ハイクラス転職サービス『doda X』主催のHeadHunter of the Year 2025 史上初殿堂入り記念対談 〜ハイクラス転職のこれから〜

公開日:2025年12月24日

最終更新日:2025年12月24日

転職サービス「doda」「doda X」をはじめ、人材業界を牽引するパーソルキャリア株式会社の代表取締役社長 瀬野尾 裕様と、HeadHunter of the Year 2025(※)にて史上初の殿堂入りを果たしたフォルトナ株式会社の栗山卓也。業界のトップランナーであり続ける二人が、今回の受賞を記念した対談を行いました。

加速度的に進む人口減少やテクノロジーの進化により、働き方や転職市場が変革期を迎える今、ハイクラス人材の転職支援において、転職サービスはどのような価値を生み出すべきか——このようなテーマを背景に、ハイクラス転職の未来や展望について、お互いの考えや思いを語り合いました。

※「doda X Professional Search」に登録している約8,000名のヘッドハンターおよび約1,300社のエージェントの中から、転職支援人数や実績などにおいて高い成果を残したヘッドハンターおよびエージェントを表彰するもの

祝「殿堂入り」栗山が語る、ヘッドハンターの仕事の極意

「人の可能性を信じて、キャリアを開拓し続ける」

[瀬野尾様]
まずは、われわれのハイクラス転職サービス「doda X」が主催する「HeadHunter of the Year 2025」史上初の「殿堂入り(※)」、誠におめでとうございます。

ヘッドハンターとして数多くのアワードを席巻していますが、ハイクラスの転職支援においてここまでの実績を築き上げるモチベーションはどこからくるのでしょうか?

※過去3年間にわたり、総合MVPまたは各部門においてMVP・1位を連続受賞したヘッドハンターを選出するものであり、栗山は同アワード史上初の選出

[栗山]
このような栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。私としては、ご相談者様の固定観念を覆し、キャリアの可能性を切り拓いていく瞬間にやりがいを感じています。

ハイクラス層の中でも、キャリアプランを試行錯誤される若手の方々の支援も多いのですが、中には、条件面や社会的な体裁などさまざまな要因から「とりあえず大手企業」という王道ルートを志向される方も一定数見受けられます。そのせいか、自分が本当にやりたいことを見失っていることもしばしばです。

本人すら自覚できていない深い部分まで徹底的に掘り下げながら、ご相談者様のありたい姿に向けて伴走することが私の支援の真骨頂であり、この仕事の楽しさだと考えています。

[瀬野尾様]
栗山さんご自身は、どのようにキャリアを試行錯誤されたのですか?

[栗山]
何を隠そう、私こそ「とりあえず大企業」という考えで就職活動をしたタイプでした(笑)。

新卒で入社したのは大手自動車メーカーのHondaでしたが、自分の市場価値を高めたいとの思いからデロイト トーマツ コンサルティングに転職し、コンサルティング業界に飛び込みました。さまざまなプロジェクトを経験する中で、自動車ディーラーの新車売上向上プロジェクトに従事した際にリテールビジネスに興味を持ち、せっかくならリテール最強の事業会社に勤めようと考えAmazonへ。組織の一員として大きな事業を回すという貴重な経験を重ねつつも、社内だけでなくどこでも通用するような己の武器を磨きたいという思いが強くなり、フォルトナに転職相談しに行ったことが、現職との出会いとなりました。

最初は「うちに来ちゃいなよ!」という誘いを受けて、半ば勢いで飛び込んだ人材紹介業界でしたが、現職でさまざまなご相談者様を伴走支援する中で「栗山さんに出会えてよかった」と言っていただけることがこんなにも嬉しく、自分の好きなことだということを初めて自覚しました。

また同時に、私は自動車ディーラーを支援していた際に「リテールビジネスに興味を持った」のだと思っていましたが、実はセールスの方々のKPIを確認しながら「伴走支援する」という行動の方にやりがいを見出していのか、と気がついたのです。

頭でいくら考えても、行動が伴わないと辿り着けない境地があることを、我が身をもって実感しました。現職では、ご相談者様にもこうした気づきを与えることができたら、という想いでご支援しています。

成功の秘訣は「情熱」×「徹底した“はたらく人”目線」

[瀬野尾様]
私が思うに、今回の栗山さんの殿堂入りの理由は、その「情熱」にあるのではないでしょうか。お会いする転職希望者のキャリアの可能性を開拓することに、類まれなる情熱を持って尽力されていると感じます。実際の支援にあたり、大切にしていることはありますか?

