
株式会社Logos&Pathos Consulting(以下、ロゴス&パトス)は、2019年に山下 哲生氏によって設立された、事業推進力と柔軟性を兼ね備えた経営コンサルティングファームです。変化し続ける市況や事業の状況、予算やスケジュールなどの要望に的確かつ柔軟に適応しながら、ゴール達成まで当事者意識をもち、徹底的に支援する姿勢を特長としています。
同社では現在、戦略コンサルティングとシステム開発、2種類のサービスを提供。戦略コンサルティングでは、経営戦略や事業運営における、あらゆる課題に対して戦略立案から策定内容の実行まで一気通貫で解決に導いています。システム開発においては、大規模な業務運用システムや社内向け業務改善システム、Webサイト構築など、あらゆるシステムの企画・構築・運用支援を行っています。
今回は、取締役・パートナーの上原 藍様にインタビューをさせていただきました。
インタビュアーはフォルトナ高橋が務めます。
上原 藍様 プロフィール
取締役・パートナー。
一橋大学商学部を卒業後、日系大手人材紹介・人材派遣会社に入社。HR領域にて新卒・中途採用のメディア営業に従事し、リーダーも務める。その後は同社でハイキャリア向けの人材紹介コンサルタントを経験。その後は国内ベンチャー企業、日系コンサルティングファームを経て、2019年にLogos&Pathos Consultingに入社。2021年には、同社の取締役に就任。得意領域としては、新規事業開発支援、ベンチャービジネスの営業・マーケティングの仕組み構築および組織の立ち上げ、BDD(ビジネスデューデリジェンス)・PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)など。
コンサルタントは、私にとって天職である
[高橋]
早速ですが、上原様がロゴス&パトスへご入社されるまでの経緯をお聞かせください。
[上原様]
もともと、新卒時からコンサルティング業界は選択肢にありました。きっかけは学生時代、親が勤めていた大手企業が経営破綻をしたことにあります。
幸いにも家庭の経済状況が急激に悪化したわけではありませんでしたが、多くの人々が信じていたものがある日突然崩れてしまう瞬間を目の当たりにしたのは、私にとって大きな衝撃でした。会社は人を守ってくれないということ、10年前には価値があったものが、現在も同様に価値があるとは限らないということを実感したんです。
こういった背景から「将来は何があっても自分の力で生きていける力が必要だ」と思うようになっていきました。

[高橋]
では、就職活動もその観点を軸に?
[上原様]
はい。ただ、当時は特にやりたい仕事が決まっていなかったので、いつかそれが定まった時にその先の選択肢が多そうだと考えた業界を中心に就活することにしました。大きく分けて、コンサルティング業界、広告業界、人材業界ですね。そのなかで当時ご縁をいただけたのが、HR事業を広く展開する日系の大手企業だったので、新卒ではそちらに入社しました。
人材業界で10年弱勤めるなかで、諸先輩方やお客様にたくさんのことを教えていただきながら、営業の型やクライアントファーストの考え方を身に付けていきました。そしてお客様にご満足いただきつつ、一定の売上を上げられる自信をもつことが出来ました。
そのおかげで、新しいチャレンジをすることへの恐怖感がなくなりました、また、新しい世界で自分がどれだけ通用するのかを試したくもなり、転職を決意しました。
そこで次に飛び込んだのが、設立2年目の国内ベンチャー企業。展開する事業領域や事業を拡大していく面白さは感じていましたが、当時の自分にとっては「便利だがなくても困らないサービス」でした。前職で感じていた”社会的意義の大きさ”の観点から物足りなさを感じ、1年弱で退職。
知人経由でお声かけいただき、前職である日系コンサルティングファームへ入社するきっかけが訪れたのは、そんな時です。2017年のことでした。
[高橋]
学生時代の原体験をフックに、来るべくしてコンサルティング業界へ導かれたのですね。
[上原様]
以前から興味があったのでまたとない機会だと思い、前職のファームへの参画を決めました。そしてここでは、本当に多くのことを勉強させていただいたと思います。
今までも、自分なりに考えて仕事をしてきたつもりでしたが、思考の深さが段違いでした。でもそれが、私にとってとても面白かったのです。
すぐには答えが導き出せない難解な課題と向き合い、一生懸命考え抜いて「解」を探す。そして辿り着いた「解」を、お客様と共に実現していく。そんな一連の流れを体験できた時、私は「コンサルティングの仕事が好きだ」と自覚しました。
[高橋]
その後、貴社へ移られたきっかけは何だったのでしょう?
