【徹底解説!】SEからITコンサルタントへの転職。転職理由や必要なスキル・経験も紹介

公開日:22020.08.11 最終更新日:2024.11.25

「ITコンサルに転職する同僚や先輩が増えているが、今の仕事と何が違うのだろう…?」
「今の自分の経験で、ITコンサルタントを目指せるのだろうか?」

こうした疑問をお持ちのSE(システムエンジニア)の方からご相談を頂くケースが増えています。

ITに携わるプロフェッショナルとして、SEとITコンサルタントは何が違うのでしょうか?

フォルトナでは、これまでSEからITコンサルタントへの転職を数多くご支援して参りました。

その中で言えることは、SEとITコンサルタントの違いは曖昧になりつつあります。
しかし、給与面やワークライフバランス、その後のキャリアパスなど、ITコンサルタントのキャリアはメリットが大きく、SEからの転職先として有力な選択肢となっているのです。

本特集ではSEからITコンサルタントになるメリットや成功事例、気を付けたいことなどについて解説します。

本特集を読んでいただくと、SEからITコンサルタントに転職するための具体的な知識が身につきます。

SEとITコンサルタントの違い

境界がなくなりつつあるSEとITコンサル

SEとITコンサルタントでは何が異なるのでしょうか?
定義によって様々な違いはありますが、一般的には下記のように、目的意識の違いが大きいと言えるでしょう。

SE ITコンサルタント
目的 顧客のニーズ(RFP・提案依頼書)に基づいたシステムの要件定義・設計・開発 クライアントが抱える経営課題とその原因の特定、そしてその解決
方法 自社リソース(グループ会社や下請け含む)によるシステム開発・導入 解決策は顧客により異なる。課題解決のためのソリューション、ベンダー等はその都度選定
特徴 コンサルより単価は安い。課題やシステムの仕様が明確な場合はコスト削減や開発期間の短縮などのメリットがある。 第三者的立ち位置から中立的な解決策を提案可能。また、戦略~業務・ITまでの要件に一貫性を持たせることが可能。

ちなみに、専門的な定義と言う意味では、昔の日本標準職業分類においては、「システムエンジニア」という仕事は次のように定義されていました。

電子計算機による情報の整理・加工・蓄積・検索等に関する機械化された業務システムの分析・設計及びプログラムの設計についての技術的な仕事に従事するものをいう。

しかし今では、「システムエンジニア」という分類はなくなり、下記のような分類になっています。

  • システムコンサルタント
  • システム設計者
  • 情報処理プロジェクトマネージャ
  • ソフトウェア作成者
  • システム運用管理
  • 通信ネットワーク技術者
  • その他の情報処理・通信技術者

引用元:総務省 日本標準職業分類(平成12年12月改定)

これは、システム開発に携わる方の多様化が進み、「システムエンジニア」という表現では正確に言い表せなくなってきているため、と言えるでしょう。

また、SIerがコンサル部隊を立ち上げるケース、コンサルファームがSI部隊を立ち上げるケースも増えてきています。
SIerは、顧客に対してより高い付加価値が出せるよう、より上流の工程に絡みたいという思惑があります。既に要件が固まってしまっている状態では、顧客にとって本当にメリットのあるシステム開発が行えなくなる可能性があるからです。

コンサルファームにとっては、数百人月というような大きい売上を獲得することのできるシステム開発フェーズに参入することで、より大きなマネタイズを図ろうとしている、という背景があります。

このように、SEとITコンサルの境い目は、だんだんとなくなりつつあります

それでは、SEがITコンサルになるメリットはどこにあるのでしょうか?

