ドルビックスコンサルティング ×フォルトナ スペシャルインタビュー

公開日:22023.10.26 最終更新日:2024.11.25

ドルビックスコンサルティング株式会社(以下、ドルビックス)は、丸紅株式会社(以下、丸紅)のグループ企業として2020年12月に設立されたコンサルティングファームです。総合商社の事業資産とテクノロジーを掛け合わせたコンサルティングにより、新たなビジネスモデル確立の経験と知見を生かして、企業の成長力や競争力を飛躍的に向上させる日本発のDXを先導するプロフェッショナルファームを目指しています。

ドルビックスという組織の特徴と強み、今後の展開、求める人物像などについて、取締役COOの武藤 覚様、執行役員 経営戦略コンサルティング(CSD)本部長の柴田 武之様、執行役員 ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング(BTD)本部長の小山 俊介様に、お話を伺いました。インタビューは前職がドルビックスという経歴をもつフォルトナ伊藤が担当します。

武藤 覚様 プロフィール
取締役COO。
シンクタンク、コンサルティングファーム複数社を経てドルビックスコンサルティング取締役COOに就任。コンサルタントとして、事業会社や金融機関の戦略立案、業務改革、IT活用等の多数の支援実績を有することに加えて、コンサルティング会社の運営や実行主体として新規事業を立ち上げるなどの豊富なビジネス経験を有する。

柴田 武之様 プロフィール
執行役員 経営戦略コンサルティング本部長。
メガバンク、M&Aアドバイザリーファーム常務執行役員、日系総合コンサルティングファーム執行役員プリンシパル、外資系総合コンサルティングファーム執行役員パートナー等を経て、2022年より現職。長期ビジョン、中期経営計画、事業開発、グループ内組織再編、M&A戦略、M&Aアドバイザリー、バリュエーション、ビジネスデューデリジェンス、PMI等、クライアントの経営戦略・事業戦略に対する支援実績多数。金融セクター、総合商社セクターへのコンサルティング実績も豊富。

小山 俊介様 プロフィール
執行役員 ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部長。
外資系コンサルティングファームを経て、外資系IT企業にてCIOアドバイザリーサービスやテクノロジー戦略コンサルティング部門の日本責任者などを歴任。日系IT企業にて戦略コンサルティング部門の立ち上げなどを経験し2021年より現職。CDOやCIOに対するデジタル戦略立案と変革実現支援を専門領域とし多数の実績を有する。近年は流通業、製造・通信・ハイテク企業向けを中心に、先進テクノロジーを活用した新事業開発や業務プロセス改革の戦略・企画立案からプロセス設計・組織改革を主たる活動領域としている。

百戦錬磨のコンサルタントが選んだ、総合商社 丸紅発のコンサルティングファーム

[伊藤]
ご無沙汰しております。まずはお三方の自己紹介からお願いいたします。

[武藤様]
ドルビックスの取締役COOとして営業・採用・企画・管理等、会社運営の全般を統括しています。経歴としては、物理学で博士号を取得後、シンクタンクやコンサルティングファームを経て、ドルビックスの創業に参画しました。アメリカのビジネススクールでMBAを取得しています。

[柴田様]
2022年2月にドルビックスに参画し、経営戦略コンサルティング本部(以下、CSD)の責任者を務めています。
元々のキャリアは銀行員からスタートし、M&Aアドバイザリー、日系・外資系総合コンサルティングファームという経歴です。バックグラウンドとしては、経営戦略、事業開発、M&Aといった領域を中心にコンサルティングに携わってきました。

[小山様]
ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部(以下、BTD)の責任者を務めています。私は2021年2月、ドルビックスがスタートして1か月ほどのタイミングで入社しました。入社を考えている段階では、まだドルビックスという社名も決まっていませんでした(笑)。
経歴は、外資系コンサルティングファーム、外資系IT企業のテクノロジー戦略コンサルティング部門の日本責任者、日系IT企業の戦略コンサルティング部門の立ち上げなどを推進してきました。

[武藤様]
私は社名を決めるプロセスに関わり、『Digital Transformation(DX)』と『ORBIS(ラテン語で羅針盤)』という2つの言葉を組み合わせてドルビックス(DOLBIX)という社名に決めました。コンサルティングファームとしての独立性・中立性を重視して社名に「丸紅」を入れなかったほか、コーポレートカラーも丸紅の紅色ではなく「勝色」という濃い藍色にしました。

[伊藤]
ドルビックスの成り立ちと特徴について、ご説明いただけますか?

