PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)は、戦略の策定から実行まで総合的なコンサルティングサービスを提供しています。グローバルに広がるPwCのネットワークと連携しながら、クライアントが直面する複雑で困難な経営課題の解決に取り組み、国内はもとよりグローバル市場での競争力強化を支援しています。
なかでも、Customer Transformationチームでは、サステナビリティなど消費者の意識の変化、人口の減少、異業種の参入、顧客タッチポイントの多様化といった各種の変化、それに伴う課題がある中で、「いかにしてカスタマーサクセスを実現し、本業のトップラインを継続的に向上させていくか」というクライアントの経営課題解決に向け、多様な観点から支援を行っています。提供しているサービスはマーケティング、セールス、カスタマーサービスの領域にまたがり、戦略立案、業務改革、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)のシステム導入など、構想から実装・定着・改善までを一貫して支援しています。また、Web3をはじめとする昨今のテクノロジーの進展やデジタルシフトにも対応し、新たな顧客体験の企画・構想・実装、新規事業の企画・開発・ブランディングなど、幅広い領域においてクライアントを支援しています。
今回は、Customer Transformationチームを率いる執行役員 パートナーの丸山 貴久様と、Customer TransformationチームのNew Biz & Branding シニアマネージャーの石川 希典様に登場いただきました。
インタビュアーはフォルトナ小野と加藤が務めます。
丸山 貴久様 プロフィール
執行役員 パートナー。
大学院修了後、外資系総合コンサルティングファーム入社。その後、大手ERPベンダー、外資系戦略コンサルティングファーム、外資系大手ITアドバイザリー会社を経て、現在に至る。大手小売・流通業、消費財、サービス業、金融業、製造業などを中心に事業戦略、顧客戦略、販売戦略、チャネル戦略、組織変革、チェンジマネジメント、BPRのコンサルティングに従事。この20年間で100以上のプロジェクトに参画。特にこの10年間は、企業の持続的成長を目的に、顧客起点からの販売力、商品力の強化・高度化に注力している。
石川 希典様 プロフィール
Customer Transformation/New Biz & Branding シニアマネージャー。
大学卒業後、広告代理店にてストラテジックプランニングを中心に、ブランディングやコミュニケーションデザインに従事。外資系総合コンサルティングファームを経て、PwCコンサルティングに入社。事業ポートフォリオ変革に係る事業戦略、事業基盤構築に向けた新規事業開発、ブランド開発などのコンサルティングに注力している。
PwCのコラボレーション力で、お客様のマーケティング課題を解決したい
[加藤]
まずは丸山様からご経歴についてお聞かせください。
[丸山様]
新卒で外資系総合コンサルティングファームに入社しました。今でいうエンジニア、アーキテクチャーがキャリアのスタートになります。その後、大手ERPベンダーでプロジェクトマネージャーと導入コンサルタント、外資系戦略コンサルティングファーム、事業会社、外資系大手ITアドバイザリー会社を経て、現在に至ります。さまざまな経験をしてきましたが「いろんなことを経験したい。自身がどれだけ世の中に通用するのか」をキャリアの軸としてこれまで選択してきました。
[加藤]
PwCコンサルティングへの入社の決め手についてお聞かせください。
[丸山様]
面談時に印象的だったのが、「クライアント先にはパートナー1人で行かないこと。複数のパートナーと一緒に訪問してコラボレーションを促進しながら仕事をしてほしい。」と言われたことです。
それまでは1人で売り上げをつくるマインドだったため、皆で協力して進めるということが新鮮で、そういった風土が魅力に感じました。
実際、他のパートナーと一緒にクライアント先に行くことで、カスタマー領域以外のことを聞かれたときにも、その場でクライアントに回答することができます。そうすることでクライアントとの信頼関係の構築ができ、ビジネスにつながることもあります。
[加藤]
続いて石川様、ご経歴についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
[石川様]
私は広告代理店に10年、外資系総合コンサルティングファームが10年程のキャリアになります。
広告代理店時代はストラテジックプランニングを専門領域の中心に据え、ブランデインング、コミュニケーションデザインのプロジェクトに関わってきました。
たとえば、ある企業のプロジェクトでは、CMを含む全ての施策の効果・影響が購買行動にどのような影響を与えているのか分析を行い、その結果からメディアの適切な投資量を提案していました。
広告領域のなかでは日本を代表する企業の社長に対して、ブランドマーケティングに関する支援をさせていただいたこと、世界三大広告賞を受賞したこともあり、この業界ではやり切った気持ちが強くなりました。
今後コミュニケーションがどうあるべきか考えた際に、事業戦略の直下による新規事業やM&Aによって、どのようにマーケティング、ブランディングを作っていくべきか―
新規事業で言えば、サービス提供により得られるお客様の行動データに対し、柔軟にブランドやマーケティングというものを改変させサービス自体を見直していくべきか―
日々顧客の嗜好が常に変化するなかで、事業やマーケティングを柔軟に対応しながら、顧客が価値を感じる・興味のあることに変えていくべきだと考えていました。
海外ではそのような試みが徐々に実行されていることを、世界的なアワードに参加した際、目の当たりにし、事業戦略を通じたブランドマーケティングがどこで経験できるか考え、外資系総合コンサルティングファームへ転職をしました。
優秀な方が多く、恵まれた環境ではありましたが、事業ポートフォリオ変革に絡む事業戦略/事業基盤構築に向けた新規事業開発/ブランド開発、ビジネスに直結したマーケティングを解像度高く実行に移せる環境を求めて、PwCコンサルティングへ転職をしました。
PwCコンサルティングでは新規事業やブランドに関連するさまざまなプロジェクトをワンチームで進めており、垣根を越えたコラボレーションが盛んに行われています。私が所属するCustomer Transformationも、ストラテジーコンサルティングやTechnology Laboratoryといった別の組織に所属するメンバーとも一緒にプロジェクトを進めています。
当社にはチャレンジできる環境が常にあるので、良い環境で仕事ができていると感じます。
[加藤]
石川様のキャリア、そして熱い思いについてありがとうございました。
Customer Transformationでは戦略部分、リサーチ、インキュベーションと一連の経験ができているということでしょうか?
