PEファンド(バイアウトファンド)とは?コンサルタントからの転職難易度なども解説

ポストコンサルの転職先として人気の高いPEファンド。

しかし、PEファンドへの転職ハードルは高い上、市場に出回っている情報も多くないため、どのように転職活動を進めたらよいか分からないというお声をよくいただきます。

コンサルタントからPEファンドへの転職を成功させるには入念な業界研究が必須です。

本記事では、PEファンドの特徴や転職難易度を解説します。

PEファンドとは

PEファンドは、主に非上場の株式に投資を行う投資ファンドです。

PEファンドへの転職を成功させるために、PEファンドの特徴を把握しましょう。

 

PEファンドの業務概要

PEファンドは、複数の投資家から集めた資金をプライベート(非上場)のエクイティ(株式)に投資し、運用してその収益を分配します。

PEファンドのビジネスモデルは、買収した企業を成長させ、売却やIPOによって利益を挙げることです。

PEファンドの業務

PEファンドの業務は基本的に資金調達、投資の実行、企業価値向上、投資の回収というプロセスによって成り立っています。

まずは、主に銀行、保険、年金基金などから資金を調達し、ファンドを設立します。ファンドが設立出来たら、ファンドの投資方針に基づき投資先の調査を行っていきます。

実際に投資する企業が決定し、投資が実行されると、PEファンドは投資先の経営に参画し、企業価値の向上を図ります。企業価値向上の方法は様々で、取締役会におけるモニタリングだけを行うケースもあれば、投資先CXOを外部から採用し経営を任せるケース、コンサルファームや自社の持つバリューアップ部隊によって経営改善を行っていくケースなどがあります。

企業価値が向上出来たら、投資対象企業の売却と投資家への分配が次の仕事になります。

他のファンドや企業に売却するだけでなく、IPOなども選択肢になります。

日本におけるPEファンド

1997年の独占禁止法改正を受けて、PE投資事業が可能になったことから、同年に日本初のバイアウトファンドであるアドバンテッジパートナーズ(※外部サイトに飛びます)が設立されました。

以降、証券会社や銀行などの金融機関や、商社、政府系などが続々とPEファンドを設立しています。

また、カーライル・グループベイン・キャピタルKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)など、外資系の有名ファンドの日本進出も相次ぎました。特に、1000億円を超えるような大型の投資案件については、日系PEファンドよりも多くの実績を残してきています。

 

コンサルティングファームとの違い

PEファンドとコンサルティングファームを比較すると、いずれも企業価値向上に貢献することは似ていますが、PEファンドは金融業であり、コンサルファームはサービス業であることから、根本的なビジネスモデルは異なります。

PEファンドは投資先の売却時に成功報酬としてキャピタルゲインの20%程度を得るようなモデルであるのに対し、コンサルファームはプロジェクトの人数×単価×期間でフィーをクライアントに請求するビジネスモデルです。

経営支援という文脈では、株式出資比率50%超を取得するような、経営権の移動を伴うことが多いPEファンドの方がより企業の経営に深く携わります。投資先との関係も、一般邸には3~7年程度と中長期的なコミットメントを行うことが多いです。

一方、コンサルティングファームは数か月単位のプロジェクトで企業と関わることが多いです。継続受注などで中長期的な関係性を築くことも多いので一概には言えませんが、PEファンドと比べると、1社に向き合う期間は短くなる傾向にあるでしょう。

 

PEファンドの種類

PEファンドは参画するタイミングや具体的な手法等により、いくつかの類型に分かれることが特徴です。

代表的なPEファンドの種類として「バイアウト」「ベンチャーキャピタル」「事業再生」をご紹介します。

 