[上原様]
前職における、当社の代表・山下との出会いです。部署は違いましたが、彼が担当する案件に何度か参画する機会がありました。
その際に、山下の思考の深さ、仕事のスピード感や精度の高さ、そしてお客様への成果の品質に徹底してこだわる姿に圧倒されました。彼のもとで働くことが、きっと最も自分を成長させてくれるはず。また何よりも、より高品質な成果をお客様に還元できるはずだと確信しました。
前職には2年ほどお世話になりましたが、そんな思いから、山下が当社、ロゴス&パトスコンサルティングを立ち上げた約半年後に参画しました。
[高橋]
かなり初期の段階で貴社にジョインされたようですが、不安はありませんでしたか?
[上原様]
全くと言っていいほどありませんでした。理由は2つあります。
1つは、人材業界における経験から、精神的にもキャリアのセーフティネットが張れていたからです。万が一失敗しても人材業界に戻れば、そこでまた生きていける自信がありました。
もう1つは、山下と一緒に働いていて失敗する、ということは起こり得ないだろうと信じていたからです。お客様に対してどこまでも真摯な山下の仕事ぶりを間近で見ていて、直感的にそう思いました。もちろん、今でも。
[高橋]
ご入社後はどのような案件を担当されてきましたか?
特に印象的なものがあれば、教えてください。
[上原様]
入社直後の時期に担当した、新規事業開発支援のプロジェクトです。
簡単に説明すると、お客様のアイデアをベースに定めた事業のコンセプトを事業計画に落とし込み、その計画を実際に実行していく、といった内容です。子会社を設立して私がその代表となり、ほとんどの事業をお客様に代わって推進するという形で取り組んでいました。期間は3年ほど、当時最ものめり込んだ案件です。新規事業一つをほぼ丸ごと任され、ありとあらゆることが不安で苦労もたくさんありましたが、一方で非常に面白くもありました。
それに、この新規事業の支援プロジェクトを通じて、改めて確信したことがあります。
[高橋]
それは一体…?
[上原様]
コンサルティングの仕事は、きっと私にとって天職なのだということです。
社会人としてキャリアを重ねるうちに、自らのビジョンを追い求めるよりも、誰かがやりたいことを叶えてあげる方が向いていることに気が付きました。このプロジェクトも会社の代表という体裁ではありますが、お客様へのご支援の一つの形として挑戦し、注力することができました。
知性と情熱をもって、本質的な価値を追求し続ける
[高橋]
続いて、現在急成長中である貴社の組織体制についてお伺いします。女性の在籍比率や役職の状況などについても、女性コンサルタントとしてご活躍されている上原さんの目線も交えながら教えてください。

[上原様]
まず、全体についての話から。全体の人員は60名程度、各人員が2つの事業とバックオフィスにそれぞれ配属されています。そして2つの事業とは、メインであるコンサルティング、そしてシステム開発です。
最近動きがあったのは、システム開発の方ですね。社内でもシステム関連の案件を主に扱うチームメンバーが中心となり、当社の子会社としてベトナムに新たな開発会社を発足しました。
まだまだコンサルティング事業がメインで、システム開発担当の人員は社内に数名、ベトナムの会社にも10名程度なのが現状です。しかし、システム開発に関するお客様からの要望は増えているので、今後はより注力していきたいと考えています。こちらは、CIOの黒澤の管轄です。
[高橋]
コンサルティングの方は、いかがですか?
[上原様]
人員としては大体45名程度です。代表含むパートナーが6名、プリンシパルが2名、マネージャーが7名、マネージャー1歩手前のアソシエイトが11名、以下がビジネスアナリストやシニアビジネスアナリスト、といった組織体制となっています。
※ロゴス&パトスのランク:Business Analyst / BA(ビジネスアナリスト)→Senior Business Analyst / SBA(シニアビジネスアナリスト)→Associate(アソシエイト)→Manager(マネージャー)→Principal(プリンシパル)→Partner(パートナー)
[高橋]
女性の比率や役職についてはいかがですか?
