EYSC(TC-Digital Platforms-SAP)×フォルトナ スペシャルインタビュー

公開日:22023.07.21 最終更新日:2024.11.25


世界4大プロフェッショナルファーム(BIG4)の一角として、150以上の国・地域に700を超える拠点を持つEY。その日本のメンバーファーム、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EYSC)が存在感を増しています。

今回はEYSCテクノロジーコンサルティングのユニットより、SAPを中心としたパッケージ/SaaSソリューションを活用した、クライアントの基幹業務変革・システム変革を構想から実現化までを支援する TC-Digital Platforms-SAP(以下、Digital Platforms)チームにお越しいただきました。

パートナーを務める梶浦 英亮様、新しくパートナーに昇格された杉山 由紘様、マネージャーとして活躍される長澤 直様のキャリアから、チームの強み、仕事の流儀まで幅広くお話を伺いました。

梶浦 英亮様 プロフィール
Digital Platformsチームリーダー・パートナー。これまで東京および上海の複数のコンサルティングファームでパートナーを務め、25年以上にわたり業務・テクノロジーのコンサルティングに従事。現在はEY ストラテジー・アンド・コンサルティングにて、基幹業務システムを対象としたコンサルティングを担当。

杉山 由紘様 プロフィール
Digital Platformsチーム・パートナー。大学を卒業後、米国でMBA取得。日系コンサルティングファーム、外資系ファームを含めてコンサルタントとして13年の経験を携え、2020年4月にEYSCへ。主にロジスティクス領域のグローバルプロジェクトを担当する。

長澤 直様 プロフィール
Digital Platformsチーム・マネージャー。大学を卒業後、システムベンダーで業務システム構築を担当。SAP導入コンサルタントへの転職を経て、2021年7月にEYSCへ入社。会計領域を中心にSAP導入の構想策定から実現化までを担う。

基幹システム変革をワンストップで支援。急成長中のコンサル集団へ

[伊藤]
本日はよろしくお願いいたします。まずは、杉山様、長澤様のお二人から、これまでのご経歴についてお話しいただけますでしょうか?

[杉山様]
理系大学を卒業後、米国の経済学大学院に留学し、帰国後に新卒として日系総合コンサルティングファームに入社しました。ERP(基幹業務システム)の世界に初めて触れたのもこの時です。ここで6年間、さまざまな業務を体験できましたが、アジア中心のプロジェクトが多かったので、もう少しグローバルな経験を積むために外資系コンサルティングファームに移りました。そこで欧米諸国を横断する共同プロジェクトに携わり、シニアマネージャーになるまで7年ほど過ごした後、EYSCに参画しました。2020年4月のことです。現在はグローバルプロジェクトを中心に、ロジスティクス領域を主に担当しています。


[長澤様]

私も理系大学の出身です。キャリアの始まりはSIerで、業務システムが担当でした。業種特化型のシステムだったため、やや物足りないと言いますか、幅広い業種に活用できる基幹システムのほうに惹かれたのが、最初に転職した理由です。そこからSAPの導入コンサルタントとして、2度目の転職も含めて約15年の経験を積みました。要件定義からテスト、導入、保守、そして営業活動まで、幅広く携わったベースをもとに、2021年7月にEYSCに移りました。ですから、コンサルタントとしての経歴はまだ2年。SAPの会計領域が専門です。

[伊藤]
それぞれEYSCを選ばれた決め手は何でしょう?

[杉山様]
誰と何を成し遂げられるか。これを軸に考えました。3年前、EYSCのDigital Platformsチームはまさにこれからが伸び盛りという成長加速中の段階で、自分自身もそれを動かす一員として急先鋒を務めたい、ともに組織を創り上げる経験をしたいと思ったのです。そのワクワク感に魅力を覚えたことが「何を」の部分。それを「誰と」共有するのかも私にとっては重要で、当時出会ったリーダー陣の人間性や、コミュニケーションを重視しつつメンバー自身の成長をも促していくというスタンスに共感を持てたことが大きな要因でした。

[長澤様]
私が重視したのは、構想策定から実現化までEnd to Endの支援に関われるかどうか。EYSCならそれができると確信したので決めました。それまでベンダーの立場にいて、SAP実現化支援を通じて私が経験してきたのは、誰かが上流でやった構想策定や要件定義に引きずられ、詰めの甘い仕事のしわ寄せを受けた下流部分が調整に追われるという理不尽でした。システム構築において構想策定がいかに大切であるかを学び、その最初から最後までを担当したいと思うようになりました。

[伊藤]
具体的にはどのようなプロジェクトがあり、どんな役割を担われているのですか?EYSCに期待したことは実現できていますか?

