ショーリ・ストラテジー&コンサルティング ×フォルトナ スペシャルインタビュー

公開日:2025年11月10日

最終更新日:2025年11月10日


ショーリ・ストラテジー&コンサルティング株式会社(以下、ショーリ)は、2024年に設立(定款変更)された日本発の独立系コンサルティングファームです。代表取締役社長の勝俣利光様は、外資系総合コンサルティングファームの日本法人や日系総合コンサルティングファームの創設に携わるなど、豊富な経験をおもちです。
事業内容は、戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー、事業変革、業務改革、ITコンサルティング、そしてデジタルコンサルティングなど、幅広い分野でサービスを提供しています。これらの領域において、企業の成長戦略の策定から、業務の効率化、デジタル技術の活用まで、クライアントの多様なニーズに応えるための専門的な支援を行っています。また、グローバル展開も視野に入れ、国内外での事業変革や戦略的な助言を通じて、企業の競争力向上をサポートしています。

今回は代表取締役社長の勝俣 利光様にインタビューをさせていただきました。

インタビュアーはフォルトナ大竹と井野が務めます。

勝俣 利光様 プロフィール
代表取締役社長。
大手グローバルコンサルティングファームのスターティングメンバーとして、日本法人の立ち上げに参画。その後、2002年には同ファームのマネージングディレクターに就任し、ERP部門およびSCM部門を統括。2004年には、別のグローバルコンサルティングファームにて執行役員に就任し、ハイテク、機械、CPRD、通信、サービスといった多様なインダストリーのリーダーを歴任。さらに2006年には、同ファームでVP常務執行役員に昇格し、製造、流通、サービス事業全体を統括。2009年には、新会社発足に伴い別のコンサルティングファームにSVPとして入社し、コンサルティング部門の統括責任者を務める。2012年には同ファームにてEVPに就任し、事業全体の統括責任者として手腕を発揮。そして2023年、ショーリ・アドバイザリー&インベストメント株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。

有名ファームを複数立ち上げた勝俣氏が描く理想のファーム「ショーリ」 -コンサルティング業界の変化と創業背景-

[大竹]
本日はよろしくお願いいたします。
初めに、勝俣様のご経歴からお伺いしてもよろしいでしょうか?

[勝俣様]
私はこれまで30年以上にわたり、コンサルティング業界でプロジェクト実行から組織運営まで幅広く携わってきました。キャリアの出発点は、某外資系総合コンサルティングファームの日本法人立ち上げに参画したことです。日本人6名と外国人幹部で構成された小さな組織からのスタートで、プロジェクトのデリバリーに留まらず、組織や人事の制度設計、ソリューション開発、販路開拓、採用や人材育成、事業運営まで、まさにゼロから会社を作る経験をしました。
設立当初は外国人経営陣が日本市場に疎く、事業が軌道に乗らずに2年間赤字が続きましたが「このままでは会社が潰れる」という危機感をもった私たち日本人のマネージャーが主導して組織立ち上げに動くことで、徐々に事業を軌道に乗せることができました。この過程で、私自身は全社売上の半分以上を担うという大きな役割を果たしました。プロジェクトの実施のみならず、新たなビジネスモデルや市場開拓に奔走したことで、会社の立ち上げと成長に大きな貢献を果たす経験ができたのです。
その後、グローバルで同法人の合併・再編が行われ、私はその合併移行時にも幹部として関わり、インダストリー部門の立ち上げや両社の制度統合にも携わりました。そして、最終的には統合後のファームで常務執行役員(No.2)となり、この新法人の成長にも大きく貢献することになりました。
コンサルティングを始めた当初から、スタートアップともいえる場所に飛び込んだことで、若手ながらゼロからプロジェクトと組織を立ち上げる経験ができ、会社の成長とともに自らも大きく成長することができました。この2社での経験が、私のその後のキャリアで大きな財産となっています。