SEからITコンサルタントに転職する5つのメリット

SEがITコンサルに転職するメリットは、実際に転職された方々から聞くのが一番でしょう。
下記の5つの理由は、よく聞くメリットの代表的な例です。

①スキル・経験が活かしやすい
SEのスキル・経験はITコンサルタントと親和性が高いです。これは、SEとITコンサルの境い目があいまいになるにつれ、より顕著になっています。
業界及び職種を一気に変える転職は難易度が高いですが、SEの場合はそのような職種の親和性から、自らのスキル・経験をうまく活かし、キャリアチェンジが出来るポジションにあると言えるでしょう。
②より上流かつ解決策に縛られず顧客に向き合える
「ITは好きだが、よりビジネスサイドに近いところで仕事をしたい」という方には、SEよりも上流から顧客に携われるITコンサルタントがお勧めです。
システムの要件定義や設計に入る前から、顧客の経営課題の確認・洗い出しなど、ビジネス的な視点を持ったアプローチが可能だからです。また、ITコンサルタントはフラットな立場で、顧客の課題解決に資するSIer・ベンダー選定に携わることが出来ます。
SIerやベンダーであれば、最終的には自社製品が納品物であることを前提としてプロジェクトを受注するケースが多いため、対照的と言えるでしょう。
③年収UP・ワークライフバランス改善が狙える
コンサルファームは実力主義の会社が多いです。それに伴い、昇進・昇給スピードも結果を出せば早くなります。これは、年功序列の企業にはないメリットと言えます。
それだけでなく、転職時に100万円~300万円ほど年収アップされる方もいらっしゃいます。それほど、ITコンサルタントに対する需要が大きいのです。また、実は最近コンサル業界では”働き方改革”の一環で、ワークライフバランスを整えているファームが増えてきています。
実態として、SIerの方がコンサルファームより労働時間が長い、という逆転現象も生じ始めています。

【参考】アクセンチュアの働き方改革「Project PRIDE」

当時、長時間残業が常態化していたアクセンチュアは、「残業の適用ルールを厳格化、18時以降の会議原則禁止」などの徹底した施策を行ったことで、残業時間を1人あたり1日平均1時間に離職率は実施前の約半分にすることに成功。「数年で劇的に働く環境が改善」したという声も挙がっています。

参照元:https://www.accenture.com/jp-ja/about/company/project-pride

④将来的に戦略コンサルや業務コンサルに挑戦可
一度コンサルタントになると、コンサルファームからは「コンサル経験者」という見られ方をします。次のキャリアでは、戦略系コンサルや、業務系コンサルを目指すことも可能です。
ITコンサルファームの中には、IT系プロジェクトだけでなく、戦略系や業務系プロジェクトを受注している会社もあります。
そこで戦略系や業務系プロジェクトの経験を積むことは、キャリアパスを広げることに繋がるでしょう。

コンサルタントに転じるメリットを見る

⑤人生100年時代を見据えた活躍が出来る
ITコンサルファームでは、マネジメントの他に、ITアーキテクトやITスペシャリストとして、中長期的に活躍できるキャリアパスを用意している会社が増えてきています。また、中には70歳まで働けるコンサルファームもあります。仮に年収が1000万円・本来は60歳で定年とすると、70歳まで働ければ10年間×1000万円=1億円のキャッシュ創出となり、生涯賃金が大きく変わってきます。
人生100年時代において、中長期的に第一線で活躍したい、という方にはお勧めです。

【参考】役職定年制と選択定年制について

多くのSIerでは、慣行としての役職定年や選択定年(早期退職優遇制度)を導入しています。
そのため、50代で管理職や昇進コースからはずれてしまうケースや年収が下がってしまうケースがあります。
ずっと昇進を目指してきたものの、ここで熱意を失ってしまう方も少なくはありません。

  • 役職定年:
    定年退職の直前である55歳~59歳頃で部長や課長といった役職から外される制度のこと
  • 選択定年:
    定年に達する前に、本人の希望によって退職できる制度のこと。

※中央労働委員会の賃金事情等総合調査によると、従業員1,000人規模以上の企業の約50%は役職定年制を導入しているとのことです。

参照元:
「平成21年退職金、年金及び定年制事情調査」「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」(中央労働委員会)

SEからITコンサルタントになるために必要なスキル・経験

ITコンサルタントとして求められるスキル・経験

下記は、コンサルファームにおけるITコンサルタントの募集要件の一例です。SEとしての経験がITコンサルタントとして求められていることが分かります。

外資系コンサルファームA社・IT戦略コンサルタントの募集要件
・プロフェッショナルファームでの業務コンサルティング、ITコンサルティング経験
・事業会社でのIT戦略・デジタル戦略立案、IT部門の運営改善等の経験
・IT企業(システムインテグレーター、ソフトウェアベンダー、クラウドサービスベンダー等)でのソリューション提案・デリバリー経験
日系総合コンサルファームB社・ITコンサルタントの募集要件
・SIerにてシステムエンジニアとしての就業経験
・事業会社における企画、IT、デジタル等の専門的経験
独立系コンサルファームC社・ITコンサルタントの募集要件
・コンサルファームなどに勤務し、ITの知見と問題解決力をお持ちの方
・ITメガベンチャーやSIerなどに勤務し、ITの知見と問題解決力をお持ちの方
・AI開発やデータサイエンス、データ活用に関わる業務経験をお持ちの方

