FinTechとは?初心者にもわかりやすく解説

近年、金融とテクノロジーの融合により、FinTech市場は急成長を遂げています。

新型コロナウイルス感染症の影響でデジタル化が加速し、キャッシュレス決済の普及や非対面取引の増加など、金融サービスの在り方が大きく変わりつつあります。

そんなFinTechですが、名前は聞いたことはあるものの具体的にどのように活用されるのかがわからないという方はいるのではないでしょうか。

本記事では、FinTechの概要や活用例をはじめ、FinTechを支えているテクノロジーや発展段階を解説します。

転職する際のポイントや向いている人材の特徴なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

FinTechとは

FinTechとは、「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を融合したイノベーションのことを指します。

従来の金融機関が提供してきたサービスに、AIやビッグデータ、ブロックチェーンなどの先端テクノロジーを活用することで、利便性や効率性を飛躍的に高めることが可能です。

FinTechの歴史

FinTechの歴史は古く、1860年代の海底ケーブルを用いた電子資金振替が起源といわれています。その後、1950年代にクレジットカード、1960年代にはATMが登場し、1980年代からオンラインバンキングが登場しています。

それ以降もインターネットバンキングやモバイルバンキングなどが登場し、金融機関における業務と顧客取引のデジタル化が進み、FinTechの活用が増えていきました。

そんなFinTechが注目を集めるようになったきっかけは、銀行への不信感が高まった2008年のリーマンショックだといわれています。課題解決のため、AIなどを活用した新しい金融サービスが普及し、現在につながっています。

FinTechの活用例

上述した歴史的背景から、FinTechはキャッシュレス決済や仮想通貨、クラウドファンディング、ソーシャルレンディング、保険、送金、金融情報など、幅広く活用されています。

FinTechの具体的な活用例としては、以下の4つが挙げられます。

  • 決済・送金サービスの利便性向上
  • 個人向け資産運用サービスの多様化
  • 融資サービスの迅速化・簡素化
  • 保険サービスのパーソナライズ化

それぞれの活用例を詳しく見ていきましょう。

決済・送金サービスの利便性向上

FinTechの発展により、決済・送金サービスの利便性が大きく向上しています。具体例としては、スマートフォンアプリを使ったモバイル決済や24時間365日リアルタイムの送金などが挙げられます。

また、ブロックチェーン技術の活用により、国際送金の手数料低減と即時送金の実現も果たしました。

FinTechによって身近な決済・送金がより手軽で迅速、安価なものになりつつあり、今後もさらなる利便性の向上が期待されています。

個人向け資産運用サービスの多様化

FinTechの活用により、個人向けの資産運用サービスも多様化しています。具体的には、AIを活用した資産運用サービスや、少額投資の機会拡大などが挙げられます。

FinTechによって個人の資産形成の選択肢が広がり、より身近で手軽に運用をはじめられる環境を整えることが可能です。資産運用のハードルが下がったことで、これまで投資に縁のなかった層にも資産形成の機会が広がっています。

融資サービスの迅速化・簡素化

FinTechを活用することで、これまでの融資プロセスが大幅に効率化されています。FinTechならオンライン申し込みによりいつでも融資申請でき、借入可能額の判定やローンの最適な提案などを提供することが可能です。

また、融資を受ける側の利便性が向上しただけでなく、金融機関側も審査や事務作業の工数を大幅に削減できるようになりました。

今後もAIの高度化などにより、融資サービスの効率化が進むでしょう。

保険サービスのパーソナライズ化

FinTechは、保険サービスの高度なパーソナライズ化も可能にします。AIやビッグデータ解析を活用しながら個人の行動データやリスク特性を分析し、その分析結果をもとに個人のニーズに合わせた最適な保険商品・サービスを提案します。

また、スマホアプリなどを通じて、加入手続きから保険金請求までをシームレスに完結することも可能です。

FinTechを活用すれば、保険サービスを従来の「売りっぱなし」から変革させ、一人ひとりに寄り添った継続的なサポートを提供できるようになります。

FinTechの発展段階

FinTechには発展段階が存在し、徐々に進化してきたといわれています。具体的な段階としては、以下の4ステップが挙げられます。

  • FinTech 1.0:ITによる金融の効率化
  • FinTech 2.0:新興企業による金融サービスの分解
  • FinTech 3.0:APIを通じた金融サービスの再構築
  • FinTech 4.0:金融と非金融の垣根を越えたサービス統合

ここでは、FinTechの発展段階について具体的に解説します。

FinTech 1.0:ITによる金融の効率化

FinTech 1.0は、1866~1967年まで呼ばれていた名称であり、既存の金融機関がITを活用して業務効率化を図ったことが特徴的です。主に、決済の高度化やセキュリティ向上、バックオフィス効率化などの領域で進展しました。

