AIやIoT、クラウドなどの先端テクノロジーを活用し、DXを推進することが企業の競争力強化に必要不可欠です。
そのような背景があることから、企業の経営課題を理解して最適なITソリューションの提案と実行を行うITコンサルタントの重要性が増しています。
本記事では、ITコンサルタントの仕事内容や役割をはじめ、求められるスキルや生かせる資格、キャリアパスなどを詳しく紹介します。
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ITコンサルタントとは
ITコンサルタントは、企業の経営課題を解決するためにITを活用する専門家です。企業の経営戦略に沿って最適なIT戦略を立案し、システム導入やビジネスプロセスの改善を提案します。
ITコンサルタントは単なるシステム構築だけでなく、プロジェクトの進捗管理やユーザーサポートなど、幅広い業務に携わります。高度な専門知識と課題解決力、優れたコミュニケーション能力が求められる職種です。
以下では、ITコンサルタントの具体的な仕事内容と主な役割を解説します。
仕事内容
ITコンサルタントの主な仕事は、企業のIT戦略や業務プロセス改善の支援です。
具体的には、企業の経営課題やIT利用状況のヒアリング・分析を行い、明らかになった課題に対して最適なITソリューションの提案を行います。提案には、新システムの導入や業務プロセスの改善をはじめ、企業にとって何が課題となっているかなどを明確に伝えるため、プレゼン力が必要不可欠です。
提案が採用された場合はプロジェクトの全体管理を担当し、適切な要員配置やスケジュール管理、品質管理などを行います。
ITコンサルタントは、企業のIT化を総合的に支援する重要なポジションです。
役割
ITコンサルタントは、クライアント企業の経営課題を明確にし、最適なITソリューションを提案・実行しながらサポートするのが主な役割です。
ITコンサルタントに近い存在として、
- システムエンジニア
- SIer(システムインテグレーター)
などがありますが、それぞれ違いがあります。
システムエンジニアは個別のシステム開発に特化している職種であり、SIerは顧客要件定義からシステム導入までを一貫して担うのがメインの職種です。一方、ITコンサルタントは顧客の経営視点から課題を分析したうえでITによる解決策を立案し、最適な計画の策定を担います。
ITコンサルタントは、企業のIT化を通じて生産性向上や競争力強化に貢献する重要な役割であるといえます。
ITコンサルタントは何をする?実際の業務
ITコンサルタントが実際に行う業務として、以下の4つが挙げられます。
- IT戦略の立案支援
- 業務プロセス改善のコンサルティング
- システム構築支援
- 具体的な業務領域
それぞれの業務内容を詳しく見ていきましょう。
IT戦略の立案支援
企業のIT戦略の立案支援は、ITコンサルタントの主要な業務の一つです。立案までの主な流れは、企業の経営ビジョンや事業計画を踏まえ、業務プロセスの可視化やデジタル化、新技術の導入などを提案し、最適なIT投資計画の策定を支援します。
また、IT戦略の実行に向けた社内調整やプロジェクト管理の支援も行います。
業務プロセス改善のコンサルティング
企業の業務プロセスの分析・改善のコンサルティングも、ITコンサルタントが担う業務です。現状の業務フローを詳細に把握したうえで課題を洗い出し、その際に得たデータを分析してより効率的な業務フローの設計を提案します。
ITツールの活用や部門間連携の強化など、具体的な改善策を立案して実行支援を行うのがITコンサルタントの仕事です。
システム構築支援
ITコンサルタントは、システム構築プロジェクトの全工程に深く関与する職種です。クライアントの課題を正確に把握し、使いやすいシステム設計の提案や、開発工程の進捗管理や品質管理などを行い、効率的な開発を支援します。
システム稼働後の保守・運用フェーズでは、ユーザーサポートや改善提案などを行います。
具体的な業務領域
一口にITコンサルタントといっても、ERPコンサルタントやCRMコンサルタントといった複数の種類があり、業務領域がそれぞれ異なります。
ERPコンサルタントは、基幹システムの導入支援や業務改善を提案し、企業の経営基盤を強化するのが仕事です。一方、CRMコンサルタントは顧客管理システムの最適化を通じて、営業や顧客サポートの効率化に貢献します。
その他にも、サプライチェーンの見直しや新たな物流システムの構築を支援するSCMコンサルタントなどがあります。
ITコンサルタントは企業の経営課題に応じてさまざまな専門領域でソリューションを提案・実行し、企業のデジタル化と競争力強化を支援している存在です。
ITコンサルタントに求められるスキルと能力
