SHAPE Partners ×元福岡ソフトバンクホークス監督 工藤公康様 ×フォルトナ スペシャルインタビュー

-SHAPE Partners × Fortna Special Interview-

工藤公康様の参画 -共感した理念、スポーツ界への熱い想い-

[岡部]
次に、工藤さんの顧問就任についてお伺いしたいと思います。弊社のご支援で2024年5月から、SHAPE Partnersの顧問に就任されましたが、弊社から工藤さんをご紹介させていただいときの藤熊さん、駒宮さんの感想をお伺いできますか?

[藤熊様]
私は野球少年だったので、工藤さんのことはもちろん、テレビの向こう側の伝説のピッチャーとして存じ上げていました。また、ホークスさんとは、一緒にお仕事をさせていただいたり、弊社として協賛させていただいたりもするので、そのホークスを監督として4連覇に導いた手腕は、以前から尊敬しておりました。

そんなレジェンドを紹介いただき、最初は緊張していましたが、とても気さくな方なので、いろいろな話題に花が咲きました。会話のなかで、工藤さんが「生きる力」を大切にされていることをお伺いし、私たちが大切にしている「人間らしさ」と深く共鳴するものを感じました。そして、「想いを持った仲間と“人間らしさ”を共創する」という私たちのミッションを一緒に追いかけていいただけたらと、顧問のオファーをさせていただきました。

[駒宮様]
私も同じく元野球少年として、工藤さんのことはもちろん存じ上げていました。私が野球を始めた頃は、ダイエーホークスのエースとしてご活躍されていましたし、私自身は巨人ファンだったので、巨人移籍後の工藤さんは一ファンとして心から応援していました。何度か東京ドームで先発されている試合も観に行った記憶があります。

実際に初めてお会いさせていただいた際にお話を伺って、工藤さんが単にホークス等1つの球団を良くすることに留まらず、野球界全体や日本、さらには世界に視野を広げていることに深く感銘を受けました。その広い視野と理念には強く共感しています。
また、私たちが小さな会社を成長させていくなかで、工藤さんがホークスを強い組織に育てあげたマネジメントの手法にも非常に興味があります。顧問としてお力をお借りできることを心から期待していますし、その経験や知見をぜひ学びたいと思っています。

[岡部]
工藤さんは選手・監督と長年にわたり野球界に関わってこられましたが、こういったコンサルティングビジネスの企業に関わるのは異例のことかと思います。参画を決意されたポイントはどのようなところでしょうか?
また、ご自身にとってどのような挑戦だと捉えていらっしゃいますか?

[工藤様]
野球界を離れてさまざまなスポーツに触れるなかで、スポーツ界全体を盛り上げたいという思いが私自身の中で強くなっていました。そんなとき、SHAPE Partnersのお話をいただき、スポーツとビジネスを融合させて社会課題を解決するというビジョンが、私が大切にしている「生きる力」という考え方と方向性が合うと感じ、参画を決意しました。

「生きる力」は誰もがもっていなければならないものだと考えています。また、思考やアイデアも非常に重要だと思っています。このご縁を通じて、私自身もコンサルティングの分野を学びたいという気持ちがあります。
いろいろな講演をさせていただく機会があり、その会社の方々から参考になったと言っていただきますが、今後は、私自身も学んでいくことで、自分のライフワークにも生かせるのではないかと考えています。
今はまだミーティングを重ねている段階ですが、顧問として具体的に何をするかが決まっていくと、もっと明確に取り組んでいけると思います。できること、できないことがあると思いますが、共に力を合わせて、SHAPE Partnersと共に成長していきたいと考えています。

野球界でのチャレンジ -足元で取り組む野球界での新たな挑戦-

[岡部]
スポーツビジネスの領域にはスポーツクラブ、運営団体、一般企業、官公庁などさまざまなプレイヤーが存在しますが、将来的には業界のどのような領域を強化していきたいと考えていますか?具体的なビジョンがあれば教えてください。

[藤熊様]
領域という観点で特に決めていることはないですが、関わり方という観点ではまだまだ進化の余地があると考えています。現状はまだ、所謂コンサルティングという形での関わり方が中心ですが、そこで培った知識や経験を生かしたスポーツファンドも構想段階にありますし、将来的には自己資本でのプロスポーツチーム経営にもチャレンジしたいと考えています。

[駒宮様]
鹿島アントラーズの事例でいうと、メルカリが買収し、メルカリの小泉文明氏が代表としてクラブ経営を手掛けております。小泉氏曰く、アントラーズとして近年ベンチャー投資事業に乗り出しているとのことですし、他にも新スタジアム構想や、その構想も見据えた現スタジアムへの最新テクノロジー導入なども進めています。
このようにスポーツビジネスにおいては、経営に他領域の血を入れることで、従来のスポンサーシップや集客だけではない新たなビジネスモデル、新たな観戦体験を実現できる可能性があります。

アメリカの一部のスポーツビジネスでもこのような動きが見られますが、日本でもこの流れが加速する可能性があります。スポーツビジネスのプロフィットプール(利益の源泉)を拡大するためには、市場の拡大だけではなく、プロスポーツ自体のビジネスモデルの進化も必要です。このようなビジョンに基づき、自分たちでリスクを取って新しいビジネスモデルを導入し、変革をもたらすことができればと考えています。

