「未経験からコンサルへの転職を考えているが、どんな資格を取ったら良いのだろう?」
「経営コンサルタントとして唯一の国家資格、中小企業診断士は取得した方が有利なの?」
コンサルファームへの転職をお考えの方々から、このような資格に関するご質問を数多くいただきます。
結論を言ってしまえば、コンサルタントへの転職では資格よりも実務経験が重要視されます。
そのため、現職でコンサルファームから評価されるような経験を積むことが一番大切と言えるでしょう。
しかし、資格によっては加点要素として評価されることもあります。
本記事では、コンサルタントへの転職で評価されうる資格をコンサルファームの種類ごとにまとめています。
希望のファームへ転職を成功させるには、どんな資格が役立つのかをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
資格よりも実務経験が重視される
冒頭に述べた通り、コンサルタントへの転職では、資格よりも実務経験が重要になります。
資格は専門的知識を備えていることの証明にはなりますが、実務経験が無ければ、「知識があるに過ぎない」と捉えられてしまう可能性が高いです。
20代であれば、コンサルタントに関する実務経験が無くともポテンシャル枠として採用されることが多々あります。
一方で30代に突入すると、より即戦力性が増し、コンサルタントとして、もしくはそれに準ずるような実務経験が必要となります。
もちろん、専門的知識の証明にもなるため、資格取得が無意味というわけではありません。
資格取得が必要な専門的なポジションが存在するのも確かです。
しかし、採用担当者にとっては、未経験・資格保有者よりも実務経験のある人材の方が入社後すぐに活躍するイメージを抱きやすいため、積極的に採用しようとするのです。
実は面接対策の方がコスパが良い?
次項から述べていくように、資格取得は決して悪いことではないものの、中には取得に相当な時間と労力を奪われる資格も存在します。
コンサルファームへの転職でよく質問に上がる中小企業診断士の資格は、まさにその一つと言えるでしょう。
実は、コンサル転職を目指すだけなのであれば、こうした資格取得よりも、圧倒的にコストパフォーマンスの良い方法が存在します。
それが選考対策です。
コンサルファームから評価される履歴書、職務経歴書の書き方や、面接における回答の仕方は確実に存在します。
そのため、資格取得に大きな労力をかけるよりも、応募書類のブラッシュアップや、志望動機を含む想定問答の準備・ケース面接対策準備に時間を割いた方が、圧倒的にコンサル転職成功に近づくことが多いです。
本サイトでは、数々の選考対策についてご紹介を行っています。ぜひご覧頂ければ幸いです。
【未経験者向け】コンサルに受かるための転職理由とは?作成方法やポイントを解説
【合格者続出】ケース面接を突破しコンサル転職を実現するための対策方法
加えて、弊社コンサルタントはコンサルファームの選考を熟知したプロフェッショナルです。選考対策に強みを持つエージェントとして、数々の方のコンサル転職を支援してきました。
弊社コンサルタントの選考対策にご関心があるという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
戦略系コンサルファームの転職に役立つ資格
ここまで、実務経験が非常に重要になることを述べてきました。
しかし、資格取得に対する熱意や、そこで得た専門的知識を評価してくれるファームは少なからず存在します。ここからは、ファームの種類別に、加点要素になり得る資格をご紹介していきます。
まずは、戦略系コンサルティングファーム。
戦略系コンサルファームでは、一部の例外を除き、特定の資格を持っていることで採用が有利になる可能性は低いです。
とはいえ、資格を取る過程や取った資格をどのように活用しているのかといった点をアピールすれば、能力の高さを証明することは可能になります。
戦略系コンサルファームへの転職に役立つ資格をご紹介していきます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。
法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
🔽中小企業診断士制度について(外部リンクに飛びます)
資格勉強や中小企業診断士としての実務経験で身につけた経営に関する知識は、コンサルファームでの業務に活かせる可能性があります。
また、業務に用いる専門用語の意味を把握している点は、面接で有利にならなくとも決して不利になることはないでしょう。
一方で、中小企業診断士の合格率は15~25%前後(※)程度と、難関資格であることは間違いありません。
※中小企業診断士の難易度・合格率は?(外部リンクに飛びます)