FinTech 1.0での動きは金融機関主導でITが金融業務に適用され、業務の合理化・効率化が進んだため、金融業界において大きな変革をもたらした時期です。

FinTech 2.0:新興企業による金融サービスの分解

FinTech 2.0は、1967~2008年までの期間を指し、新興企業が既存の金融サービスを分解してそれぞれの機能に特化したサービスを提供開始した時期です。

この期間は、ATMやオンラインバンキングなどが普及し、金融機関に対する認識を大きく変えた時代ともいわれています。

しかし、上記で解説した2008年のリーマンショックによりFinTech 2.0は終わりを迎え、次の時代のイノベーションにつながりました。

FinTech 3.0:APIを通じた金融サービスの再構築

FinTech 3.0は、FinTech 2.0の金融機能を活用し、APIを通じた金融サービスを再構築した段階です。APIとは、ソフトウェアやアプリ同士を連携させるためのしくみをいいます。

2008年のリーマンショック以降、規制が変更されたことで新たなプロバイダーが市場を開拓し、AIやブロックチェーンを使用した多数の暗号資産が誕生していきました。

FinTech 4.0:金融と非金融の垣根を越えたサービス統合

FinTech 4.0では、金融と非金融の垣根を越えたサービス統合が進んでいます。具体例としては、小売業や通信業、交通業との融合などが挙げられます。

FinTech 4.0では、APIを組み合わせることで業界の垣根を越えたシームレスなサービスを提供することが重視されています。

FinTechを支える主要テクノロジー

FinTech テクノロジー

FinTechを支える主要テクノロジーには、主に5つの要素があります。

  • 分散型台帳技術(DLT)
  • 人工知能(AI)
  • ビッグデータ解析
  • オープンAPI
  • IoT

ここでは、主要テクノロジーの特徴などを詳しく紹介します。

分散型台帳技術(DLT)

分散型台帳技術(DLT)は、FinTechを支える重要なテクノロジーの一つです。ブロックチェーンやスマートコントラクトなどの関連技術を含んだテクノロジーであり、台帳の維持や同期、自動的に透明性の高い取引処理が可能などの特徴があります。

FinTech分野でDLTを活用すれば、金融サービスの透明性や効率性を高め、コストを削減することが期待されています。

人工知能(AI)

人工知能(AI)も、FinTechを支える主要テクノロジーです。FinTechにおいて、AIはコールセンターなどの顧客対応やチャットボット、データ入力などの事務作業で活用されています。

さまざまな用途で活躍するAIには、機械学習やディープラーニングなどの技術が使われており、金融サービスの利便性や効率性が大幅に向上しています。

今後もAIの活用領域は拡大し、FinTechの発展を加速させていくといえるでしょう。

ビッグデータ解析

FinTechを支える主要テクノロジーの一つに、ビッグデータ解析が挙げられます。FinTechにおけるビッグデータ解析は、膨大な金融データから有益な洞察を引き出すことを目的としています。

ビッグデータ解析によって、顧客の行動パターンや嗜好の把握、リスク評価の高度化、不正検知の精度向上などを期待することが可能です。

ビッグデータ解析を実現するためには、データの収集・蓄積・処理を効率的に行う必要があり、HadoopやSparkなどのテクノロジーが活用されています。

オープンAPI

FinTech業界において、オープンAPIも重要な役割を果たしています。オープンAPIとは、銀行と外部事業者で安全にデータ連携を可能にするしくみです。

オープンAPIには、他社サービスとの連携による価値の向上やイノベーションの促進などのメリットがあります。

また、銀行がオープンAPIを導入すれば、FinTech企業は銀行のシステムやデータを活用した革新的なサービスを素早く開発することが可能になります。

オープンAPIはFinTech業界の発展に欠かせない重要なテクノロジーの一つであり、導入を進めることで利便性の高い金融サービスを展開しやすくなるでしょう。

IoT

IoTも、FinTechを支える主要テクノロジーの一つです。IoTはモノのインターネットとも呼ばれており、さまざまなモノがインターネットに接続され、情報交換することで相互に制御するしくみを指します。

IoTがFinTechに活用される具体例としては、ウェアラブルデバイスやIoT家電による自動決済や、自動車の運転データからリスクを判断して最適な保険料の算出などが挙げられます。

また、IoTとAIを組み合わせることで、より高度な金融サービスの提供が可能です。IoTはFinTechにおいて、新たなサービスを生み出す重要な技術の一つといえるでしょう。