ITの知識や実務経験以外に、ITコンサルタントに求められるスキルとはどのようなものがあるのでしょうか。
以下のようなスキルや能力を保有している方は、ITコンサルタントに向いているといえます。
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション力
- 最新ITトレンドの知識
ここでは、各スキルや能力について具体的に解説します。
論理的思考力
ITコンサルタントには企業の課題を論理的に分析し、最適な解決策を提案する力が求められます。そのためには、本質的な課題を見極め、因果関係を明らかにしていく論理的思考プロセスが必要不可欠です。
複雑な状況を冷静に分析し、最善の対策を導き出す論理的思考力を磨くことで、企業の課題解決に貢献でき、ITコンサルタントとして高い評価を得られるでしょう。
コミュニケーション能力
ITコンサルタントには、さまざまな関係者とのスムーズなコミュニケーション能力も求められます。クライアントの課題や要望を丁寧に聞き取り、適切に解釈して双方の認識を一致させる力が重要です。
また、クライアントに専門知識を分かりやすく伝えられる説明力や、メンバーの進捗状況を共有しながら課題に取り組む姿勢なども必要です。
コミュニケーション能力が高ければ顧客が抱える課題や問題をより間近で理解できるようになり、顧客にマッチした提案を行えるようになるでしょう。
プレゼンテーション力
クライアントに対して説得力のあるプレゼンテーションができるのも、ITコンサルタントには欠かせない能力です。
課題や問題を解決するうえで経営層に対してIT投資の効果や導入の必要性を論理的に説明する場面は多くあります。そのため、専門的な知識が分からない方でも理解できるような言葉を選び、納得してもらえるプレゼンテーション力が求められます。
また、プロジェクトの進捗報告時には課題と対応策を明確に提示するため、相手の立場に立って情報を整理・構成できることが大切です。
最新ITトレンドの知識
ITコンサルタントにとって、最新のテクノロジートレンドに関する知識を常に最新の状態で保つことは重要です。具体的には、AIやIoTなどの先端技術の動向や、ビッグデータ分析、サイバーセキュリティなどの重要性を理解しておく必要があります。
また、ERPやCRM、SCMといった基幹システムの特徴や、RPAやAIチャットボットなどの新技術の活用方法も把握しておくと提案する際に有利です。
ITコンサルタントには幅広い知識と先見性が求められるため、常に情報収集を行って最新のトレンドを把握し続けなくてはなりません。
ITコンサルタントに生かせる資格
ITコンサルタントには必須となる資格はありませんが、資格を保有していることで活躍の場を広げられます。
また、ITコンサルタントに転職したい場合でも、資格があれば有利になるでしょう。
ITコンサルタントに生かせる資格として以下の7つが代表的なものとして挙げられます。
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- ITコーディネータ
- 応用情報技術者
- PMP
- プロジェクトマネージャ
- ITストラテジスト
ここでは、それぞれの資格について詳しく紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎知識を証明する国家資格です。ITの基礎知識、ITを活用した戦略・マネジメント、ネットワークやセキュリティなどの幅広い分野を網羅しています。
ITパスポートは、ITコンサルタントとして最低限の知識をもっていることを示す必要不可欠な資格と言えるでしょう。ITの経験をもっている方であれば比較的容易に資格取得できるため、書類応募前に取得することをおすすめします。
基本情報技術者
基本情報技術者試験は、ITエンジニアにとって登竜門的な国家資格です。情報セキュリティ、ネットワーク、データベース、プログラミングなど、ITに関する幅広い基礎知識を問われます。
ITコンサルタントにとって、基本情報技術者資格は、ITの基礎知識を証明する上で非常に重要です。ITコンサルタントとしての専門性を裏付け、クライアントからの信頼獲得にもつながります。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、企業のDXを推進する重要な担い手となる資格です。資格を取得することで、経営理念の達成に向けたビジネスの変革を図り、DXを実現するプロフェッショナルとして活躍できます。
また、国や自治体、金融機関の各種支援施策においても、中立的な立場の専門家として活躍の場が広がっていきます。
ITコーディネータは、さまざまな企業や部門のDX実現に向けた役割を担いながら、ITコンサルタントとして活躍したい方に欠かせない資格の一つです。