[杉山様]
私が参画している、ライフサイエンス系企業のグローバルでの基幹業務・システム刷新プロジェクトがあります。SAPのS/4HANA導入を軸とした、BPR(業務改革)を伴う次世代業務・システムへの刷新で、日本本社を起点に、アジア・パシフィック、シンガポール、中国、米国、ドイツ等の拠点を巻き込んで進めています。クライアントもEYもグローバル各拠点のメンバーが参画し、日本が主導でグローバル各拠点のメンバーと協議・協力して変革を推し進めています。クライアントもEYも経営トップもプロジェクトにコミットした密な体制が構築されています。
このプロジェクトに私は中核メンバーの1名として参画しており、こうしたグローバルプロジェクトはまさに私が望んでいたものですし、組織の成長にも関わらせてもらえている実感があります。

[長澤様]
私も入社の動機になった構想策定のプロジェクトを担当することができています。最初にアサインされたのは国内製造業の構想策定、次いで保険会社の基幹システム、製造業の会計システムといった具合で、構想から入り、要件定義を経て実現化する流れを体感しています。Digital Platformsチームは「構想策定からはじめる」ことを大事にしています。クライアントの目標と課題を整理し、どのようなシステムを導入したらいいのかという構想策定を自ら実施し、それに基づいたシステム実現化を手掛けることにこだわっています。構想策定だけを行って引き継ぐわけではなく、また他の誰かが行った構想策定や計画のもとで実現化だけを手掛けるわけではない、「構想策定からはじめる」ことによってより良いサービスがクライアントに提供できると同時に、メンバーの成長機会になると思っております。

安易な規模拡大は求めない。価値と品質のために働くチーム

[小野]
ここからは梶浦様にも加わっていただき、Digital Platformsチームの特長や強みについて伺ってまいります。まず、仕事面についてはいかがでしょうか?

[梶浦様]
長澤から申し上げたとおり、構想策定からプロジェクトを開始する、実現化まで同じ1つのチームがワンストップでご支援する。これがDigital Platformsチームの大きな特色です。同じ社内でも、上流には業界担当チームが入り、下流になるとテクノロジーチームが出てくるといったことはなく、自分たちで計画を作り、自分たちで実行する。だからこその醍醐味、面白みだと思います。
もう1つ特長を挙げると、規模の論理を追求しないこと。日本においてはテクノロジーコンサルティングの需要は非常に大きく、正直にお話しすると、現状でもすべてのクライアントからのコンサルティング依頼に応えられていません。ただわれわれとしては、コンサルティングの品質を落とすリスクを取ってまで無理にビジネスを拡大することはしません。自分たちの実力値を正確に把握し、万全の体制でクライアント企業の課題解決に当たる。それがわれわれの基本スタンスです。

[小野]
必要にして十分な人材で上流からしっかり入り、かつ高い品質を維持するために、どのような体制を敷いているのでしょうか?

[梶浦様]
われわれは提供するサービスのスコープを明確に定義しています。組織の成長によりそのスコープも年々拡大してきていますが、品質面で担保が可能と判断した領域に限定してサービス提供を行っています。業界についても同様で、構想策定の質を左右する要素は、その業界に特有の知識や情報に通じているかどうかです。したがって、われわれはカバーする業界を絞ってサービスを提供することを基本姿勢としています。組み立て製造業の知見が強いメンバーでビジネスをスタートしましたが、その知見が生きる医療機器やハイテク、そして自動車やプロセス等と業界の知見を横展開していっています。そのことで、他の領域との共通性が得られ、構想策定に必要なナレッジを蓄積することが可能になるわけです。

[小野]
なるほど。プロジェクトの進め方や特色についてはいかがですか?