FinTech業界に転職するときのポイント

FinTech業界に転職する際のポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • FinTechに求められるスキルと経験
  • FinTech業界の課題
  • FinTech業界の将来性と市場動向

ここでは、各ポイントを具体的に解説します。

FinTechに求められるスキルと経験

FinTech業界で活躍するには、金融とITの両分野の知識とスキルが求められます。具体的には、金融商品やリスク管理などの金融知識や、プログラミングやシステム開発などのIT技術、事業企画やマーケティングなどのビジネス経験が必要です。

その他にも、新しい技術やトレンドへのアンテナの高さや課題解決に向けた論理的思考力などのマインドセットも重要視されます。

FinTech業界で活躍するには、金融とテクノロジーの知識に加え、変化の激しい環境に適応し、イノベーションを起こせる人材が求められます。

FinTech業界の課題

FinTech業界は成長著しい一方で、国内FinTech分野のキャッシュレス化は中国などの先進国と比較すると未だ遅れているといわれています。

また、FinTechのサービスに対応している事例はそれほど多くはなく、十分な事例があるとはいえません。

上述した課題の主な原因としては、事業者側にかかるコストや決算手段の乱立、キャッシュレス決済に対する不安などが挙げられます。

FinTech業界に転職する際は課題に対して理解を深めておき、今後のFinTech業界の発展にどのように貢献できるかを明確にしておくことが肝心です。

FinTech業界の将来性と市場動向

FinTech業界の将来性は明るく、今後も市場の拡大が見込まれます。具体的な理由としては、金融サービスのデジタル化が加速することや、オープンAPIの活用が進むことなどが挙げられます。

また、グローバル化の進展や規制緩和による新規参入の増加なども、市場拡大を図る理由の一つです。

FinTech企業は、今後も利用者目線に立った革新的なサービスを次々と生み出していくことが見込まれており、金融の在り方そのものを変革するFinTech業界から目が離せません。

FinTechに向いている人の特徴

FinTech業界で活躍しやすい人材の特徴として、主に3つ挙げられます。

  • 金融とITの両方に興味・知識がある
  • 変化を恐れず、新しいことにチャレンジできる
  • 論理的思考力とコミュニケーション能力が高い

ここでは、FinTechに向いている人の特徴について紹介するので、自身に当てはまっているかをチェックしてみてください。

金融とITの両方に興味・知識がある

金融とITの両方に興味や知識を持っている方は、FinTechに向いている人材です。FinTech企業が求める人材像として、金融の基本的なしくみや規制を理解している方や、プログラミングなどのITスキルを持っている方が挙げられます。

また、金融とITを組み合わせた新しいサービスをイメージできる方や、顧客目線で考えてニーズを捉えられる方も、FinTech業界で求められています。

金融の専門知識とITスキルを兼ね備えていれば、FinTech業界への転職成功率を向上できるでしょう。

変化を恐れず、新しいことにチャレンジできる

変化を恐れずに新しいことにチャレンジできるのも、FinTechに向いている人の特徴の一つです。

FinTech業界は急速に発展し、常に新しい技術やサービスが生まれています。このような環境で活躍するには、変化を楽しみながら新しいことを学び、失敗を恐れずにトライ&エラーを繰り返す姿勢が必要不可欠です。

また、常に好奇心を持って自ら情報収集でき、既存の枠にとらわれない発想力があることも求められます。

上述したような能力があればFinTech業界の変化についていけるようになり、活躍の場を広げられることが可能です。

論理的思考力とコミュニケーション能力が高い

FinTechに向いている人の特徴に、論理的思考力とコミュニケーション能力が高い人材が挙げられます。FinTech業界で活躍するためには複雑な記入システムや規制を理解し、データ分析に基づいた意識決定ができる論理的思考力が必要です。

また、ユーザーニーズを的確に理解し、金融とITの専門家と円滑な連携ができるコミュニケーション能力も欠かせません。

上記の能力を兼ね備えている方は、FinTech業界でのキャリア構築に適しているといえます。

有名なFinTech企業を紹介

FinTech業界には、革新的なサービスを提供する企業が数多く存在します。代表的なFinTech企業は以下の通りです。

PayPay株式会社 ソフトバンクとLINEヤフーの合併会社でスマホ決済アプリ「PayPay」を提供しており、サービスを開始してから3年でユーザー数5,000万人を突破しています。

