社内環境の整備は、その人「らしく」生きるため
[高橋]
先ほどの価値観のお話を踏まえ、改めて貴社の働く環境についてお伺いします。可能であれば女性ならではの視点も交えてお聞かせください。

[上原様]
一日の時間をフレキシブルに使える勤務体制であることは、一つの大きな特長だと思います。これは女性に限らず、男性も同様ですね。
例えば、自分や家族の体調不良、子どもの保育園や学校、習い事の送り迎えなどで中抜けしたり休んだりすることが、気負わずできる環境です。始業や終業の時刻も、それに合わせて調整できます。社内のメンバーも、各人の事情を考慮して互いに助け合いながら業務にあたっています。仕事も大切ですが、自分の健康や家族のことも同様、いやそれ以上に大切ですから。
また、最近、体に良いドリンクやスイーツを社内に常備するようにしました。活用している社員も多いですよ。
[高橋]
福利厚生の面ではいかがですか?
[上原様]
そこも、当社ならではの柔軟な風土を生かしていきたい部分です。社員のライフスタイルやライフステージに合わせて、必要な制度はどんどん作っていきたいと考えています。現在でも産休や男女問わずの育休、ウェルネス休暇などといった一般的なものはそろえていますが、大手企業と比べたら、手当やサポート関連はやや手薄く感じるかもしれません。
しかし、必要だと感じる福利厚生についてはその都度相談してもらえたら、その声を無視せずにまずは会社として検討したいです。そんな当社の姿勢は、逆に魅力と言えるのではないでしょうか。
[高橋]
何か、具体的な事例があれば教えてください。
[上原様]
今、海外も含めたワーケーション制度の導入を整備しようとしています。社内におけるコミュニケーションの取り方や働き方の選択肢の一つとして声が上がったので、具体的に形にしている最中です。
また、公平性の担保やバランスの取り方がやや難しくはありますが、会社としてコンサルタント以外の自己実現を応援できる制度も検討しています。
[高橋]
それは興味深いですね!
[上原様]
社内に、プロの麻雀師を目指している方がいます。その方をモデルケースとして、具体的な制度へどう落とし込んでいくかなどを設計しているところです。
本当に興味があってやりたいと思うことに本気で向き合う気持ちがあるのなら、応援してあげたいというのが当社の考えです。これも先ほど話したワーケーション同様、社員の声を制度に反映する試みの一つと言えます。
一人の女性として、一人のコンサルタントとして。自然体で築けるキャリアがここにある
[高橋]
社員のWillを尊重する文化を強く感じますが、それは人材育成においても同様ですか?
[上原様]
はい。一人の人間として、本当にやりたいことをやりながら自分の気持ちに正直に生きてほしいという思いが前提にあります。やりたくないことをやるのは本当に辛い時間だと思うのですが、一部ではやりたくないことをやるのが仕事である、と考える人が一定数いて、もどかしく思うこともあります。
[高橋]
人材育成のために、実際にどのようなことをされていますか?
[上原様]
業務上のフィードバックと、メンバーのWillをヒアリングする1on1とを分けて実施しています。
業務のフィードバックは、完全にアウトプットベースで行っています。こちらが依頼した業務における成果物の出来に対する評価に加え、今後さらに良い仕事をするための要望やアドバイスなどを話しています。お客様から報酬をいただきプロとして仕事をしている以上、対価に見合った価値を提供するのは必要ですから、やや厳しめに伝えるようにしています。
一方で、1on1の方は、本人の現在のコンディションやモチベーションなども含め、もっとフランクに、キャリアそのものについて話す場にしています。仕事とは、どうしても楽なことばかりではありません。何に向かってるのかわからなくなってしまったり、時には立ち止まってしまったり…。まだ経験が浅い段階ではしんどい時期を経験することもありますから、後進のメンタリングもできる限り心がけています。
[高橋]
コンサルタントの道を志すうえでの通過儀礼のようなものでもありますよね。そういう時期を乗り越えるために必要なことは、何だと思いますか?
[上原様]
言葉を選ばず言いますと「ギャル」のようなマインドをもつことでしょうか。

[高橋]
「ギャル」ですか⁈ もう少し具体的に言いますと…?
