Xspear Consulting株式会社(クロスピア コンサルティング株式会社。以下、Xspear。)は、シンプレクスグループが2021年4月に立ち上げたコンサルティングファームです。
シンプレクスグループが培ってきた最先端テクノロジーの知見と、個々のコンサルタントがもつ多様なドメイン知識を武器に、金融、公共、製造業、メディア・エンターテインメント等さまざまな業種のクライアントに対して戦略策定から実装まで一気通貫に課題を解決しています。
今回は、公共領域のコンサルティングを担うパブリックチームをリードするマネージングディレクターの吉浦 周平様にお話を伺いました。
インタビュアーはフォルトナ野口が務めます。
吉浦 周平様 プロフィール
マネージングディレクター。
日系大手SIer、在ジュネーブの国連機関、外資系総合コンサルティングファームを経て参画。公共領域の案件を中心にコンサルティングサービスに従事。DX戦略策定、新規事業開発、次期システム構想検討、要件定義、アーキテクチャ設計、データ標準策定、先端技術(人工知能、ブロックチェーン、XR、IoT等)の実証・実装など、幅広いテーマで支援実績を有する。
SIer→国連→大手ファームを経てXspearへ
[野口]
本日はよろしくお願いいたします。まずはご経歴をご紹介いただけますか?
[吉浦様]
新卒で就職活動をしていた時期はIT企業が流行っていたので、日系大手SIerに入社しました。そこでは希望した公共部門に配属され、中央省庁に対するシステム開発の仕事をしていました。そのときのクライアントがきっかけで、在ジュネーブの国連機関に応募します。そこで私は国際的な法制度やITの標準化・全体最適化を図るプロジェクトに関わりました。多様な国籍、文化をバックグラウンドに持つ国連機関で働けたことは、視野を広く持つこと、個性を重視したマネジメントを行うことができるようになった点で、非常に良い経験となりました。
[野口]
その後、コンサル業界に進まれたのはどういうきっかけでしょうか?
[吉浦様]
国連機関で働いた後、日本に帰国して一度SIerに戻り、そこでは海外ビジネス推進、新規事業企画、AIをはじめとした新しい技術を用いた実証実験など、さまざまなプロジェクトに関わりました。
その過程で、コンサルティングファームと一緒に仕事をするようになり、彼らの考え方や仕事の進め方に共感することが多くありました。大手企業の管理職としての仕事も面白かったのですが、個人として、最前線で社会にインパクトを与えるようなプレイヤーとして活躍したいという思いもあり、コンサルティングファームへの転職を考えました。
[野口]
そこから外資系総合コンサルティングファームを経て、Xspearに参画されるのですね。
安定した大手ファームから、立ち上げ期のXspearを選ばれたのは、大きな決断だったのではないでしょうか?
[吉浦様]
大手ファームでは、前職の延長で、より上流でのコンサルキャリアを歩みたいと思って入社したのですが、ファーストキャリアで培ったITスキルを評価いただき「ITの専門家」として案件に関わる機会が多く、期待していたような自ら案件をリードすることが少なかったように思います。それもあって、「既にITに強いメンバーがいるファーム」を中心に転職活動を進めました。
私が応募した当時、Xspearは立ち上げ期でしたので、それまでのキャリアと比較するとチャレンジングな選択だったかもしれませんが、兄弟会社であるシンプレクス株式会社(以下、シンプレクス。)は高い技術力を武器に金融領域でトップブランドの立場を築いていたこともあり、そこまでの不安はありませんでした。当時は期待感の方が強かったと思います。
[野口]
Xspearに入社されてみて、ご自身がしたいことに専念したいという思いは達成できましたか?
[吉浦様]
裁量も多く持たせてもらえており、概ね達成できていると思います。
さらに入社して良かったと思うのは、テクノロジーに興味があり、強い人材が多く集まるコンサルティングファームだからこそ、社会実装に関わることができる範囲が非常に広いということでした。
DX戦略や新規事業の構想策定まではできても、それを実装する具体的な道筋を見つけることは非常に難しく、できる人材も限られています。シンプレクスグループにはそれができる高度なデジタル人材が多数在籍しているので、難易度の高いことでも実装まで伴走することができます。苦労も多いですがやりがいを感じますね。
IT×公共のキャリアを武器にパブリックチームを立ち上げ
[野口]
なぜXspearで公共領域を立ち上げようと思ったのでしょうか?