特にPM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)としてプロジェクトを管理していた、という経験はITコンサルタントとしても評価ポイントになります。
SIerやベンダーに指示を出しながら、ITプロジェクトを取り仕切ることがITコンサルタントとして重要なミッションになるからです。

また、近年ではAI、IoT、ブロックチェーンなどの先端テクノロジーに関わる知見を持つ方の採用ニーズも高まっています。
企業の成長戦略とテクノロジーの活用が切り離せなくなり、デジタルを組み入れた成長戦略を提案するケースが増えてきたためです。
それに伴い、ITコンサルファームに限らず、戦略系など様々なコンサルファームでSEをはじめとしたIT人材の採用が加速しています。

先端技術コンサルのプロジェクト事例を見る

実際の転職成功事例

弊社コンサルタントが転職のご支援をした方々の成功事例の一例です。
下記のように、SEとしての経験を活かしながら、年収アップを実現された方が大勢いらっしゃいます。
尚、マネジメント経験は必須ですが、40代や50代でSEからITコンサルタントへ転身されている事例も数多くあります。

総合系コンサルティングファーム・マネージャー・年収1400万円
【前職】大手日系SIer・40代男性・年収1100万円
金融機関を対象とした基幹系プロジェクトにてプロジェクトマネージャーを担当。総合系コンサルファームへの内定と、年収の大幅アップを実現。
外資系ITコンサルティングファーム・シニアコンサルタント・年収900万円
【前職】日系大手SIer・30代男性・年収700万円
サーバやネットワーク等のインフラ製品の販売・設計・構築を担当。大規模案件のプロジェクトリーダーも経験あり。外資系ITコンサルファームへの転身を果たす。
日系ITコンサルティングファーム・コンサルタント・年収700万円
【前職】日系大手SIer・20代男性・年収550万円
生命保険や損害保険会社を対象とした業務システムの構築に携わる。第一志望含む数社からのオファーを勝ち取り、ITコンサルタントへ転身。

弊社コンサルタントプロフィールを見る

SEが特に求められているコンサルポジション

以下では、ITコンサルタントの周辺領域で、システムエンジニア経験者が特に求められているポジションをご紹介します。
基本はITを軸としたコンサルティング領域がメインとなります。
各特集ページに飛んでいただくと、どのようなプロジェクトを行っているポジションなのか、具体的にご理解いただけるようになっています。

業界・業務コンサルタント
職務概要
SEとして培った特定業界(例:金融、製造、流通、公共など)または特定業務(例:会計、人事、SCM、CRMなど)の知識を活かして、クライアントの変革を支援
企業例
アクセンチュア、アビーム、DTC、PwC、KPMG 他
RPA/AIコンサルタント
職務概要
「働き方改革」の救世主として注目。RPA(Robotic Process Automation)を活用し業務改善を支援。また実用段階に入った特化型AI等を活用した業務改革や、ビジネス変革を支援
企業例
アクセンチュア、IBM、DTC、PwC、KPMG、EY、NTTデータ経営研究所 他
詳しくはこちら >
IT戦略コンサルタント
職務概要
企業のCIOが抱える課題や、全社におけるIT投資、活用の問題を経営的視点で支援
企業例
BCG、DTC、PwC、EY、KPMG、アクセンチュア、アビーム 他
詳しくはこちら >
PMOコンサルタント
職務概要
プロジェクト成功の阻害要因を抽出し、問題解決を支援する高度なITプロジェクトマネジメント機能を提供
企業例
マネジメントソリューションズ、ウルシステムズ他
システム監査
職務概要
独立した第三者視点で、情報システムを総合的に点検・評価・検証し、ガバナンス、マネジメント、コントロールの適切性等に対する保証を与える、または改善の為の助言を行う
企業例
4大監査法人(監査法人トーマツ、あらた監査法人、新日本監査法人、あずさ監査法人)
上記以外にも、経験不問で幅広い業界・職種からの応募を募る第二新卒採用や戦略ファームについても狭き門ではありますが、門戸は開かれています。