[上原様]
役職含め、女性社員自体がまだ少ないですね。
役職がある女性社員は、パートナー・プリンシパルでは私1名。後はHRの部長が女性なので、合わせて2名です。女性のコンサルタントは、パートナーとマネージャーに各1名、以下のランクに4名在籍しており、計6名になります。
[高橋]
チームの構成や案件の采配などは、どうなっているのでしょうか?
[上原様]
代表含むパートナーとプリンシパル、一部のマネージャーの合計7名が、それぞれのチームを構成しています。各チームのメンバー数は大体5〜7名程度ですが、10〜15名ほど抱える大所帯のチームもあれば、参画直後のパートナーですと2〜3名くらいの場合もあります。また、案件の規模などによっても変動します。
チーム分けはされていますが、業界や機能などにおける領域は明確に分けていません。そこは各人の得意領域や専門性などに応じてフレキシブルに采配されています。例えば医療・医薬系の分野の案件といえばこちらのパートナーに、BDDの案件ならそちらのパートナーのチームに、というように。
だからといって、得意分野にしか関わらないという縦割り的な姿勢でもありません。あるチームの案件で人手が足りなくなれば、他のチームに協力いただきたい旨を相談することも。チームを超えて、お互いに協力し合っています。
[高橋]
複数の案件を担当することはありますか?
[上原様]
もちろんあります。私は、今5つほど掛け持ちしています。
当社の特徴の一つでもありますが、案件を獲得したパートナーやプリンシパルが、そのままそのプロジェクトにも参画し、デリバリーのフェーズにまで携わっています。しかし、これは一方で課題としての側面もあります。案件を獲得したパートナーやプリンシパルが、デリバリーの工程でも実質的な中心人物になっているのです。
マネージャー以下の人員が足りていないことも一因だと思います。結果的に、どうしてもパートナークラスの方が案件獲得からデリバリーまで牽引せざるを得なくなっているのが現状です。
[高橋]
上原さんは、現在どのようなプロジェクトを担当されていますか?
[上原様]
私のチームメンバーの多くは、グローバル展開もしている大手メーカーのプロジェクトに従事しています。業務効率化、人財育成、営業の型構築、組織の在り方の検討などテーマはさまざまです。
[高橋]
上原さんが関わる案件の特長などがもしありましたら、教えてください。
[上原様]
あるべき姿や戦略立案にとどまらず、描いた姿や戦略を実現するところまで責任をもって携われることです。
そのために特に大切にしているのは、圧倒的な当事者意識をもち、お客様以上にお客様を知ること、そして実現するまでを徹底してやり切ること。戦略(経営側)と業務(現場側)の両面の解像度を究極的に高め、実現するまで誰よりもコミットメント高く考え、動き続けることを意識しています。
計画の実現性まで考慮した提案ができること、何があってもやり切るコミットメントの強さが、デリバリー品質につながり、お客様からもご支持いただけている理由になっていると思います。

[高橋]
一気通貫で伴走する姿勢も、上原さんをはじめ貴社の代表的な特長の一つだと感じます。他にはありますか?
[上原様]
私の場合ですが、案件のリピート率が比較的高く、長くお付き合いできるお客様が多いことです。それは、いただいたテーマだけと割り切ったコミットメントをするのではなく、そこを基点に見えてくるさまざまな現状を俯瞰したうえで、より本質的な「本来あるべき姿」についても提言するように心がけているからだと思います。
例えば、当初のテーマが業務効率化だったとしても、プロジェクトを進めていくにつれて戦略立案や人材育成など、別の側面に課題が見えてくることも多い。そんな時はプロジェクトの最中であっても、顕在化した課題についてきちんとお伝えするようにしています。加えて、その次にすべきことや将来的なことについてまでお話しすることも多いです。
[高橋]
その姿勢は良い意味で、いわゆる“コンサルタント”っぽくない気がしますね。
[上原様]
プロジェクトでコンサルタントが担う業務の範囲、いわゆるスコープをきっちり決めて、納期を遵守しながら一定のアウトプットを出して終了という仕事の仕方も、確かにコンサルティングの一つの形でしょう。
しかし私は、必要であれば最初に決めた範囲を多少越えた提言でも臆せずにするようにしています。少し視野を広げるだけで、もしかしたらもっとお客様の本質的な課題にアプローチできるかもしれない。もちろん次の案件のきっかけにもなったらありがたいことですが、あくまで根底にあるのは、お客様の課題解決やより良い変革を本気で実現したいという熱意です。
その情熱がお客様にも伝わるのか、これまで特に営業活動をすることなく、継続的に案件を獲得できています。
[高橋]
スコープに囚われすぎないのは、上原さんのみならず、貴社のカルチャーの一つでもあるのでしょうか?