[吉浦様]
入社前から、シンプレクスグループが非金融領域に挑戦するという話がありました。その中で創設されたXspearは、公共に限らず、総合コンサルとして様々な領域に挑戦していこうとしていました。現在もですが、社内には多くのホワイトスペースがありました。しがらみもなく自由に一から公共ビジネスを作れそうだな、面白そうだなと思いました。
そしてこれは入社してみてより強く思ったことですが、「この案件は自分が担当したい、こういうビジネスにチャレンジしてみたい」と手を挙げれば、周囲は応援してくれますし、想いをもってビジネスの可能性を周りに伝えることができれば協力もしてくれます。その機会を主体的に取り組み、ビジネスとして成功させれば、案件を立ち上げた人は評価される仕組みになっています。「周りを巻き込むリーダーシップ」、「何が何でもやり遂げるという強い意志」「全体を俯瞰できるバランス感覚」をもっている人は、特に活躍しやすいと思います。
[野口]
立ち上げから軌道に乗せるまで、特に難しかった点などはありますか?
[吉浦様]
立ち上げには、2つの難しさがありました。
1つ目は、社内に公共領域のビジネスの有識者が少なかったことです。公共領域への関心はあるので提案活動やプロジェクトにアサインされたいという人材は集まるのですが、公共ならではの特殊なルールや慣習を理解してもらうのには苦労しました。入札参加のための手続きなどバックオフィスの方々にもいろいろと協力してもらいました。
2つ目は、半年くらい案件の獲得が思うように進まない時期があったことです。公共案件は基本的にコンペ(競争入札)になります。案件によっては5社以上応札しますが、実績も加味されて評価されるので、立ち上げたばかりの当社が参加して、名だたるファームに勝てる可能性は低いです。連戦連敗で、改めてビジネスを一から作ることの難しさを認識しました。
当時はかなり焦りがありましたが、私のもう1つの強みであるIT知見を活用し、製造業やエンタメ業界など他の領域の案件の支援をしながら、会社へ貢献することで安心感を取り戻しつつ、取れそうな公共案件での提案機会を探っていました。その後、支援していた他領域のプロジェクトメンバーや、シンプレクスの技術を持ったメンバーが公共案件の提案を手伝ってくれるようになり、実績が無くても提案内容で勝てる案件が出てきました。今では実績もだいぶ積み上がり、ビジネスとしても大きく成長していったという経緯です。
[野口]
まさにこれまでのご自身のキャリアの強みを組み合わせることで会社に貢献してきたということですね。また、シンプレクスの高い技術力を活用できるのは、Xspearならではのエピソードだと思います。
[野口]
公共案件に限らず、Xspearで挑戦する上で大切なポイントはありますでしょうか。
[吉浦様]
自身が関わりたい領域や分野が明確な人は、どうすれば勝てるのかという自身のビジネス戦略を考えて持ち込み、Xspearで挑戦してほしいと思います。
現時点で特にこだわりがなく、コンサルとして自身の専門性やアカウントを持ってビジネスを広げていきたいと考える人は、必ずしも0から1である必要はありません。既にXspearにある案件を改めて見直してみると、大きな可能性を秘めているものがあると思いますので、そういった案件を主体的に見つけ出し、大きく育てていくことも評価につながります。
例えば、小さな案件でもクライアント先に頻繁に足を運び、潜在的な課題やビジネスチャンスを探りながら、日々の業務支援やコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことで、案件を獲得し、さらに拡大させていくことができます。
このような主体的行動と顧客との信頼関係構築によって成果を上げている人は、高く評価されていると思います。
そして、こうした行動は高度な専門性が必要とされるわけではないと思っています。
今の社会は情報があふれているため、特定の情報をもっているだけで価値を提供できるコンサルタントは数少ないです。むしろ、人と会話するなかで相手の課題を見つけ出し、それを解決することでビジネスにつなげることが重要です。お客様の困りごとを解決することは、双方にとってWin-Winの関係になっていきます。
特定の業界に限らず、お客様との関係を深め、ビジネスを拡大していくことが高く評価されます。
[野口]
お客様に入り込むことはやはり大切ですね。
[吉浦様]
そうですね。物理的に、お客様から離れた場所で作業するより現場に入り込んだ方がスピード感もありますし、クライアントの課題のリアリティを感じることができます。スムーズに事を進められることが多いですし、重宝して頂けるので短期で結果を出すにはよいと思います。
シンプレクスと連携し、日本のデジタル化に挑む
[野口]
ここからは、よりパブリックチームについてお伺いできればと思います。
まず、組織体制と規模についてお伺いできますか?
