イーソリューションズ株式会社は、「可能性を掛け合わせ、未来をデザインする」というミッションのもと、社会課題の解決とクライアント企業の利益最大化を両立させる「事業プロデュース」を行っています。 各業界のリーディング企業をはじめ、省庁、地方自治体、研究機関、大学など、業界や組織の枠を越えて多様なステークホルダーと連携し、 CSV(Creating Shared Value)の考え方を事業支援に応用し、企業の新規事業開発支援、産官学連携事業、企業や大学とのJV設立など様々な事業を手掛けていることが特徴です。2025年現在は、「ヘルスケア」「創薬」「脱炭素」「地方創生」など4つのメインテーマで活動しています。
ヘルスケアの分野では、2023年にトータルフューチャーヘルスケア株式会社(TFH)を子会社として設立し、YKK AP、大東建託、NTTドコモ・ベンチャーズ、中部電力などが出資。
生活空間で起きる急変や、徐々に進行してしまう病気を軽症のうちに「早期発見」し、より早いタイミングで病院での治療につなげ、医療費や介護費の削減に寄与することを目指す、業界を超えたプラットフォーム事業を開始しました。
インタビュー第1弾は、執行役員副社長 ライフデザイン事業部長 兼 TFH取締役社長執行役員の藤本様、ライフデザイン事業部 マネジャーの不破様に、イーソリューションズおよび、お二人が従事しているTFHの事業についてインタビューいたしました。
インタビュアーはフォルトナ小泉が務めます。
藤本 小百合様 プロフィール
イーソリューションズ株式会社 執行役員副社長 ライフデザイン事業部長 Co-COO
トータルフューチャーヘルスケア株式会社 取締役社長執行役員
東京大学文学部卒業後、投資顧問会社での秘書業務、日本の対外関係構築に関わるNGOでの事業企画・運営を経て、2017年にイーソリューションズへ入社。農林水産業やプラットフォームビジネスの研究、医療・ヘルスケア、住宅に関する新規事業の事業戦略立案・実行支援プロジェクトに責任者として従事。東日本大震災からの復興機運風化防止を目的に活動する「さくらプロジェクト」の運営にも携わる。
2019年からライフデザイン事業部長として「家での早期発見プロジェクト」を牽引、2024年トータルフューチャーヘルスケア取締役社長執行役員に就任。
不破 沙織様 プロフィール
イーソリューションズ株式会社 ライフデザイン事業部マネジャー
新卒で経済産業省に入省し、製造産業支援や研究開発支援に従事。その後、地方自治体での医療政策事業推進、ヘルスケアベンチャー、大手生命保険会社ヘルスケア部門での新規事業開発を担当。また、就業しながら東北大学医学系研究科公衆衛生学修士課程を修了し、2024年にイーソリューションズへ入社。ライフデザイン事業部に所属し、トータルフューチャーヘルスケアの事業開発に従事。
CSV(Creating Shared Value)の考え方のもとに「社会課題を解決し、持続可能な未来をデザインする」
[小泉]
本日はよろしくお願いいたします。初めに、イーソリューションズの理念や設立経緯について教えていただけますか?
[藤本様]
当社は、創業者である代表取締役の佐々木が新規事業創出を通じた社会課題解決に取り組むために設立しました。
佐々木は、ソフトバンクの孫正義氏のもとで同社の急拡大時に新規事業責任者を任されており、事業立ち上げを数多く経験しました。
その経験のなかで、事業としての収益性だけでなく、日本や地球の未来のため、社会課題解決に寄与する“事業”を創りたいという思いに至ったと聞いています。
当社の設立は1999年であり、「ESG」「SDGs」「CSV(Creating Shared Value)」といった概念が生まれる以前のことでした。設立当時は新規事業による利益創出と社会課題解決を両立させる概念が理解されなかったと佐々木から聞きましたが、CO2削減を目的として環境省が主導し大きな国民運動へと発展した「チーム・マイナス6%」等、「CSV」を推進する触媒としての役割を果たし、世の中のあたり前が変わる事業を数多く創ってきました。
現在は、「社会課題を解決し、持続可能な未来をデザインする」というミッションを掲げ、企業や官公庁、アカデミア等バックグラウンドの異なる複数のステークホルダーの可能性を掛け合わせ、「社会的価値と経済的価値の両立を目指す仕組み」をデザインする新規事業を手掛けています。これにより、社会に長く必要とされる事業を実現できると考えています。
ビジネスで社会に価値を――トータルフューチャーヘルスケア(TFH)という選択
[小泉]
藤本様は、どのような経緯でイーソリューションズに入社されたのでしょうか?