バイアウト

バイアウトファンドは、成長期から成熟期に差し掛かった企業に対し、経営権を取得する大型のバイアウト投資や、経営権を取得しないグロース投資を行うPEファンドです。

本コラムでご紹介しているPEファンドは、基本的にこちらに該当します。

多くの場合、1件当たりの投資規模は数十億円~数百億円単位が中心となっています。

株式の過半数を取得して経営権を握るバイアウト投資が多いため、経営に深く携わることが可能です。

例えば自ら選任した経営人材を送り込むことで、ファンドが意図する戦略を実行しやすい環境を整えられます。 投資先1社に対するファンド側の人的リソースも割きやすいので、バイアウトはPEファンドの類型の中でも、安定した収益を狙いやすいタイプと言えます。

一方で、その分慎重に投資先を選定することもあり、投資検討にかかる時間や労力が大きくなるという側面もあります。

 

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは創業期から成長期にある企業(スタートアップ)に対し、数千万円~数億円程度の比較的少額の投資を行うファンドになります。

スタートアップは将来性はあるものの基本的には赤字であることが多いので、金額規模や出資割合も一定程度に限定し、リスクを考慮したうえで投資を実行します。

一方で、1回の投資で100倍以上の価値になる企業もあることから、多くのスタートアップに投資を行い、一発逆転を狙うスタイルが多いです。そのため、バイアウトファンドと比較すると一社一社への関与度合いは低くなります。

 

事業再生

企業価値が下落した衰退期にある企業の経営に関与し、事業を立て直して価値を戻した状態で売却する手法を事業再生(企業再生)と呼び、それを行うファンドを事業再生(企業再生)ファンドと呼びます。

日本では政府系ファンドである産業再生機構を皮切りに、不良債権処理のためのファンドが続々と立ち上がりました。

元々価値が低い状況から始めるため、事業再生が成功すれば大きな利益を挙げることが可能です。

反面、うまくいかなければ倒産の危険があることが怖いところだといえるでしょう。 事業再生のやり方には、事業の方向性を変えるターンアラウンドや大規模なリストラの強行などが挙げられます。

 

コンサルからPEファンドに転職するメリット

PEファンドではコンサルティングファームでは得られないメリットを享受することが可能です。

企業経営の経験と高収入という魅力的な2点について紹介します。

 

企業経営により近い経験ができる

コンサルタントの卒業理由として頻繁に挙がるのが、自分で事業を推進してみたい、というもの。

コンサルティングファームの場合、業務改善のために効果的な施策を提案しても、クライアントに認めてもらえなければ実行に移されることはありません。

PEファンドでは株主という立場から提案した施策を推し進めることができるため、経営者と近しい立ち位置で仕事が可能です。

事業会社に行くという選択肢もありますが、プロフェッショナルサービスそのものは好き、という方にはフィットしていると言えます。

 

キャリー次第では超高収入が狙える

PEファンドでは買収先の企業価値を高めることによって得た利益を、従業員にボーナスとして還元する「キャリードインタレスト」の仕組みがあります。

PEファンドの利益は買収企業1社あたり何百億円もの金額が得られるケースもあるため、キャリードインタレストを考慮すれば、コンサルティングファームでは得られないほどの高収入を狙えます。

利益のうち、PEファンドの懐に入る割合は20%が相場といわれており、例えば500億円の利益が出た場合、ファンドは100億円を手に入れることが可能です。50億円は会社に残すとして、残り半分の50億円をメンバーで分配します。分配の方法はファンドごとに異なりますが、役職(MD、D、VP、アソシエイトなど)による傾斜分配、各案件への関与度や貢献度によって決まることが多いようです。

 

PEファンドの転職に求められるスキル

PEファンドへの転職に求められるスキルや経験としては、多くの場合M&Aに携わった経験が必要になります。

他にも買収先と良好な関係を築くために、コミュニケーション力やフットワークの軽さが必要とされるでしょう。

 

M&A関連のプロジェクト経験

PEファンドでは主に企業の買収や売却を扱うため、M&A関連のプロジェクト経験が重宝されます。

モデリングやDD(デューデリジェンス)、バリュエーション等、M&A業務特有のスキルを広く求められることになります。

特に投資銀行でのM&A経験や、財務系コンサルティングファーム(FAS)・戦略コンサルティングファームでのM&Aプロジェクト経験、商社における投資業務、投資先管理経験などが有利に働きます。