[石川様]
ブランド戦略の「ありがち」な位置づけは、宣伝・広告部門の一部としてデザインなどのクリエイティブな役割にしていることだと思います。
本来ブランド戦略の「あるべき」位置付けは、経営企画が担う事業戦略の直下にあり、その下にマーケティングや広告・宣伝があるものだと考えています。
そこで、私たちは事業戦略における「無形資産の収益」としてのブランドやマーケティングがどのような役割を担い、そしてその成果に対しての投資戦略をリージョンやエリア単位でどうなっているか、ROIを見たうえで事業や組織を動かす非財務価値としての仕組み作り、戦略立案の支援をしています。
マーケ、新規事業、ブランド…コンサルとしてCxOアジェンダに挑戦
[加藤]
Customer Transformationチームの特徴、カルチャー、雰囲気についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
[丸山様]
当チームでは、石川のような新規事業やブランド、マーケティング領域の専門家や営業・業務改革の専門家など、さまざまなバックグラウンドをもつメンバーが活躍しています。一方、当チームの論点は「誰に、何を、どうのようにしてご支援するのか」の3点になり、私たちはこの3つを思考錯誤してさまざまなお客様にソリューションを提供しています。
お客様には一つの領域に閉じずend-to-endで支援してほしいという要望もあり、実際案件のなかではブランド、マーケティング、広告、営業、コンタクトセンターと全てのサービスが関わってきます。
これを踏まえ、できるだけ新卒も中途も経験タイプの違う方を採用し、さまざまな領域で経験をしてほしいと考えています。
一人一人にキャリアコーチがついており、特に若手にはキャリアコーチと相談しながら、「今回はマーケティング領域の経験ができたね、次は営業領域やってみようか」といった、それぞれの成長に向き合ったアサイン先が検討されます。さまざまな領域で経験いただき、マネージャー、シニアマネージャーのタイトルになる頃には、自身のなかで経験に基づいた柱ができ、さまざまな領域で提案ができる。そういった人材育成が現在の当チームの大きなスタンスになります。
一朝一夕に理想通りにならないかもしれませんが、できるだけ多様な経験をすることで、メンバー各々市場価値を高めていただきたいですし、その市場価値の合計値は組織の市場価値につながると考えています。
[加藤]
PwCコンサルティングといえば、コラボレーションカルチャーが特徴かと思います。コラボレーションについてお伺いしてもよろしいでしょうか?
[丸山様]
特定のクライアントに営業したい際は、そのクライアントとリレーションがある部門に相談すれば「よし。一緒に行こう。」と二つ返事をもらえることが多いです。
他にも業界特有のテーマについて分からないことがあった際にも気軽に質問ができ、回答ももらえます。コラボレーション、コミュニケーションの垣根が低いことは特徴の1つであると思います。
[加藤]
続いて石川様にお伺いしたいのですが、Customer Transformation の中で新規事業開発・ブランド関連を起点にしたマーケティング戦略支援を専門とするNew Biz & Brandingのユニットの雰囲気、特徴についてお聞かせください。
[石川様]
先程申し上げたことと重複するかもしれませんが、特徴はチャレンジです。コンサルティングは課題対応業の側面が強いと思います。そして、その課題は市場や顧客の変化に応じて常に変わってきています。
そういった課題の変化に対応するためにも、先程丸山がお話しした内容と同様になりますが、コラボレーションが必要です。市場や顧客の変化に対して、事業戦略をベースに、新規事業開発、ブランドとマーケティングのコラボレーションによりさまざまなクライアントの課題を解決すべく、ソリューションを変化させていきベスト・プラクティスな支援を行っています。
1つの手法やフレームに閉じず、常にチャレンジすることが求められ、そのチャレンジする環境があるからこそ、成長できる環境が整っていると思います。
またPwCのブランドを生かし、インダストリーとソリューションの軸からなるPwCコンサルティングのサービスを、そして他の法人との連携も活発です。このような体制は案件獲得につながっていると思います。
[加藤]
プロジェクトイメージをもちたいため、特に強い業界や各領域のプロジェクト割合についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
[丸山様]
何をもって大きさを図るかによりますが、偏りはあまりなく万遍です。
営業DXと基本構想からのSI(System Integration)、マーケティング、新規事業の立ち上げ、ブランドマーケティング支援という案件があります。他にも会社間、グループ間の事業統合を行う際のブランディングの案件、コンタクトセンターの案件もあり、PwC Japanグループの法人をまたぐような案件もあります。
どの領域も同じくらいのアサインのチャンスがあると思います。
[加藤]
中途入社者はどういったプロジェクトへアサインされるのでしょうか?
