「それなりにコンサルとして働いてきたし、そろそろ事業会社への転職を考えたい。」
「コンサルは面白いけど、ワークライフバランスの良い事業会社に転職したい…。」
コンサルタント経験者からよくこのようなご相談をいただきます。
ポストコンサルが取りうるキャリアの選択肢は多岐にわたります。中でも、事業会社は有力な選択肢の一つ。
コンサルタントとして身に着けた問題解決力、分析力、コミュニケーション力を生かし、事業会社の要職でご活躍されている方は大勢いらっしゃいます。
しかし、ポストコンサルのキャリアにおいて、事業会社への転職で後悔している方や、失敗した経験をお持ちの方がいるのも事実。
実はそうした後悔や失敗には傾向があり、あらかじめどんなことに注意をすればよいか理解しておくことで避けられる可能性があります。
ここでは、コンサルファームから事業会社への転職で失敗しないために、必要な3つのことをご紹介し、それぞれ解説をしていきます。
①年収・労働時間などの条件面だけで転職を検討しない
まず注意したいのは、年収や働き方の面で転職を検討すると失敗しやすいという点です。以下では具体的な注意点をお伝えします。
年収ダウンを覚悟する必要がある!
コンサルから事業会社への転職では、年収が下がるケースも多い点に注意が必要です。
コンサルタントの年収は高く、外資系のコンサルファームであれば20代で1000万円を超える方も珍しくはありません。
しかし、年収1000万円を超えているのは、日本の中でも5%程度のみ。
コンサルファームで高い評価を得ていた人ほど、事業会社への転職時に年収ダウンの可能性が高くなります。
中には事業会社に転職したいものの、ずっとコンサル業界から移ることができないでいるという場合も多いです。
そういった方の特徴としては、下記のようなものが挙げられます。
- 年収と同時に生活水準が上がってしまっている
- 住宅ローンや教育費など、固定費がかさんでいる
本当はコンサルからキャリアチェンジしたいのに、生活費が足枷となってしまうというケースも稀ではありません。
もしコンサルから事業会社への転職を考えているのであれば、比較的早い段階でコンサルタントからのキャリアチェンジを考えるか、年収を下げてでもやりたいことを実現するといった気概が必要になるケースもあります。
逆に考えると、年収を下げる覚悟を持つことは、ポストコンサルとしての選択の幅を広げることにもつながります。
ワークライフバランスだけを求めると失敗する!
事業会社の方がコンサルファームよりもワークライフバランスが良い。だから、事業会社に行きたいという方も一定数いらっしゃると思います。
しかし、ワークライフバランスのみを追い求めて転職をするのは注意が必要です。
確かにコンサルから事業会社に転職し、ワークライフバランスが改善した、という方もいらっしゃいます。
一方で、「仕事にやりがいを感じない」「コンサルワークの方が好きだった」という声も頻繁に聞きます。ハードワークではあったが、コンサルの方が好きだったため、コンサルファームに戻ったという方も少なくありません。
当然ながら、ご自身がどんなキャリアを歩んでいきたいのか、どんな仕事をしていきたいのか、という点を熟考し、主体的にキャリア設計をしていく必要があります。
また、事業会社によっては、始業時間が定まっていたり、自宅で仕事が完結する日であっても出社の必要性があったりするというケースも多いです。
コンサルタントとして、「結果を出していれば働き方は自由」というスタンスに慣れてしまっている方からすると、窮屈に感じてしまうでしょう。
単純な労働時間より、自分自身にとって都合の良いスタイルで働くことが出来るか?という点は考慮に入れてく必要があります。
【閑話休題】ワークライフバランスの改善ならコンサルtoコンサルの方が良い!?
「ワークライフバランスを改善させたいが、コンサルワークも好きだ」という方は一定数いらっしゃいます。
そのような場合は、「ワークライフバランスの良いコンサルファームに行く」というのも一つの手です。
- これまでの経験が活かせるため結果が出しやすい
- 年収も維持しやすい
- 経験者は各コンサルファームで積極採用中
このような背景があるため、実際にコンサルタントとして活躍しながら、同業種への転職によってワークライフバランスを改善させた方も多いです。
下記のコラムでは、そのようなワークライフバランス向上型のコンサルtoコンサル転職についても解説していますので、ぜひご覧ください。
また、コンサルファームのワークライフバランス向上の取り組みについては、下記のコラムでも解説しています。こちらも併せてご覧ください。
【激務?】コンサルでワークライフバランスは取れるか。アクセンチュア,BIG4(デロイト,PwC,EY,KPMG),ベイカレント,アビームの取り組みも解説!