[栗山]
徹底したご相談者様目線です。

私は、キャリアは“情報の質 × 自己の意思”で決まると考えています。
そのためにも、まずはフラットに、判断に必要な情報を徹底してお渡しすることを大切にしています。転職は大きな意思決定なので、こちらの私情を挟まずに、ご相談者様の“意思の質”を高める支援が欠かせません。

ただ、情報提供だけでは動けない場面もあります。甘えそうになっている時には、あえて厳しいことも率直に伝えます。「今は踏ん張るべきですよ」と。一時的には耳の痛い話に聞こえるかもしれませんが、その方の覚悟を引き出し、面接でのアウトプットを最大化するためには必要だと思います。

[瀬野尾様]
当たり前のようですが、実はビジネスの世界でこれをやり切るのはなかなか難しくもありますね。

[栗山]
弊社は業界内でも珍しく、ノルマやKPIがありません。加えて私の場合で言えば、ヘッドハンターとしての人材紹介業だけでなく、コンサルティング業・不動産業・サロン経営など他のビジネスを並行していることも特長かもしれません。

そのため人材紹介業の利益にとらわれることなく、ご相談者様の人生における最良の選択について真摯に向き合えるのです。それが、中長期的かつ強固な信頼関係の構築へと昇華され、ゆくゆくはキャリアをはじめ人生のあらゆることを相談できるライフパートナーとして、ご相談者様の人生に寄り添うことにつながると考えています。

AIの台頭やテクノロジーの進化がもたらす、転職市場・人材業界の未来

AIやテクノロジーの影響力が強まる転職市場で「人の介在価値」はどこにあるのか


[栗山]

とはいえ、依然として進む人口減少や、AIの台頭などに代表されるテクノロジーの進化を鑑みると、今までのようにはいかないと考えています。瀬野尾社長は、これらの変化が今後の転職市場にどのような影響を及ぼすとお考えですか?

[瀬野尾様]
まず人口減少の影響ですが、パーソル総研の調査でも、2030年には労働需要に対して644万人の人材不足という結果が出ています。2040年にはさらにその不足が拡大し、慢性的に人材不足の状態になりますね。

また、AIによる技術革新などの影響から、年収300万〜1000万円の中間所得層が減少し、年収300万円以下の低所得層と年収1000万円以上の高所得層に二極化が進むと予想されています。経済格差が拡大し、特に増えるのは低所得層で「人材は足りないのに、個々人の賃金は上がりにくい」といういびつな構造が起きかねません。

こうした前提に立つと、ハイクラスやエグゼクティブ層の強化に加えて、看護や介護といった医療福祉系、保育や配送ドライバーなどのエッセンシャルワーカーの方々が評価されるように転職支援をどのように実施するかが大きなテーマとなっています。

[栗山]
まさにその点こそ、今後の転職市場を読み解く上での肝だと、私も感じています。AIやテクノロジーの台頭は、市場構造だけでなく、ご相談者様の意思決定プロセスそのものに影響を与えるトレンドですね。

[瀬野尾様]
この大きなトレンドが、今後の転職市場を考える上でのベースになることは、もはや間違いないでしょう。

[栗山]
人材業界には人材紹介・求人広告・ダイレクトリクルーティング(以下、DR)・アグリゲーションと複数のビジネスモデルがありますが、AIの実装が進む今、これらの境界が曖昧になっていくと感じています。一方で、特に人材紹介業は「意思決定の質を支える」という意味において、AIとは異なる役割を担う領域です。

その前提を踏まえ、瀬野尾社長としては、今後どのような市場変化が起きると見ていらっしゃいますか?