[梶浦様]
ERPに関連するコンサルティングサービスも多様で、各社とも特徴があるサービスを提供しています。EYSCは「構想策定からはじめる」というキーワードはお話ししましたが、提供しているサービスは、ある程度限定するものの異なるサービスラインをバランスよく持つ、ポートフォリオを意識しています。売上高が1兆円を越える大企業を対象とした大規模プロジェクトのみにフォーカスするとマネジメントする立場としては楽です。しかし、これでは人材がなかなか育たない。
構想策定だけではなく実現化も手掛ける。国内企業のアウトバウンドのみならず、海外企業のインバウンドもある程度実施する等、バランスの取れたラインアップを意識しています。
Digital Platformsチームはそうした方針と体制で動いていますから、1つのチームの中で構想策定もあり、要件定義もあり、実現化もありと、さまざまな仕事を体験できる機会があります。実現化しか経験のない人が入社して、いきなり構想策定が難しいというのであれば、いったん実現化からスタートしてもいいし、長澤のようにあえて飛び込む人もいる。仮に構想策定でつまずいたとしても、実現化が控えているので恐れることはありません。その柔軟性と幅広さも強みの1つでしょう。

組織と共に人が育つ場所。成長を前提とした教育体制が充実

[伊藤]
EYSCならではのカルチャー、Digital Platformsチームらしい働き方といった面についてはいかがでしょう?

[梶浦様]
2つご紹介します。まずは、ダイバーシティ。Digital Platformsチームにおける外国籍と女性の比率はともに40%で、以前より上昇しています。これはコンサルティング業界全体と比べてもかなり高い割合だと思います。
よく採用面接に来られた子育て世代の男性から、保育園の送り迎えに時間が取られることがあっても大丈夫かと、そんな質問を受けることが多くなりました。答えはもちろん、問題なし。そんな光景はここではごく普通の日常です。結婚あり、子育てあり、介護あり、人によってライフステージはさまざまで、同じ人の中でも時期によってステージが変わります。そのときどきの事情に応じて柔軟にプライベートとのバランスを取り、できるだけ長くここで働いていただきたい。そう願っています。
もう1つは、人を育てる文化。即戦力を求めないといえば語弊がありますが、育成重視、成長前提の組織であることは確かです。文化としても、仕組みとしてもそれが根付いています。大半の方が、何か新しいことに挑戦したいと思って転職するわけですよね。初めから成果が出せるとはわれわれも思っていません。だからこそ、カウンセラーやバディが寄り添い、教育研修にも力を入れているのです。

[伊藤]
教育プログラムは杉山様が担当されているそうですが、どんなラインアップがありますか?

[杉山様]
人材育成のコンテンツはグローバル主導/EYSC全社主導/Digital Platformsチーム主導と3つ階層で構成されています。グローバルや日本で著名なラーニングサービスは全社で契約をしており、自由に利用できます。またテクノロジーやコンサルティングスキル等普遍的な内容はグローバルや日本レベルでコンテンツを提供しています。それに加えてDigital Platformsチーム固有の教育は、マネージャー以上の役職者がコンテンツを企画し、座学形式で実施したり、あるいは若手から上がってくる希望に即してコンテンツの作成等をしたりしています。
コンサルタントとして成長するには、自ら能動的に学んでいく姿勢が必要です。わからなければ自分で調べ、社内に在籍している、さまざまな分野のプロフェッショナルにコンタクトする。その姿勢が習慣化することが重要なわけで、一方的に教材を渡してそのマインドを妨げることのないようには気をつけています。

[伊藤]
先ほどカウンセラー制度のお話もありましたが、日常的に人材育成についてはどのように行われているのでしょうか?

[長澤様]
EYSCではカウンセリー制度が運用されています。プロジェクトの上位者との関係はプロジェクト期間限定となってしまいますので、それを補完する形で年単位の長期間における人材育成の責任を持つ存在がカウンセラーでEYSCのすべてのメンバーにカウンセラーがついています。
カウンセラーとはだいたい毎週、少なくても2週に一度は面談をしており、仕事に関しても生活面についても相談できます。進行中のプロジェクトに関して悩みがあれば、カウンセラーを通じて上長に話を上げてもらうことも可能ですし、研修やトレーニングに関するアドバイスももらえます。