[武藤様]
われわれの基本的なビジネスモデルは、総合商社の多岐にわたる事業に対するコンサルティングを通じて、その事業資産をバリューアップするとともに、蓄積した知見とノウハウを丸紅グループ外のお客様にも展開して価値提供することです。
サービスのスコープとしては、戦略とテクノロジーを融合した課題の解決、さらに構想策定から実行支援まで、一気通貫でのご支援が特徴となっています。特徴的な案件としてはデジタル技術を活用した業界変革、ESG情報の一元化・可視化・分析によるサステナビリティ推進、情報通信分野での次世代サービス構築支援など、社会的意義の大きな案件を多数手がけています。
さらに、構造的な人手不足、リスキリングのニーズの高まりを背景にして、人材戦略の策定、DX人材の育成の案件も増えているのが、足元の状況です。

[伊藤]
丸紅との関係は、どのようになっているのでしょうか?

[武藤様]
これまでの案件実績は丸紅グループ向けの内販が7割、それ以外の外販が3割で、今後は外販の比率を向上させながら成長する戦略を立てています。すでに外販のクライアントとして大手の通信キャリア、電力会社、自動車メーカー、金融機関などがいらっしゃいます。それらの実績をベースとしながら、新たな顧客開拓も進めています。

[伊藤]
組織の構成について、ご説明いただけますか?

[武藤様]
われわれは大規模なコンサルティングファームによく見られるインダストリーラインとサービスラインからなるマトリクス型の専門分化組織ではなく、幅広い業界とテーマに対応できるように経営戦略コンサルティング部門(CSD)とビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング部門(BTD)の2本部体制をとっています。プロジェクト単位でチームを編成するので、各本部の中ではいわゆるワンプール制に近い体制です。

[伊藤]
内販外販の比率が7:3とのことですが、昨年と比較して、外販の比率はどう変化していますか?

[武藤様]
外販の比率は高まっています。本年度に関しては、外販の比率は4割程度に着地するのではないかと予測しています。中長期的には外販をメインにしていく計画です。

[伊藤]
ワンプール制の組織にした背景や詳細を教えてください。

[小山様]
われわれはクライアントの新規事業立上げや既存事業改善を担いますが、そのためには多様な産業知識とテクノロジー理解が必要となります。専門分野ごとに組織を区切るのではなくワンプールにすることでメンバーの強みを組み合わせ、最適なプロジェクト体制を提供できると考えています。該当産業のビジネス面で強みを持つメンバーと、テーマになるテクノロジーに明るいメンバーがワンチームで価値を提供しやすい仕組みが必要だったというのが背景です。ただ、メンバー育成の観点ではワンプール制の枠組みだけだとプロジェクトを跨いだ長期目線での計画を立てることが難しくなりますので、プロジェクトとは別に本部内にチームを設けた体制運営をしています。現在、チームの数は7つあり、1チーム6~7人という構成で全員がどこかに所属します。シニアマネージャーがマネージャーを育て、マネージャーがメンバーを育てるという単位を明確にしていますので、誰もが自身のキャリアについて相談すべき相手が明確になっている体制としています。

[伊藤]
プロジェクトアサインの仕組みはどのようになっているのでしょうか?