その後、これらの経験が評価され、日系総合コンサルティングファームの立ち上げリーダーの話をいただきました。それまでの経験を踏まえて、自分が理想と思えるコンサルティングファームをビジョンや方向性も含めてゼロから設計するという点に大きな魅力を感じ、自分の性にも合っていると確信したため、転職しました。グローバルでのブランドも知名度もない代わりに、海外本社からの制約がないため、自由度は極めて高く、全く新しいタイプのコンサルティングファームを自由に設計するという貴重な経験ができました。
その後、10数年かけて、入社時に約束していた人数規模や目標を達成し、親会社の方向性や期待値も変わってきたことから、自分の役割は終えたと思い、同社の経営から離れました。しかし、あと少しで見えてきていた理想のコンサルティングファームのイメージを、自身で最後まで完成させ、発展させたいという思いがあり、今度は完全独立系のコンサルティングファームとして、またゼロから理想のコンサルティングファームを作りたいと思うようになりました。その思いに賛同してくれる幹部達を募り、共同出資で会社を興し、コンサルティング業界に新風を吹き込むべく、ショーリ・ストラテジー&コンサルティングを立ち上げることに決めました。

[大竹]
これまでのご経験を通じて、コンサルティング業界の変遷についてどのように捉えていらっしゃいますか?

[勝俣様]
今の業界全体を俯瞰して見ると、大きく3つの流れに分かれてきていると感じます。
1つ目が、外資系総合コンサルティングファームの流れです。これらのファームは、かつて日本では数千人規模の組織でしたが、現在では数万人規模と拡大路線にあります。これは、ITビジネス重視で先行した某ファームにおけるグローバルでの規模拡大の成功を受けて、それに各ファームが追随しているためです。
ただし、大規模化することには副作用もあります。私自身も経験しましたが、多くの社員を稼働させ、成長を維持していくためには、安定して大きなプロジェクトをいくつも継続的に獲得する必要があるのです。例えば、1つのプロジェクトに4~5人が参画するような小規模プロジェクトでは、1万人の社員を稼働させるために2,000個のプロジェクトが必要になります。 加えて、仮に3か月でプロジェクト契約が更新されるとすれば、年に4倍の8,000件を受注せねばならず、現実的ではありません。
こうなると、小規模のプロジェクトではなく、数百人が何年間も継続稼働できるような大型案件を複数同時に動かすことが経営上必須になります。その結果、取り扱う案件は、戦略やビジネスコンサルティングではなく、ITの開発や実装、運用や保守、BPOといった、いわゆる「下流」案件まで含めたプロジェクトに寄っていくのが必然なのです。これが第一極目の流れです。

2つ目として、大手SIer各社が、コンサルティングファームを買収や設立することで、従来のシステムインテグレーション中心のビジネスから、コンサルティング領域に進出する流れです。つまり「SIerのコンサル化」が進んでいるわけです。この動きは、第一極の「コンサルティングファームがITに進出していく」流れに対抗して起こっており、いわば第二極とも言える動きです。両者は同じ市場、特に「IT実装寄りのコンサルティング市場」で激しく競合しており、クライアントの取り合いが加速しています。

このような二極化が起こる背景には次のような市場変化の要因があり、また、この二極化により新たな空白地帯も発生しています。

・従来のSIビジネスの縮小
クラウド化やパッケージシステムの進展により、ハードウェア販売やオンプレミスでの開発、運用・保守といった従来のシステムインテグレーションがITビジネスの主戦場ではなくなってきています。こうした状況下により、外資系総合コンサルティングファームが一斉にITビジネスへと舵を切ってきたのです。このため、SIer各社は大きな危機感にさらされており、生き残りをかけて自らもコンサルティングファーム化していく必要性に目を向けざるを得なくなっています。