[藤本様]
私は大学時代からインターンとして携わっていた投資アドバイザリーの会社に、新卒で入社し、代表のアシスタントを務めていました。その後、同代表が理事長を務めるNGOに転籍し、国際会議の企画運営などを担当しました。NGOでの活動を通じて、良い提言が社会に実装されない現状や社会的活動の持続性に課題を感じ、事業として利益を稼ぎながら持続的に社会に価値を生む方法を模索するなかでイーソリューションズに出会いました。
[小泉]
転職活動の際、どのような思いをもたれていましたか?
[藤本様]
前述の通り、NGOでの活動を通じた課題感から、社会課題にビジネスとして取り組むことができる選択肢、もしくは、そのためのスキルを身に付けられる選択肢の2軸で検討していました。
そのなかで、外資系戦略コンサルティングファームの選考も受けていましたが、あるトップファームの選考で「課題解決スキルは身に付くけれど、社会課題の解決はそのスキルだけでは実現できないのではないか」ということをお話いただき、それはそうだなと自分でも納得したことを覚えています。
今でこそ、社会課題解決にビジネスとして取り組むためには、課題解決力だけでは不十分だと実感しています。あるべき社会システムをデザインする構想力、その方向に向けて多くの関係者の賛同を得るネットワークやストーリーテリングの能力、関係者それぞれの強みを発揮いただくファシリテーション力など重要なことは数多くあります。
そのような経緯から、自分で社会課題やソーシャルビジネスというキーワードでキャリアの選択肢を探し、当社に出会いました。そして、選考を通して、当社のビジネスが自分のやりたいことを実現する一番の近道と感じ、入社を決めました。
[小泉]
不破様は、子会社であるTFHの事業が生まれてからのご入社と伺っています。これまでも地方自治体やヘルスケアベンチャー、大手企業などでの同じヘルスケア領域での事業開発経験をおもちですが、イーソリューションズへの転職をどのように考えていましたか?
[不破様]
私は大学卒業後、新卒で経済産業省に入省し研究開発支援等に携わりました。その後、自治体の医療政策部門に従事した後、ヘルスケアベンチャー企業に転職し、自治体向けの健診受診率向上の取り組みや、アカデミアの先生方とともにヘルスケアエビデンスを構築するプロジェクト等に携わりました。その後、大手損害保険会社でヘルスケア新規事業開発に従事し、イーソリューションズに入社しました。
ヘルスケア領域での事業開発のキャリアに向かうターニングポイントとなったのは、自治体での経験でした。医療政策に携わるなかで、重要な政策であっても資金がないと続けられないという課題に直面しました。その経験から、社会にとって必要な仕組みを継続する手段として、ビジネスの役割や重要性が必要だと気付き、民間企業でその仕組み作りに携わりたいと思うようになりました。
幸い、ベンチャーから大企業まで複数の企業でヘルスケア事業開発に携わる機会を得られましたが、経産省や自治体で行う政策がもつ社会貢献の側面とビジネスをいかに両立するか、そこにコミットしたいという思いはずっと温めてきました。
[小泉]
公共側からではなく、民間側からアプローチを選択されたのはどうしてでしょうか?
[不破様]
確かに公共側からのアプローチもありますが、お金がめぐる仕組みを作れば、取り組みが継続するだけでなく、社会にとって必要な他の仕組みに投資することもできます。そういった部分に面白さを感じ民間でのキャリアを選択しました。いろいろな正解や選択肢があるなかで、あくまで自分がどうしたいかを基準に選んでいます。
TFHの事業は、高齢化社会が抱える社会課題の解決に向け、複数の企業と連携して取り組むことができます。転職活動の際にはコンサルティングファームも検討しましたが、世の中に価値を提供するには、泥臭い仕事や難しい意思決定、組織の成長に自分ごととしてコミットすることが非常に重要だと感じています。
大変な道ではありますが、コンサルティングファームではなく、TFHという事業会社のなかで、事業にコミットすることが自身の成長にも最もつながると思い入社を決めました。