【特集】SCMコンサルの転職・求人情報

公開日:22020.09.21 最終更新日:2024.11.25

SCMコンサルティングとは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、一企業の枠を超え、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、生産性を高めるためのマネジメント手法です。
SCMコンサルタントは、「調達、生産、物流、販売」に至る一連のプロセス全体を最適化するためのコンサルティングを行っています。

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SCMのトレンド

コロナ禍により、サプライチェーンを取り巻く環境は大きな試練に見舞われています。

これまでも大震災や豪雨などの自然災害、そして米中の貿易摩擦に代表される地政学的リスクなどを踏まえ、特にグローバル企業のサプライチェーンのあり方は何度も見直しを迫られてきました。
特に今回のコロナ禍においては、国家や都市の封鎖による物流の分断に伴い、多くの企業が必要な物資を調達できず、商品の供給がままならないという事態に直面したことで、サプライチェーンにおける抜本的な改革が迫られています。

これまでのSCMのトレンドは、オペレーションの最適化を目指したデジタルやアウトソーシングの活用が中心でしたが、コロナ禍のような未曾有のリスクに対応するべく、オペレーションレベルではなく、経営レベルの課題として、SCMを捉える流れが始まっています。
環境要因が複雑化するにつれ、サプライチェーンマネジメントが経営に与えるインパクトは日に日に大きくなってきているのです。

サプライチェーンに関して検討すべき事項は、各業界・各企業によって異なります。
例えばコロナ禍で供給不足に陥ったマスクや消毒液に代表されるヘルスケア業界は、コスト管理や規制に対応しながら、在庫切れを起こさないように原料調達からエンドユーザーへの供給を管理する必要があります。
SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))を掲げるグローバル企業に置いては、環境負荷の低い素材の調達や現地の労働問題を考慮した生産体制を含めて、サプライチェーンの見直しに迫られています。

工場の立地変更や製造委託先変更のような要素も含め、考慮すべき事項が広範に及ぶことから、デジタルの力を活用し、全体最適となるようなサプライチェーンを構築していく必要があります。そしてサプライチェーンのどこにリスクが潜んでいるのかを可視化し、リスクが顕在化したときに適切な意思決定が行えるよう、経営がモニタリングできる仕組みを整えていくことが求められています。

このような時代の要請から、SCMコンサルタントは単純なシステム導入ではなく、全体最適を考慮した経営視点でのマネジメントを提供することが必要となっているのです。

SCMコンサルの具体的なプロジェクト事例

【総合系】Strategy&(当時ブーズ・アンド・カンパニー)
 製薬メーカー/グローバルコスト改革

【背景】

日本のある製薬メーカーは、主力薬の特許切れによる業績悪化を予期し、また将来の成長可能性の一つとして新興国市場の開拓を視野に入れ、コスト構造の見直しをStrategy&*と共同で開始しました。

当初は国内の間接材の購買コストの引き下げを中心にプロジェクトを開始しましたが、米国と欧州でも同様のプロジェクト・チームを立ち上げ、さらには直接材の購買コスト引き下げと、間接業務の人的生産性の改善にも取り組むこととなりました。

【活動内容】

国内の間接材としては、多岐にわたる費目を対象としました。研究開発関連の設備・備品や外注研究費、生産関連では物流費、営業関連の広告費、集会費、交際費、販促物費、車両費、総務・管理関係では印刷費、保険料、研修費、旅費、外注費、またIT関連でシステム費、通信費などが対象になりました。 これらの費目ごとにクライアント・チームを立ち上げ、Strategy&のプロジェクトメンバーが調達戦略と交渉戦術を起案し、新たなサプライヤー候補も開拓しながら単価の削減交渉を推進しました。

米国と欧州でも同様の体制でStrategy&のメンバーがクライアントの費目別チームを支援し、さらに直接材の分野でも原材料や包装材料を中心に同様の体制で交渉を推進しました。製薬業界に固有の費目に関してはStrategy&のグローバルなチームによる過去の類似プロジェクトの知見を活用し、交渉戦術を策定しました。 コスト削減活動における要点は、「リバウンド」をいかに防ぐかにありました。購買量を一時的に抑制するだけでは、単年度の費用は下がるものの翌年度以降に再増加してしまいます。まずは単価水準を引き下げることを重点とし、その後は定期的なチェックを行うことで単価や数量の再増加がないようにモニタリングを行う体制としました。

【成果】

日米欧の購買プロジェクト・チームの協働の結果、グローバルで約100億円のコスト削減を実現しました。単に削減余地を特定しただけにとどまらず、サプライヤーから単価低減の提案を実際に取得し、その多くはプロジェクト期間中に新単価で購買契約にいたりました。

また、このプロジェクトのもうひとつの成果は、サプライヤー管理およびコスト管理のノウハウがクライアント内に確立したことにあります。購買プロセスを「見える化」し、適切な価格交渉を行うことを担保するツールなどが導入されました。

【総合系】アビームコンサルティング
 大塚ホールディングス/事業分野と商流の壁を越えた販売物流システムをSAP導入で刷新・構築

【プロジェクト背景】

大塚グループの事業は、治療薬や輸液などの製造販売を行う「医療関連事業」と、健康の維持・増進をサポー トする飲料・食品や健粧品(コスメディクス)などの製造販売を行う「ニュートラシューティカルズ関連事業」の2つの分野に大きく分けられる。グループ内各社で、これら異なる事業分野を個々に展開している中、大規 模な販売物流システム刷新・統合プロジェクトが立ち上がった。大塚グループは、グループ全体のITインフ ラ基盤構築に向けて、大きな第一歩を踏み出したのである。

