EYSC(Transformation Design & Delivery)×フォルトナ スペシャルインタビュー

公開日:22023.07.18 最終更新日:2024.11.25


EYでは、「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」をグローバル共通のパーパス(存在意義)として掲げています。また同時に、EY Japanのコンサルティング部門ではこのパーパスを実現するため、「経済で社会平和を、日本から。」を独自のビジョンに定めています。(著書:3つのステップで成功させるデータビジネス 『データで稼げる』新規事業をつくる(翔泳社:共著)他)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)の戦略コンサルティング部門であるEYパルテノンのTransformation Design & Delivery(TDD)チームでは、パーパス・ビジョンの実現に向けた大規模なビジネスプロセストランスフォーメーションの「水先案内人」として、変革の道筋(戦略)を示し、成果実現をサポートしています。特に、非連続的な変革が求められるクライアントに対し、多角的分析に基づく変革方針の策定と、マルチドメイン・多数のステークホルダー・グローバルでのプログラム推進を、EYの各専門領域、 グローバルネットワークのコンピテンシーと連携し実現しています。

今回は、TDDチームのリーダーである中村 宏様とパートナーの早瀬 慶様に登場いただきます。

お二人のこれまでのキャリアをひもときつつ、TDDチームが果たす役割やカルチャー、求める人物像等さまざまなお話をお伺いしました。

中村 宏様 プロフィール
TDDチームリーダー・パートナー。メガバンク、外資系戦略コンサルティングファームを経てEYSCに参画。約20年のコンサルティング経験を有し、消費財、不動産、インフラ、金融等幅広い業界のクライアントに対して、業務改革、営業力強化、購買コスト削減、サプライチェーン改革等の大規模なトランスフォーメーションプロジェクトを多数支援。現在はEYSCのTDDチームリーダー・パートナーとして、大規模なトランスフォーメーションの設計・実行、そして非連続的な成果の実現を支援。

早瀬 慶様 プロフィール
TDDチームパートナー。スタートアップや複数の外資系コンサルティングファームを経て、EYSCに参画。自動車業界を中心に約20年以上にわたり、経営戦略策定、事業構想、マーケット分析、将来動向予測等のプロジェクトを多数支援。クロスセクターストラテジーリーダーとして産業の枠組みを超えたエコシステム構築支援に注力。海外現地での多数のコンサルティング経験を有し、近年は官公庁のモビリティ領域のアドバイザーを務める。『モビリティー革命2030』(日経BP、2016年、共著)等の著書や講演多数。2023年より一橋大学経営管理研究科(MBA)非常勤講師。

入社の決め手は、機能・業界を横断したコラボレーションの圧倒的強さと「パーパス」

[小野]
本日はよろしくお願いいたします。まずは、中村様のご経歴からご紹介をいただけますでしょうか?

[中村様]
私は大学卒業後、新卒でメガバンクに入社し、支店勤務やマーケット部門のリスク管理を5年ほど経験しました。その後、外資系戦略コンサルティングファームに転職し、以来20年弱、全社トランスフォーメーションを行うチームに所属しておりました。そして、2021年にEYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)へ参画し、Transformation Design & Delivery(以下、TDD)チームのリーダーを務めています。

[小野]
中村様が前職からEYSCに参画された理由について教えていただけますか?

[中村様]
前職で全社トランスフォーメーションを推進していく中で、日本企業や社会にとって重要かつ大きな意義があると感じており、この分野のコンサルティングをより突き詰めていきたいと思い続けていました。
一方で、全社トランスフォメーションは実行段階に入ると、さまざまなテーマに広がっていきます。例えば、全社的な営業改革というテーマでプロジェクトがスタートした場合、最初は営業活動のBPRや標準化等に取り組むことになります。しかし、それがある程度進むと、今度はそれを根付かせるために、人事評価制度を改革しようとか、営業活動を見える化するためにシステムを導入しようというようなテーマに広がっていきます。そのような中では、人事やITの専門家が必要になるのですが、前職の外資系戦略コンサルティングファームは少数精鋭でしたので、専門性的にも人員的にもそこをやり切れないもどかしさを感じておりました。
そこで、幅広い専門家が多数所属する総合コンサルティングファームを候補に転職活動を開始し、その中で専門家同士が最も密接にコラボレーションしていると感じたEYSCを選択しました。全社トランスフォメーションで広がったテーマをやり切るためには、前述の人事やITといった機能横断的な協力を行えることが非常に重要だと考えたためです。

[小野]
実際にご入社してみて、何か入社前との印象の違いはありましたか?