[柴田様]
CSDはメンター制度を活用して、メンバーのアサイン希望をきめ細かく確認しています。ただし、アサイン中のプロジェクトの終了と、希望するプロジェクトの開始タイミングが必ずしも一致するわけではないので、100%希望どおりというのはなかなか難しいですね。
メンバーの希望とは異なる案件にアサインする場合には、メンバーのこれからの成長を念頭に置いて、その案件にアサインされることによってどのような経験値やスキルが得られるのか、それが将来のキャリアにどう役立つのか、こういった点を具体的に伝えてアサインするようにしています。

[小山様]
BTDでは入社してすぐにマネージングディレクター全員と本人とが話す場を設けています。入社された方が長期的にどうありたいのか、どのようなキャリアパスを求めているのかを本人から聞くようにしています。
最初のアサインはその場で決まることが多く、それ以降はさきほどお話しした所属チームのリーダーとご本人とで日々コミュニケーションを取ってもらいながら、決定するのが通常の流れです。
足りないスキルを補うために必要なアサイン、本人の長期的な目標にプラスになるアサインなどを、俯瞰して判断しています。

[柴田様]
また、プロジェクトへのアサインは基本的にCSD、BTDそれぞれの本部内で決めていきますが、両本部からメンバーをアサインしてチームを組成するケースもあります。

2つの組織体制「経営マター全般のCSD」「事業にフォーカスしたBTD

[伊藤]
ここからはCSDとBTD、それぞれのチームの特徴をお伺いできればと思います。
まずはCSDからよろしいでしょうか?

[柴田様]
CSDの正式な名称は「経営戦略コンサルティング本部」ですけれども、この名称が与える印象と実際にコンサルティングを展開している領域には少し差異があります。
われわれのサービスラインは、大きく分けると4領域です。1つ目は名称通りの「戦略策定」、2つ目は「戦略推進(M&A)」、3つ目は「組織変革」でこの領域はさらに「人材管理」と「業務・経営管理」に分かれます。4つ目は「IT」で主にコーポレート部門起点の基幹システム導入やデータ分析などが対象です。加えて、製造業のクライアント向けの経営高度化についても取り扱っています。
大手コンサルティングファームにおける「ストラテジー」部門よりも、もう少し広い範囲の領域をカバーしている点が、ドルビックスのCSDの大きな特徴だと思います。

なお、直近でCSDが携わっている領域で最もボリュームが多いのは人材管理領域です。どんなに優れた戦略を構築しても、その戦略に合致する組織や人材がいなければ、それは絵に描いた餅になります。この問題は処遇改善や働き方改革などによって解決できるレベルの問題ではなく、会社と組織・人材の関わり方について根本的な見直しを突き付ける大変にシビアな問いだと思います。戦略には必ず組織・人材が関わり、この点を直視して手を打っていくことが重要な経営者の責務と言えますね。
CSDとは、戦略的な思考を根本に持ちながらも、広くコーポレートマターに関わるコンサルティングを提供していくチームであると捉えていただくとよいでしょう。

[伊藤]
CSDにはどのような方が多いのでしょうか?

[柴田様]
マネージャー以上は大手コンサルティングファーム経験者がほとんどです。メンバークラスについては、他のコンサルティングファームから転職してきた人が一定数いる一方で、コンサルティング業界未経験者が多い点がCSDの特徴です。20代の未経験入社メンバーはかなりの人数になるので、CSDは業界全体と比較しても年齢構成が若いチームであると思います。
経験者・未経験者に関係なく、前向きで意欲の高いメンバーが揃っていて、活気のある組織であると感じています。CSDはチームとしての一体感の醸成に注力していまして、フレンドリーな雰囲気の中で仕事をしていますが、コンサルティングの現場では厳しく品質を追求していくスタイルを徹底していますので、良い意味で緊張感のある組織でもあると思いますね。

[伊藤]
BTDはいかがでしょうか?