[杉山様]
私自身が心がけていることですが、何らかの問題でプロジェクトの進行が滞ってしまうようなとき、必ず自分自身で「背中」を見せることにしています。何が問題なのか、関係者に話を聞き、必要があれば会議を招集し、結論が出たらそれを持ってクライアントを訪ね、きちんと説明してご理解を得る。その一連の流れを私が自分でやって見せることにより、どこまでやるべきなのか、詰めるべきなのかを感じ取ってもらえたらと思っています。
コロナ禍以前であれば、誰もが職場にいて自然と学び取れたことかもしれませんが、リモート環境ではなかなか難しいのが現実です。一方では、フレキシブルな働き方にリモート環境が奏功する面は大きいので、こうした工夫が重要になっていると感じています。

システム構築は手段の一つ。経営アジェンダ起点の企業変革を

[小野]
Digital Platformsチームで得られるスキルや経験、キャリアパスについてお聞かせください。

[杉山様]
コンサルタントとしての基本的なスキル、論理的思考力やプレゼンテーションスキル、ドキュメンテーション力、そういったものはプロジェクトを通じてごく自然に身に付いていくはずです。他社と比較して大きな違いとしては、「対話の文化」から得られる創造力が挙げられるでしょう。
冒頭でもお話ししましたが、日本のEYSCはまだ成長途上にあり、組織の在り方やスキームが固まりきっていないところに魅力があります。プロジェクトの進め方にしても、全員で意見を交わし、納得した上で積み上げていくのが、ある種の流儀となっています。時間がかかったとしても、理解は深まる。未経験の方には適した環境だといえます。

[長澤様]
ベンダー時代の自分を振り返ると、SAPありきでクライアントに提案し、クライアントが望むとおりのシステムを実現することに終始していたように思います。ですが、コンサルタントとして2年を過ごして思うのは、大事なことはクライアントの経営課題であり、システムはその解決の手段の一つに過ぎないということです。であれば、SAP導入はマストではないはず。課題解決に本当に必要な手段は何か。他にも選択肢はあるのではないか。そんな目で見られるようになったことが、大きな前進だと思っています。

[小野]
そのようなキャリアをともに歩む仲間として、どんな人物を求めますか?

 

[梶浦様]
これまでお話ししてきた多様性や成長性、対話の文化といったわれわれの特質、そしてEYが世界に掲げるパーパス(存在意義)としての「Building a better working world〜より良い社会の構築を目指して」、これらに対して共感を抱いていただけることが、まずベースになると思います。
その上で、この育成環境を存分に生かしていただき、しっかり成長したいと望んでいる方々に来ていただきたいですね。

[杉山様]
人物像というよりマインドかもしれませんが、自分で自分の仕事の幅を決めつけないこと、これを忘れないでほしいと思います。自分で線引きをしてしまったら、もうそれ以上の成長曲線は描けないからです。ここから先は他人の仕事、上長が考えればいいこととは思わず、自らの力でやりきってみる。

[小野]
SAPに関する経験や、英語力については条件がありますか?

[梶浦様]
SAPについて何らかの知識や経験を持つ方が中心であることは確かですが、領域によっては必ずしもSAPでなくてはいけないということはありません。ただ、基幹システムの世界を舞台に企業変革に携わる、そのことに対するモチベーションは必要でしょう。
英語力については心配いりません。グローバルプロジェクトを担当しているメンバーであっても、語学に自信があるかといえば、決してそんなことはありませんから。過度に恐れないでください。ただ、コンサルティング業界に限りませんが、英語ができれば仕事の可能性は一気に広がります。遅すぎることはなく、入社してからでも英語力を高めていくことはお勧めします。

[小野]
それでは最後に、今後に向けたビジョンと候補者へのメッセージをお願いします。

[梶浦様]
10年後、20年後、EYSCのDigital Platformsチームで働いていてよかったと、そう思ってもらえる組織でありたいと願っています。そのために、私たちの価値、私たちのカルチャー、私たちの流儀はしっかりと守り、規模の競争に溺れることなく、長期的価値を正しく評価していただけるクライアントのために働きたい。候補者の方々は転職を前にして不安もあるでしょう。ですが、われわれのサポートを信じて、今申し上げた世界観に共感していただけるなら、ぜひ門をたたいてください。

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