[上原様]
そうですね。代表も含め、社内で「スコープが」「納期が」という方はあまりいません。
当社の社員に共通していると感じるのは、言われたことを言われた通り、決めた通りに進めることにあまり価値を見出していないということです。より本質的な、そのプロジェクトによって得たい成果や価値を追求することを重要視しています。だから自ずと、目指す成果や価値のために必要なことなら実行しよう、という発想になるのだと思います。
私たちが大切にしている、3つの価値観について
[高橋]
先ほども少々触れましたが、引き続き、貴社のカルチャーについてお伺いしたいと思います。
[上原様]
その理解を深めていただくにあたり、先に私たちが大切にしている3つの価値観についてお話します。最近、当社で働く方々が大切にしたい価値観をまとめ、言語化しました。
[高橋]
ぜひ、詳しく教えてください。
[上原様]
“Be Professional”、“Be One Team”、そして“Do Disrupt”の3つです。
まず、“Be Professional”は、一人ひとりがプロとしての意識を持ち、きちんと仕事を遂行するということ。
これはお客様への提供価値を究極的に高めながら、自由度高く働ける環境を実現するうえで大切な価値観です。例えば、お客様先などの諸条件にもよりますが、当社には勤務時の容姿に関する厳しいルールがありません。女性社員のなかにも、自分らしいヘアスタイルやネイルアートを楽しんでいる方は多いです。一方で、これはもちろん仕事できちんとアウトプットを出していることが前提にあります。
次に“Be One Team”。こちらは、メンバーが互いに尊重し合っている組織であることを意味します。
だからこそ、社風がとてもフラットです。当たり前ですが、性別や年齢や生い立ち等を区別・比較して考えたり、不公平な評価をすることはありません。全てを一人ひとりの個性と捉え、一人の人間として尊重する文化が息づいています。個人差はありますが、この雰囲気を居心地が良いと感じる女性も多いのではないでしょうか。

[高橋]
貴社ならではのカルチャーが色濃く、わかりやすく反映されているように感じます。最後の一つは?
[上原様]
“Do Disrupt”。これは新しいことへのチャレンジなどを通じて、自分の殻を破り続けていくことです。
この価値観を設定した背景には、当社の規模が大きくなるにつれて薄れてきたものを改めて見直したい、という意図があります。抽象的な表現ですが、以前の当社にはもっと「やんちゃ感」がありました。自由の裏にはもちろん責任が伴いますが、あまり厳格なルールや制約を設けていない自由な当社は、ある意味会社らしくないようなことも思い切りよくやってのけてしまう、そんな空気があったのです。それらを今一度取り戻したい。“Do Disrupt”の言葉の裏には、このような思いがあります。
[高橋]
自分の殻を破ると言うと、何だか少々ハードルが高そうです。
[上原様]
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、そんな大それたことを言っているわけではありません。当社で働く社員には大なり小なり一皮剥けるような体験をしてもらいたい、という感覚です。
仕事だけに限らず普段から言えることとして、世の中に蔓延するあらゆる常識に囚われていたり、「〜すべき」や「〜していけない」などと勝手に思い込んだりしていることって、意外とあるのではないでしょうか。
当社は入社期間や役職などに関係なく、気軽に自身の意見を声に出し、やりたいことに挑戦できる会社です。そしてそのためには、まずその人らしくいられる環境が必要だと考えています。