COVID-19パンデミックによる経済的影響は次世代技術・サービスのコスト面での懸念を浮き彫りに
デロイト トーマツ グループは「2021年 デロイト グローバル自動車消費者調査」を発表。
本調査は、全世界23ヵ国24,000人以上の消費者を対象に、自動車産業に影響を与える様々な課題に関して調査した結果を元に、日本及び米国、ドイツ、インド、中国、韓国の6か国の消費者意識を考察しまとめたものです。
調査は2020年9月から10月にかけて実施しており、COVID-19に起因する不確実性と経済的な懸念が消費者意識に与える影響も絡めて、先進技術、デジタル自動車小売プラットフォームなどの側面から結果を分析しているとのことです。
同社は本調査結果の主なポイントとして、下記のような点を挙げています。
■各国でガソリン/ディーゼル車(ICE)を購入する意向が上昇しており、米国の消費者の74%が次期購入車両にICEを選好し、6か国の中で電動化志向が最も高かった日本でも昨年の37%から一転45%に増加。
■電気自動車(BEV)購入における懸念は変わらず「充電インフラ」「コスト」「航続距離」が中心。一方、日米のBEV購入意向者の7割は最も頻繁に充電する場所として公共インフラではなく自宅を想定。
■先進技術への追加コストの支払い意欲は限定的で、日本の場合インフォテインメントやコネクテッドに関して、50,000円以上の追加コストを望まない割合は約8割。
■COVID-19の影響で車両購入代金の支払い延期や車の購入スケジュールの見直し、購入希望車種の安価な車種への変更などの影響が出ているが、日本はいずれも6か国の中で最も影響が低い。
■自動車のバーチャル・オンライン購入は中国・インド・韓国などで意向が3割を上回るなどに人気が高まるものの、日本では消費者の80%が依然として対面での販売の意向。
また、本調査に対する日本の見解として、デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 経営会議メンバーで、自動車セクターパートナーを務める田中義崇氏は下記のようにポイントを挙げています。
■CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)車両や購買プロセスのデジタル化・バーチャル化の普及において、中国・インドの受容度の高さが際立っており、日本は他国に対して遅れをとる可能性有。
■従来日系自動車メーカー(OEM)は品質を重視する日本の消費者からの高い要望に応えることで技術を磨いてきたが、このまま日本国内をパイロット拠点としていると、次世代技術・サービスの導入においてグローバル競争に劣後する可能性が懸念される
■当調査実施後の10月末に日本も「2050年カーボンニュートラル宣言」を出し、EV普及に向けた取り組みが加速する方向だが、充電インフラや車両価格が依然としてネックとなっている。しかしながら71%の消費者が自宅充電を想定しており、日常用途における支障は考えにくいため、インフラ整備においては市街地ではなく、高速道路や行楽地など遠距離走行用の充電環境整備に焦点を当てるなど、メリハリの利いた対応が求められる。
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