[小山様]
BTDは事業にフォーカスし、新規事業立上げから収益化までの伴走機能を担うコンサルティングを行っています。また「ビジネス&テクノロジー戦略コンサルティング本部」という名前のとおり、われわれはビジネスとテクノロジー両面からお客様をご支援していますので、DX推進を担っている組織とも言えます。
DXは「紙の情報のデジタル化」から「テクノロジーを活用した新しいビジネスの創出」まで、幅広い捉え方がされますが、後者の対応をさせていただいているものが多くあります。設立当初、丸紅グループがクライアントというケースが多くある中で、総合商社がさまざまな産業に深く入り込み、その中で新しい事業機会を見つけると投資を行い、新しい事業を展開し収益を多角化していく。その一連の活動を伴走支援させていただくコンサルティング実績を積み重ねてきたことで、グループ外販にも提供できるアプローチが確立されてきました。テクノロジーを活用した新事業検討のタイミングで声をかけてもらい、多くの事案へ参画できたことが、結果としてわれわれ独自のコンサルティングアプローチにつながっています。

[伊藤]
具体的にはどのような内容でしょうか?

[小山様]
新規事業のアイデア導出、事業計画策定、事業運営に必要なシステム構築、事業計画通りに収益化するための営業施策やサービスの継続的な改善といったサイクルを一気通貫でご支援します。
総合商社は、元々さまざまな企業と企業の間に入り事業を行っていますので、その新事業や新サービスは、産業構造そのものの変革につながるものになります。事業の立ち上げを伴走型で行うことを謳うコンサルティングファームはほかにもありますが、総合商社というステージで実践できていることで、社会的なインパクトが大きな事業に関われるという点が特徴であり、多くのコンサルタントにとって貴重な体験となり、魅力を感じていただける環境だと考えています。
グループ外の案件も実施させていただいており、今年度は本格的な外販拡大を狙って施策を実行しています。ここでは通信・電力・保険の産業領域に注目していますのでこれらの産業知識がある方にも活躍いただける機会が多くあります。サステナビリティ関連など、大きなトレンドになっている企業アジェンダにも携われます。

[伊藤]
BTDにはバックグラウンドとしてはどのような方がいますか?

[小山様]
総合コンサルティングファーム出身の人が多く、CSDよりもその割合は高いと思います。バックグラウンドにビジネスに強みをもつコンサルタントと、テクノロジーに強みをもつコンサルタントがいます。多様なバックグラウンドの方がおり一緒にプロジェクトを推進している組織ですので、お互いの考えを尊重し、強みを吸収して個人としても組織としても成長してく、そのような文化を作っていければと考えて運営しています。

[伊藤]
CSDとBTDのどちらに参画するか迷った場合、どのような点がポイントになりますか?CSD、BTDの違いなどを教えてください。

[柴田様]
CSDとBTDのコンサルティング領域には明確な違いがあります。コーポレート部門起点はCSD、事業部門起点のプロジェクトはBTDが担当するということですね。ただし、実際には起点を明確に分けられないプロジェクトがあるのも事実で、そのような場合は都度、社内で話し合いながら担当本部を決定しています。
候補者の方がCSDかBTDかを選択されるにあたっての判断基準は、「コーポレート部門と事業部門のどちらのイシューに興味があるか」だと自分としては考えています。
CSDがクライアントとのコミュニケーションにおいて念頭に置いていることは、いわゆるCxOクラスに刺さるオファリングやサービスをいかにタイムリーに提案するか。この点が極めて重要だと考えています。その結果として、戦略策定を提案することもあれば、ITを提案することもあるとご理解いただければと思います。

[小山様]
柴田さんもおっしゃられたとおり、BTDは事業を起点にしたコンサルティングを実施していますので事業やサービスを作る、成長させる、運営を高度化していく、そういったクライアント課題に向き合うことを志向するかどうか、をポイントにしてもらえればと思います。

[伊藤]
海外案件はどのような状況でしょうか?

[武藤様]
今後リソースが充実していくのに伴い、拡大の余地は十分にあります。丸紅だけに限っても、海外収益も多いですし、われわれもグローバル案件に対応できる人材に入っていただき、グローバルな取り組みを強化したいと考えています。

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