上記以外にも、属する業界/業種の専門性をお持ちであれば、インダストリーコンサルタントの道も開かれます。
<例>

  • 製造業×SE=製造業向けITコンサルタント
  • 金融業×SE=金融機関向けITコンサルタント

など

ITコンサルタントの求人を見る

SEからITコンサルタントを目指す際に気を付けたいこと

最後に、SEからITコンサルタントを目指すうえで気を付けたいことを解説します。

戦略的なキャリア設計を行う

プライムSIer(直請け)からITコンサルファームに移られる方は多いです。それだけ、プライムSIerが、システム開発の上流工程に携わるケースが増えており、職務的な親和性が高いからです。
2次請け・3次請けのSIerにいらっしゃる方も、ITコンサルファームへの転職は可能性はあります。ただし、システム開発の下流工程に関わる経験がメインの場合、エンドユーザーと折衝した経験や、上流工程に携わった経験を前面にアピールすることがより重要になってきます。場合によっては、まずはプライムSIerへの転職を目指す、という選択肢もあります。

また、人気企業である外資系コンサルファームなどは、採用要件が厳しく、狭き門である可能性が高いです。しかし、そのような場合でも、あきらめる必要はありません。
まずは幅広くSEを採用しているコンサルファームに入り、「コンサルタントとしての実務経験」を積むことで、難関のコンサルファームに挑戦することも出来るようになります。
このあたりの戦略的なキャリア設計については、コンサル転職に強いキャリアのプロの視点を取り入れるのが確実です。

求められる能力を理解し、しっかりと対策を行う

ITコンサルタントとして求められる能力には、下記のようなもの挙げられます。

  • 問題解決力
  • コミュニケーション力
  • IT戦略立案力
  • プロジェクトマネジメント力
  • 最新技術に対するキャッチアップ/学習能力
  • 業界知識・業務知識

この中で、特に注意したいのが「問題解決力」「コミュニケーション力」です。

ITコンサルタントは、あくまでも「コンサルタント」です。そのため、本質的には顧客の問題解決を行うことが職務
企業が抱える問題を発見、原因を特定し・分析し、解決策を提案することが最も重要な資質と言えます。

SEからITコンサルを目指す方は、面接において「能動的に顧客の問題解決を行ってきたこと」をアピールする必要があります。

また、「コミュニケーション力」も大変重要なポイントです。コンサルタントはクライアントビジネス。つまり、お客様との折衝無しに仕事はなしえません
クライアントの経営層や現場社員、ベンダー、自社コンサルタントなど、多くの関係者と円滑にプロジェクトを進めていく必要があります。

コミュニケーション力はスキルでもあります。つまり、面接対策によって合格水準まで引き上げることが可能です。
対策の方法は様々ですが、有効な手立ての一つとして、ご自身がどのような話し方をしているのか、ビデオで撮影してみるのが良いでしょう。
「自分では気が付かなかったけれど、こんな話し方をしていたのか…」と新しい気付きを得られるはずです。

また、フォルトナでは、コンサル転職に豊富な実績を持つコンサルタントが面接対策を行っています。
面接だけでなく、仕事や人生にも活かせる課題解決力の向上を目指し、マンツーマンで対策をさせて頂いています。

※尚、現在は新型コロナウイルス感染防止のため、オンラインでの面接対策を行っております。Zoom、Skype、Google Meetなど、ご都合の宜しいサービスをご利用いただけます。詳しくは、お申込み画面からお問い合わせください。

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まとめ

SEがITコンサルタントへの転職を目指すために知っておきたいことを解説してきました。
SEとITコンサルタントの境い目があいまいになってきている分、仕事の親和性は高まりつつあります。
そのため、SEとしての経験はITコンサルファームへの転職に役立つでしょう。

一方で、「似たような仕事ならSEでも良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、ITコンサルタントのキャリアは

  • SEの経験が活かしやすい
  • SEより上流工程で、かつ解決策にしばられずに顧客と向き合える
  • 年収アップ・ワークライフバランス改善が狙いやすい
  • キャリアパスが広がる
  • 人生100年時代を見据えた活躍が出来る

といった多様なメリットがあります。

このいずれかのメリットにご関心があるという方は、ITコンサルタントという選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

その際、ご自身の仕事・経歴がITコンサルタントへの転職に有利に働くのか、そうでないのかの判別がつかない、という方もいらっしゃると思います。

「ご自身の可能性を知りたい」という方は、弊社エグゼクティブコンサルタントまでお気軽にご相談ください。
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