
またコンサルタントに求められる能力を備えているかの判断にあたって、論理性や伝わりやすさは大きな評価対象です。
- 結論ファーストで伝える
- 結論を支える論拠を示す
- ロジックツリーを意識して構造的に伝える
といったことは自然にできるようになるほど訓練を積む必要があるでしょう。
合格した方の職種別コンサル志望動機サンプル
ここでは、実際にコンサルファームの選考に合格された方々が作成した職種別の志望動機をいくつかご紹介します。
個人情報の観点からある程度カモフラージュをしていますが、転職理由の作成にあたってはご参考になるはずです。
ITコンサルタント
30代、男性、大手SIer在籍のシステムエンジニア
SEとして今まで培ってきた経験・技術を活かして、より上流からお客様のサポートができればと考え、ITコンサルタントを志望いたしました。
現職ではお客様のシステムの開発プロジェクトをリードしていますが、すでにシステムの導入は決まっており、技術的な要件のみを検討する機会がほとんどです。
しかし、お客様の方向性を考えたうえで、「そもそもこのシステムは必要なのか?」という戦略の部分からお客様と会話する方が、お客様に与えられるインパクトは大きいと考えています。
また、お客様から感謝の言葉を頂戴する機会が多いためこのクライアントワークは続けたいと考えています。
そのため、ITコンサルタントとしての転職を志望しております。
戦略コンサルタント
20代、男性、大手日系IT企業・コンサルティング営業
クライアントの戦略的課題解決を生業としたく、戦略コンサルタントを志望しています。
現職ではコンサルティング営業として、自社の製品を通じたお客様の改題解決を行っています。お客様のお役に立てることがとても嬉しく、充実した日々を過ごしています。
一方で、お客様の経営陣とやり取りをする機会も多く、経営戦略に関わるご相談まで頂くケースが増えてきました。
次第に、自社製品やサービスに囚われず、顧客の経営課題解決を行いたいという気持ちが強くなり、戦略コンサルタントを志望しています。
数ある企業の中から御社を選んだ理由としては、日本企業の海外展開支援に強みを持っていることが挙げられます。
現職ではお客様の経営層へのヒアリングのために、半年ほど海外に駐在し、市場の分析に奔走した経験があります。
こうした経験も活かし、いち早く御社および御社クライアントの力になれればと考えております。
組織人事コンサルタント
30代、女性、大手製造業・人事マネージャー
組織・人事面から、さまざまな企業が抱える課題を解決できる点に魅力を感じ、人事コンサルタントを志望いたしました。
私はこれまで事業会社で人事の仕事を10年以上経験しており、組織人事領域の専門的知識を有しております。
経営層と仕事をする機会も多く、経営視点から人事制度の構築や修正に携わることも多いです。
人事という立場で私の知見が発揮できるのは現職のみですが、組織人事コンサルタントであれば、様々な企業の課題を解決できます。
きっと現職と同じような課題を抱える日本企業は多いと考えています。組織人事コンサルタントとして私の知見を活かすことで、一社でも多くの企業の課題を解決出来たらとても嬉しいと考えてます。
合格につながるカギは転職理由にある
未経験からのコンサル転職を成功させるには、面接官を納得させる転職理由を練り上げ、適切に伝える必要があります。
そのためには採用する側の視点に立ち、自分がどうファームに貢献できるかという点を説明しなくてはなりません。
採用担当者から「この人面白い!」と思ってもらうためにも、自分自身のオリジナルな経験を転職理由に含めることも大切です。
本コラムでご説明したような形で、具体的かつシンプルな志望動機の作成ができれば、内定獲得に大きく近づくでしょう。
一方で、転職理由が本当に選考を突破できる内容になっているのか?を自力で判断するのは難しい場合もあるでしょう。
自分だけでは転職理由の作成が難しい、とお悩みの方は、ぜひ弊社のエグゼクティブコンサルタントへお気軽にご相談ください。
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