・DXやAIプロジェクトニーズの高まり
特に、従来の「システム導入」ではなく「ビジネスモデルを作る」フェーズに企業のニーズがシフトしており、より上流のコンサルティングが求められるようになっています。この社会革新の流れに対応するために、SIer各社もコンサルティング機能を取り込もうとしているのです。

・人的リソースの制約と収益性の問題
本格的な戦略コンサルティングやビジネスコンサルティングを提供するには高いスキルをもつ高品質な人材が必要です。そのような人材は育成に時間を要するので、各ファームとも多くの人材を抱え込めません。そのため、各ファームでは、このような優秀人材をプロジェクトとして規模が小さい戦略・ビジネス案件に投入するのは非効率であり、「エースを投入するなら、それに見合った大型案件を取りに行く」という経済原理が働きます。
規模拡大を目指す各ファームにとっては合理的判断かもしれませんが、真摯に顧客課題と向き合い、規模は小さくても難易度の高い重要案件をやりたいと思っているベテランコンサルタントや、「ピュアなコンサルティング」のプロジェクトで腕を磨きたいと思っている若手コンサルタントにとっては、やりがいや動きづらさを生む原因になっています。

・ホワイトスペース(空白地帯)の発生
一方で、BIG4が従来行っていた上流や中流の業務改善領域などの「ピュアなコンサルティング」を提供できる領域に特化して、高品質な支援するコンサルティングファームが少なくなってきています。かつてはコンサルティングファームの主戦場であったこの領域が、各ファームのIT化と規模拡大によって、逆に「ホワイトスペース」となってきています。
こうした空白地帯を業界として埋めていく必要があると考えたのが、今回のショーリ起業の想いです。

[大竹]
コンサルティング業界の最前線を長く走ってきた勝俣様だからこそ分かる変化ですね。
3つ目の流れはいかがでしょうか?

[勝俣様]
このコンサルティング業界の二極化とホワイトスペースの発生という大きな流れとは別に、あえてもう1つ最近の業界傾向を付け加えるならば、第三極の流れ=アウトソーシングが顕著になってきているということです。
コンサルティングビジネスがバブルともいえる活況を呈する状況のなかで、各ファームとも人数拡大を続けてはいるものの、それでもなおクライアントのニーズに応えきれていない状況が続いています。日本社会全体の人手不足のなかで、クライアント内でも新たなビジネスモデルに対応できる高度人材が極端に不足してきており、コンサルティングファームに頼らずに自身でプロジェクトを進めようにも、自社で社内リソースを確保できない状況の企業がとても多いのです。
こうした状況を受けて登場したのが「派遣型」のコンサルティングファームです。どのクライアントでも人材不足の課題があるため、ビジネスとして成立し、急成長しています。このため、大手ファームでさえも改革提案が必要ない派遣型コンサルティングプロジェクトが多数ある状況です。

この第三極については強いニーズがあるものの、そこにアサインされるコンサルタントとしては大きな懸念があります。1つは、コンサルタントを志す人材が、実際にはクライアントの指示のもと「便利な社員」として働く状態に陥ること。もう1つは、クライアントにとっても、ノウハウや経験をもたない人材が派遣されてくるという不満が生まれやすいことです。これは提供側、発注側双方にとっての課題といえるでしょう。

[大竹]
ビジネスの変化とともに、コンサルティングファームに所属するコンサルタントのキャリアにも課題があるということでしょうか?