「PayPay」では支払いだけでなく、銀行や資産運用、保険など、幅広い金融サービスを展開しています。

株式会社メタップス ECサイトや十店舗に対してクレジットカードや電子マネー、QR決済など、幅広い決済サービスを提供しています。

また、24時間365日受け取り可能な給与即時払いサービス「CRIA」など、他社とは一線を画すようなユニークなサービスも手掛けています。

株式会社テコテック ブロックチェーン事業や決済認証システム事業などを展開しています。

そのなかでも、ブロックチェーン事業では暗号資産交換業認可を取得した実績を活用し、ネット取引や暗号資産の管理などを支援しています。

株式会社ZUU 月間400万人が利用している金融メディア「ZUU online」を提供しています。

また、メディア運営を通じて得たデータの分析やデジタルマーケティングの知識を活用したFinTech化支援も積極的に行っています。

AlpacaJapan株式会社 AIを活用した金融サービスを中心に、為替予測やマーケット予測に特化したサービスを提供しています。

国内だけでなく、海外の大手金融企業との取引実績は豊富であり、AIを用いたサービス導入も数多く手掛けています。

これらの企業は各分野で先駆的なサービスを生み出し、金融の在り方を変えつつある存在です。今後も、FinTech業界から目が離せないでしょう。

FinTech業界に転職する方法

FinTech 転職方法

FinTech業界へ転職したいと考えるものの、どのように転職活動すればいいのかと迷っている方は多いのではないでしょうか。主な転職活動として、以下の3つが挙げられます。

  • 転職サイトを活用する
  • 企業に直接応募する
  • 転職エージェントを活用する

最後に、それぞれの転職活動について紹介するので、ぜひ参考にしてください。

転職サイトを活用する

FinTech業界への転職を考えているなら、転職サイトが役立ちます。転職サイトでは自身のスキルや経験、希望条件を登録することで最適な求人情報を受け取れます。

また、複数の転職サイトを併用すれば、より幅広い求人にアクセスできます。

ただし、転職サイトによって特徴や魅力が異なるので、精査したうえで転職サイトを選ぶのが大切です。

企業に直接応募する

FinTech業界への転職を目指す際には、興味のあるFinTech企業に直接応募するのも一つの方法です。

具体的には、自分の強みとスキルを整理したうえで応募先企業の事業内容や求人情報を入念にリサーチし、募集がされていた場合は応募書類を準備してください。その際、面接対策を入念に行っておくこともポイントです。

直接応募は、自分のペースで転職活動を進められるメリットがありますが、応募先企業の情報収集や面接対策など、自分である程度準備を進める必要がある点には注意が必要です。

自分に合ったFinTech企業を見つけ、しっかりと準備をして応募すれば、FinTech業界へ転職できるチャンスが広がるでしょう。

転職エージェントを活用する

FinTech業界への転職を検討する際、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは求職者と企業の間に立ち、最適なマッチングを行ってくれます。

また、非公開求人を含む幅広い求人情報を閲覧でき、書類選考や面接対策などの転職活動全般のサポートを受けることが可能です。

フォルトナはハイクラス転職やコンサル転職に特化しており、豊富な転職実績を誇っている転職支援サービスです。マイナビやエン・ジャパンなどの大手人材紹介企業にトップ転職エージェントとして選出されており、自己実現をともに叶えるライフタイムパートナーとしてサービスを提供しています。

FinTech業界への転職を目指している場合は、ぜひ一度フォルトナをご検討ください。

FinTech業界への転職ならフォルトナにお任せください

FinTech業界は金融とITの融合により急成長を遂げており、決済や資産運用、融資など、幅広い分野で革新的なサービスを生み出しています。FinTech業界への転職には、金融とITの知識・スキルに加え、変化を楽しみ新しいことにチャレンジする姿勢が求められます。

FinTech業界に向けた転職活動では、転職エージェントや転職サイトの活用、企業への直接応募などの方法があり、自身に合った方法で転職を目指すとよいでしょう。

「FinTech業界に確実に転職したい」「FinTechへの転職を一人で行うのは不安」などを思っている場合は、ぜひフォルトナにご相談ください。

お問い合わせはこちらから

関連記事

タグから記事を探す

おすすめコラム

  1. ディレクター 山岡直登

  2. 深い業界知見と論理的思考力がエージェントの決め手/担当はぜひ齋藤さんにお願いしたい!と一任いただけた詳細とは?!

  3. 「そんな伝え方ができるのか!」プロだからこそできる 圧倒的な面接対策で、SIから外資系コンサルファームへ【担当:野口】

  4. 書類通過率3%から9割へ。エージェントが変われば、転職活動の結果が変わる。

  5. ケース面接って何?からBIG4内定&年収150万UPを達成したきめ細やかな支援

登録は1分で完了!相談はすべて無料です。
【今すぐ】無料転職支援を申し込む
登録は1分で完了!相談はすべて無料です。
【今すぐ】無料転職支援を申し込む