[吉浦様]
Xspearはワンプール制なので、「パブリックチーム」として組織が独立しているわけではありませんが、案件を受託すると公共領域に興味があるメンバーを中心にプロジェクトチームができます。新しい提案などをする場合は、経験のあるメンバーを中心に行うので、緩やかに公共領域の提案に関わりながら、メンバーがつながっているイメージです。規模として、今は40名くらいが公共案件のプロジェクトにアサインされています。
今年度より、シンプレクスグループ全体の公共インダストリー・プラクティス・リードとしても活動していますが、シンプレクス側の公共領域の案件に参画している人数も含めると、100名以上が関わっています。
[野口]
どのようなテーマを取り扱うことが多いでしょうか?
[吉浦様]
クライアントによるところはありますが、サービスデザイン(UI/UX)、AI、ガバメントクラウドなどシンプレクスの強みと連携したテーマが多いですね。これらの技術テーマはデジタル庁をはじめとする国のデジタル政策でも重視されているので、日本のデジタル化に貢献している実感はありますね。
[野口]
官公庁の中でもどのようなクライアントが多いのでしょうか?
[吉浦様]
デジタル化の取組みに積極的な中央省庁、シンプレクスグループがオフィスを構えている東京都の自治体、独立行政法人などをご支援しています。また、先端技術に関わる取り組みとして、大学と連携して、まちづくりに関わる実証実験の企画などのご支援もしています。
シンプレクスはデジタル庁のマイナポータルのフロント開発案件で、デザインアプローチやアジャイル開発といった手法をいち早く導入しました。また、東京都港区に対しては自治体のデジタルトランスフォーメーションやBPR推進を支援するなど、新しい取り組みにクライアントともに挑戦できるところが強みです。技術力があり、プライムベンダーとして案件を受注し、お客様と対等な立場で、より良いシステムの実現に向けて提案することができるのも特徴の1つです。
[野口]
Xspearにとっても技術力の高いシンプレクスとの連携が鍵になりそうですね。
[吉浦様]
その通りです。シンプレクスと連携し、技術力と提案力を兼ね備えることで、さらなる事業拡大を目指しています。
具体的には、構想策定段階からご支援することでニーズを的確に捉え、最適なシステムを提案し、確かな技術力をもって実装することで新たな価値創造を確実に実現できると考えています。
また、シンプレクスが得意とする金融領域でのシステム開発では、求められる性能の高さやセキュリティの堅牢性はもちろん、複雑なロジックや機能の実装、そして多様なユーザーに対応するためのUI/UX設計などで特に高い技術力が求められます。金融システム開発で培ったノウハウや安心感は、公共領域だけでなく、幅広い業界で通用する強みです。
[野口]
最後に、求める人物像と候補者へのメッセージをお願いいたします。
[吉浦様]
「ITの専門性を生かしつつ、お客様のビジネス全体を牽引したい」「ITだけでなく、業務知識も身につけて幅広く活躍したい」という方には、当社は非常にマッチすると思います。
特に「ITスキルで一定の売り上げを確保できるから、残りは自分の興味のある分野に挑戦させてほしい」といった希望をもつマネージャークラスの方や、ソリューション提案だけでは物足りなさを感じている方、ITスキルに加えて業務知識や戦略、新規事業などに携わりたいと考えている方には、最適な環境だと思います。
ITを軸としながらも、さまざまな分野に挑戦し、キャリアを広げていきたいという方はぜひ一緒に成長していきましょう!
編集後記
[野口]
フォルトナは「社員幸福」を謳って転職支援をしています。そこで、吉浦様がXspearにご入社されてから幸せを感じたエピソードをお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか?
[吉浦様]
「1ヶ月が早い」と感じられることです。時間に追われているというわけではなく、充実しているという意味です。これだけキャリアが長いと、「明日が来るのが嫌だな」といったような場面もあったのですが、Xspearに入社してからは時間を意識せずにあっという間に1ヶ月が経っています。
きっとそれは、個人として数字や納期に追われているのではなく、会社全体のことを考えて経営にも関われている実感があることも影響しているのかもしれません。しがらみや無駄な手続きも少なく、やりたいと思えることに専念できていると思います。自身の思いのまま取り組ませてもらえる環境で、熱中している時間を過ごしているので、生産性がとても高いなと自分でも感じています。