[瀬野尾様]
まず、AIの活用によるデジタル化や自動化が進むことで、人材紹介・DR・求人広告といったビジネスモデルの垣根がなくなっていくことが予想されます。

例えば、ヘッドハンターによる推薦は、人材紹介業の専売特許とも言えますが、今後はDRなどでもAIが転職希望者データから「この求人にはこの人」と選定し、推薦・スカウトできるようになるかもしれないということです。他にも、AIは応募者の選別や面接の分野にも進出するでしょう。

正社員の転職率は、5年後の2030年を目安に約5〜7%程度まで成長が見込めます。転職市場においては、約半数を占める主要なビジネスモデルは依然として人材紹介業と見ています。

しかし、転職サービスへのAIの実装が進むことで市場の融合を促進するため、人材紹介業にフォーカスした場合の市場規模はやや縮小する傾向にあると考えます。さらに、コロナ禍以降盛り上がった転職トレンドは一旦落ち着きを見せ、市場が活性化しているとも言い難い。これからの社会では、転職希望者に対してどのような価値を提供していくのかが、非常に重要なテーマとなります。

[栗山]
AIの実装で市場構造は確実に変わりますが、それでも人材紹介業は“人が介在する意味”を最も発揮できる領域だと考えています。履歴書だけでは見えない、ご相談者様の価値観や判断の傾向といった深層情報は、対話を通じてしか立ち上がりません。この領域はAIでは補完しづらいため、人が担う価値はむしろ高まっていくように感じています。

[瀬野尾様]
そのとおりです。個人的な見解ですが、少なくとも2030年までは法人・転職希望者共に人の介在は必須だと考えています。

なぜなら、特に日本では「人」に仕事を割り振る「メンバーシップ型」が主流だからです。どんなにAIの実装やデータの活用が進もうと、「仕事」に人を割り振る「ジョブ型」へすぐに切り替わるとは思えません。

[栗山]
おっしゃる通りで、日本ではメンバーシップ型が前提である以上、単純なスキルマッチよりも「どんな環境で力を発揮できるか」という文脈的な相性が重視されます。特に「ご相談者様が何に安心感を覚え、どんなカルチャーでパフォーマンスを発揮できるのか」などに関しては、定量情報だけでは判断しづらい領域です。

こうした“文脈の読み解き”は、面談の中でしか拾えない情報が多く、現状ではAIが単独で補完することは難しいと考えています。

[瀬野尾様]
長い目で見れば、インサイトデータの活用においても、AIが担える領域は広がっていくと思います。ただ、そのインサイトデータの収集段階では、やはり人の介在が欠かせないでしょう。履歴書や職務経歴書、求人票などでは把握しきれない情報は、面談や対話を通じて人が丁寧にすくい上げてきたものです。

AIにインサイトデータを運用させるためには、まず人が情報を掘り起こし、言語化し、データとして整える必要がある。ここにこそ、人材紹介会社やヘッドハンターの介在価値がありますし、仕事の質が問われていくはずです。人の介在価値とAIを活用したプロダクトサービスの体験価値の双方を考える上でも、ここは重要な要素になると思います。

これらを踏まえて、これからの転職希望者の需要は大きく分けて「人だけを望む人」「人 × AIを望む人」「AIだけを望む人」の3タイプになると想像しています。

また、転職希望者は転職活動への伴走や意思決定のサポート、キャリアに関する不安に寄り添ってもらうことを求めています。特にキャリアへの不安は根深いテーマの一つです。AIによる技術革新から、ハイクラス層を含め多くの人がさまざまな不安に直面することになります。この需要は、今後も拡大していくのではないでしょうか。間違いなく人の介在価値は残っていますから、まだまだやりがいのある市場です。

「人の価値は普遍」——この原理原則を信じて向き合う、今後のビジネス戦略について


[栗山]

「AIの台頭によって市場シェアを奪われ、人間のヘッドハンターが淘汰されていく」——このようなホラーシナリオもあるわけですね(笑)。

[瀬野尾様]
栗山さんほどのヘッドハンターなら、まず大丈夫だと思いますよ(笑)。

[栗山]
淘汰までは行かなくとも、AIという選択肢が増えることは事実ですから、競争はさらに激しくなりそうです。ヘッドハンターたちがこれからの時代を生き抜くための鍵は、一体何だと思われますか?