また、中小企業診断士の試験内容は、コンサルファームの実務を通じて学べる内容と似ているところがあります。
そのため、既にコンサルファームに受かる素地のある方が、わざわざコンサルファームへの転職を実現するためだけに取得するメリットはあまりないと言えるでしょう。
MBA
MBAは資格ではなく学位ですが、MBA卒業生には戦略コンサルティングファームを受ける方も多いため、ここでご紹介をします。
戦略系ファームでは、経営に関連する幅広いテーマを体系的に学べるMBAを、歓迎要件に据えている場合もあります。
実際、戦略コンサルファーム(特に外資系)でパートナーやマネージングディレクタークラスに上り詰めている方の大半は、MBAを取得しています。MBAの取得支援制度を設ける戦略ファームもいくつか存在します。
そのためMBAはコンサル転職に限らず、ファームの中でのキャリア形成上でも加点要素になるといえるでしょう。
一方で、中小企業診断士と同様に、既にコンサルの受験資格を満たしている方が、わざわざコンサルへの転職のためだけにMBAを取得するのはコストパフォーマンスが悪いと言わざるを得ません。
コンサル転職とMBAの関係性については、下記のコラムで解説していますので、そちらも併せてご覧ください。
PMP
PMPはプロジェクトマネジメントの専門家であることを証明する資格で、米国のプロジェクトマネジメント協会であるPMIが、PMBOKガイドに基づいて認定する国際資格です。
プロジェクトマネジメントに関する資格のデファクト・スタンダードとして広く認知されており、プロジェクトマネジメント・スキルの評価基準として、コンサル・ITをはじめとする多くの業界から注目されています。
🔽PMP® (プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル) とは(外部サイトに飛びます)
戦略ファームに限らず、コンサルティングファームでは基本的に仕事がプロジェクトベースで進むため、プロジェクトマネジメントに関する知識・経験は必須のものとなります。
そのため、一定のプロジェクトマネジメントスキルを証明するPMPは、コンサルへの転職で加点要素となるでしょう。
例えば、PMPの資格を持ち、業務でプロジェクトリーダーの経験もある事業会社の方は、コンサルファームへの転職に有利になるでしょう。
PMPを要件として評価するファームはどちらかというとIT系ファームの方が多い印象もありますが、プロジェクトベースで仕事を行うファームであれば、基本的には加点要素となると考えてよいでしょう。
財務系コンサルファームの転職に役立つ資格
財務系コンサルファームとは、M&Aや財務周りの課題解決を中心に取り組むファームです。
転職に役立つ資格としては、会計・税務の専門知識が身につくものが求められます。
公認会計士
会計領域の最難関資格ともいえる公認会計士を取得すれば、財務系コンサルファームへの転職に有利に働きます。
実際、特にM&Aアドバイザリーを行うユニットで、バリュエーションやデューデリジェンスを担うチームは、会計士資格を持つ方が多く所属しています。
監査業務を行わないのであれば、日本の公認会計士のみならず、USCPA(米国公認会計士)も十分な加点要素となります。
会計士資格を持つだけでも有利に働くケースは多いですが、監査法人等でコンサルティングに似た業務を経験しておくと、転職の可能性がさらにアップするでしょう。
中には公認会計士を必須要件とするファームもありますが、連結会計やJ-SOXなど、会計領域に関する深い経験があれば応募可能な財務系ファームも一定存在します
簿記
簿記2級を必須要件とするファームは少ないですが、第二新卒など、スキル・経験が足りない場合には一つのアピール要素となる資格です。
特に財務系ファームでは、簿記2級レベルの知識は必須要件以前に、前提知識として「有って当たり前」として業務が進められますので、関心のある方は資格取得するかは別として、勉強はしておいた方が良いでしょう。
税理士
公認会計士と同様、会計分野のプロフェッショナルであることをアピールできるため、税理士資格は財務系ファームへの転職に有利に働くことがあります。
企業再生やM&A関連のプロジェクトなど、財務系コンサルファームで税理士が活躍できるシーンは少なくありません。
税理士のキャリアプランとして、財務系コンサルファームへの転職は選択肢の一つとなるでしょう。
IT系コンサルファームの転職に役立つ資格
ITコンサルタントには専門職のイメージを持つかもしれませんが、特別な資格を持っていなくてもなることができる職業です。
とはいえ、IT系の高レベルな知識やスキルを備えている必要はあります。
高水準の知識・能力の証明として、資格取得は良いアピールになります。
特にIT系では、AWSやAzureのように、特定のベンダーが持つソリューションを扱うチームも多く、ITベンダー資格を取得していくことが一つのデファクトスタンダードにもなっています。