[勝俣様]
はい。その結果、転職の流れが変わってきていると感じます。上述したように、第一極の流れにおいて、コンサルティング業界では「上流の戦略・企画」に関わるコンサルティング業務の比率が相対的に減少し、「IT実装」などの下流工程の比率が増してきています。その結果、上流の仕事を志してコンサルティング業界に入ってきた若手コンサルタントの中には、「本来やりたかったような“コンサルらしい仕事”ができていない」と感じている人が増えています。第二極の流れにおいても、同様の現象が起こっています。
また、ベテランコンサルタントも課題を抱えています。彼らはプロジェクトのデリバリーや特定領域のソリューションには高い専門性と自信をもっていますが、誰もが大規模なIT案件の提案やPMなどを得意とするわけではありません。一方で、会社からは「より大きな案件を獲得するように」というプレッシャーが強まるので、コンサルタントとして優秀であっても戦略や業務改革のプロジェクトだけでは売上観点で評価が得にくく、苦々しさを感じている人が少なくありません。
さらに、会社組織が肥大化したことで、大企業特有の重厚なピラミッド構造がコンサルティング業界でも定着してきており、「昇進に時間がかかる。ある程度までは昇進できても、そこから先が見えない。」といったキャリア上の閉塞感も広がりつつあります。
こうした背景から、若手・ベテランともに、将来に不安を抱える人が増えており、「コンサルティング業界の構造的な変化」が転職市場に影響を与えていると感じます。

[大竹]
実際に私たちも、同様の理由で転職相談を受けることが多いです。

[勝俣様]
「ピュアな上流プロジェクトができない」、「リーダーになれるか分からない」といった不安から転職を決意される方が多くなってきていると感じます。しかし、同業の大手ファームに転職しても、アサインされるプロジェクトや業務環境に大差はなく、転職後に「結局同じだった」と感じるケースも散見します。特にIT領域の経験がある方は即戦力として期待される反面、IT関連の案件にアサインされ続け、より戦略案件などを経験しづらくなる傾向にあります。こうしたことはコンサルタントとしてのキャリアの幅を狭めてしまう恐れがあります。
一方、新興ファームへ転職した場合も、期待していたようなピュアなコンサルティング業務ができず、派遣型のプロジェクトであったり、会社ブランドの見劣りや、指導する上位層に専門性や実力を感じられず、的確な指導が受けられないという声も聞きます。その背景には、指導する先輩自身も派遣型プロジェクトで経験を積んできた方が多いので、専門性や課題解決の蓄積が不十分になりがちであると思われます。また、経営者が若くして独立・起業したファームは、幹部も若手中心で構成されていて、フレッシュさは感じられるものの、経験豊富な上位層のベテランコンサルが採用されにくい傾向があり、結果として組織全体の経験が不足している場合も見受けられることも多いと感じます。

戦略とビジネスに特化した少数精鋭ファーム。チーム異動お試し制度で広がるキャリア

[大竹]
こうした流れに対して、ショーリではどのような方向性を定め、どのような制度を整えているのでしょうか?

[勝俣様]
ショーリでは立ち上げ当初から「戦略とビジネスに特化」した少数精鋭のコンサルティングファームを目指しています。私たちは戦略とビジネスの比率が半々で、ITはあくまでIT戦略や技術コンサルに限定し、システムの実装や運用保守などは対象外としています。ピュアなコンサルティングをやりたい人が成長できる場を作り、クライアントにとっても「小さくても難しいプロジェクトをしっかりやり遂げるファーム」であることを目指しています。
この分野は、社会的にも必要性が高い一方で、前述のように大手ファームの主戦場ではない領域です。だからこそ、私たちがやる意義があると考えています。高い専門性をもった、戦略・ビジネスコンサルの少数精鋭集団を作り、当社で働くコンサルタントには成長の機会を、クライアントには高品質なコンサルティングを、という新たな選択肢を提供していきます。