②事業会社のタイプごとに特徴を理解しておく
事業会社といっても、様々なタイプがあります。ここでは、大きく4つのタイプに分けて事業会社の特徴を解説します。
- 外資系事業会社
- 日系大手事業会社
- 中小含むオーナー系事業会社
- スタートアップ/ベンチャー
タイプ別事業会社の特徴
外資系事業会社
下記のような理由から、外資系企業はコンサルタントのネクストキャリアとして人気が根強いです。
- 提示年収が高く、コンサルタント出身者の年収レンジと合う
- 会社そのものがコンサルファームを使うことに慣れている(=コンサルタントがバリューを発揮しやすい)
- 中途採用がメインで、コンサル出身者も多い
一方で、下記のような点があることも認識しておく必要はあるでしょう。
- 人材の流動性は高く、2.3年で人が入れ替わる職場もある
- 日本「支社」という位置づけなので、本社の意向で戦略が変わるケースも多い。
日系大手事業会社
日系大手事業会社は、給与面や昇進ペースなどの点から、コンサルタント出身者と折り合わないケースもあります。
しかし、昨今の人手不足の影響から、中途採用において優秀な人材を獲得するためにはそれ相応の年収レンジを準備しなければならないと危機感を持っている企業は増えてきています。
安定的な経営基盤があり、福利厚生面などが優れている点は魅力的でしょう。
一方で、日系大手企業ならではのリスクがあるこも認識しておく必要があります。
- 新卒採用が主流で、あまり中途入社組が多くない
- 年功序列で上のポストが詰まっている
- 40,50代の早期退職募集が行われるなど、必ずしも長期的に安定とは言えない
中小含むオーナー系事業会社
オーナー系事業会社の中で、オーナー社長の右腕としてコンサル出身者が活躍するケースも増えてきています。
特に地方の中小含むオーナー系企業では、事業承継を見据えて、会社の要職にポストコンサルを迎えるといった動きも出てきています。
- 既に確立された基盤の中で経営に携われる
- 地方にも優良企業は多く、Iターン・Uターン転職を実現できる
スタートアップ/ベンチャー
昨今、コンサル出身者から人気が根強いのがスタートアップ/ベンチャーです。新進気鋭の企業では、ポストコンサルが将来的な経営幹部候補として採用され、ストックオプションが付与されるといった可能性もあります。
ただし、ストックオプションは、株そのもの自体をもらえるのではなく、「株を買う権利」をもらえるもの。
- 上場したときの株価がいくらになるのか
- そもそも上場できる可能性はありそうなのか
といった不確定要素があることは認識しておく必要があるでしょう。
カルチャーフィットの見極めが重要
どのような業界でもそうですが、日系と外資系のカルチャーの違いは、転職者に大きな驚きを与えることが往々にしてあります。
また、会社の規模感としても、大手企業なのか中小企業なのかで、人材に対する考え方の違いや、風土・カルチャーが大きく異なるケースもあります。
いずれの場合においても、自分自身がカルチャーフィットするのかどうか、事前準備・選考の過程を通じて精査する必要があるでしょう。
③仕事の進め方・社員のレベル感は異なることを認識しておく
コンサルから事業会社への転職時に認識しておきたいこととして、仕事の進め方や社員のレベル感は全く異なるケースが多い、ということです。
仕事の進め方
コンサルファームと事業会社では、そもそもプロジェクトワークがメインかどうか、という違いがあります。
事業会社の場合は、事業によっては数年単位のプロジェクトとなることも一般的ですし、そもそもプロジェクトワークではないケースも多いです。
その中で、仕事の進め方も変わってきます。
特によくある失敗は、「コンサルファーム社内で通用していたロジックをそのまま使ってしまう」というものです。
コンサルファームでは職位や年齢に限らず、クライアントに対してバリューを発揮できるなら、ロジックとして正しいことを発言する機会に恵まれています。
しかし、事業会社では必ずしもロジックの正しさだけで意思決定が行われているわけではありません。
特に年功序列の企業である場合、「何を言うか」よりも「誰が言うか」が重視されていることもあります。
クライアントの社内政治の空気感や仕組みを理解し、難題を解決していたコンサルタントも、いざそのような環境に身を置いてみると、やはりやりづらさを感じるという方もいらっしゃいます。
社員のレベル感
特にマネジメントクラスで事業会社に転職した際に気になるのは、部下となるメンバーが仕事を行うレベルです。
コンサルファームでは当たり前であった仕事の処理スピードや、ハードスキルを持ち合わせてない部下に対峙したとき、どのようにマネジメントを行うかというのは一つの課題になります。
特にコンサルタントの場合、プロジェクトが終われば別のメンバーと仕事をすることも多く、ある意味”リセット”がしやすい環境です。
しかし、事業会社の場合は異動がなければずっと同じメンバーと仕事をしていくことになります。
こういったコンサルファームと事業会社の差異を認識せずに転職してしまうと、思ったようにパフォームすることが出来ず、結果として失敗という事態に陥ってしまうかもしれません。
まとめ
コンサルから事業会社に転職する際、失敗・後悔しないために必要な3つのことについて説明をしてきました。
- 年収・労働時間などの条件面だけで転職を検討しない
- 事業会社のタイプごとに特徴を理解しておく
- 仕事の進め方・社員のレベル感は異なることを認識しておく
いずれも、事前のキャリア設計や調査を怠らないことが重要と言えます。
そして事業会社へ転職をしたが、どうにもならない状況であるという場合には、コンサルタントとしてのキャリアを活かし、再度コンサル業界に戻ることを検討するということも一つの選択肢です。
実績を残した方であれば、以下のような理由でコンサルファームに戻れることも難しくはありません。
- 在籍年数が短くても、入社難易度の高いコンサルファームに入社していたという事実がある
- 各コンサルファームで最も採用したい層はコンサル経験者
- 業界内にネットワークがあり、元上司や元同僚に誘ってもらいやすい
コンサル業界において転職はそれほど珍しいものではないため、あまりに転職回数が多い、ということでなければコンサルタントとしての経験がキャリアのセーフティネットになると言えるでしょう。
そのような選択肢も含めて今後のキャリア設計を相談したいという場合は、ぜひ弊社エグゼクティブコンサルタントまでお気軽にご相談ください。
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