【課題】
  • 大塚グループ全体のITインフラ基盤構築を見据えた販売物流システムの構築
  • 異なる製品、商流で個々に事業を展開する大塚グループ内各社の業務標準化実現
  • 大塚グループ共通での内部統制強化
【課題解決のソリューション】
  • SAP導入による販売物流システム構築
  • 新販売システム稼働に伴うリスク・負荷を分散するため、2段階で稼働
  • 拡張性・柔軟性を持った販売システムの実現
  • 災害時の事業継続性の確保(BCP 対応)
  • 販売システム全領域の保守・運用アウトソース化
【成果】
  • 将来を見据え、グループ他社の乗り入れが容易なシンプルなシステムを構築
  • グループ内各社の業務標準化を図ると同時に、個社の切り分けを両立
  • 会議体でのコミュニケーションによるグループ各社との密な合意形成
  • 内部統制室との連携と徹底したスケジュール管理
  • 保守および並行する複数プロジェクトとの整合性の確保

【総合系】クニエ
 PC周辺機器/製品特性に応じたSCM/S&OP

【事業環境と問題点】

海外生産、海外販売への事業戦略が打ち出され、それまでの国内生産、国内販売を中心とした人的な調整、頑張りによる事業から業務・ITが限界を迎えており、属人的な業務、ツールが氾濫し、先行きの見えない状況に陥っていました。

【改革の概要】
狙い
  • 需要変動対応力強化
  • 海外生産・海外販売対応強化
  • 計画・需給調整効率化
  • 情報可視化
主要施策
  • 特性別需給調整
  • 計画プロセス週次化
  • リードタイム短縮(8W→4W)
  • 最新計画の金額レポート
  • 高速計画基盤構築

【BIG4】デロイトトーマツコンサルティング
 デバイスメーカー/ビジネスの快進撃を支えるグローバルSCM

【概要】

国内売上が中心である日系企業が、グローバル展開に向けた打ち手として、グローバルトップ企業からの類似事業の買収を検討している中、DTCがM&Aプロフェッショナルとして、外部の専門家と共にこの事業買収を支援しました。

【背景】

デバイスメーカーであるクライアントは、先進的な製品を世の中に提供し続けることで業界における競争優位を保っていました。しかしこうした「武器(製品)」で競合を凌駕する一方、魅力的な製品を確実かつロスなくお客様に提供するための「足腰=SCM」は、業界のトッププレイヤーとして相応しいものとはいえない状態でした。

【貢献】

こうした中、DTCメンバーは類似業界におけるベストプラクティスを踏まえ、単なる数合わせから「金額ベースで儲けるSCM」をグローバルかつ高速に実行するためのスキームとそれを実現するための施策立案をサポートしました。

【成果】

その後経営層の理解と強力な実行指示にもとづいて、業務、ITが一体となった全社改革プロジェクトが開始され、DTCメンバーはクライアントとともに国内、海外拠点を飛び回りながら、構想の具現化と導入をサポートしています。

SCMコンサルに求められる要件

SCMコンサルタントに求められるのは、「製品開発(BOM/PLM)」「生産管理」「S&OP(Sales and Operations Planning)」「物流」「調達」等の領域における、事業会社もしくはコンサルファームでの実務経験です。
以下に、具体的な職務の経験例を記載します。

<製品開発(BOM/PLM)>
・商品企画/受注から生産立上までの開発プロセス全体の改革の経験
・製品ライフサイクル全体に亘るBOM/PLMの経験

<生産管理>
・生産管理、製造管理領域の業務改革プロジェクトの経験
・ERP、MES、製造データ分析、製品別原価計算・管理の経験
・生産管理システム、製造オペレーション管理システム(MES)の構築導入プロジェクトの経験
・生産拠点立上げやマザー工場業務、製造データ分析、製品別原価計算・管理の経験

<S&OP>
・S&OP、需要管理、生産計画、需給計画についての実務経験
・JDA、SAP APO、Kinaxisなどの導入経験

<物流>
・物流企画、物流ネットワーク、ロジスティクス分析、3PL連携等物流領域全般に関する基本構想策定、業務設計についての実務経験

<調達>
・調達関連(間接・直接問わず)の戦略策定・改革プロジェクトに従事した経験
・グローバルで調達関連の業務改革もしくはシステム改革(Ariba、Coupa等)の経験

上記のような経験をお持ちの方は、SCMコンサルとして採用される可能性が十分にあると言えるでしょう。

また、デジタルの文脈においては、製造、購買、在庫、物流に関わる情報の高度な分析を行うためのDB構築、BIツール使用経験を持っている方も、ターゲットとなることが多いです。

SCMコンサルの代表的な企業

●は外資系企業、○は日系企業 【 】はグループ企業の属性

総合系ファーム/SCMコンサル部門

●【BIG4】デロイトトーマツコンサルティング/SCM
●【BIG4】PwCコンサルティング/Operations
●【BIG4】EYストラテジー・アンド・コンサルティング/サプライチェーン&オペレーションズ
●【BIG4】KPMGコンサルティング
○【IT】アビームコンサルティング/P&T Digital-SCM
○【IT】クニエ/SCM/S&OP
○【金融】三菱UFJリサーチコンサルティング/生産・物流改革/SCM領域

コスト削減系ファーム

○プロレド・パートナーズ
○ディーコープ

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