[中村様]
入社前に期待していた以上に、コラボレーションを実現できているという感覚を今も持っています。現在EYSCには4,000名近いコンサルタントが所属していますが、クライアントの課題を解決するためならば、組織の壁を越えて一緒に考えるカルチャーがあります。

[小野]
実際にプロジェクトを行っていく中で、どのようなチームとコラボレーションを行うことが多いのでしょうか?

[中村様]
幅広いチームとコラボレーションしていますが、EYSC内ではTechnology, Media and Telecommunications セクター(TMT:テクノロジー、メディア・エンターテインメント、テレコムといった業界に対してコンサルティングを行うチーム)、Health Sciences and Wellness セクター(HSW:ヘルスケアやライフサイエンス業界に対してコンサルティングを行うチーム)、Financial Services Office セクター(FSO:金融業界に対してコンサルティングを行うチーム)との連携が多いです。
また、EY Japan全体でのコラボレーションも活発です。直近では、EY税理士法人と連携したプロジェクトも増えています。これは総合コンサルティングファームならではの強みですね。

[小野]
続いて、早瀬様のご経歴をご紹介いただけますでしょうか?

[早瀬様]
私は、スタートアップからキャリアを開始しました。そこでIPOまでを経験した後、外資系総合コンサルティングファームに転職し、その後別の外資系総合コンサルティングファームの戦略部隊を経て、2020年にEYSCに参画しました。
専門領域は自動車業界で、約20年以上のコンサルキャリアのうち、前半は乗用車領域を、後半はBtoBの商用車領域を担当してきました。当時、商用車領域の専門チームはグローバルを見ても存在しなかったため、一からチームを立ち上げ、唯一無二の存在としてさまざまな国でご支援をしてきました。さらにそこから、自動車業界にとって100年に1度と呼ばれるような変革期において、モビリティの定義がかつての乗用車から移動サービスに移り変わる中、新たな社会や生活の基盤を作るという使命感のもと業界の枠を越えたエコシステムを構築するスペシャリスト集団として、産官学民の座組構築・政策立案等に従事してきました。
そのため、EYSCに参画した当初は、TDDチームではなくAdvanced Manufacturing and Mobility セクター(AM&A:自動車業界を主に製造業などに対してコンサルティングを行うチーム)のリーダーを務めていました。

[小野]
TDDチームに移られたきっかけについて教えていただけますか?

[早瀬様]
中村と同様に、モビリティも自動車業界だけの話ではなくて、業界をまたいだエコシステムを構築し、社会課題、業界課題を実績的に解決していくことに、コンサルタントとしての付加価値があるのではないかと考えたためです。TDDチームでは、機能横断だけでなく業界横断的に社会全体の課題を解決することができるため、私の思いに合致しておりました。

[小野]
総合コンサルティングファームを複数社経験してきた早瀬様が、EYSCに参画された決め手はどういったところにあったのでしょうか?

[早瀬様]
私のコンサルティングの主軸が自動車業界からモビリティ、ひいては社会全体に移る中で、EYが掲げるパーパス「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」 と合致したことが決め手でした。
実際に、入社当時はEYSCがこれから成長していくという段階でしたが、その頃から意思決定の場面で「本当にパーパスに当てはまっているのか?」という議論が真面目に行われていました。
先ほど中村が申し上げたコラボレーションの話も、パーパスに基づいてより良い社会を作ろうと考えたらコラボレーションは必要不可欠なので、パーパスが全社的に浸透している証拠だと思います。
このパーパスは日本だけでなく、EYに所属する世界約36万人のメンバー全体にも根付いています。過去、コンサルティングファームを複数社経験してきて、国を越えたコラボレーションにはさまざまなしがらみから相当な時間を要したり、そもそもできなかったりすることがほとんどでした。ところがEYでは、新卒1年目のメンバーが、これまで接点もない中国のパートナーにチャットを送って5秒後に返信をもらうことも当たり前の光景です。グローバル約36万人が本当の意味で仲間だというEYならではの衝撃的な光景でした。

[小野]
確かに、EY全体でパーパス経営を強く打ち出されていますよね。コラボレーションのしやすさ以外で、パーパスの浸透度合いを感じられるポイントはありますか?

