今回は、同社の取締役執行役員で、経営支援チームを率いる千田勇一様にお話を伺いました。
千田様がリヴァンプに入った理由や、リヴァンプの特徴や魅力、具体的なプロジェクト内容、そして日本における経営者を取り巻く現状や、経営者になるためのキャリア設計論に至るまで、余すところなく語って頂いたインタビューです。
※実は、千田様は今回インタビューを行った弊社ディレクター春日の中高時代の同級生。インタビュー中は「さん付け」ですが、普段は「千田」「春日」と呼び合う、気心知れた旧知の仲。そのような側面にも注目してぜひご覧ください。
■千田勇一様 プロフィール
株式会社リヴァンプ 取締役 執行役員
2006年ゴールドマン・サックス証券入社。投資銀行部門にて資金調達、M&Aアドバイザリー、自己勘定投資案件に従事。
2009年リヴァンプ入社後は主に小売、飲食、サービス、消費財、ライフスタイル、インターネット業界において、全社企業価値向上、経営戦略立案、コーポレートブランディング、マーケティング、デジタルトランスフォーメーション等のプロジェクトに従事。経営受託先の取締役・CSO・CMO・CDOとして経営改革を担当。
一橋大学卒業。
リヴァンプ×フォルトナ スペシャルインタビュー part1はこちら
私がリヴァンプに入ったきっかけ
[春日]
本日は宜しくお願いします。まず、千田さんは何故リヴァンプに入られたのでしょうか?
[千田様]
「経営に携わりたい」という強い想いがあったからです。
私は新卒でゴールドマンサックス(GS)に入社し、投資銀行部門にて資金調達やM&Aアドバイザリー業務に従事していました。ある時から同社の投資先企業も一部担当し始めたのですが、これが私のターニングポイントになります。
その投資先企業は元々投資前から経営的に芳しくなく、状況としては投資と同時に米国からプロ経営者が来日し再生へ取組むフェーズでした。
プロの経営者の傍で仕事をするのは大変面白く刺激も多かったのですが、実際に経営を推進し、改革を進めたのは彼とそのチームのみ。私は一担当者として経営会議に出て、その内容をレポートにまとめ会社に送るだけ。
どんどん業績も上向いて、働く人の顔もみるみる明るくなっていくのに、私はその様子を指を咥えて見ていることしかできませんでした。
その出来事がきっかけで「経営にもっと深く携わりたい」と強く思うようになりました。入社2,3年目くらいの時だったと思います。
[春日]
新卒時からかなりダイナミックな経験をしていたんですね。
[千田様]
GSでは尊敬する上司に囲まれ日々楽しく仕事をしていましたが、みなさん本当に優秀な方々だったので、正直「この世界では何年やっても先輩には勝てないかもしれない」と思いもしましたね。
そんな中リーマンショックが起こり、自分は自分なりのキャリアを歩んでみようと考え転職を決意しました。
結果として、私は今リヴァンプの支援先クライアントにてCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務めています。金融出身で、CMOをやっている人はあまりお見掛けしません。
実際、私のGS時代の同僚は、当時から10年経って同業界に残っている人が3割、投資系に進んだのが3割、事業会社でCFOをやっている人が3-4割です。
ファイナンスからキャリアをスタートし、今マーケティングをやっているという振れ幅は、結果としては良かったと思っています。
[春日]
プロフェッショナルの世界では、色んな経験をミックスすることが一つの生存戦略になるということですね。
[千田様]
リヴァンプに入った当時はそもそも自分のようなキャリアの人はおらず、リヴァンプ自体も新しい会社で組織として出来上がっていないがゆえに、色んな仕事を経験することができましたね。
そのお陰で今の自分があると思っています。
決め手はチャーシュー!?創業者から学んだ、現場に出ることの大切さ
[春日]
入社後はどのように経験を積んでいったんですか?
[千田様]
初めて担当したのはラーメンチェーンのプロジェクトでした。
当時、ファイナンス畑の私にできることと言えば、事業計画書を作成したり財務モデルを組んだりすることだけ。それだけでは事業の改革や収益貢献をすることは到底できません。
例えば、エクセル越しに店舗別に粗利が違うことは分かっていたのですが、その理由も解決方法も分かっていませんでした。
そこで、私が入社するきっかけを作ってくれたリヴァンプ創業者である澤田さんと玉塚さんに相談したところ、「貴方は事業が分かってないから現場に行ってきなさい」と言われ、6か月間ラーメン屋の店舗で働きました。
その結果、鍵はチャーシューにあることを突き止めたんです。
[春日]
チャーシュー!?
[千田様]
そのチェーンではチャーシューを店舗で切っていて、切る人のスキルによって厚みが異なっていたんですよ。
例えば厚みが2ミリと5ミリでは2倍以上の差ですから、原価率が大きく変わってしまいます。そこで“簡単チャーシュースライサー”を導入した結果、原価率が落ち着き、利益が上がったんです。
これは現場で見なければわからなかったことでした。
この経験をきっかけに現場に出て事実を見ることを大切にして、少しずつ事業を理解できるようになったというのが、入社直後の話ですね。
その後はBtoC企業を中心に、フード、アパレル、サービス領域の仕事を経験していき、経営改革において鍵となるのはITであると気づきました。
現社長の湯浅がロッテリアの改革に携わっていた10数年前には、もうすでに経営改革にITが必須だということに気付いていて、リヴァンプのITチームを発足しているんです。
私もそのことを耳が痛くなるほど聞いてきたので、経営改革にはITが欠かせないという認識で業務をしています。
[春日]
最近、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性は喧伝されていますよね。
[千田様]
私達としてはそれは言葉を言い換えただけ。10年前からITと経営改革はセットだと考えてきていましたし、それを実現してきました。
そういう意味では自分のファイナンスのバックグラウンドに加え、マーケティングやITの色がついて出来ることが増えていった結果、経営改革の場面で出せる価値が上がってきた10年間でしたね。