[丸山様]
できるだけソフトランディングできるように、ご経験に近いプロジェクトのアサインを優先させていただいております。
上手くやっていけるか不安を抱えている方に特に伝えたいのは、「上手く」とは何かということです。
私は新卒で外資系総合コンサルティングファームに入社し、約30年経った今も同じ業界にいますが、同じ役職でも私より年齢が若い人もいる世界です。要は「上手く」という視点ではなく、「自分が目指したい世界にいけるか、過去の自身と比べて成長しているか」この視点が大事です。私自身もこの視点をもち、メンバーがなりたい姿に近づけるような育成を大事にしています。
[加藤]
続いて石川様、他コンサルティングファームを経験された石川様が、PwCコンサルティングに入社されて感じられている案件、環境、キャリアパスと何か違いはありますか?
[石川様]
まず魅力については、CxOアジェンダに関連する案件が基本なところではないでしょうか。
マーケティングやブランディングは戦略支援のなかで関連することが多く、非常にチャレンジングな環境です。ブランドやマーケティングは抽象度の高いものだと思いますが、それらをより戦略的にどのように考え、どう作るべきなのか。経営者の抱える課題に対して、どのようにして新しい価値やソリューションを提供するかといったころが重要だと思っているのでチャレンジングな環境ですね。
[加藤]
続いて案件についてはいかがでしょうか?
[石川様]
案件については、最近多いのは会社統合やM&Aに伴うブランディングや、それに絡むリブランディングになります。
[小野]
研修についてもお伺いできればと思います。Customer Transformation内で何か取り組みはありますか?
[丸山様]
Customer Transformationではラーニング&デベロップメント(L&D)があります。そのL&Dでは3階層のプログラムを用意しています。1階層目がロジカルシンキングなどのコアコンスキルについてです。これはPwCコンサルティングとして実施する研修とも一部被っていますがそれにプラスαとして実施しています。
2階層目はマーケティングをはじめ、サービス系とか営業系などの各領域の専門性を身に付けていただくものです。3階層目はキャリアアップ形成を目的としたプロジェクト事例の共有、外部講師による研修受講などです。
こういった研修を月に数回実施しています。研修は全て録画しているので、いつでも見返すことができます。
なお、コーチと年度はじめに目標設定を行うイニシャルチェックインという制度があり、「今年1年かけてどんなスキル、経験をしたいか、そのスキルを身に付けることができたら、こういうプロジェクトに入ろう。そのためにも研修でこういうプログラムを受講してみよう。」という会話をし、スキル取得に向けて取り組んでもらいます。
[小野]
会社としても、チームとしても研修が豊富で候補者にも安心材料になりますね。
続いて石川様に別の質問です。戦略案件は戦略コンサルティングチームと一緒にプロジェクトを行うのでしょうか?その場合、プロジェクト内での役割のすみ分けはどのようにされているのでしょうか?
[石川様]
DX戦略やブランド戦略の支援でも、戦略部門だけでなく、各専門部署とスクラムを組み、それぞれで意見を出し合いながら検討を進めます。楽しいですよ。
[小野]
そうやってスクラムを組んで実施する際は気軽にタッチポイントを設けるのでしょうか?
チャットベースで行うのでしょうか?
[石川様]
クイックにオンライン/オフラインで集まり、お互いパートをわけて、意見を出し合いながら、提案資料を作成しています。
[小野]
提案が通った後は、プロジェクトに即した最適なチームを作っていく流れで、たとえばCustomer Transformationがメインの案件だったらCustomer Transformationのメンバーが中心となって行うイメージでしょうか?
[石川様]
ブランディングの案件の場合、中期経営計画や事業戦略をベースとしているので、すべて私たちで行うというわけではなく、戦略コンサルティングのメンバーや他の専門チームの方と一緒に推進することが多いですね。