投資実行部隊とは別に、経営支援に特化したチームをもつこともあります(代表例:KKRのキャップストーン ※外部サイトに飛びます)。

こうしたチームでは投資実行後に活躍する場があることから、コンサルファームにおける経営支援の経験が必要とされます。

それ以外では、コンサルタントのスキルとして、スライドやエグゼクティブサマリが一定程度書けること、法務・税務・財務の知識があることなどがあると入社後に便利なスキルと言えるようです。

また、著名ファンドになればなるほど、MBAホルダーの数も多いため、必要条件ではないものの一つの要素になっていると言えるでしょう。

 

コミュニケーション力

前述した通り、PEファンドの業務は買収先と深く関わります。

投資先の経営者や社員と密にコミュニケーションをとりながら、事業の舵取りを進めていくことが必須です。

投資先の人間と信頼関係を築くためには自ら積極的に動くフットワークの軽さが求められます。現場に赴き状況を把握したり情報収集に努めたりと、企業が良い方向に進むよう努力してくれていることが伝わると、自然と良い関係が構築できるはずです。

また、経営陣と同じ目線を持つことも必要で、時には大企業の経営陣に対しても自分の意見をしっかりと述べるような度胸・胆力も必要となります。

 

PEファンドの転職市場動向

PEファンドは採用枠が多くないうえに、他のPEファンド出身者や投資銀行出身者も多く応募してくるため、かなり難易度が高いと言えるでしょう。

現在のPEファンドの採用状況はどうなっているのでしょうか。また、実際のところ、コンサルファームからPEファンドへの転職難易度はどうなのでしょうか。

 

採用は活発化し始めている

PE市場への資金流入、ファンドレイズはコロナ禍以降も活況を呈しています。投資案件の成立件数や成立金額も、事業承継のニーズも相まって活発化してきています。

それに伴い、20代後半から30代前半までの若手人材も含め、投資先CXOの採用も活性化しており、弊社にご相談を頂くことが増えてきています。

2020年の緊急事態宣言下で一時的にクローズしていたファンドも採用を再開するなど、回復基調にあると言えるでしょう。

 

コンサルからPEファンドへの転職難易度

PEファンドでもコンサルファーム出身者を多く求めているファンドとそうでないファンドがあるので、注意が必要です。

外資系PEファンドは他のPEファンドや外資系投資銀行出身者が多く、コンサル出身者も一部の外資系戦略ファーム出身者に限られます。背景として、外資系PEファンドは1件当たりの投資金額が大きく、そのような大型M&Aに携わった経験を持った方を中心に募集していることが挙げられます。

日系PEファンドはそれに比べると投資金額が小さめで、ファンドが経営改善に携わることによる企業価値向上が見込みやすいと言えるでしょう。特に日系のPEファンドは自社に経営支援機能を持つファンドも多く、ハンズオン支援を売りにしているところも数多く存在します。そのため、戦略コンサルファーム出身者やFAS(財務系コンサルファーム)出身者なども幅広い活躍の場があると言えます。

まずは気になるPEファンドのHPのメンバー一覧を見て、どんなバックグラウンドを持っている人が多いのかをチェックすることが大切です。コンサル出身者が多いファンドであれば、転職可能性は十分あると言えるでしょう。

 

PEファンドはポストコンサルの有力な選択肢

PEファンドでは経営に近い役割を担うことができ、高収入も狙えるためポストコンサルの有力な選択肢になると言えるでしょう。

PEファンドの市場拡大により以前より門戸が広くなっているとはいっても、求められるスキルの高さ・難易度を考慮すると、入念な選考対策を行う必要があります。

ご自身のご経歴のどんな点をアピールすれば良いのか悩まれる方は、ぜひ弊社のエグゼグティブコンサルタントにお気軽にご相談いただければ幸いです。

ポストコンサルのキャリアに精通したプロフェッショナルが、キャリア設計や選考対策のお手伝いをさせて頂きます。

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