不動産コンサルタントは多様化する不動産ニーズに応え、顧客の資産価値最大化を支援するため、やりがいと高い将来性を兼ね備えた職業です。
本記事では、不動産コンサルタントの具体的な業務内容をはじめ、不動産コンサルタントならではのやりがいや年収相場を解説します。
将来性が期待できる理由や必要な資格なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不動産コンサルタントとは何か
不動産コンサルタントとは、不動産の売買や有効活用などに関して専門的な知識とノウハウを生かしながらクライアントに最適なアドバイスを行う職業です。
以下では、不動産コンサルタントの主な業務内容や魅力的なやりがいを詳しく紹介します。
不動産コンサルタントの業務内容
不動産コンサルタントは、不動産の購入や売却、活用方法に悩む方などに対し、専門的な知識を生かしてアドバイスを行うのが主な業務です。
また、契約書の作成や住宅ローンの手続きなど、取引に関連する業務のサポートや、市場調査・分析を行い、依頼者に最適な不動産の活用方法の提案なども行います。
クライアントが安心して不動産取引に踏み出せるよう、総合的な支援を行うのが不動産コンサルタントの役割です。
なお、不動産コンサルタントにはクライアントが所有している物件の課題や問題の解決策を作成する「企画提案型」と、解決策をまとめた企画書作成に加えて物件の調査や交渉、執行などを請け負う「事業執行型」の2種類あります。
双方は携わる業務範囲が異なるものの、クライアントをサポートしながらより良くなるように支援する点は共通しています。
不動産コンサルタントならではのやりがい
人生の大切な場面である不動産取引に寄り添い、依頼者にとって最善の方法を提案・サポートできることは不動産コンサルタントならではのやりがいです。悩める依頼者の不安を解消し、満足した笑顔を見られたときの達成感は非常に大きいでしょう。
また、高度な専門知識を生かして個人・法人が抱える課題を解決できることや、クライアントと長期的な信頼関係を築けるのも不動産コンサルタントの魅力です。
不動産コンサルタントの年収相場
不動産コンサルタントの平均年収は664万円です。しかし、年収は会社の給与体系や経験年数などによっても大きく異なり、一般的な年収相場は600~800万円程度といわれています。
ただし、多くの実績を上げている方や企業の規模によっては、年収が1,000万円以上になることも少なくありません。
不動産コンサルタントは、不動産の専門知識を生かしながら顧客の重要な意思決定に関わる職業のため、一般的な企業よりも高い年収水準になっています。
不動産コンサルタントに向いている人材像
不動産コンサルタントに向いている人物像として、以下の4つが挙げられます。
- 不動産業界での仕事の経験がある
- リサーチ力がある
- コンサル適性がある
- 共感力・コミュニケーション能力が高い
それぞれの人物像について詳しくみていきましょう。
不動産業界での仕事の経験がある
不動産コンサルタントに向いているのは、不動産業界での実務経験がある人材です。売買仲介や賃貸管理、不動産投資など、幅広い業務経験があれば物件に関する顧客目線でサービスを提供できます。
また、業界人脈を通じて不動産マーケットの最新動向も把握でき、クライアントへタイムリーな情報を提供することが可能です。
多様な不動産業務の経験があれば、不動産コンサルタントとしての活躍の場を広げられるでしょう。
リサーチ力がある
リサーチ力があることも、不動産コンサルタントに向いている人材の特徴です。不動産市場は常に変化するため、最新の情報をいち早くキャッチアップし、クライアントに有益な情報を提供する能力が求められます。
また、膨大な情報のなかから必要な情報を見極め、クライアントが求める最適な提案ができることも必要不可欠です。
リサーチ力が高ければ情報収集力と分析力、提案力を兼ね備えており、クライアントから信頼される不動産コンサルタントとして活躍できます。
コンサル適性がある
不動産コンサルタントに向いている人材の一つに、コンサル適性を保有していることが挙げられます。
コンサル適性に含まれる要素は、複雑な不動産の課題を論理的に分析して解決策を導き出す論理的思考力や、問題の本質を見抜き創造的に解決策を提案する課題解決力、中長期的視点で最適な不動産戦略を立案する戦略的思考力などです。
また、プレゼンテーションやファシリテーション、ドキュメンテーションなどのビジネススキルを兼ね備えていることも重要です。
不動産の専門知識だけでなくコンサルタントとしての資質をもつ人材なら、不動産コンサルタントとしてクライアントに寄り添った提案ができるでしょう。
共感力・コミュニケーション能力が高い
共感力やコミュニケーション能力が高いことも、不動産コンサルタントに向いている方の特徴です。
不動産コンサルタントはクライアントと深く関わりながらニーズを的確に理解し、共感したうえで最適な提案を行います。関係者と交渉する機会も多いため、高いコミュニケーション能力が欠かせません。
前職までに顧客対応の実務経験や、話を聞きながら相手の立場に立って業務を遂行した経験がある方は、不動産コンサルタントとしてのポテンシャルを秘めているといえます。
不動産コンサルタントの将来性
不動産コンサルタントは、将来性のある職業です。変革期を迎えている不動産業界において、専門性とコンサル能力を兼ね備えた不動産コンサルタントがリードし、新たな価値を創造していくことが期待されています。
また、DX化やグローバル化の進展により、IT技術対応力や国際感覚を備えた不動産コンサルタントの活躍の場が広がっています。
不動産コンサルタントは、変革の時代を力強く牽引するプロフェッショナルとして今後も注目される職業です。
不動産コンサルタントの需要が高まっている理由
上述では不動産コンサルタントの将来性について解説しましたが、需要が高まっている具体的な理由にはどのようなことがあるのでしょうか。
需要を高めている理由として、主に以下の3つが挙げられます。
