株式会社プロレド・パートナーズは2009年に経営コンサルティングファームとして創業され、「価値=対価」の世界の実現をビジョンに掲げています。
業界初の「完全成果報酬型」のビジネスモデルを確立したコンサルティングファームですが、「価値=対価」の実現に向けて新たなアプローチとして、2022年9月に「成功報酬型」のコンサルティングを開始。それに伴い、行動指針も「Be Professional」「Compassion」「Outside the box」から、「Be Aspirational」「Think forward」「GRIT」へと刷新しました。
今回のインタビューでは、なぜこのタイミングでリブランディングを行ったのか、その背景や込められた思いについて、代表取締役の佐谷 進様にお話しいただきました。
インタビュアーはフォルトナ春日が務めます。
佐谷 進様 プロフィール
代表取締役。
東京芸術大学美術学部卒業後、外資系コンサルティングファームにて、大手プラント工業のリエンジニアリング、大手都銀の営業戦略の策定、経済産業省依頼のリサーチなどの経営コンサルティングを経験。 その後、不動産運用(REIT)会社にて、住宅、オフィス、商業ホテル、倉庫物件などの取得・運用業務に従事した後、2009年12月にプロレド・パートナーズを創業。
プロレド・パートナーズのリブランディング、佐谷代表の真意とは
[春日]
本日はよろしくお願いいたします。
ビジネスモデルや行動指針を刷新されましたが、なぜ今のタイミングでリブランディングされたのでしょうか?
[佐谷様]
プロレド・パートナーズがリブランディングを行う理由は、大きく3つあります。
1点目は、ビジネスモデルの深化のためです。成果報酬型コンサルティングは、プロジェクトの成果がそのまま報酬となり、当社のビジョンである「価値=対価」を体現するものです。一方、コンサルティングテーマが成果を定量化できる領域に限定されてしまうこと、また報酬の発生タイミングや額が予想できないため、突発的なニーズに対応できない、といった課題もありました。そこで、成果報酬と合わせて、成功報酬型コンサルティングを新たな軸として打ち出しました。後ほどご紹介しますが、成功報酬は、クライアントのプロジェクト継続意思(定性的な判断)により報酬を発生させるスキームとなっており、より柔軟なコンサルティングテーマの設定が可能になり、サービスラインナップが大きく拡充しました。この変化に合わせ、企業のイメージを刷新し、新しいサービス形態を反映させたのです。
2点目は、グローバル展開のためです。国内市場だけでなく、海外市場でも競争力を高めるため、ブランドの信頼性や安心感、強さをより強調することが求められています。特に、外資系コンサルティングファームと対等に競争できる信用力の向上が重要です。
3点目は、自己意識の変革のためです。急速な成長により社員数が増えるなかで、企業の価値観や行動規範を共有し、一体感を醸成することが重要になっています。リブランディングを通じて、社員一人ひとりが新しいブランドイメージにふさわしい行動を取り、企業全体の意識を統一することで、さらなる成長を目指します。
以上を目的に、外部に対して一貫したブランドイメージを発信することで、クライアントやステークホルダーからの信頼を獲得し、持続的な成長を実現することを期待しています。
[春日]
新たにVision(ビジョン)/Foundation(基本となる価値観)/Value(事業を推進する行動指針)/を掲げていますが、それぞれの内容について教えていただいてもよろしいでしょうか?
[佐谷様]
Visionでは、「価値=対価」と定義しています。これは当社が目指すフェアな社会を意味しています。
Foundationでは、「Compassionate Leadership」を謳っています。これは単なる優しさや思いやりだけでなく、厳しさや責任感も兼ね備えたリーダーシップを指します。特定の役職者だけでなく、すべての社員がもつべきものとして、プロジェクトや日常業務において、全員がリーダーシップを発揮し、それぞれの役割を果たすことが求められます。
Valueでは、「Be Aspirational」「Think forward」「GRIT」の3つを行動指針として定めています。
[春日]
具体的にはどのような行動指針でしょうか?
[佐谷様]
Be Aspirationalは、常に面白いことや新しいことに挑戦し、リスクを取ることを奨励します。これは、当社がもつベンチャー精神や挑戦的な姿勢を反映したものです。企業が成長し、大企業になったとしても、この挑戦的な姿勢を忘れずにもち続けることが重要です。高いハードルにも果敢に挑み、クライアントに対しても挑戦的な提案を行います。
Think forwardは、短期的な成果だけでなく、長期的な視点をもって考えることを重視します。現在のプロジェクトや業務が将来にどのような影響を与えるのかを考え、持続可能な成長を目指す姿勢を示しています。クライアントに対しても、目の前のニーズに応えるだけでなく、将来的なビジョンや目標を共有し、それに向けた戦略を提案していきます。
GRITはプロフェッショナルとしての責任感を持ち、最後までやり遂げる姿勢を意味します。これは、クライアントに確実に成果を提供するために欠かせない要素です。困難な状況に直面しても諦めず、粘り強く取り組み、最終的に高い成果を達成します。
また、この行動指針は、挑戦(Be Aspirational)→中長期視点(Think forward)→やり抜く(GRIT)という流れで構成されています。これは、戦略の策定から実行までの一連のプロセスを示しており、社員がどのように思考し、行動すべきかを明確にしています。
[春日]
貴社のコンサルティングの姿勢がよく表現されている行動指針ですね。
どのような思いを込められたのでしょうか?