[瀬野尾様]
「人の介在価値をこれまで以上に追求する」。シンプルですが、これに尽きると思います。そのためには、転職希望者のロイヤルティの向上が重要です。これができないヘッドハンターは、今後に限らず立ち行かなくなるでしょう。

[栗山]
詰まるところ、顧客体験の質や顧客満足度の向上がポイントなのですね。

われわれのようなヘッドハンター企業にとっても、AIをはじめ新しいツールをどのように活用していくかは、顧客体験の質の向上を左右する大きな要因の一つだと考えています。また個々のヘッドハンターにとっても、AIの活用による生産性や品質の向上は、競争力の強化や差別化にもつながります。私の業務効率化は当然として、いかにご相談者様がAIを活用し、最も効率よく転職活動を進めることができるか、を日々研究中です。

[瀬野尾様]
差別化で言えば、「doda X」をはじめ業界・業種・職種を網羅するプラットフォームを持つわれわれのような企業と、フォルトナのような領域特化型の人材紹介ビジネスを展開する企業とでは、その戦略も大きく異なります。

特定の領域に絞る場合は「業界 × 人」という部分で差別化を狙うのが、おそらく現実的な落とし所になるのではないでしょうか。そして貴社はきっとそのプレゼンスが高く、今後も変わらないと思います。

[栗山]
ありがとうございます。
ちなみに、幅広いサービスを展開する貴社では、AIやデータの活用に関してどのように向き合おうとお考えですか?

[瀬野尾様]
われわれとしては、人の介在により得られるインサイトデータを活用するためのデータ戦略について、よく考えて試行錯誤していきたいと考えています。というのも、あくまでHR企業だということにこだわりたいという想いがあるからです。人材業界を牽引する立場として、システマチックすぎるサービスはどこか味気ないようにも感じます。

やはり大前提として、人の価値は普遍だという原理原則を信じている。われわれには、人の価値を最大化させるという信念があるのです。今後、AIやデータの活用を進める中でも、この信念に準ずる形で実施したいですね。

[栗山]
素晴らしいですね。AI活用が進んでも“人”を軸にしたHR企業の価値はむしろ高まると考えています。瀬野尾社長がおっしゃるインサイトデータの重要性はまさにその象徴であり、人にしか拾えないインサイトが確実に残り続けると感じています。

特にこれだけ市場環境が変わる中では、企業としては今後「どの軸で勝負するか」が問われる気がしています。
パーソルキャリアの立場から見ると、AI・データ活用と人の価値の両立がこれからの競争力を左右すると思われますが、貴社では今後どのような方針を描かれていますか?

[瀬野尾様]
構想していることはさまざまにありますが、あらゆる時流に対応できるよう、資本力を生かして複層的なサービス展開をする方針です。その中で、AIについては大きなトレンドなので、一定の危機感を持ちながらきちんと対処していきますが、あくまでも一つの手段でしかないとも考えています。

プラットフォームを有し、複層的にビジネスを展開するわれわれにとって最も重要なのは、ビジネスモデルではなく「人を集める力」です。貴社のようなヘッドハンター企業やクライアント企業の尽力も大いにありますが、今もこれからも必要なことは変わりません。多くの方にサービスをご利用いただき、人と組織を結ぶことに尽きると考えています。

ハイクラス転職の未来を見据えて

過渡期を乗り越え、AIのトレンドというビッグウェーブを乗りこなす

[瀬野尾様]
ここまで大局的な部分を中心にお話しましたが、一人のヘッドハンターとして、栗山さんは実際の業務へどのようにAIを取り入れていらっしゃいますか?

[栗山]
業務効率化に使うのは当然として、ご相談者様との対話内容をAIに読み込ませ、私だけでは気付けなかった思考の抜けや別視点の仮説を洗い出すために活用しています。
私はいわゆる“インサイト”役です。この「インサイトを担う人間」と「構造化と仮説生成を担うAI」が組み合わさることで、アドバイスの質をこれまで以上に高められています。
加えて、ご相談者様自身がAIを使いこなすことにも重きを置き、転職活動の効率が最大化されるよう、用途別のオリジナルプロンプトなどを用意して提供しています。

結果として、自分だけでは見えなかった視点をもたらし、戦略だけでなく戦術まで提供してくれるヘッドハンターになれるのです。ご相談者様からは「こんなヘッドハンターは初めてです!」といったお声もいただいています。

[瀬野尾様]
なるほど。確かに転職希望者の目線からしたら、魅力的な伴走者ですね。先ほど「人の価値は普遍」だという話をしましたが、このように人間がAIを使いこなせるようになっていけば、自分たちの価値をどう見出していくべきかは、自ずと明らかになると思います。