本コラムは概論であるため、特定のITベンダー資格について一つひとつ解説はしませんが、今後も重要な資格となることは間違いないでしょう。
以下では、IT系コンサルファームへの転職に広く役立つ資格を4つ紹介します。
基本情報処理技術者
基本情報処理技術者は、IT系分野全般における基本レベルの技能を測定する資格です。
情報処理推進機構では、「ITエンジニアの登竜門」として紹介されています。
🔽基本情報技術者試験(FE) ~ ITエンジニアの登竜門 ~(外部サイトに飛びます)
パソコンの基礎知識からプログラミング、セキュリティにいたるまで幅広い知識を習得できます。
しかし、あくまでも基礎レベルの試験なので、IT業界で働くための最低限の知識しか得られない点に注意です。
転職活動では基本情報処理技術者を持っているから安心だと思うのではなく、その他のスキルや経験も合わせてアピールする必要があります。
基本情報処理技術者の上位資格である応用処理技術者の資格も取得すれば、より効果的なアピールが可能です。
🔽応用情報技術者試験(AP) ~ ワンランク上のITエンジニア ~(外部サイトに飛びます)
プロジェクトマネージャー
ITプロジェクトの責任者であるプロジェクトマネージャーを目指す人向けの資格が、プロジェクトマネージャー試験です。
PMPとは異なり、システム開発プロジェクトの目標の達成に向けたプロジェクトマネジメントのスキルを表す資格となっています。
🔽プロジェクトマネージャ試験(PM) ~ ITプロジェクトの成功請負人 ~(外部サイトに飛びます)
試験に合格すれば、プロジェクトの全体計画作成、チームメンバーや資源の確保、プロジェクトの管理・運営ができる能力があるとみなされます。
実は、プロジェクトマネージャー試験はかなりの難関資格で、合格率は毎回10%台しかありません。
難易度が高いため、合格すれば高いスキルを持っていることの一つの証明となるでしょう。
SAP認定資格
SAP認定資格(SAP Global Certification)は、ITベンダー資格の代表例と言えるでしょう。
🔽SAP Global Certification(外部サイトに飛びます)
特に総合系コンサルファームをはじめとして、SAPの導入・開発経験がある人材への需要は高く、SAP認定資格はコンサル業界では旬の資格といえます。
日本の数多くの企業で運用中のSAPのサポートが2027年で終了するため(当初は2025年の予定で、2025年問題と呼ばれていた)、SAP S/4HANAへの移行がトレンドとなっているからです。
SAPコンサルタントの需要は今後も一定見込まれますが、今後数年が最もホットであることは間違いないでしょう。
ITストラテジスト
IT系国家資格の最高峰といえる資格が、ITストラテジストです。
🔽ITストラテジスト試験(ST) ~ 経営とITを結びつける戦略家 ~(外部サイトに飛びます)
この資格を持っていると、IT技術を用いて業務プロセスを改善したり経営改革を進めたりできるスキルを備えているとみなされます。
近年はデジタル技術を使って、企業のビジネスモデルや組織構造など、抜本的な変革を促すDXがトレンドとなっており、ITストラテジストへのニーズも高いです。
難易度は非常に高いですが、取得できれば高水準のスキルを持っていることをアピールできます。
その他コンサルへの転職で有利に働く資格
ここまで、コンサルファームの種類ごとにおすすめの資格を紹介しました。
ここでは特定の業種にこだわらず、コンサル全般の転職に役立つ資格を紹介します。
TOEICや英検
外資系コンサルファームに限らず、日系コンサルファームでも海外が絡むプロジェクトは年々増えており、業務で英語を使うシーンも珍しくありません。
そのため、TOEICや英検など、英語関連の検定試験・資格で高いスコアや等級を獲得していると、転職に有利に働く可能性はあります。
しかし、重要なのは試験の点数ではなく、実際のビジネスで英語を使ってきたかどうかという点。
試験のスコアだけでなく、実践的な英語力も備える必要があると言えるでしょう。
社会保険労務士
社会保険労務士はクライアントの給与計算や就業規則の作成、年金・保険関係の手続き代行といった仕事を担当する、いわば人事・労務関連の専門家です。
組織人事系ファームや中小中堅企業向けファームへの転職において、社会保険労務士の資格は有利に働く場合があります。
ただし、社労士としての知識をコンサルティングに活かせても、労働社会保険諸法令に基づく申請書の作成や提出は社労士の独占業務であり、コンサルファームとしては行うことができない(社労士として会社を設立しなければならない)ため注意が必要です。
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