[佐谷様]
新しい行動指針は、動詞を用いて具体的な行動を示す形で設定されています。これは、成果報酬型から成功報酬型へとビジネスモデルが進化するなかで、クライアントへのコミットメントを明確にするために、行動指針を「動詞」にしました。ビジネスモデルで結果を出すというところを保証しなくなった中で、結果を出せるような行動規範にしたかったためです。社員一人ひとりが実際の行動を通じて、クライアントに対して確実に結果を生み出すことを重視しています。
また、行動指針はプロレド・パートナーズの根底にある考えと深く結びついていますが、より実践しやすいよう、具体的な行動レベルで示されています。
ビジネスモデルを深化させ、グローバルファームへ
[春日]
変わらない考え方がある一方で、企業理念や行動規範はリブランディングされるまでにどのような変遷があったのでしょうか?
[佐谷様]
プロレド・パートナーズの企業理念と行動規範は、創業以来、変遷を経て現在の形に至っています。
創業当初は明確な企業理念が定められていませんでした。なぜなら、「企業は人そのものであり、人の成長こそが大切である」という考えが根底にあったためです。企業理念はマネジメント側にとって必要な概念である一方で、行動規範は働いている人自身の成長につながっていくものです。例え別の会社に転職しても、その人が持ち続けられる価値観として、行動規範を重視してきました。
2016年に「プロレド・パートナーズスピリット」として、より具体的な行動規範が設定されました。
これらの行動規範は、企業の成長や市場環境の変化に応じてアップデートされてきましたが、先ほどの考え方や「コンパッション・思いやり」、「挑戦的な姿勢」といった点も、創業当初から変わらず大切にしている要素です。
[春日]
その流れがあったうえでの、今回のリブランディングなのですね。
リブランディングを行う際に大切にした過程や、そこで気づけたことなどはありましたか?
[佐谷様]
最も重視したのは、やはり根底にある考え方を守りながら、時代に合わせて進化させることでした。具体的には、企業理念や行動規範をより明確にし、社員が日々の業務で実践しやすい形へとアップデートしました。一方で、「価値=対価」という基本理念や、コンパッションを大切にする姿勢は変わらず守り続けています。
また、社員からは社歴に関係なく、「プロレドの良さを維持しながら、さらに成長していくこと」が期待されていました。この思いを反映するため、リブランディングには社員全員が関与し、アンケートの回答率は100%となりました。
ステークホルダーとの関係においても、一貫性のある信頼性の高いブランドイメージを構築することが重要でした。私自身がリブランディングのPMを務めたことで、統一感のあるデザインや理念を実現できたのですが、それ以上にデザイン・イノベーション・ファームであるTakram社に依頼できたことは大きかったです。複数のデザイナーから「このテーマならTakramが良い」と推薦があり、彼らを指名しました。今回のリブランディングはこれまでのプロレド・パートナーズが培ってきたことと社員全員とTakram社の協力があり、実現できたと思っています。
[春日]
ビジネスモデルが深化したとのことですが、具体的にどのように変わったのでしょうか?
[佐谷様]
成果報酬型では、主に中堅企業をメイン顧客とし、コスト削減に特化したコンサルティングを提供していました。実際の成果に基づいて報酬を受け取るという点で非常にフェアなビジネスモデルです。
一方、後発の成功報酬型では、主に大企業向けに最初の1~2か月を「見極めフェーズ」として、無償でコンサルティングを行い、この期間で課題を洗い出し、そのうえで、課題解決に向けたプロジェクトを有償で提案する流れになります。成果報酬と同様、クライアントにとって納得感があり、コンサルタントにとってはまさにその納得感を得られるかがポイントになります。
成功報酬は、クライアントの納得感が報酬のトリガーであり、より広範なサービスを提供することが可能になりました。根底に流れる「価値=対価」の理念は変わらず、クライアントニーズ対してより柔軟に対応できるということです。
[春日]
業界初の「完全成果報酬型」も画期的でしたが、一般的なファームが提案時はアサインされるメンバーがTBDとなっているなかで、無償の「見極めフェーズ」を設け信頼関係を築きながら本質的な課題解決に取り組めるのは、クライアントにとって大きな魅力だと思います。
一方で、お話を伺っていると、社員一人ひとりの成長も大切にする会社だと感じています。
[佐谷様]
そうですね。プロレド・パートナーズは「企業は人そのもの」との思いから、事業を通じて「人」を成長させることを重視しています。企業の成長よりも社員一人ひとりの成長を優先し、社員が次のステージでも活躍できるようなスキルや経験を提供することを目指しています。
当社が目指す姿は、社員全員がリーダーシップを発揮することで、フェアな社会を実現し、価値=対価の理念を体現する企業です。挑戦的でありながらも、長期的な視点で、社員が誇りを持って働ける環境を提供し、社員とともにグローバルファームになることを目指しています。
[春日]
これから加わる方に、どのような役割や活躍を期待されていますか?
[佐谷様]
プロレド・パートナーズは参画する社員に対して、挑戦的であり続けること、そしてプロフェッショナルとしての高い意識を持つことを期待しています。社員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、チームのために貢献する姿勢が求められます。
また、当社は社員に対して、公正な評価と成長の機会を提供することを約束します。社員が自らの能力を最大限に発揮できる環境を整えています。「誰が言ったか」よりも「何を言ったか」を重視しており、代表や役員も同じ土俵で会話する非常にフラットな環境です。評価制度においては、成果責任と自律的自由の両輪を大切に考えているため、評価はアウトプットを中心に行います。成果を正当に評価する仕組みのため、20代で事業責任者に抜擢された社員もおります。個々のキャリアパスを尊重しながら、共に成長していくことを目指しています。
[春日]
さらなる挑戦と成長を実現するリブランディングを実施することで、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、自己実現できる環境が整うのですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!