[中村様]
多くの企業がダイバーシティやインクルージョンを掲げていますが、多くの企業が「掲げるだけ」にとどまっている気がします。一方で、EYSCに入社して驚いたのが、全員がそれらのキーワードを思考する際の根幹に抱き、価値判断を行う際には、その観点を満たしているのかという点について当たり前のように議論していることです。
それがなぜなのかについて突き詰めて考えていくと、やはり源流にあるのはパーパスなのだと思います。

[早瀬様]
私も印象的な経験があり、EYSCに入社して、これまでお付き合いのあったクライアントの経営陣から1番最初に言われたのが「EYSCは最初のディスカッションから多くのパートナーを連れてくるよね」ということでした。普通、コンサルティングファームのパートナーは、自分がオーナーとなっているプロジェクトについては自身のみで対応することも多く、複数のパートナーと共に会議に参加することはなかなかないのですが、EYSCの場合はみんなでアイデアを出した方がクライアントに良い提案ができるという考えで、さまざまな専門知識をもったパートナーと共に、有意義な議論ができるようおうかがいしています。ファームの都合ではなく、クライアントファーストの考えに立ち、クライアント側から見ても、パーパスが浸透しているというエピソードだと思います。
また、議論にはパートナーだけでなく、年齢・国籍・性別・経験等、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーも同行します。社会はさまざまなダイバーシティによって成り立っているので、パートナーだけの考えでは視点が偏ってしまうからです。パーパスが浸透しているからこそ、1年目の若手であっても高い視座からクライアントに対して発言しており、私自身も毎回勉強させられることばかりです。

[小野]
ありがとうございます。さまざまなコンサルティングファームを経験されてきたお二人が語られるからこその、EYSCの良さが伝わってきました。

機能・業界をまたいで戦略から実行まで担える唯一無二の戦略部隊で、新たなエコシステムを構築する

[岩崎]
ここからはTDDチームについてお伺いできればと思います。まず、TDDチームの担当されている領域の全体像についてお話しいただけますか?

[中村様]
TDDチームが提供するコンサルティングは大きく3つの領域に分かれます。
1つ目はクロスコンピテンシーストラテジーで、複数のソリューションにまたがる大規模な変革プロジェクトをご支援しています。先ほど私が申し上げた全社的な営業改革のように、機能横断的な改革を行っています。
2つ目はクロスセクターストラテジーで、業界を横断したコンサルティングを提供しています。先ほど早瀬が申し上げたモビリティのエコシステム構築のように、産官学をまたいだ業界横断的な改革を行っています。
3つ目はコンプレックスプロジェクトマネジメントです。1つ目のクロスコンピテンシーストラテジーと2つ目のクロスセクターストラテジー領域のプロジェクトは、ステークホルダーが多く、プロジェクトの複雑性が高い傾向にあるため、そのようなプロジェクトを効果的にマネジメントする役割を担っています。
クロスコンピテンシーストラテジーとコンプレックスプロジェクトマネジメントは私が、クロスセクターストラテジーは早瀬がリードしています。

[岩崎]
それぞれ3つの領域について、具体的にどのようなクライアントに対して、どのようなテーマのプロジェクトに取り組まれていますか?

[中村様]
クロスコンピテンシーストラテジーとコンプレックスプロジェクトマネジメントのクライアントは、日系大手企業、中でもTMT業界やヘルスケア業界が多い傾向にあります。
テーマとしては、全社的な業務構造改革やコスト構造改革、利益構造改革等を扱うことが多いです。

[早瀬様]
クロスセクターストラテジーは、元々は私のバックグラウンドもあり、自動車業界や製造業等の企業に対する戦略立案や官公庁の政策立案を行うプロジェクトを多くご支援していました。
一方、先ほどもお伝えさせていただきましたが、一企業で解決できる課題が少なくなる中で、さまざまな業界や社会全体に対するモビリティ・ウェルビーイング・サステナビリティをテーマとしたエコシステムを構築するというプロジェクトが増えてきています。例えばモビリティエコシステムチームでは、一企業の戦略立案のみではなく、競合同士に手を組んでいただく自動車業界の将来構想策定や、そこに官公庁や自治体を巻き込んだ政策立案等のプロジェクトも行っております。

[岩崎]
エコシステムを構築するというのは、なかなか壮大なプロジェクトのように聞こえますが、具体的な例をご紹介いただけますか?

[早瀬様]
直近では、企業側から見ると業界内の連携事業構想、官公庁側から見ると新しい政策立案、自治体側から見ると地方創生、というテーマのプロジェクトがあります。
具体的には、自治体の選挙支援から中長期都市計画策定、自動運転の社会実装や観光・農業・食・医療・学校教育等のコラボレーションによる新事業創出等で、自治体と民間事業者、そこに国を巻き込んだモデルケースとして日本全国に提供・展開していく取り組みを推進しています。
このように、さまざまな関係者を巻き込み、企業や業界をまたぐ戦略立案から施策の実行・結果出しの伴走までできることが、TDDチームでしかできないことであり、私が参画した理由でもあります。

[岩崎]
地域のステークホルダーを巻き込んでいくことは、プロジェクトへの温度感や成果を期待するスケジュール感などの違いにより、頓挫しやすい部分でもあると思います。そのような際に、TDDチームだからこそ突破できているというようなポイントについてご紹介いただけますか?