また、当社はコンサルタントとしての成長はもちろん、社会に貢献できる優秀な人材を育成し、輩出していくことも重視しています。若手については、現時点での経験値ではなく潜在能力を重視し、将来の成長可能性を信じて優秀な人材を採用し、早期に育成し成長させていきたいと考えています。
そのため、ショーリではベテランコンサルタント(マイスター)と若手コンサルタントをチーム単位で組み合わせ、階層ピラミッドの薄い、いわゆる「文鎮型」の組織構造を採用しています。というのも、ベテランコンサルタントがもっている日本企業を改革してきた数十年の知見・経験は、日本社会としても適切に伝承されなければ、彼らの定年退職とともに失われてしまうからです。文鎮型のチームの中でマイスターと席を並べてプロジェクトを行うことで、彼らのもつノウハウを急速に若手に伝授し、頭角を現した若手が早期に昇格して行く設計となっています。ベテランにとっては知見を生かせる場としてのやりがいがあり、若手にとっては早期成長とリーダ-抜擢への機会が得られる環境となっています。こうした組織作りを通じて、ベテラン、若手ともにやりがいと成長実感をもち、長期的に活躍できる土壌を整えています。

[大竹]
専門性を軸に戦っていくための組織体制を志向されているのですね。一方で、若いうちにさまざまなことを経験していきたいという候補者も多いかと思いますが、そのような方々は基本的にはチーム内でキャリアを構築していくことになるのでしょうか?

[勝俣様]
当社はアメーバ経営的な小チーム制組織となっており、若手もワンプール制ではなく、いずれかのチームに在籍して経験を積む形を取っています。一方で、メンバーそれぞれの志向に応じて現在のチームに残るか、別のリーダーのもとへ異動するかを選べるチーム異動制を設けています。これにより、転職をしなくても、社内でのキャリアチェンジが可能になります。
転職においては、新しい企業の社風との相性や、配属されるリーダーのマネジメントスタイル、自身がやりたい領域との適合性など、さまざまな不確実性が伴います。これらが自身にニーズと合わない転職となった場合、早期に再転職を検討せざるを得なくなるケースも少なくありません。
こうしたミスマッチのリスクを最小限に抑えるため、当社では「プロジェクト参加型でのチーム異動(キャリアチェンジ)お試し制度」を導入しています。
例えば、IT系チームから業務系チーム、業務系チームから戦略系チームといったように、関心をもった社員がまずは一定期間プロジェクト単位で実際の業務に参加することが可能です。この期間中に、本人が「この業務にやりがいを感じるか」「自分のスキルが生かせそうか」といった観点で判断できるだけでなく、チーム側も適性を見極めることができます。双方の合意が得られた場合には、正式なチーム異動が実現します。

[大竹]
一般的なワンプール制とは異なる制度ですね。

[勝俣様]
自身で計画的にキャリアを形成できることがポイントです。この制度により、社員は転職をせずとも新たなキャリアに挑戦できる柔軟性を得られます。実際にこの仕組みは中途入社者・新卒入社者を問わず高く評価されており、特に「とりあえず今の自分の得意領域で入社したものの、将来的には異なる領域にも挑戦してみたい」と考える方にとって、大きな魅力となっています。
また、自分の長期的なキャリアプランに基づき、計画的に配置転換できる機会も設けており、キャリアの幅を広げながら、自分に最も合ったスタイルを見つけていただくことが可能なのです。

[大竹]
チームの規模感はどのようにお考えでしょうか?

[勝俣様]
現在、チームの数も人数もまだ十分ではありません。まずはチーム数自体を増やしていく必要があります。将来的には45チームほどまで増やしたいと考えています。各チームの規模は10〜20名程度になるのが小チーム制組織の理想です。
チーム構造も今の文鎮型のままではありません。早急に若手メンバーを引き上げていくことで、構造も変化し、より発展的な形へと移行していきます。転職者の成長にとって重要なのは、チームの上にいるリーダーたちが「管理職」ではなく「現場で一緒にプロジェクトを進めている専門性の高い育成者」であるということです。このリーダーたちと席を並べ、実際のやり取りを間近で見ながら仕事ができる環境は、スキルの伝承が非常に早く進むという点で大きな魅力です。

目指すは「人材育成機関」 圧倒的丁寧な教育体制で、最速3年マネージャー、実業家、政治家へ…

[大竹]
実際に、若手コンサルタントを積極的に採用されていますよね。新卒採用に関してはどのようにお考えですか?