応用情報技術者
応用情報技術者試験は、ITエンジニアとしての実務能力を証明する国家資格です。基本情報技術者試験よりも深い知識が問われ、システム設計、開発、運用、管理など、IT業務における実践的なスキルを評価します。
クライアントの複雑な課題を分析し、最適なIT戦略やソリューションを提案するためには、深い専門知識と実践的なスキルが不可欠で、応用情報技術者はITコンサルタントとしてそれらを備えていることを示す資格と言えます。
PMP
PMP(Project Management Professional)は、プロジェクトマネジメントに関する国際的な資格です。プロジェクトの計画、実行、監視、コントロールなど、プロジェクトマネジメントの知識とスキルを体系的に証明します。
ITコンサルタントは、システム導入や開発プロジェクトなどを担当することが多く、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント能力が求められます。PMP資格は、プロジェクトマネジメントにおける専門性を証明し、プロジェクトの成功確率を高め、顧客満足度向上にも貢献します。特にITコンサルタントとしてグローバルで活躍されたい方におすすめの資格です。
プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャ試験は、経済産業省が認定する国家資格で、情報処理技術者試験の一区分です。プロジェクトの計画、実行、監視、コントロールなど、プロジェクトマネジメントに関する専門知識と応用能力を評価します。
ITコンサルタントとしてプロジェクトの効率的な遂行、リスク管理、顧客満足度向上にも貢献する有用な資格です。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、企業のビジネス戦略とIT活用を一体的に捉えた最適なITソリューションを提案・実行できる高度な専門性を有していることを証明できる資格です。ITコンサルタントがITストラテジストの資格をもつことで、経営課題に対する深い理解と洞察力を発揮できます。
また、企業のデジタル化を牽引し、付加価値の創出につなげる重要な役割を担える存在となり得ます。
ITストラテジストの資格は、ITコンサルタントとして活躍の場を拡大したいときに有効な選択肢となるでしょう。
コンサル未経験からのキャリアパス
ITコンサルタントへ転職したいものの、コンサル未経験からのキャリアパスとしてどうすればよいのかと悩む方は多いでしょう。
コンサル未経験からの主なキャリアパスとして、以下の3種類が挙げられます。
- システムエンジニアからのキャリアチェンジ
- 技術営業・プリセールスなどからのキャリアアップ
- 異業種からの転職
ここでは、それぞれのキャリアパスを具体的に解説するので、ITコンサルタントを目指す方はぜひ参考にしてください。
システムエンジニアからのキャリアチェンジ
システムエンジニアの経験は、ITコンサルタントとしてのよい基礎となります。システムエンジニアには業務プロセスの理解と技術的知識があるため、ITコンサルタントへのキャリアチェンジが比較的スムーズです。
具体的には、SIerや社内SEとしてプロジェクトに携わり、顧客の課題発見やソリューション提案の経験を積むことで、コンサルティングファームへの転職を目指せるようになります。
エンジニアとしての経験を生かしつつ、課題解決力やコミュニケーション力、プレゼンテーション力といったコンサルティングスキルを磨けば、ITコンサルタントとしての活躍が期待できます。
技術営業・プリセールスなどからのキャリアアップ
技術営業・プリセールスからのキャリアアップも、ITコンサルタントへの自然な道筋の一つです。技術営業・プリセールスでは、ITシステムの機能や特徴を理解し、顧客のニーズに合わせて提案することが多くありますが、その経験はITコンサルタントに必要な顧客理解力やコミュニケーション力の醸成に役立ちます。
技術営業・プリセールスで培った提案力や課題解決力などは、ITコンサルタントとして企業の経営課題に取り組むうえで欠かせないスキルです。
技術営業・プリセールスとして優秀な実績があれば、比較的スムーズにITコンサルタントへ転職できるでしょう。
異業種からの転職
ITコンサルタントにおいて、ITと無関係な異業種から転職する方も決してゼロではありません。ファームにとって異業種から転職した人材には、IT以外の知識による新鮮な視点での提案が期待できるなどのメリットがあります。
人によってはITに関する専門知識が不足している可能性がありますが、研修やオンラインコースなどを通じてIT分野の知識を習得することが可能です。