[上原様]
シンプルかつ本質的な思考をもち、目の前のことに一途に取り組んで、困難が訪れても前向きに明るく乗り越えていく。良い意味で能天気になることです。
コンサルとしての経験が浅い期間は、多くの人が求められる成果や品質を簡単には出せず、苦しい期間を過ごすこととなります。だから、たとえ失敗したり上手くいかないことがあっても、あまり落ち込まずに、「このやり方ではなかったんだな」とわかったこと自体を学びと捉え、次からは失敗しなければいいとポジティブに捉えること。その方が、きっと健全に前へ進んでいけます。
少なくとも当社は、そんなトライアンドエラーがある程度許容される環境です。
[高橋]
コンサルタントとして自分らしく成長しながら働くことを目指す貴社のような環境は、業界的にも革新的かもしれませんね。
[上原様]
そうですね。甘い、と言われるかもしれませんが、個人的には、生き生きと自然体で働いて欲しいという思いが根幹にありますね。そういう思いもあり、今回のインタビューをお受けしました。加えて、寝る間も惜しみプライベートを犠牲にして働き続けないと残れない世界、というイメージも変えたいと思っています。
[高橋]
と、おっしゃいますと…?
[上原様]
コンサルタントの働き方として、長時間労働が当たり前で、自分の時間をはじめさまざまなものを犠牲にしないとキャリアを重ねていけない…。そんなイメージがまだあるように感じています。
もちろんプロジェクトの状況に左右されたり、そもそも働くのが好きな人たちが集まっていたりするなかで、結果的にそうなってしまっている部分があることは否定しません。ただ、それだけしか選択肢がないわけではない、と私は思っているので、それ以外の働き方を許容できる組織でありたいと思っています。
わかりやすく、女性社員に限定して話しますが、当社の女性社員は柔らかい雰囲気の方が多いです。
誰かに負けじといきり立ったり気負ったりせず、ただただ純粋にお客様に喜んでもらうために、目の前のことに真摯に取り組む人たちが集まっています。
また、女性活躍という名のもと、ある種キャリアアップが強制され、周りからは「下駄を履かされている」と言われるような環境もありません。
男性の家事育児の参加が増え、今や女性だけの話ではないものの、まだ比較的女性の方が、自分以外のことに時間を使わざるを得ない立場になることが多いようです。そんな背景もあってか、都度目の前のことを一生懸命頑張るといった働き方をする方が、当社内では多い気がします。
そして、それで良いと思います。実際に、私はそうやってここまでやってきました。
現状を「つまらない」と感じていませんか?
[高橋]
インタビューも終盤になりましたが、貴社の採用について上原さんのお考えを聞かせてください。どのような人材を求めていますか?
[上原様]
スコープや納期に固執せず、お客様の事業支援や抱えている課題の解決について本質的に、真面目に考え抜ける人。そのためには適当に誤魔化さず、お客様と真摯に向き合えることも大切です。
あとは、未来の自分に期待できる人。先ほどの「ギャル」のようなマインドの話にも通じますが、今後の自己成長につながるはずだと前向きに考えて、今を頑張れることも重要な素養だと思います。自分の成長に対して興味がもてないと、気持ちはあっても中身が伴なわず、ただの御用聞きに終始してしまいますから。
[高橋]
求める人材像について、「女性」という観点に焦点を当てた場合はいかがですか?
[上原様]
仕事がマンネリ化してきた人や、さまざまな理由により新しいチャレンジをセーブしてしまっている人が、フィットしやすいかもしれません。
それなりに業務にも慣れ、専門性も定まり、このまま続ければ、今の待遇が続いていく。少し頑張れば、もうワンステップ役職が上がるんだろう、という将来の着地点が見えてしまっている。それはそれで良いけれど、そこにあまり面白さはないと感じている―—そんな女性ですかね。
今の職場が嫌なわけではない、変わらなくてはいけない強い理由もない。だから「このままでいいかな」と思っている方に、「ちょっと待て」と言いたいですね。「本当は何か物足りない」と思っていないだろうか、と。
「もう一花咲かす」と言ったら少し表現が古いかもしれませんが、そんな気持ちをもった女性がいたら、ぜひ一緒に働きたいと思います。
[高橋]
そのように、今の自分に及第点を出してしまっている人たちをもう一度駆り立てるために、何ができると思いますか?
[上原様]
あくまで私にできることで言えば、「この人、なんだか人生楽しそうだな」と思ってもらえるような女性コンサルタントの一人になることでしょうか。
常に新しいことや自分がやりたいことに挑戦し続けているけれど、無理しているわけでもなく、むしろそれを面白がっている。そんな姿を見て「一緒に働いたらなんだか面白そうだな。未来が明るくなりそうだな」と感じてもらえたら幸いです。そしてそれが、当社に興味を抱くきっかけになってくれるようにと願いながら、毎日元気に働いていきたいですね。
[高橋]
最後に、貴社の門を叩こうと思っている候補者の方へメッセージをお願いします。
[木下様]
何かに挑戦するのに、遅すぎるということはありません。現状を打破したい、自分の殻を破りたいという思いを少しでも抱いているのなら、ものは試しと、ぜひ当社の門を叩いてみてください。
今よりアップデートされた新たな自分や今まで見たことがない新しい景色に、いつでも出会えるチャンスがあります。