- 不動産ニーズの多様化
- 高度な専門知識の必要性
- 業界のDX化への対応
ここでは、それぞれの理由を具体的に解説するので、ぜひ参考にしてください。
不動産ニーズの多様化
近年、ライフスタイルや価値観の変化に伴って不動産ニーズが多様化しています。住まいとしてだけでなく、投資や事業用、再生・活用など、不動産は資産やビジネス基盤として捉えられるようになりました。
多岐にわたるニーズに対応するために物件紹介だけでなく、投資戦略や事業計画のサポートなど、高度で専門的なコンサルサービスが求められている結果、不動産コンサルタントの需要が高まっています。
高度な専門知識の必要性
現代では、不動産関連の市場動向や評価・分析、金融・税務など、クライアントの多様なニーズに応えるには幅広い専門知識が必要不可欠です。
また、単なる不動産取引の仲介だけでなく、資産価値最大化のための総合的なアドバイスが求められる場面が増えています。
不動産業界における法律や経済、金融などは複雑化しており、高度な専門性が必要であることから、不動産コンサルタントの需要が高まっているといえます。
業界のDX化への対応
不動産業界においてDX化の波が押し寄せており、不動産テックと呼ばれる新サービスが次々と登場しています。具体的にはAIやビッグデータの活用、VR・AR、クラウドサービスなどが普及しており、さまざまな企業で取り入れられています。
変革期を迎えている不動産業界では、デジタル技術を活用した業務効率化とサービス向上が急務となっており、DXをリードする不動産コンサルタントが注目されています。
不動産コンサルタントに必要な資格
不動産コンサルタントに必要な資格として、どのようなものがあるのかと気になる方は多いでしょう。
ここでは、不動産コンサルタントとして活躍する際に欠かせない資格について解説します。
公認 不動産コンサルティングマスター
不動産コンサルタントで活躍するためには、「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格取得が必要です。50問の四肢択一式の択一式試験と、必修3科目・選択1科目の記述式試験に合格することで資格取得になります。
受験資格としては、「宅地建物取引士」「不動産鑑定士」「1級建築士」のいずれかの国家資格を持ち、不動産会社や不動産鑑定士事務所などでの5年以上の実務経験が求められます。
他の国家資格と比べるとハードルは高くなっているため、前もって準備し始めるのが肝心です。
以下では、受験に必要な3つの資格について詳しく紹介します。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引のエキスパートになれる国家資格であり、通称「宅建士」とも呼ばれています。年間20万人以上の受験者がおり、日本最大規模で人気のある資格の一つです。
不動産の売買や賃貸における「契約締結前に行う重要事項の説明」や「重要事項説明書面(35条書面)への記名」、「契約内容を記した書面(37条書面)への記名」の重要な3つの業務は、宅建士だけに許された独占業務です。
そのため、宅地建物取引士は不動産業界では欠かせない資格であり、取得することで高度な専門知識を提供できるコンサルタントとして活躍できます。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の価値や適正価格を専門的な知識と技術で評価・判定する専門家です。具体的には、クライアントからの「土地を売りたい」「物件を貸し出したい」などの要望に応じて土地や建物の価値を判定したり、有効活用に関するアドバイスを行ったりします。
不動産鑑定士の試験は短答式試験と論文式試験の2つあり、これといった受験資格はないため、誰でも受験することが可能です。万が一、試験に合格できなかった場合は2年以内なら短答式試験は免除され、論文式試験は3回まで再受験できます。
不動産コンサルタントにとって、不動産鑑定士の知識は重要です。不動産鑑定士の資格をもつことで、クライアントにより高度で専門的なアドバイスを提供できるようになるでしょう。
1級建築士
1級建築士は建築士資格の最高峰であり、商業施設や学校などの大規模建築物の設計ができる専門家です。
1級建築士は建物を手掛ける側の資格であるため、不動産コンサルタントにとっては必須ではありませんが、資格を保有すれば建築士目線のアイデアや専門知識を提供できるようになります。
ただし、受験資格には建築士としての実務経験や、建築関連の大学や専門学校で指定科目を修了していることが求められるため、あらかじめ理解しておきましょう。
不動産コンサルへのキャリアチェンジはエージェントに相談
不動産コンサルタントへのキャリアチェンジには、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは不動産業界をはじめ、さまざまな業界に精通しており、非公開求人を含む良質な求人情報を多数保有しています。
また、書類作成や面接対策、年収交渉などもサポートしてくれるため、スムーズな転職活動が可能です。
転職エージェントを利用する際は、総合的に扱っている転職エージェントを選ぶのではなく、コンサルタントに特化した転職エージェントを選ぶのがポイントです。
コンサル転職に強いエージェントの選び方を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ
不動産コンサルタントは、顧客の不動産取引や活用をサポートする重要な役割を担う職業です。業務内容は多岐にわたり、やりがいとともに高い年収を得られる可能性が高いのが魅力ポイントです。
不動産ニーズの多様化やDX化により、需要が高く将来性がある仕事ですが、コンサル適性やリサーチ力、共感力などが求められます。資格としても、公認 不動産コンサルティングマスターが必要であり、不動産コンサルタントとして活躍するためのハードルが高い点には注意しましょう。
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