今後、こういった新しいチャレンジに取り組むことは、自分たちの夢や野望の一部であり、スポーツビジネスにおける価値を高めるための重要なステップだと感じています。

[岡部]
先ほど話題にあがったアジア甲子園、アフリカ甲子園について、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか?
例えば、将来的にどの程度の規模や影響力をもつプロジェクトにしたいか、具体的な目標や達成したいことなどがあれば教えてください。

[駒宮様]
アジア甲子園については、12月に第1回大会を控えており、まだ始まったばかりです。まずは大会を成功させることが最初の目標です。また、他にも東南アジアでスラム街の子どもたちに野球を教える支援なども行っています。

将来的には、この活動をさらに発展させる形で、アジアに野球アカデミーを設立する構想があります。このアカデミーでは、有望な選手の育成だけでなく、例えば日本で戦力外となった選手を雇用し、野球指導と並行して語学を学べる環境を提供することで、彼らのセカンドキャリアを支援するということも、構想として描き始めています。

この構想を通じて、日本の野球界への貢献だけでなく、野球選手のセカンドキャリア支援という社会的な課題にも取り組んでいきたいと考えています。実現するためには時間がかかるかもしれませんが、代表の柴田氏を中心に、引き続き弊社としても支援をさせていただきつつ、新たな仲間を募りながら進めていきたいと考えています。

[工藤様]
プロ野球におけるセカンドキャリアの問題は非常に重要な課題です。現状では、選手のセカンドキャリア支援が進んでいないケースが多く、選択肢も限られています。サポートがあれば、新たなキャリアに興味をもち、自分で挑戦しようとする選手もいますが、全体的には難しい状況です。
他業界で成功している選手もいますが、それは稀なケースです。多くの選手が新しいキャリアを築くためには、専門的なサポートが不可欠です。

語学学習や異文化適応の支援も重要です。選手が自身の経験を生かしながら、新しい分野に挑戦することができれば、選手自身のやりがいにもつながり、ひいてはアジア圏全体のスポーツ界の価値向上にも貢献できると思います。そうした選手が育成した現地の人が、選手として日本に来てプレーすることで、注目度も高まり、資金面でも良い影響が出ると考えています。

[岡部]
アフリカ甲子園も含めて、アジア以外の地域での活動や、今後の展望について教えていただけますか?

[駒宮様]
将来的には第3、第4の地域にも展開したいと考えています。アフリカでの野球振興は、技術指導だけではなく、野球を通じて人間として何を学べるかという「ベースボーラシップ」の概念を子どもたちに伝えることも重視しています。そこには、日本の野球文化にも深く関わっていると感じています。

また、私個人として、こちらも東京六大学野球リーグ時代の同級生が代表をしている「日本未来スポーツ振興協会」のアドバイザーも務めさせていただいておりまして、主にアスリートのセカンドキャリア支援に向けた事業開発のプロジェクトを支援しています。
このように、海外での野球振興だけでなく、広く野球、スポーツに関連する社会課題の解決にも一石を投じていきたいと考えています。

私たちは、このような活動には大きな意義があると感じています。現在は、自分たちで直接活動するよりも、志をもった人々に伴走する形でサポートしていますが、将来的には自分たちでこれらの活動を立ち上げることも検討しています。そういったチャレンジを通じて、さらに広い範囲での展開を目指しています。

[岡部]
工藤さんも、海外での活動をされていると伺っていますがいかがでしょうか?

[工藤様]
私自身もアフリカのウガンダやブラジルの子供たちに野球を支援しており、世界に広がる可能性を感じています。

アフリカではアカデミー設立を考えています。アフリカの子どもたちは、アメリカのアカデミーに行くケースが多くなっていますが、日本に来て野球を学ぶ方法もあります。例えば、日本で野球を覚えた後に、独立リーグやBCリーグで経験を積むのも1つの選択肢です。最終的にはアフリカに戻ってコーチや監督として活躍する人材を育成するために、支援の方法を模索しています。将来的には、アカデミーの設立によって選手たちが日本とアフリカを行き来できるような環境を整えたいと考えています。

一方、ブラジルではお金をもっている子どもたちだけが世界大会に参加できる状況があります。お金を出せる家庭がチームを作り、資金がない子どもたちは大会に出られません。このような不平等な状況が続くと、能力がある子どもたちでも機会を得られないことが多いのです。もっと平等な機会を提供する必要があるので、そのための活動をしているところです。

[岡部]
工藤さんが目指しているアフリカのアカデミー設立や、選手育成に関するビジョンは、SHAPE Partnersの取り組みと非常に似ている部分が多いと思います。SHAPE Partnersも地域の野球振興や選手育成に力を入れており、共通の目標に向かって進んでいると感じます。
もし、アフリカからプロ野球選手が出てくると、それ自体が話題になり、アフリカのスポーツ環境に良い影響を与えそうですね。

[工藤様]
日本で学んだ技術や経験をもち帰った選手たちが、教育やアカデミーの設立に貢献し、次の世代の育成に役立つようになれば嬉しいです。
また、野球がオリンピックの種目になるかどうかも含め、未来を見据えた取り組みが重要だと思っています。野球が将来どうなっていくかを考えたとき、今のうちに手を加えていく必要があると感じています。現状に満足せず、未来に向けて変化を起こすことが大切です。

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