[勝俣様]
2026年4月は30名程度採用する予定です。

[大竹]
立ち上げたばかりにも関わらず、非常に早いペースですよね。

[勝俣様]
「できたばかりのファームで新卒採用は時期尚早」と言われることが多いですが、私自身が会社の方向性を丁寧に説明することで、優秀な人材の確保に成功しています。実際、当社で採用している新卒入社者のうち60%以上は東京大学または京都大学の出身者です。
また、社員数は間もなく100名規模に達する見込みです。加えて、2025年度中に採用市場からさらに100名の採用を目指しており、2026度年には社員数が200名以上になる見通しです。
そのため、仮に新卒入社者が30名加わったとしても、200名規模の組織においては過度な新人比率ではなく、十分に教育できる許容範囲であると考えています。この新卒採用方針は、自社の成長を前提としたものであり、また過去の経験に基づいた判断でもあります。

[大竹]
新卒入社者にはどのような教育をされるのでしょうか?

[勝俣様]
私は「普通の会社」ではなく「特別な会社」を作りたいという思いがあり、売上利益の急拡大よりも徹底した教育を通じて、人材の質を高めていくことを大切にしています。そのため、入社後1年間は配属をせず、専門教育に充てることを基本としていますし、その後も毎年教育を続けます。ちなみに、中途入社者においても、継続的に教育を受けていただきます。
このような充実した教育を実施すると、入社1年後に教育を終えて配属されたコンサルタントが、中途入社したシニアコンサルタントより高い評価をいただくこともありました。「地頭」と「対人スキル」に優れた学生を採用し、1年間の徹底した教育を通じて知識と経験を積ませることで、即戦力となり得る能力を発揮する人材へと成長することが可能であると考えています。

[井野]
教育で特徴的な点はありますか?

[勝俣様]
新卒入社者の育成プログラムを「特進コース」と「スタンダードコース」の2つに分け、個々の資質に応じたキャリアパスを用意する方針です。特進コースは、いわゆる「倍速出世コース」に位置付けており、2年目にはシニアコンサルタントへ、最短3年でマネージャー昇格が可能になれる仕組みを整備しています。もちろん、これはごく限られた優秀な人材が対象であり、社内にこの制度の運用ナレッジが蓄積されていくことが前提です。
「早期にマネージャー、さらにはパートナーに昇格し、収入面でも大きな成果を得る」ことが可能なキャリアパスを用意することを目指しています。このような仕組みを通じて、特に優秀な人材には早期に責任ある立場を任せ、成長を加速させていきたいと考えております。

[大竹]
育成プログラムを分けているのは非常に珍しく感じますが、そこに込められた想いをお伺いできますでしょうか?

[勝俣様]
特進コースを設けた背景には、「上司の押しの強さ」によって昇進が決まってしまうという不公平が生じがちであったからです。例えば、本来なら昇進に値する優秀な人材が、上司の慎重な判断によってチャンスを逃してしまい、一方で、別の上司が積極的にプッシュしたことで、実力的には劣る人が先に昇進してしまう、というようなことが起こっていました。
私たちは、そうした不公平を是正するために「特進コース」という明確な枠組みを設け、同じ基準の中で公正に競争してもらう環境を整えています。これは、当社のファームとしての特徴的な取り組みの1つです。

[大竹]
中途入社された方についても、ご本人が希望し、かつ適性や成果が認められれば、特進コースに入ることは可能なのでしょうか?