[栗山]
われわれのようなヘッドハンター側もご相談者様側もやるべきことはシンプルで、ビジネスでのAIの活用による生産性や質・価値の向上という観点を持って仕事を進める。それは人材業界に限らず、コンサルティング業界でもメーカーの開発職でも、業界や職種は違えども本質は同じことです。

変化の激しい世の中でもきちんと感性を研ぎ澄ましていれば、人間のスキルは自ずと上がっていきます。もし多少想定外のことが起きたとしても、一人ひとりが自らの武器をきちんと磨いていれば、その武器を使って生き抜いていけます。結局は、AIの台頭も一つの時代の流れですね。

[瀬野尾様]
そう。まずは現在の大きなトレンドに適切に乗りましょう、ということです。

[栗山]
そう考えたら、今後は「人 × AI」で自身の介在価値を最大化していけるのではないかと思えました。今日の対談を経て、AIとの相乗効果を狙いながら共存し、ヘッドハンターとしてより一層高みを目指していける気がしています(笑)。

「キャリアへのオーナーシップ」と「人生のロールモデル・ライフパートナーの存在」が、これからの時代を生き抜く鍵

[栗山]
貴社やわれわれのような人を軸にしたビジネスの勝ち筋を考える上で、瀬野尾社長がおっしゃった「人の価値は普遍である」がキーワードになりそうですね。

AIの台頭により、人材業界が抜本的に変わってしまうのか、逆にあまり変わらないのか——。一体どうなるのだろうと、この対談でお話しすることを楽しみにしておりました。

[瀬野尾様]
もし劇的に体験価値が変わるとしたら、おそらく現段階で、ある程度想像ができているはずです。あとはその形式の多様化や質の改善、社内の工数・人員の削減、24時間365日の常時稼働などといった効率化の話がメインでしょう。

一方で、今後の転職希望者個人に求められることって何でしょう。私は「doda」や「doda X」などのプラットフォームに代表される、多様な人材ビジネスを俯瞰して見る立場です。

しかし、栗山さんは転職を検討する方々と日々対話を重ねています。その中で、転職希望者個人は今後どうあるべきなのか、見えてくることがあればお聞かせいただけますか?

[栗山]
あくまで私の見解ですが、AIと競うのではなく、AIを使いこなす側を目指すマインドセットが必要だと思います。ビジネスの現場のみならず転職活動時も、AIを積極的に活用すべきですし、私もその姿勢でご相談者様のご支援をしています。

これを踏まえるとAIの使い方がますます重要になり、AIを本当の意味で“使いこなす”ためには、AIで代替されにくい“人間的能力”を磨くべきだと考えています。

例を挙げるとすれば、顧客や上司の“意図”を汲み取り提案する対人関係力や共感力、AIの出した選択肢から、正しい判断を下すための意思決定力、AIでは判断しにくい“良識ある選択”を支える倫理観や己の美意識、といった具合でしょうか。

これらの力を育てることがビジネスの背景や文脈への理解につながり、AIが出した答えを鵜呑みにすることも防止できるのではないかと思います。

[瀬野尾様]
先ほどのインサイトデータの話にも通じますが、人の介在を要する情報やそれに関わる能力の向上はやはり必須ですね。

さらに並行して、AIと人間の棲み分けの境界線が見えてくるくらい、AIを日常に浸透させていくことも必要でしょうね。

[栗山]
おっしゃる通りです。自分の立ち位置を理解し、世の中の時流を把握した上で「今、何をすべきか?」を考え続けることは、転職活動をする上でも非常に大切なことだと思います。

[瀬野尾様]
私も常々思いますが、自分のキャリアへのオーナーシップをしっかりと発揮することは、本当に重要です。こと転職活動になると、これはますます欠かせないものとなります。自分の軸を持てるかどうかが、己の意思決定を左右しかねませんから。

そしてキャリアへのオーナーシップを育むには、己の軸や強みなどの整理と選考対策、それらを踏まえたキャリアプランの構築も必要ですよね。一人のヘッドハンターとして活躍されている栗山さんの視点から、転職希望者たちのキャリア設計や実際の転職活動は従来からどのように変わるのか、既に実感または予想されていることはありますか?