異業種からの転職には一定の障壁がありますが、自身の強みを生かしつつITとコンサルティングの知識を習得すれば新しい視点を提供できるITコンサルタントとして活躍できます。
ITコンサルタントの年収相場
ITコンサルタントの年収相場は勤務先の企業規模や役職、経験年数などによって大きく変動します。
年齢別では20代で約500~1,000万円、30代で約600~2,000万円、40代以降で約800~数千万円と高い年収が見込まれ、他の企業と比べても高い水準であることが伺えます。
また、大手のコンサルティングファームやシステム開発企業に所属すれば、より高い年収を期待することが可能です。
ただし、年収が高くなればそれだけ求められる能力は高くなり、より多くのプレッシャーがかかるため、自身の能力と希望に合ったポジションを選ぶのが肝心です。
ITコンサルタントのキャリアパス
上記では未経験者のキャリアパスを解説していきましたが、ITコンサルタントとしてのキャリアパスとしては以下の3つが挙げられます。
- 上級コンサルタントへの道
- プロジェクトマネージャーへの昇進
- 独立開業
ここでは、おすすめのキャリアパスを詳しく解説します。
上級コンサルタントへの道
ITコンサルタントのなかでも、上級コンサルタントとしての地位を得るには、長年の実務経験と深い専門知識の蓄積が不可欠です。上級コンサルタントには、高度な分析力と企画力、リーダーシップが求められます。
まずは一般コンサルタントとして10年程度の経験を積み、企業の課題解決に向けた提案力とクライアントとの信頼関係構築力を養う必要があります。さらに、自身の専門分野における深い知識と洞察力を身につける努力が欠かせません。
上級コンサルタントに昇進すれば、より高い報酬と地位を得られるだけでなく、組織全体の最適化を牽引する重要な役割を担うことができます。上級コンサルタントを目指すには、高度な専門性と実践的な経験の蓄積が鍵となります。
プロジェクトマネージャーへの昇進
ITコンサルタントのなかでも優秀な人材がアサインされるのがプロジェクトマネージャーです。プロジェクトマネージャーは、大規模なシステム導入や業務改革などの複雑なプロジェクトを統括する重要な役割を担います。
プロジェクトマネージャーに昇進するには、プロジェクトの目標設定と進捗管理、顧客や関係部署との調整・折衝、プロジェクトメンバーのマネジメント、リスク管理と問題解決といったマネジメントスキルが求められます。これらのスキルを磨くには、プロジェクトの現場で経験を積み重ねることが不可欠です。また、PMP資格の取得も有効です。
プロジェクトマネージャーへの昇進は、ITコンサルタントとしての最上位のキャリアパスといえます。高度な専門性とマネジメント力が求められますが、その分、報酬面での評価も高くなります。
独立開業
ITコンサルタントとしてキャリアを積んだ後、独立開業を選択する方も少なくありません。自身のスキルと経験を最大限に生かせる自由度の高い働き方や、高収入を得られる可能性がメリットですが、安定収入の確保や新規顧客開拓、事務管理業務への対応など、リスクも伴います。
独立開業を検討する際は、十分な実務経験の蓄積、財務面での備え、人脈構築やマーケティング活動など、慎重な準備が必要不可欠です。高度なスキルと経験、強い覚悟が求められますが、その分やりがいも大きいです。
ITコンサルタントへの転職はエージェントに相談
ITコンサルタントは専門性の高い職種のため、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
転職エージェントの中には、コンサル転職に特化したサービスを提供しているところもあります。コンサル業界ならではの転職ノウハウを活用したサポートが受けられるでしょう。
また、応募書類の添削や面接対策のサポート、給与交渉での有利な立場など、エージェントを活用することで効率的な転職活動が可能です。
IT関連の仕事を続けながらITコンサルタントの転職を目指すなら、手厚い支援が受けられるエージェントの活用がベストです。
まとめ
ITコンサルタントは、企業のIT活用を総合的に支援する重要な役割を担っています。
経営課題の把握と最適なITソリューションの提案、プロジェクトの管理など、幅広い業務に携わります。ITに関する知識はもちろん、論理的思考力、コミュニケーション能力なども求められる専門職です。中小企業診断士やITコーディネーター、ITストラテジストといった資格があれば、転職が有利になります。
未経験からでも、システムエンジニアや技術営業などの経験を生かせば、キャリアチェンジが可能です。高度な専門性を発揮できる上級コンサルタントやプロジェクトマネージャーを目指せば、高収入が期待できます。
ITコンサルタントへの転職をお考えなら、豊富な転職支援実績をもつフォルトナにご相談ください。