[勝俣様]
基本的には新卒入社者向けの制度ではありますが、将来的に優秀な中途入社者にも適用していく可能性はあります。
もっとも「できるかできないか」はあくまでも本人の能力次第です。本人が希望するのであれば、挑戦しても良いのではないかと思っています。ただし、最終的にその評価をするのはクライアントです。実際、若手コンサルタントが「3年目でマネージャーです」と名乗っても、クライアントが「この人はマネージャーとは認められない」と判断すれば、現場で拒否されてしまいます。なので、最終的な評価は市場、つまりクライアントに委ねられる部分も多く、結果的には「自己責任」とも言えます。
このような背景もあり、会社としては無責任な判断にならないように、OJTを含む徹底した教育を行い、社内での一定の評価基準に基づいて「この人は現場でやっていける」と判断できる体制を整えています。

[大竹]
教育を大切にされていることが伝わってきます。新卒入社者に限らず、社員全体への教育では、具体的にどのようなことを学べるのでしょうか?

[勝俣様]
「戦略コンサルタント」の教育や「ビジネスコンサルタント」の専門教育を徹底していくために、実践的な育成ノウハウをもっている内外のコンサルタント出身者が教授陣に加わり、必要な教育メニューを新たに設計しております。
また「MBA教育」や「ビジネス教養教育」にも力を入れたいと考えています。これは、コンサルティング時に領域にこだわらない社会に役立つエリート人材を育成排出していくための基盤であり、当社は将来的に“人材育成機関”、いわば「学校」のような存在を目指しています。
まずは社内教育としてスタートし、ゆくゆくは外部にも開放していく予定です。教養講座とは美術・音楽・歴史・地理といった分野も含まれます。欧米のエリート層であれば基本的に身につけている知識ですが、日本の教育環境はやや偏りがあり、一般教養をもつビジネスパーソンが少ないのが実情です。そのため、日本のリーダー層はグローバルな教養が不足していることがあります。こうしたMBA教育や教養教育は、中途入社者にとっても学びがいがあり、楽しめる内容になるはずですし、当社も本気で取り組むつもりです。
つまり、私たちは「コンサルタントとして」ではなく「立派なビジネスパーソンとして」、さらには「世界で通用するリーダーとして」の人材を育てていきたいのです。そして可能であれば、10年後には独立して実業家や政治家などの道を目指せるような、そんな人材の育成にも挑戦していきたいと考えています。
「コンサルタントとして成長したいけど、なかなかチャンスをもらえていない」という方には、まさにここがぴったりの環境だと思います。私たちは、日本でも屈指のコンサルタントを揃えた、まさにトップレベルのチームで仕事をしています。キャッチアップには大変な部分もありますが、その分、当社で働くことで急速に成長できると自信をもってお伝えできます。

[井野]
ちなみに、スタンダードコースはどのような方が選択されるのでしょうか?

[勝俣様]
スタンダードコースは言葉通り標準のコースです。無理に出世を試みず、じっくり自己を養いたいと考える人のための通常コースです。このほかにも、プライベートなどの関係で「無理に役職を上げたくない」と感じている方に向けたスペシャリストコースもあります。
当社は「アップ・オア・アウト」のような一方的な仕組みを取っておらず、専門性の高い人は専門職として現場で長く活躍を続けていただくことも可能です。また、ライフイベントなどに合わせてご希望に応じた契約形態も可能です。週休3日制も選べますし「育児中」「介護中」などの期間限定で働き方を調整したい場合も、柔軟に対応しています。

[井野]
働き方についても柔軟な選択ができるのですね。

[勝俣様]
こうした制度が実現できるのは、私たちが新しい会社だからこそです。制度をゼロからつくる段階なので、既存の慣習に縛られることがありません。大企業が挑戦しているさまざまな働き方改革に、私たちは積極的にチャレンジしていきます。
「ワーケーション」などもその1つです。コンサルタントの仕事はハードなので、リフレッシュも大切です。現在、全体の約50%がリモート勤務ですが、ご家庭の事情でストレスが溜まりがちな方もいるでしょう。そこで、家族も連れて一定期間リゾート地で働けるような「遊び半分・仕事半分」の新しい仕組み、いわば“養生期間”のようなものを、本気で整備しようと考えています。施設そのものを作ることも視野に入れています。

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