[栗山]
キャリア設計に関しては、AIに代替される職が生まれる一方、AIによって新たな職種や融合領域が生まれると思うので、そちらにも目を向ける必要があると考えています。人事やマーケティング、コンサルティングにおける戦略部門など、どのような専門職においてもAIへの理解度が重要性を増すはずなので、どこを狙うかがキャリアプランにも影響してくると思います。

実際の転職活動でも、AI活用スキルや業務効率化の実績、あるいは自己研鑽でも、AIに関わる何らかの具体的な事例がアドバンテージになってくると思います。履歴書・職務経歴書への明記に加え、面接なら「AIによって仕事の生産性をどう高めたか」などを自分の言葉で語れるようにしておくと良いのではないかと。

[瀬野尾様]
多少の偏りはあれど、AIは既にあらゆる業界や職種に浸透しつつあります。求められるものややるべきことなどは、「doda X」のターゲットであるハイクラス人材においても本質的には同じように思いますね。

[栗山]
そう思います。今後はあらゆる層の方々がAIにしっかり踏み込んでいく必要があります。その上で、「AI × 専門性」で“意思決定の質”を上げることができる、そしてAIを理解してチームを導ける存在へと進化できる人材が、今後の求められる人材像となっていくのではないかと、個人的には予想しています。

[瀬野尾様]
これらを踏まえて、ヘッドハンター企業の一つであるフォルトナでは、今後どのような展望や方針を掲げていこうとお考えですか?

[栗山]
当社では引き続き「社員幸福度No.1」の価値観の下に、ヘッドハンター自身の自己実現を尊重することで、ヘッドハンター自身が人生やキャリア設計のロールモデルとなることを標榜していく方針です。

AIの台頭によるビジネス環境の変化を受けて、単なる求人提案や従来のキャリア設計では、われわれのような企業も生き残れなくなってきています。目先のキャリアだけでなくその先の人生について共に考え、客観性と中長期的な視野を備えて伴走することが必要です。

ヘッドハンター自身が幸せであれば、ご相談者様の成約に依存せず、その方の人生をより本気で考えたご支援ができます。それが結果的にご相談者様からの満足度につながっていく。こうした好循環を、これからも続けていきたいですね。

[瀬野尾様]
自らの人生をもって体現し、キャリアに悩む方々を導く姿勢が、今回の殿堂入りをはじめとした貴社の輝かしい実績に表れているのですね。

[栗山]
恐縮です。つい、熱く語ってしまいました(笑)。

[瀬野尾様]
貴社のような一人ひとりの転職希望者に寄り添うヘッドハンター企業と、われわれのような広くあまねくビジネスを展開するHR企業とでは、人材業界において果たす役割は異なってきます。

はたらく人たちのキャリアへの不安は今後も増えていくでしょう。その上でわれわれのミッションに立ち返ると、仕事やキャリア、そして人生に対するオーナーシップをぜひとも育み、発揮してほしい、と強く思います。自己決定する意識、そのための自己・環境への理解がないと、変化が早く選択肢も多い今の世の中において、キャリアの先行きがどんどん見えにくくなってしまいます。

[栗山]
これは、私も本当にそう思います。加えて言うならば、心から楽しいと思える仕事を見つける努力をしてほしいです。1日の中で仕事に割く時間は長いので、結局のところ、楽しさややりがいを感じられなければ長続きしません。転職を奨励するわけではありませんが、思考停止して一社にとどまってしまうくらいなら、思い切って転職してみてほしいと思います。

今は時代も変わり、必要とされる人材であれば基本的には戻ることも認められるようになりました。失敗したとしても、いくらでもやり直せるチャンスがあります。人生経験としてさまざまな挑戦を重ねるなかで、本当にやりたいことを見つけていく——今、この時代だからこそ、このような選択肢もあると思います。

[瀬野尾様]
そうですね。その際には、われわれが転職希望者の可能性を広げる一助となれたら喜ばしいことです。人材業界を盛り上げていくためにも、ますます頑張っていかなくてはなりませんね。

[栗山]
これからも、互いに切磋琢磨していけたら幸いです! 本日はお時間をいただき、ありがとうございました!

[瀬野尾様]
こちらこそ、ありがとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします。

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