[早瀬様]
私も他のファームではうまくいかない場面をよく見ました(笑)。ポイントは2つあります。
1つ目は、ファームとしてフィーをいただいてプロフェッショナルサービスを提供しているということです。コンサルティングファームが手がける地方創生・地域活性化テーマはボランティアでやるケースや1人・短期プロジェクト、あるいは補助金獲得支援プロジェクトというものも多く、成果に結びつくことがなかなか難しい状況です。「社会に貢献しています」と言わんがための、いわゆる「打ち上げ花火」が多い。われわれの場合には、フィーに値する他にはない付加価値が提供できるため、企業はもちろんのこと、官公庁や自治体からもしっかりと対価をいただく。成果を出すために、中長期的に寄り添い伴走する。これは他社や他チームとの圧倒的な違いです。
2つ目は、視座の高さ・視野の広さです。エコシステムを構築するとき、ただ専門知識をもったメンバーが集まるだけでは絵に描いた餅になってしまいます。自分たちの業界はこうしたいなどそれぞれが主張するだけでは、最適解にならないためです。TDDチームは、現場経験も豊富で複数の専門性を持つメンバーが同じ目線で考えるからこそ、長期的にWin-Winな提案ができ、結果的に受け入れてもらえているのだと思います。これが前述の「他にはない付加価値」でもあります。

[岩崎]
TDDチームとEYSC内の他の戦略コンサルティングチームとの違いは何でしょうか?

[中村様]
まず、昨年7月よりEYSCの戦略コンサルティングチームは、EYパルテノンストラテジーユニットに一本化されました。その中には、企業変革の設計・実行に取り組むわれわれTDDチームの他にも、企業・成長戦略のチームやM&A・トランザクションのチームがあるといった図式です。
企業・成長戦略のチームやM&A・トランザクションのチームは一般的に戦略立案を主軸に置いていますが、TDDチームはそれをどう具現化するかということにも重きを置いています。そのため、2チームとコラボレーションを行いながらプロジェクトを進めて行くことも増えてきています。
例えば、M&Aのプロジェクトで、M&A前のデューデリジェンスなどはM&A・トランザクションのチームが担当し、M&A後のバリューアップなどはTDDチームが担うといった具合です。

[岩崎]
そうすると、候補者のご志向性に応じて応募する戦略チームも変わってくるということですね。

[中村様]
やはり、短期間でさまざまな戦略を立案するのが好きなのか、立案した戦略をクライアントと中長期的に伴走しながら具現化するのが好きなのか、だと思います。経歴でもお伝えしたように私は後者の志向でしたので、TDDチームを選びました。
これはEYSCグループ内の戦略チームの選び方に限らず、戦略コンサルティングファームか、EYSCのTDDチームかを選ぶ際のポイントにも通ずると思います。
また、戦略を実行する段階では、頭脳や知識だけでなく自身が持っているありとあらゆるスキルを総動員することが必要で、総合格闘技的なことを泥臭くやれるかというのも大切だと思います。その上で、クライアントと苦楽を共にしながら最後まで伴走し、喜びを分かち合うことに興味があるのであれば、TDDチームは良い選択になると思います。

[岩崎]
戦略コンサルティングファームとの違いという話がありましたが、他の総合コンサルティングファームとの違いについてはいかがでしょうか?

[早瀬様]
私は総合コンサルティングファームを複数社経験してきましたが、機能・業界を横断したコラボレーションについてはわれわれに強みがあると思います。先ほどご紹介した企業・官公庁・自治体と連携したプロジェクトも1、2年で簡単にできたわけではなく、長い年月をかけてあらゆる国での経験を経た上で実現したものです。コラボレーションプロジェクトの実績は他社に負けないと自負しています。
自身の強みを生かしながらコンピテンシーやセクターをまたいで戦略から実行までやり切ることで、社会課題の解決や新たなエコシステムを構築したいと本気で思っている方にぜひ参画いただきたいですね。

[岩崎]
候補者への熱いメッセージをありがとうございます。TDDチームの今後のビジョンについてもお聞かせいただけますか?

[中村様]
クライアントからのニーズにまだまだ応えきれていないと感じておりますので、チームの規模として拡大しなければいけないと思っています。ただし、やみくもに大きくなれば良いというわけではありません。まずは、先ほど申し上げた他の戦略チームと連携し、ストラテジーtoトランスフォーメーションとトランザクションtoトランスフォーメーションの流れを太くしていきたいと考えています。
後は、先ほどのパーパスに関わるプロジェクトがクライアントから出てきたときに、真っ先にTDDチームの名前が挙がるようなチームにしたいと思っています。

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